1998/3/13 赤桐
42はドミノを使って遊ぶトリックテイキングゲームです。
アメリカのテキサス州を中心に盛んなゲームです。1885年にテキサスのW.A.Thomas of Garnerという人が作ったと言われています。現在の若い人々にもプレイされているようです。
7トリックしかプレイしないので比較的軽い感じのゲームであり、少し荒い感じもしますが、一級のカードゲームに匹敵する魅力があると思います。
4人。向かい合った2人がパートナーになります。
28枚の普通のドミノ(ダブル・シックス)を使います。
最初のディーラーはドミノをドローして目の合計が最も多いプレイヤーがなります。同じ目の合計ならば、片方の目が大きいほうのプレイヤーがディーラーです。次のディールからは、時計回りに交代します。
ディーラーがドミノを裏返しにしてかき混ぜた後、ディーラー以外の3人が7枚ずつドミノを取ります。残った7枚のドミノがディーラーのものになります。
ディーラーの左隣から時計回りに1巡だけビッドを行います。つまり、各プレイヤーは1度しかビッドの機会がありません。
ビッドは、パートナー2人でプレイで取るつもりの点数を宣言します。最低のビッドは30(点)です。今までにビッドしたプレイヤーがいたら、それより高い点数でなければなりません。ビッドしたくなければパスをします。
プレイで取れる最高の点数は、全トリック取った場合の42点です。42(点)のビッドを1マーク(1 Mark)とも言います。このビッドの上に、2マーク、3マークなどのビッドもあります。これらは、42と同様に全トリックを取るというビッドですが、例えば2マークとは2ディール分の得点を賭けるというような意味になります。
ビッドでいきなり2マークを宣言することはできますが、それ以上のビッドは、その前のビッドより1つ高いビッドしかできません。例えば、4マークのビッドは、そのプレイヤーのビッドより前に3マークのビッドがあったときだけ行うことができます。
最初から3人のプレイヤーが続けてパスをした場合、ディーラーは必ずビッドをしなくてはなりません。
ビッドで最も高いビッドをしたプレイヤーをデクレアラーと呼ぶことにします。
ドミノのうち、6の目を持っているドミノを6のスートのドミノといいます。同様に5、4、3、2、1、0(空白)の目を持っているドミノは、それぞれ、5、4、3、2、1、0のスートに属します。
従って、ダブル(両方の目が同じドミノ)を除いて、すべてのドミノは2つのスートに属することになります。
ただし、普通はスートの1つは切札として指定されますが、切札となったスートのドミノだけは、切札のスートにしか属さなくなります。例えば、5が切札だった場合、5-4のドミノは切札(5)のスートに属するだけで、4のスートには属しません。
ビッドが終わると、デクレアラーは1つのスートを切札として指定します。
プレイはトリックテイキングゲームです。デクレアラーが最初のリードを行います。プレイの順序は時計回りです。
切札以外のリードの場合、リードされたドミノの目のうち、大きいほうの目のスートがリードされたことになります。例えば、6-3がリードされた場合には、6のスートのリードとなります。もちろんダブルの場合はその目のスートがリードされたスートとなります。
これに対して、他のプレイヤーは、リードされたスートを持っていれば出さなければなりません。それがなければ、どのドミノを出してもかまいません(切札でもそうでないドミノでもかまいません)。
例えば、切札のスートが0で、4-1がリードされた場合、リードされたスートは4なので、手に5-4、4-2、4-0、3-1、2-2があれば、5-4か4-2のいずれかを出すことになります。フォローするときには、大きい目のスートだけでなく小さい目のスートも有効なので、4-2だけでなく5-4も出すことができるわけです。4-0は切札のスートなので、4のスートには属さず、フォローすることはできません。3-1はリードが4-1でも1のリードとは考えないので出せません。
言い換えれば、リードされたドミノの大きい目と同じ目を持っているドミノのうち、切札でないものをフォローする義務があるわけです。
切札がリードされたときは、切札をもっていれば出さなければなりません。持っていなければ、どのドミノを出してもかまいません。小さいほうの目が切札のスートのものをリードした場合も、切札のリードとなることにご注意ください。
トリックに勝つのは次のプレイヤーです:
あるスートでもっとも強いドミノは、ダブルです。それ以外では、もう1つの目の大きい順の強さになります。これは切札のスートでもそれ以外でも変わりません。例えば、3のスートの場合、3-3がもっとも強く、3-6、3-5、3-4、3-2、3-1、3-0と続きます。
取ったトリックは、各チームの誰か1人の所に、プレイされた順に表向きに全部が見えるように置かなければなりません。
取った各ドミノの点数は次の通りです。
6-4、5-5(目の合計が10のドミノ) |
10点 |
5-0、4-1、3-2(目の合計が5のドミノ) |
5点 |
その他のドミノ |
0点 |
さらに、1トリック取るごとに1点もらえます。
1ディールの合計点数は42点になります。
デクレアラーは、切札を指定する代りに、プレイの前に次の宣言の1つをすることができます。これがあるとプレイの規則や目的が変わってきます。
ただし、これらは一種のオプショナル・ルールなので、採用されないこともあります。
ダブルを1つのスートとして切札にすることができます。切札のドミノとその強さは、(強)6-6、5-5、4-4、3-3、2-2、1-1、0-0(弱)となります。
すべてのダブルは切札なので、当然ながら、ダブルをリードされときには、ダブルを出す義務があり、ダブル以外のリードのときには、ダブルを出す必要はありません。
切札を指定する代りに、切札がないようにすることができます。
ディーラー以外の全員がパスをしたときだけ、ディーラーがデクレアラーとなって行うことのできる宣言です。42(1マーク)かそれ以上のビッドをしなければなりません。
デクレアラーが1トリックも取らなければ成功となります。
デクレアラーのパートナーは、自分のドミノを裏返しにして、プレイには参加しません。
切札はありません。通常通りデクレアラーが最初のリードをします。
ダブルは1つのスートとなります。6-6が最も強く、5-5、4-4、3-3、2-2、1-1、0-0の順になります。ダブルがリードされたときには、ダブルを持っていればダブルを出さなければなりません。持っていなければ何を出してもかまいません。
ダブルのドミノはその目のスートには属しません。従って、ダブル以外のリードのときに、そのスートのドミノを持っていれば、ダブルを出すことはできません。
これを宣言するには、4マーク以上のビッドをしていることが必要です。ただし、これを宣言するのであれば、それ以前のビッドが3マークより下でも(あるいはまったくビッドがなくても)4マークをビッドすることができます。
また、この宣言をするには、少なくとも4枚のダブルを持っていなければなりません。
デクレアラーのパートナーが、デクレアラーには相談せずに、切札を決めます。ダブルを切札にしたり、ノートランプ(切札なし)にしてもかまいません。
全トリックを取れば成功となります。
最初のリードは通常通りデクレアラーが行います。
デクレアラーのチームがビッドした点数かそれ以上の点数を得た場合には、次の得点がもらえます。
30〜42(点)のビッドの場合 | 1マークの得点 |
2マーク〜7マークの ビッドの場合 | ビッドしたマーク数の得点 |
デクレアラーのチームがビッドした点数を取ることができなかった場合には(これをセットと呼びます)、相手チームが上記と同じ点数をもらうことになります。
先に7マークを得たほうが勝ちとなります。
普通は、"ALL"の文字の直線を1つずつ書いていくことで得点を付けていきます。
配られた手に、点数のあるドミノが多く、ダブルもいくつかあるけれど、切札になるようなスートがなかったりして自分がデクレアラーではプレイしにくい場合、30(点)のビッドをして自分のパートナーに知らせることがあります。もちろんこれはパートナーがまだビッドしていない場合に限られます。
プレイにおいて、捨て札は小さな目のドミノから先に行うことが多いのですが、大きな目のドミノを早期に捨て札した場合、その目のダブルを持っているのでそのスートをリードしてほしいというシグナルになる場合があります。
例えば、6-3のドミノを捨て札した場合、6-6のドミノを持っているのでリードしてほしいという意味になることがあります。
もちろん、これらのコンベンションやシグナルは、プレイ前にパートナーと打ち合わせしておかなければなりません。
ビッドの参考に、どのビッドでどれだけ負けてもよいかをを表にしてみました。
ビッドの点数 |
負けてもよいドミノ |
30 | 10点のドミノ1枚または5点のドミノ2枚を含む2トリック。または、5点のドミノ1枚を含む6トリック。 |
31 | 10点のドミノ1枚または5点のドミノ2枚を含む1トリック。または、5点のドミノ1枚を含む6トリック。 |
32 | 5点のドミノ1枚を含む5トリック。 |
33 | 5点のドミノ1枚を含む4トリック。または、点数のドミノを含まない5トリック。 |
34 | 5点のドミノ1枚を含む3トリック。または、点数のドミノを含まない5トリック。 |
35 | 5点のドミノ1枚を含む2トリック。または、点数のドミノを含まない5トリック。 |
36 | 5点のドミノ1枚を含む1トリック。または、点数のドミノを含まない5トリック。 |
37 | 点数のドミノを含まない5トリック。 |
38 | 点数のドミノを含まない4トリック。 |
39 | 点数のドミノを含まない3トリック。 |
40 | 点数のドミノを含まない2トリック。 |
41 | 点数のドミノを含まない1トリック。 |
42 | 0トリック。 |
ディーラーもパスをすることができ、全員パスならば配り直しにすることもあります。ディーラーは左隣に交代します。
これに対して、本文のように3人パスのあとではディーラーが必ずビッドしなければならないルールをフォースド・ビッド(Forced Bidding)と呼びます。
0-1のドミノを配られたプレイヤーからビッドを始めるというルールもあります。
ビッドの最低点を30点ではなく31点にすることもあります(古いルールです)。この場合でも3人パスのあとのディーラーは30点でビッドすることができます。
最初のトリックをリードするときだけ、出したドミノの大きい目のスートではなく、小さいほうの目のスートをリードしたことにできるというルールです。
もちろん、そうしたいのならば、リードするときにそのことを宣言しなければなりません。
デクレアラーチームの作戦の幅が広がり、面白そうなルールです。
3人パスのあとにディーラーがビッドをしなければならなくなったときだけ、これを認めることもあります。
本文では取ったトリックはすべて表向きに見えるようにするとしていますが、2マーク以上のビッドでプレイする場合に限り、各チームの取った最後の2トリックだけを見えるように重ねておくというルールもあります。
本文のように「マーク」で得点を付けるのではなく、プレイによる点数を得点とすることもあります。
この場合、ビッドは1マーク、2マーク、3マーク...の代りに、42(点)、84(点)、126(点)...となります(マーク数x42です)。中間の点数はありません。
ビッドに成功したときには、両チームとも自分のチームの取った点数がそのまま得点となります。42(点)以上のビッドの場合は、ビッドした点数が得点になります。
ビッドに失敗したときには、デクレアラーのチームは0点となります。相手チームの得点は次のようになります。
ディールが終わって、どちらかのチームの累計点が250点以上になっていたら、ゲーム終了です(500点で終了とすることもあります)。どちらのチームも250点以上になった場合には、点数に関わりなく、最後のディールのデクレアラーのチームの勝ちになります(デクレアラーはプレイに成功しているはずです)。
なお、ビッドに成功したときに、デクレアラーのチームがビッドの点数と取った点数を加えたものを得点し、相手チームは得点しない、というルールも見受けました。
5ディール(あるいは7ディール)を行って、ゲーム終了とすることもあります。
本文のようにマークによる得点の場合、賭けてプレイする場合には、1マークについていくら、および、1回のセットについていくら、と決めておいて、差額をやりとりするようです。
切札がダブルのとき、ダブルがリードされると、ダブルをフォローするのではなく、ダブルの目のスートをフォローしなければならないというルールもあるそうです。
この場合、ダブル以外のスートがリードされたとき、その目を持つダブルをフォローしなければならないかどうかは不明です。
次のプレイの規則のいずれかを選択できることもあります。
1)ダブル・ハイ(Double High)通常通り各スートで最も強いドミノはダブルです。
2)ダブル・ロー(Double Low)各スートで、ダブルは最も弱いドミノになります。
ノートランプを宣言できるのは、42(1マーク)以上のビッドをした場合だけとすることもあります。
ネローは3人パスのあとのディーラーでなくても認めるというルールもあります(42以上のビッドは必要です)。
ネローのプレイヤーは次のいずれかのプレイの規則を選択できるというルールもあります。どちらの場合も、切札はありません。
1)ダブル・テイク・ダブル(Doubles Take Doubles): 本文で述べたように、ダブルが1つのスートとなります。
2)ダブル・テイク・ザ・トリック(Doubles Take The Trick): 普通のゲームと同様です。ダブルはスートにはなりません。
あるいは、次のいずれかを選択できるルールもあります。やはりいずれも切札はありません。
1)ダブル・ハイ(Doubles High): 普通のゲームと同様です。ダブルは各スートの一番強いドミノです。
2)ダブル・ロー(Doubles Low): ダブルは各スートの一番弱いドミノになります。
3)ダブル・テイク・ダブル(Doubles Take Doubles): 本文で述べたように、ダブルが1つのスートとなります。
4)ダブル・テイク・ダブル・インバーティド(Doubles Take Doubles Inverted): 本文で述べたように、ダブルが1つのスートとなります。ただし、ダブルのスートでの強さの順位は、0-0が最高で、1-1、2-2、3-3、4-4、5-5、6-6と下がっていきます。
上記のうち、いくつかだけを選択できることもあります。
最初のリードはデクレアラーのパートナーが行うというルールもあります。
スプラッシュ(Splash)という宣言を認めることもあります。これはプランジと同じですが、ダブルを3個以上持っていて、2マークのビッドをしたときに行うことができます。このルールの場合、プランジは3マーク以上のビッドで行うことができます。また、プランジもスプラッシュも最初のリードはデクレアラーのパートナーが行います。
2マーク以上のビッドでプランジができるというルールもあります。
プランジのときに、ダブルを切札にしたり、ノートランプ(切札なし)にすることができないというルールもあります。逆に、ネローを選択することもできるというルールもあります。
デクレアラーの行うことのできる特別な宣言の1つです。これをするためには42(1マーク)以上のビッドをしていなければなりません。
通常通りデクレアラーが最初のリードを行います。
最初は目の合計が7のドミノ(5-2、6-1、4-3)が切札になります。この3枚がプレイで使われてしまったら、次のトリックからは目の合計が6と8のドミノが切札になります。これが使われてしまったら、目の合計が5と9のドミノが切札になる、というように切札が目の合計が7であるものから順に、目の合計が7に近いものから遠いものへと変っていきます。
デクレアラーのチームが全トリックを取った場合だけ、ビッド成功となります。
なお、別の資料によれば、リードするときもフォローするときも、手のなかから目の合計が最も7に近いドミノを出さなければならず、目の合計が最も7に近いドミノを出したプレイヤーが勝ちとなる(7に同じだけ近いならば先に出したほうが勝ち)となっていました。これだとプレイは全く機械的に行われることになります。
最初のディーラーを、最も目の合計の大きいドミノをドローした人の右隣のプレイヤーとすることもあるようです。
本文のものより、もう少し正式なディールのやりかたとして、次のようなものもあります。
1)ディーラーがドミノを裏返しにしてかき混ぜた後、相手チームの2人が7枚ずつドミノを取り、次にディーラーのパートナーが7枚取ります。残った7枚のドミノはディーラーのものになります。
2)ディーラーがドミノを裏返しにしてかき混ぜた後、ディーラーの左隣のプレイヤーから時計回りに、7枚ずつドミノを取っていきます。