1997/4/11 赤桐
500ラミーは、麻雀やカナスタと同じように、ラミーの一種です。500ラム(Five Hundred Rum)とかピノクル・ラミー(ラム)(Pinochle Rummy/Rum)とも呼ばれます。
メルドに対して得点がつくゲームとしては、最も古いゲームの1つで、カナスタなどの祖先にあたります。しかし、他のゲームにはない特徴があるので、今でもプレイされています。
このゲームの最も面白い点は、捨て札の山の下になっているカードを取ることができるという点です。また、多人数のラミーゲームには珍しく、カードを1組だけ使います。
スリリングなゲームであり、運の要素も強いけれど、技術もかなり必要とされるゲームです。特に3人用のゲームとしてはベストゲームの1つです。
シンプルなゲームなのですが、調べてみると、意外に多くのローカルルールやバリエーションがあることが分かりました。これは、今でもたくさんの人にプレイされている証拠でしょう。
2人〜4人。普通、4人のときも個人戦で行います(パートナー戦にはなりません)。
通常の52枚のカードを使います。
ドローして(裏向きのカードから1枚取って)、最も低いランクのカードを引いたプレイヤーが最初のディーラーになります。このときのランクは(低)A,2,3,4,5,6,7,8,9,10,J,Q,K(高)です。同じランクならば引き直しです。
次回からは、ディーラーは時計回りの順に交代します。
ディーラーは、各プレイヤーに1枚ずつ7枚のカードを配ります。そのあと、1枚のカードをテーブルに表向きに置きます。これは捨て札の山(Discard Pile)の最初のカードとして扱われます。残ったカードは山札(Stock)としてテーブルに裏向きに置きます。
ただし、2人でプレイするときには、各プレイヤーに13枚ずつ配ります。
ディーラーの左隣から時計回りの順に次のようなプレイを行います。
1)山札または捨て札の山からカードを取ります。山札から取るときは一番上のカードを1枚取ります。捨て札の山から取るときは、一番上のカードを1枚取る場合と、もっと下のカードを取る場合があります。捨て札の山の下の方のカードを取るためには、あとで述べる制約があります。
2)次に、メルド(Meld)およびレイオフ(Lay Off)をすることができます。メルドとは、ある組み合わせのカードを、手札から出してテーブルに公開することです。レイオフとは、自分または他のプレイヤーのメルドに対して、カードを付け加えることです。メルドまたはレイオフは、両方または片方を、いくつ行ってもかまいませんし、全く行わなくてもかまいません。
3)自分の手札から1枚のカードを捨て札します。捨て札するときには、捨て札の山の上に表向きに置きますが、下の全部のカードのインデックスが見えるように、少しずつずらしながら置きます。
メルドのカードの組合わせは、次の2種類があります:
メルドは、自分の前のテーブルに表向きに出さなければなりません。手札の中に上記の組み合わせがあっても、メルドとはみなされません。
手札は、メルドにするだけでなく、自分や他のプレイヤーのメルドに付け加えることもできます。これをレイオフ(付け札)と呼びます。レイオフできるのは、メルドに加えたときに、上記のメルドの条件に当てはまるカードです。
つまり、同じランクのメルドに対しては、さらに同じランクのカードをレイオフできます。例えば、Aが3枚のメルドがあった場合、残りの1枚のAが手札にあれば、これをレイオフすることができます。
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また、同じスートのシークエンスのメルドを、さらに延長するようなカードもレイオフできます。例えば、2-3-4というメルドがあった場合、手札にAや5があれば、レイオフすることができます。また、5と6を持っている場合、その両方のカードをレイオフできます(もちろん、5をレイオフしないで、6をレイオフすることはできません)。
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また、自分や他のプレイヤーのレイオフの後に、そのカードに続けてレイオフする事もできます。例えば、9-10-Jというメルドがあり、誰かがQをレイオフしていた場合、Kをレイオフすることもできます。
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他のプレイヤーのメルドにレイオフする場合には、レイオフのカードは、それを付けるメルドのところではなく、自分のテーブルの前に置きます。自分のメルドにレイオフする場合には、メルドに続けて置いてかまいません。
レイオフするときには、どのメルドに付けるかを宣言します(特に、レイオフできるメルドが2個所以上ある場合には、はっきり言わなければなりません)。
なお、メルドをしていないとレイオフできないというような制限はありません。
捨て札の山の一番上からカードを取る場合には、山札から取った場合と同じように普通にプレイできますが、捨て札の山のそれ以外のカードを取るためには、次のような制限や義務があります。
ただし、取ったカードの束の上の方のカードも使ってメルドやレイオフしてよいので、極端な例では、Kが目的のカードで、その上の方に他のKが2枚捨ててあれば、手札にKが1枚もなくても、Kを取ってK3枚のメルドを作ることができます。
次のいずれかが起こったら、プレイは終了します。
各カードは次のような点数をもっています。
2〜10 | 数字通りの点数(2〜10) |
J、Q、K | 各10点 |
A | 15点。ただし、A-2-3...のメルドの時は1点。 |
プレイが終わると、自分がメルドまたはレイオフしたカードの点数の合計から、手札の点数の合計を引いたものが、得点になります(マイナス点になることもあります)。
上がったプレイヤーに対するボーナス点はありません。
ディールが終わりって得点計算した結果、累計点が500点に到達していたプレイヤーがいたら、ゲームは終了します。最も高い点数のプレイヤーが勝者となります。同点ならば、さらにディールを続けます。
精算を行う場合には、各プレイヤーが他の各プレイヤーとの得点差を受け取りまたは支払います。
5人〜8人でプレイをすることもできます。この場合、52枚のカードを2組使います。
捨て札の山の一番上のカードを取って、普通にプレイすることができないというルールもあります。この場合、捨て札の山の一番上のカードを取るためには、下の方のカードを取るときと同じ制約があります。
他のプレイヤーに対するレイオフのとき、自分のそばに置かないで、メルドの所に直接付けるやり方もあります。
この場合、メルドやレイオフを行うたびに、その点数を記録しておかなければなりません。
これは、500ラミーの古い形で、ミシガン・ラム(Michigan Rum)と呼ばれます。
捨て札の山の下の方のカードを取る時に、もっと厳しい制限のあるルールもあります。
目的のカード(取るカードの束の一番下のカード)と手札だけを使って、最初にメルドを作らなければならないというルールです。従って、手札に少なくとも2枚のメルドを構成するカードが必要になります。
例えば、Kを取るためには、その上の方に別のKがあっても、手札に他のK2枚が必要となります(あるいは、J、Qなどが必要になります)。
また、目的のカードをレイオフすることで取ることもできません。
山札がなくなったときの終わりかたが、少し違うルールもあります。最後の山札を取ったプレイヤーが普通にプレイしたあと、次からのプレイヤーは、捨て札の山からカードを取ってプレイを続けてもかまいません。それをしないプレイヤーがいれば、そこでプレイは終了します。
上がるときには、必ず捨て札をして上がらなければならないというルールもあります。この場合、メルドやレイオフで手札を0枚にすることはできません。
あるいは、フローティング(Floating)と呼ばれるバリエーションもあります。このバリエーションでは、メルドやレイオフで手札を0枚にすることはできますが、それで上がりではありません(これをフローティングの状態と呼びます)。このプレイヤーは捨て札を行わないで次のプレイヤーの番になります。次の自分の番には、山札から1枚取るか捨て札の山から取るかして、通常通りプレイします(上がったり、再びフローティングの状態にしたり、捨て札の山からたくさん取ることができれば手札を増やしたりできます)。
2〜9のカードの点数をすべて各5点とすることもあります。このとき、A-2-3のメルドのときのAの点数も5点とする場合と、他のメルドの場合と同じく15点とする場合があるようです。
あまり採用されないルールですが、2〜7のカードの点数を5点、8〜9のカードの点数を10点とするやりかたもあります。
ゲームの長さを7ディールとして、最も多く勝ったプレイヤーが勝者になるというルールもあります。勝ったプレイヤーとは、あるディールで最も得点の高いプレイヤーのことです。
各ディールにおいて、各プレイヤーは、捨て札の山からカードを取って、それを使ってメルドやレイオフをしてからでないと、他のメルドやレイオフを行うことはできない、というバリエーションもあります。
ジョーカーを2枚加えることもあります。ジョーカーはワイルドカードで、どのカードの代わりにでも使うことができます。
シークエンスで使う場合には、どのカードの代わりに使うかという、スートとランクを明確に宣言しなければなりません。
同じランクのセットで使う場合には、どのスートかということは指定しません。しかし、5枚以上の同ランクのセットは禁止されます。
1度使ったジョーカーを移動させることはできません。
ジョーカーの点数は15点です。
500ラミーに似たゲームで、ペルシャン・ラミーというゲームがありますが、それと同じようにジョーカーを使う、ペルシャン・ジョーカー (Persian Joker)というバリエーションもあります。
ジョーカーは4枚使います。
ジョーカーはワイルドカードではありません。3枚または4枚のジョーカーだけのセットでだけメルドできます。
ペルシャン・ラミーと同じように、Aは、A-2-3のように2の下のランクとしてメルドすることは禁止されます。
ローカルなルールですが、次のようなルールもあります。