2001/3/22 赤桐
バルビュ(ル・バルビュ Le Barbu)は、19世紀にハート(ブラックレディー)と共通の祖先をもつようですが、ヨーロッパ大陸でルールが発展し、比較的近年英語圏でも知られるようになりました。
バリビュとはフランス語で「ひげをはやした」という意味ですが、キングのことを指しているようです。類似のゲームがヨーロッパ大陸で英語の「キング」という名前でも呼ばれています。
いろいろな種類のゲームをプレイヤーが順に選択して合計点を競うゲームです。一度選択した種類はそのプレイヤーはもう選べないところが悩ましいところです。
4人。
普通の52枚のトランプを使います。
各スートのカードの強さの順位は(強)A、K、Q、J、10、9、8、7、6、5、4、3、2(弱)です。
最初のディーラーは任意に決めます。次回からは時計回りに交替します。
各プレイヤーに1枚ずつ13枚のカードを配ります。
ディールが終わると、ディーラーが7つのコントラクトのうちから1つを選びます。このためディーラーのことをデクレアラーとも呼びます。
各プレイヤーは自分が今までに選択したコントラクトをもう1度選択することはできません。
なお、4人のプレイヤーが7つのコントラクトをすべて選択してプレイしてしまったら、ゲームが終了します。つまり、28ディールで1ゲームになります。
7種類のコントラクトがあります。
次の5種のコントラクトはネガティブ・コントラクト(Negative Contract)と呼ばれます。
ネガティブ・コントラクトはすべて切札なしのトリックテイキングゲームで、次のルールに従ってプレイされます。
1トリック取るごとに、取ったプレイヤーにマイナス2点がつきます。
1ディールの合計点数は、マイナス26点です。
クイーンを取ると、マイナス6点となります。
1ディールの合計点数は、マイナス24点です。
最後のトリックを取るとマイナス20点。最後の1つ前のトリックを取るとマイナス10点となります。
1ディールの合計点数は、マイナス30点です。
ハートの各カードがマイナス2点となります。ただし、Aだけはマイナス6点です。
1ディールの合計点数は、マイナス30点です。
プレイのときの特別ルールがあります:手札がハートばかりのときを除いて、ハートをリードしてはいけません。
Kを取るとマイナス20点になります。
1ディールの合計点数は、マイナス20点です。
ノー・ハートのときと同じように、手札がハートばかりのときを除いて、ハートをリードしてはいけません。
次の2種がポジティブ・コントラクトになります。
デクレアラー(ディーラー)が切札を選び、次のルールのトリックテイキングゲームを行います。
1トリック勝つごとにプラス5点もらえます。
1ディールの合計点数は、プラス65点です。
七ならべ(ファンタン/カードドミノ)と同じようなゲームを行います。
まず、デクレアラー(ディーラー)がスタートランクを宣言します。スタートランクというのは、最初に出すカードのランクです。例えば、7とかキングとかいうように宣言します。(普通の七ならべでは7のランクからスタートしますが、このゲームはデクレアラーが自由に選べるわけです)。
最初のプレイは、デクレアラーが行います。各プレイヤーの行うプレイは、次のいずれかです:
カードは2、3、4、5、6、7、8、9、10、J、Q、K.Aの順につながります。
手札を全部出してしまったプレイヤーは、上がったことになり、プレイから抜けます。抜けたプレイヤーがいても、残ったプレイヤーでプレイは続けられます。
最初にあがったプレイヤーはプラス45点、2番目に上がったプレイヤーはプラス20点、3番目に上がったプレイヤーはプラス5点です。最後に残ったプレイヤーはマイナス5点となります。
全プレイヤーの合計点数は、プラス65点です。
以上、7つのコントラクトの合計点数は0点になります。
コントラクトが決まり、「切札」では切札が宣言され、「ドミノ」ではスタートランクが宣言されたあと、ディーラーの左隣から時計回りの順に、各プレイヤーに1回ずつダブルの機会が与えられます。
ダブルを宣言するときには、誰に対してダブルをかけるかを宣言しなければなりません。特定の1人や何人かに対してダブルをかけてもよいし、全員に対してダブルをかけてもかまいません。もちろん、まったくダブルをかけないこともできます。
ただし、デクレアラーだけは、自分にダブルをかけてきた相手に対してしかダブルをかけることができません。
ダブルがあると、ダブルをかけたプレイヤーとかけられたプレイヤーの間で得点のやりとりが生じます。
得点は下記のような得点表に書き入れます。各行が1つのディールの得点になります。各行の各プレイヤーの欄には大きいマスと小さいマスがあります。
ダブルがあれば、ダブルを宣言したプレイヤーの大きいマスに、ダブルをかけた相手の頭文字を書いておきます。
例えば、AさんとDさんにダブルをかけた場合、ADというように得点欄に書いておくわけです。全員に対してダブルをかけた場合には、「X」というように書いておくと便利です。
プレイが終了すると、まずプレイの結果の点数を得点欄に記入します。
次に、各プレイヤーの間での得点を計算します。つまり、プレイヤーをA、B、C、Dだとすると、A-B、A-C、A-D、B-C、B-D、C-Dの間の得点のやりとりを計算するわけです。
2人の間で、どちらも相手に対してダブルをかけていない場合には、得点のやりとりはありません。
片方のプレイヤーだけが相手に対してダブルをかけている場合、まず、2人のプレイでの得点の差を計算します。得点の多いほうのプレイヤーがこの差をプラス点として得点し、少ないほうのプレイヤーはその分マイナス点となります。点数は、プレイの点数の近くに記入しておきます。
両方のプレイヤーが互いに相手にダブルをかけている場合も同様にしますが、得点の差は2倍されます。
このようにして点数を書き終わると、各プレイヤーの小さいマスに、そのプレイヤーのそのディールでの合計得点を記入します。
チェックの欄には、全員の得点を合計したものを書きいれます。これが、そのコントラクトの合計点数と同じでない場合には、どこかに計算違いがあることになります。
すべてのプレイヤーが全部のゲームのデクレアラーとなってしまったら、ゲーム終了です。つまり28ディールでゲームが終わることになります。
各ディールの得点の合計が、各プレイヤーの得点となります。全プレイヤーの得点の合計は0点になるはずです。
本文のルールは、インターネット http://www.pagat.com/ に載っていたものを基にしています。
このルールは、コントラクトブリッジのプレイヤーのあいだで改良され、イタリアの Blue Club のブリッジチームでよくプレイされていたものだそうです。
このため、用語もブリッジ風になっています。
点数については、いろいろなバリエーションがあります。
デクレアラーに対してだけダブルをかけることができ、デクレアラーはダブルをかけた全員にだけリダブルをかけることができるというルールもあります。
ラビッジ・シティー(Ravage City)というコントラクトを認めることもあります。これはネガティブ・コントラクトの一種です。各プレイヤーが自分の取ったカードをスートごとにまとめ、最も枚数の多いスートの枚数を数えます。その枚数が最も多いプレイヤーがマイナス36点となります。2人が同数ならマイナス18点ずつ、3人が同数ならマイナス12点ずつ、4人が同数ならマイナス9点ずつとなります。
ラビッジ・シティーのルールを認めた場合、1ゲームは32ディールとなります。また、全プレイヤーの合計点を0にするためには、他のコントラクトの点数を変えなくてはなりません。
David Parlett氏は著書"Teach Yourself Card Games"や"A Dictionary of CardGames"で、もう少し簡単なルールを紹介しています。本文のルールとの違いは次の通りです。
ダブルのルールはありません。
フランスのJean-Francois Bustarret氏がインターネット(http://www.a2c.fr/users/jfb/)で紹介しているルールは本文のものと次のようにかなり違っています。
A.プレイヤーは3人〜5人。カードは、2人のときにはスペードと2を抜き、3人のときは2を抜きます。全部のカードを配ります。
B.最初にリードするのは、ディーラーの左隣のプレイヤーです(時計回りでプレイする場合)。
C.次の5つのゲームの種類をこの順番に行っていきます(つまり、5ディールでゲーム終了です)。すべて切札はありません。
バリエーションとして、ディーラーがゲームの種類を選ぶというルールも書かれています。この場合、ディーラーの右隣のプレイヤーが最初のリードを行います。他のプレイヤーがダブルを掛けて、ゲームを選択したプレイヤー(ディーラー)のマイナスの点数を倍にする(または下記にあるようなプラスの点数のゲームならばその点数を半分にする)こともできるようです。
ゲームの種類のバリエーションとして次のようなものがあるそうです。
なお、Jean-Francois Bustarret氏の記述ではプラスとマイナスの点数が上記とすべて逆になっており、プラスの点数を少なく取った方が勝ちということでしたが、分かりやすくするため本文の記述の方法に合わせました。