1995/12/22 赤桐
ベジークは19世紀中頃にフランスで生まれ、他のヨーロッパの国やイギリスでも盛んになったゲームです。現在では一部に愛好家がいる程度のようです。
オリジナルの32枚のカードを2組使うゲームが衰えてからも、カードを4組使うルビコン・ベジーク(ジャパニーズ・ベジーク)や、6組使うシックスパック・ベジーク(チャイニーズ・ベジーク)などが盛んにプレイされていたこともありますが、現在ではプレイされていないと思われます。
このゲームはトリックテイキングゲームなのですが、山札から引いてきたカードによる点数がかなり大きいゲームです。半分は、麻雀のように役をつくるゲームであると考えたほうがいいかもしれません。
ピノクルはアメリカのゲームです。ピノクルの2人ゲームは2〜8を抜いた24枚のカードを2組使うゲームですが、カードの枚数以外は、ベジークとほとんど同じゲームです。3人用や4人用のゲームはかなり違うゲームですので、別の機会に紹介します。
2人
通常の52枚のカードから各スートの2〜6を除いた、32枚のカードを、2組混ぜあわせて使います。
カードの強さのランクは(強い)A、10、K、Q、J、9、8、7(弱い)の順です。
ドローして高いランクのカードを引いたプレイヤーが、誰が最初のディーラーになるかを決めることができます。次回からは、交代にディーラーになります。
ディーラーは、カードをまず3枚ずつまとめて配り、次に2枚ずつ配り、最後に3枚ずつ配ります。つまり、各プレイヤーは8枚ずつ手札を持つことになります。
次にディーラーは、配り残しのカードのうち、1番上のカードを表向きにして、テーブルに置きます。このカードが切札表示カードとなり、そのカードと同じスートのカードが、そのディールの切札となります。
残りのカードは、切札表示カードの上に交差させて置きます。これが、山札となります。切札表示カードも、1番下にある山札と考えます。
切札表示カードが7のカードだった場合、ディーラーは直ちに10点得点します。
ノンディーラーが最初のリードを行い、 トリックテイキングのプレイをします。
リードされたカードのスートをフォローする必要はありません。どのカードでもプレイできます。
通常のトリックテイキングゲームと同様に、切札がプレイされている時は、1番高いランクの切札を出したプレイヤーが勝ち、切札が出ていない場合は、リードしたカードのスートで、1番高いランクのカードを出したプレイヤーが勝ちます。
同一のカードがプレイされた場合には、先に出した方が勝ちます。(カードを2組使うので、同一のカードすなわち同じスートで同じランクのカードが2枚ずつあります。)
勝ったプレイヤーは、取ったカードをテーブルの自分のそばに置きます。裏向きに置いても、表向きに置いてもかまいません。次に、そのプレイヤーは手役の宣言(後述)を行うことができます。そのあと、山札の1番上から、カードを1枚取って、手札に加えます。そのあとで、負けた方のプレイヤーも同様に1枚とります。それから、勝った方のプレイヤーが次のリードを行います。
ただし、最後の山札を取ってしまったら、その直後のトリックから、ルールは次のように変わります:
リードされたカードと同じスートのカードを持っていた場合、同じスートをフォローする義務があり、さらに、可能ならばリードされたカードよりも高いランクのカードを出さなければなりません。たとえば、5がリードされた場合に、ハートではKと3を持っていたならば、Kを出さなければなりません。しかし、3だけしか持っていなければ、3を出します。
リードされたスートのフォローができない場合、切札を持っていたら、切札を出さなければなりません。リードされたスートも切札もない場合に限り、どのカードでも捨て札することができます。
山札がなくなったら、トリックを取っても、手役の宣言をすることはできません。
エースと10のカードを、ブリスクと呼びます。トリックで取ったブリスク1枚につき10点が得られます。
最後のトリックを取ったプレイヤーには、さらに10点が与えられます。
したがって、トリックで得られる点数の合計は90点となります。
トリックで勝ったときに、以下のような組み合わせのカードが手札にあった場合には、手役として宣言して、得点することができます。その手役のカードは、自分の前のテーブルの上に表向きにして公開します。公開されたカードはそのままテーブルに置かれますが、手札の一部として扱われます。
なお、1度に宣言できる手役は1つだけです。つまり、2つ以上の手役を宣言するためには、2回以上トリックに勝たなければならないわけです。
シークエンス(切札のA、10、K、Q、J) | 250点 | |
ロイアル・マリッジ(切札のKとQ) | 40点 | |
普通のマリッジ(切札以外の同じスートのKとQ) | 20点 | |
フォー・エース(どのAでも4枚) | 100点 | |
フォー・キング(どのKでも4枚) | 80点 | |
フォー・クイーン(どのQでも4枚) | 60点 | |
フォー・ジャック(どのJでも4枚) | 40点 | |
ベジーク(QとJ) | 40点 | |
ダブル・ベジーク(Qが2枚と、Jが2枚) | 500点 |
すでに宣言している手役のカードは、別のカードと組み合わせて、同じ種類の手役として宣言することはできません。しかし、別の種類の手役の一部として宣言することはできます。
例えば、マリッジとして使ったKとQのうちのKを、フォー・キングのKの1枚として、後でまた宣言することはできますが、別の同じスートのQと組み合わせて、再びマリッジとして宣言することはできません。
また、シークエンスを宣言した後に、その中のKやQ(あるいはその両方)を使って、ロイアル・マリッジを宣言することはできません。しかし、ロイアル・マリッジを宣言した後に、そのカードの両方(または片方)を使ってシークエンスを宣言することはできます。
同様に、ダブル・ベジークを宣言した後に、そのカードを使ってベジークを宣言することはできません。しかし、ベジークを宣言した後に、ダブル・ベジークを宣言することはできます。ベジークを2つ宣言してから、ダブル・ベジークを宣言することも可能です。
なお当然ながら、既にプレイされてしまったカードを手役の一部にすることはできません。
切札の7を持っているプレイヤーは、そのことを宣言すると、10点が得られます。宣言のしかたには次の2つがあります:
1.手役の宣言と同じように、トリックに勝ったときに行います。(ただし、別に手役の宣言も行うことができます。)この場合には、持っている切札の7を、切札表示カードと取り替えることができます
2.あるいは、いつでも宣言することができます。プレイするために、切札の7を出した時でもかまいません。ただしこの場合には、切札の7を、切札表示カードと取り替えることはできません。
切札の7は2枚あるので、普通は最初の切札の7は1の方法で宣言し、2番目は2の方法でプレイと同時に宣言します。
どちらの場合でも、切札の7を宣言したカードは、手札に戻します(あるいは、プレイされます)。手役のカードのようにテーブル上に公開しておく必要はありません。
手役や切札の7の得点は、直ちにスコアをつけます。
ブリスク(Aや10)の得点や、最後のトリックの得点は、プレイが終了してから、つけます。
ディールが終了したときに、少なくとも片方のプレイヤーが1000点以上になっていたら、ゲームは終了します。勝者はもちろん得点の多いプレイヤーです。同点ならば引き分けになります。
以下の点を除けば、べジークと同じルールです。
本文中の用語の英語の原語は次の通りです。
山札:Stock or Stock Pile、手役:Meld or Scoring Convination、シークエンス:Sequence、ロイヤル・マリッジ:Royal Marriage、マリッジ:Marriage or Common Marriage、フォー・エース:Four Acesor Hundred Aces、フォー・キング:Four Kings or Eighty Kings、フォー・クイーン:Four Queens or Sixty Queens、フォー・ジャック:Four Jacks or Forty Jacks、
ベジークの山札がなくなったあとのプレイは、本文のようでなく、フォローの義務だけがあって、フォローできなければどのカードを出してもよいというルールもあったようですが、現在では行われていないと思われます。("Hoyle's GamesModerized" by Lawrence H. Dawson, first published in 1923)
本文では、最後の山札をとってしまうとき(直前)の手役の宣言は可能ということになりますが、このときも手役は宣言できないというルールもあります。
切札の7の宣言は必ず、本文の1の方法で行わなければならないというルールもあります。逆に、2の方法で必ず行う(交換はしない)というルールもあります。
切札の7を1の方法で宣言した場合、手役の宣言ができないというルールもあります。
1人が1000点以上得点してゲームが終了したとき、もう1人のプレイヤーが500点に達していなかったら、2倍勝ちにするというルールもあります。
ゲーム終了の点数を、1000点でなく、1500点や2000点にすることもあります。
ゲーム終了時に同点の場合には、引き分けでなく、もう1ディールプレイするという方法もあります(それでも同点の場合はさらに1ディールずつプレイします)。
また、そのような場合だけ、ゲーム終了の点数を500点上げるというやり方もあります。