2018/12/1 赤桐
ビンゴはシックスティー・シックスあるいはシュナプセンというトランプのゲームが元になったドミノのゲームです。 19世紀にアメリカの一部地域でトランプが禁止になったのでドミノで代用したようです。 ドミノを使ったトリックテイキングゲームです。
このゲームのルールは、今までいろいろな書物で書かれていますが、伝統的なプレイは途絶えています。 書かれたルールには、不一致や不明確なところが多くありました。 最近、John McLeod氏が詳細な研究によってルールを再構築し、Pagat.comで発表していましたので、それを元にに紹介します。
詳しい研究内容については原文(http://pagat.com/tile/wdom/bingo.html)を参照ください。
2人
ダブル・シックスの28枚のドミノを使います。 [0-0], [0-1], [0-2], [0-3], [0-4], [0-5], [0-6], [1-1], [1-2], [1-3], [1-4], [1-5], [1-6], [2-2], [2-3], [2-4], [2-5], [2-6], [3-3], [3-4], [3-5], [3-6], [4-4], [4-5], [4-6], [5-5], [5-6], [6-6]のドミノがあります。 (なお、これ以降、例えば[2-5]と[5-2]は同じドミノを表します。)
ドミノには、0から6までの7種類の「スート」があります。 各ドミノは目の数の2つまたは1つのスートに属します。つまり例えば:
各スートのドミノの中では、ダブルのドミノが最も強くなります。 それ以外のドミノでは、もう1つの目が大きい方が強くなります。 なお、このゲームでは0の目は「7」として扱うので、ダブル以外では0の目が最も強くなります。 つまり例えば:
プレイでは、1つのスートが切札となり、このスートに属すドミノは、 それ以外のドミノより強くなります。
また、切札に属すカードは、それ以外のスートには属さなくなります。例えば、4が切札のときは、[6-4]は切り札4のスートに属しますが、6のスートには属しません。
例外的に、[0-0]のドミノは、どのスートが切札の場合でも、最強のドミノとなります。ただし、[0-0]は0が切札のとき以外は切札のスートには属しません。
このゲームはトリックテイキングのプレイを行い、ドミノを取りますが、 ドミノには次の点数があります。この点数をたくさん取るのがプレイの目的になります。
0の目は7になることに注意してください。
スートにより、次のように合計点数が変わります。
切札スート | 切札点数 | 切札以外のダブルの点数 | 切札以外の10点ドミノの点数 | 合計点数 |
---|---|---|---|---|
1 | 61 | 54 | 20 | 135 |
2 | 66 | 52 | 20 | 138 |
3 | 71 | 50 | 10 | 131 |
4 | 76 | 48 | 10 | 134 |
5 | 81 | 46 | 20 | 147 |
6 | 86 | 44 | 10 | 140 |
0 | 91 | 42 | 10 | 143 |
ゲームの最初のディールで最初にプレイするプレイヤーは自由に決めます。 次回からは、前回勝ったプレイヤーが最初にプレイします。
ドミノを裏向きにシャッフルしたあと、各プレイヤーは7枚のドミノを取り、手札にします。 残りは、タロン(boneyard)となります。
そのあと、2番めにプレイするプレイヤーがタロンの中の1枚を表向きにします。 このドミノの大きい方の目が切札のスートになります。 (ダブルならその片方の目です。0があれば0が切札になります)。
トリックテイキングのプレイを行います。
プレイには第1フェーズと第2フェーズがあります。 最初は第1フェーズです。
最初にプレイするプレイヤーが最初のリードを行います。 つまり、ドミノを1枚表向きに出します。
相手プレイヤーは、それに対して1枚表向きに出しますが、手札の中のどのドミノを出してもかまいません。 これで1トリックが終わります。
トリックに勝つプレイヤーは次のプレイヤーです。
トリックに勝ったプレイヤーは、トリックでプレイされたドミノ2枚を裏向きにして、自分の手元に置きます。 これが取ったトリックとなります。以降のプレイでは使用しません。
そのあと、タロンからドミノをどれでも1枚取り、手札に加えます。 ただし、表向きの切札表示のドミノは取ることはできません。 負けたプレイヤーも同様に1枚のドミノを取り、手札に入れます。
そのあと、勝ったプレイヤーが手札から1枚を表向きに出します。 これが次のトリックのリードとなります。
なお、タロンが裏向きのドミノ1枚と表向きの切札表示ドミノ1枚だけのときは、 勝ったプレイヤーが裏向きのドミノを取り、負けたプレイヤーが表向きの切札表示ドミノを取ります。 そのあとは、第2フェーズのプレイになります。
タロンのドミノがなくなったら、すぐに第2フェーズとなります。 あるいは、後述する「クローズ」の宣言があっても第2フェーズになります。
第2フェーズでも第1フェーズと同じようにトリックテイキングのプレイを行いますが、 フォローの規則が変わります。 (勝敗の規則は変わりません。)
つまり、2番目にプレイするプレイヤーがプレイするドミノに次の制限がつきます。 なお、制限内で出せるドミノが複数あれば、その中のどれをプレイしてもかまいません。
まず、切札がリードされたときの2番目のプレイヤーの規則です。 (箇条書きの番号の小さい方が優先します)。
次に、切札以外がリードされたときの2番目のプレイヤーの規則です。 (やはり箇条書きの番号の小さい方が優先します)。
なお、[0-0]は、0のスートが切札のとき以外は切札でなく0のスートに属すことと、これを出すことができるのは、 0のスートがリードれたときか、リードされたスートを持っていないときだけであることに注意してください。
第2フェーズでは、タロンからドミノを取らないで、次のリードを行います。
最後のトリックに勝ったプレイヤーは、ドミノの点数の他に10点を得点します。
ダブルを2枚以上持っているプレイヤーは、自分がリードする前に、宣言を行って得点することができます。 宣言したダブルのドミノはすべて全員に見せます。 また、宣言したダブルの1枚をそのときに必ずリードしなければなりません。
枚数 | 宣言名 | 点数 |
---|---|---|
2枚 | ダブル(double) | 20点 |
3枚 | トリプレット(triplet) | 40点 |
4枚 | ダブルダブレット(double doublet) | 50点 |
5枚 | キング(king) | 60点 |
6枚 | エンペラー(emperor) | 70点 |
7枚 | インビンシブル(invincible) | 3ゲーム点 |
もし[0-0]が宣言のダブルに含まれていたら、10点加算されます。
一度宣言したダブルは、あとでもう一度宣言することはできません。
宣言できるのはリードを行うときであり、最初のトリックをリードするときに宣言してもかまいません。 ただし、最初のトリックで宣言して、そのあと1トリックもプレイで勝つことができなければ、 そのダブルの宣言は無効になります。
第2フェーズになってから宣言することもできます。
7枚のダブルが手札にあってリードを行うプレイヤーは、3ゲーム点を獲得し、プレイは終了します。 3ゲーム点とは、3つのディールで普通の勝利をしたときと同じ得点です。 ただし、7枚のダブルが手札にあっても自分のリードの番でなければ、 プレイでそのうち1枚を使わなければならないので、この得点はもらえません。
プレイヤーは、プレイ中にいつでも勝利宣言をすることができます。 トリックのプレイ中にはできませんが、ダブルの宣言をした直後に勝利宣言することはできます。 プレイ終了後に勝利宣言を行うこともできます。
勝利宣言とは自分の取った点数が、ダブルの宣言点数も含め、70点以上あると宣言することです。 勝利宣言があると、プレイはそこで終わります。
勝利宣言をしたプレイヤーの点数を数え、実際に70点以上ならそのプレイヤーの勝利となります。 そうでなければ、相手プレイヤーの勝ちです。
なお、プレイヤーはプレイ中点数を紙などに記録することはできません。
第1フェーズでトリックに勝ったプレイヤーは、プレイヤー2人がタロンからドミノを取ったあと、 「クローズ」を宣言することができます。 (ただし、タロンからドミノを取った結果、タロンがなくなったときを除きます。)
クローズの宣言をするときには、切札を表示しているドミノを裏向けにします。
クローズの宣言が行われたら、それ以降タロンをを取ることができなくなり、 プレイは第2フェーズに移ります。
クローズの宣言とは、プレイ終了時までに自分が70点を取るという宣言でもあります。 クローズの宣言があってもどちらのプレイヤーも勝利宣言は行えますが、 クローズの宣言があって、誰も勝利宣言しないで最後までプレイが行われ、 プレイ終了後の勝利宣言もないときは、 クローズの宣言者がプレイ終了後に勝利宣言したとみなして得点を計算します。
なお、クローズがあったときは、最後までプレイした時も、最後のトリックの10点はつきません。
勝利宣言に成功したプレイヤーは、次の得点を得ます。
ただし、相手がクローズを宣言しているのに勝利宣言を行って成功したときは、 相手が30点以上取っていても2ゲーム点となります。
勝利宣言に失敗したら、相手プレイヤーは2ゲーム点を得点します。 (どちらかのプレイヤーが1トリックも取っていないときは3ゲーム点を得点します)。
なお、クローズがあってその宣言プレイヤーが勝利したときは、 相手の点数は勝利時点の点数でなく、クローズしたときの点数を基にします。 例えば、クローズの時点で相手得点が20点ならば、2ゲーム点を得点します。 このため、クローズを宣言されたプレイヤーは、 クローズまでに取ったドミノとクローズのあとに取ったドミノを分けておかなければいけません。
最後まで勝利宣言もクローズもないときは、誰も得点しません。
プレイ中に、切札のダブルと[0-0]が同じトリックにプレイされたら、 [0-0]を出したプレイヤーは、上記の得点とは別に、直ちに1ゲーム点を獲得します。
7ゲーム点を先に獲得したプレイヤーがゲームの勝者となります。 上記の切札ダブルの捕獲で7ゲーム点になったら、そこで終了です。
2018年12月1日、なかよし村でプレイしました。
ルールは明快になりましたが、ルールもプレイも結構難しいゲームです。 慣れるまでは大変ですが、2人用のドミノゲームとして、貴重な良ゲームだと思います。 なお、最初のうちは、点数をメモできるようにしたほうが良いかもしれません。