トップに戻る

コンチェルト(Concerto)

1995/5/25 赤桐

 コンチェルトはDavid Parlett氏の作ったゲームです。同氏の"Original Card Games"(1977)という本で初めて紹介されましたが、その後の彼の著書にも紹介されています。

 改良が行われていますので、ここでは最新の"Teach Yourself Card Games"(1994)という本のルールを紹介します。

 ポーカーの役を基にした、とてもユニークなゲームです。プレイはパートナーとの協調をいかにするかいうもので、相手との戦いの要素はありませんが、意外に面白いゲームです。


人数

 4人。向かい合った2人がパートナーになります。

カード

 通常の52枚のカードを使います。

ディール

 最初のディーラー任意の方法で決めます。次回からは、時計回りに左隣のプレイヤーに交代します。

 ディーラーは1枚ずつ全部のカードを配ります。各プレイヤーは13枚のカードを持つことになります。

プレイの目的

 パートナーになっている2人が1枚ずつカードを出していって、5枚のポーカーハンドを4つ作ります。ポーカーハンドには下記のような点数がついているので、4つのポーカーハンドの点数の合計をできるだけ多くすることが、プレイの目的となります。

ストレートフラッシュ15点
フォーカード12点
フルハウス8点
フラッシュ6点
ストレート5点
スリーカード3点
ツーペア2点
ワンペア1点

 また、後述するように、パートナーの2人に残っている6枚のカードも、ゲームの点数に関係します。

プレイの順序

 1つのディールは、8つの回に分かれ、次のようにプレイを進行します。もちろん、その間は配り直しは行われません。

 最初の回は、ディーラーの左側のプレイヤーがカードを1枚出します。このように最初にプレイすることを、リードすると呼びます。この回においては、このプレイヤーとそのパートナーが交互にプレイを行います。相手側のパートナーは、見ているだけで、プレイに参加しません。

 次の回からは、前回リードしたプレイヤーの左隣のプレイヤーがリードを行い、同じように、そのパートナーと2人でプレイを行います。

 こうして、各プレイヤーが2回ずつリードして、8回が終わると、1つのディールが終了します。

プレイ

 パートナーどうしが、交互にカードを1枚ずつ出していきます。ただし、パートナーの1人の手札がない場合には、1人だけでカードを出していくことになります。

 自分の番のときに、「パス」を宣言することもできます。パスの宣言をすると、カードを出さなくてかまいません。パスは何度でもできますが、2回続けてパスがあった場合には、次のプレイヤーはパスはできず、必ずカードを出さなければなりません。つまり、自分がパスを宣言して、パートナーもパスを宣言した場合には、それ以上パスはできません。

 また、リードを行うときには、パスをすることはできません。

 パスをする代わりに、「プレイ」を宣言することもできます。この場合、プレイの宣言をしたプレイヤーのパートナーは、ポーカーハンドを完成するためのカードを1人で出さなければなりません。もし、ポーカーハンドを完成するだけの枚数のカードが手札になければ、手札を全部出し、残りはプレイの宣言をしたプレイヤーが出します。

 プレイの宣言は、パスと同じように、2回続けてパスがあった後には行うことができません。

 こうして2人の出したカードが5枚になると、ポーカーハンドが完成し、その回が終わります。前述したように、その回にリードしたプレイヤーの左隣のプレイヤーがリードして、次の回のプレイを行います。

 完成したポーカーハンドは、リードを行ったプレイヤーの前に、みんなに見えるように表向きに置いておきます。

得点

 1つのディールの得点は、自分の側が作った4つのポーカーハンドの点数の合計に、「レフトオーバー(Left-Over)」の点数を足したものです。

 レフトオーバーの点数とは、相手の側に残っている6枚の手札から1番点数の高いポーカーハンドを作り、その点数を10倍したものです。(もし、点数のあるポーカーハンドが作れないならば、0点となります。)

 ただし、レフトオーバーの点数を得ることができるのは、4つのポーカーハンドの点数の合計が相手側より多いパートナーだけです。

 これが同点ならば、それぞれの側に残った6枚のカードからできる最高のポーカーハンドを比べて、弱いほうがレフトオーバーの点数を得ます。

ゲーム

 4ディール終了するか、あるいはその前でも、ディールが終了したときにどちらかの側が100点に達していたら、ゲームは終了します。高い得点のパートナーが勝者です。同点ならば、引き分けです。

 勝った側が100点以上であり、負けた側が100点未満である場合には、勝った側に100点のボーナスがつきます。

 このようなゲームを何回か行って、どちらかの側の累計点が決められた点数(500点とか1000点など)になるまで続けるやりかたもあります。


 "Original Card Games"のルールは、本文と次のような点で違います。

  1. ストレートの点数が7点である。
  2. 両方の側が、相手の側の残り札からレフトオーバーの点数を得ることができる。ただし、ポーカーハンドの点数の10倍ではなく5倍の点数となる。例外的に、残り札に3つのペアが含まれるときには、レフトオーバーの点数は15点となる。
  3. ディールが終わって、作った4つのポーカーハンドの点数が相手より多い側は、10点のボーナス点を得る。
  4. 1ゲームは必ず4ゲームから成る。同点は引き分け。勝ったことや勝ち方による特別のボーナスはない。

 "A Dictionary of Card Games"(1992) by David Parlett という本のルールは本文のルールに近いものですが、次のような違いがあります。

  1. プレイを宣言したときに、パートナーにポーカーハンドを作ることのできる枚数の手札がなかった場合には、残りはプレイを宣言したプレイヤーが出すが、そのポーカーハンドの点数は0点になる。
  2. ゲームが終わったときに、勝った側が100点以上で、負けた側が100点未満の場合には、2ゲーム勝ちとなる(ただし、3ディール以内でゲームが終わった場合には、3ゲーム勝ちとなる)。それ以外の場合は、1ゲーム勝ちとなる。
  3. 4ディールを行って同点の場合には、全ディールのレフトオーバーの点数の合計が多い方が勝ちになる。
  4. 3ディールして、どちらの側も100点を超えて同点の場合には、4ディール目を行う。

シグナル

 以下に述べるのは、David Parlett氏の使っている、パートナーどうしのシグナルです。必ずしもこれに従う必要はありませが、参考までに載せておきます。

基本方針

 )リードの次の最初のパートナーのプレイでは、通常パスをします。リードした人が何を狙っているのかを次のプレイで知るためです。パスをしないのは、リードされた1枚と自分のカード4枚を使って、高得点のポーカーハンドを作ることができる場合などだけです。

 )このパスのあと、リードした人はもう1枚カードを出して、どのようなポーカーハンドを狙っているのかを明らかにします。ただし、自分の手が弱い場合にはパスをすることもあります。

 リードするプレイヤーの最初の2回(または3回)のプレイにより、次のようなシグナルができます。

ストレートフラッシュシグナル

 ストレートフラッシュを狙うには、それを構成するカードのうち、少なくとも3枚のカードが必要です。

 最初の2枚を出す順序、つまり高位札と低位札のどちらを先に出したかということと、2枚のランクがどのくらい離れているかということで、次のようなシグナルが出せます。

 低位カードを先に出した場合

連続するカード3枚持ち。残りの1枚は高位カードで離れている。
1つ離れたカード4枚持ち。3枚は連続し1枚はどちらかに離れている。
2つ離れたカード4枚持ち。全部連続している。
3つ離れたカード5枚持ち。全部連続している。

 高位カードを先に出した場合

連続するカード3枚持ち。残りの1枚は低位カードで離れている。
1つ離れたカード3枚持ち。全部連続している。
2つ離れたカード4枚持ち。中間の1枚が欠けている。
3つ離れたカード3枚または4枚持ち。中間の1枚か2枚が欠けている。

フォーカードシグナル

 フォーカードを狙う場合、つぎのようなシグナルがあります。

 (A)スリーカードを2組以上持っている場合

 2組のスリーカードのカードを1枚ずつ出します。例えば、エースのスリーカードと、のスリーカードを持っていれば、エースを1枚ずつ出します。

 ただし、出すカードは、同じ色であるが、異なったスートのカードにします。

 これに対しパートナーは、どちらかのランクのカードを持っていれば、それを出して、フォーカードを完成させるようにします。

 (B)フルハウスの手札を持っている場合

 スリーカードから1枚出し、次にペアから1枚出します。この2枚のカードは異なる色のカードにします。

 これに対しパートナーは、最初のカードと同じランクのカードを持っていたら、それを出すようにします。また、2枚目のカードと同じランクのカードを2枚持っている場合も、それを出すようにします。

 (C)ペアを組以上持っているが、スリーカードはない場合

 ペアになっているカード(同じランクのカード)を2枚出し、次にパスをします。

 (D)スリーカードがあるが、ペアはない場合

 スリーカードから1枚を出して、次にパスをします。出すカードは赤のカード、できれば、ハートのカードにします。

 (E)ペアが1つだけある場合

 ペアから1枚を出して、次にパスをします。出すカードは黒のカードにします。黒のカードがなければダイアモンドを出します。

手札が弱いときのシグナル

 パートナーの3回目や4回目の回のプレイのときによく使われるシグナルです。ときには2回目のプレイで使うこともあります。

 このシグナルの特徴は、ストレートフラッシュシグナルと似ているが、別の意味を持つということです。今までに出たカードや出なかったカードの情報や、単に手札が少ないことにより、ストレートフラッシュシグナルとの区別はつくはずです。

 (A)フラッシュ狙い

 5枚のフラッシュが手札にあるときには、1番低位のカードをまず出し、次に1番高位のカードを出します。

 4枚のフラッシュが手札にあるときにも、1番低位のカードをまず出します。次に高位のカードを出しますが、ストレートができる範囲内のカードにします。

 3枚しかフラッシュのカードが手札にないときには、高位のカードをまず出して、次に低位のカードを出します。可能ならば、この2枚はストレートができる範囲内のカードにします。

 (B)ストレート狙い

 5枚のストレートが手札にあるときには、1番低位のカードをまず出し、次に1番高位のカードを出します。

 4枚のストレートが手札にあるときには、最初に低位、次に高位のカードを出しますが、できるだけランクの近いカードを出します。できれば、違うスートにします。

 3枚しかストレートのカードが手札にないときには、最初に高位、次に低位のカードを出します。できれば、違うスートにします。