2001/6/7 赤桐
デンマークでプレイされているタロットカードのゲームです。もちろんトリックテイキングゲームです。
愚者の扱いや78枚のカードをすべて使うところなど古いルールを残していますが、ゲームの興味の多くは最後のトリックをどうするかにかかっています。
ルールはJohn McLeod氏のサイト(http://www.pagat.com)とMichael Dummett氏の"Twelve Tarot Games"という本を基にしました。
3人〜4人。4人の時はディーラーの向かいに座っているプレイヤーはプレイに参加しません。
昔はデンマークのタロットカードを使っていましたが、現在ではフランスの78枚の競技用タロットカードを使います。スートはスペード、ハート、ダイアモンド、クラブです。
黒いスート(スペードとクラブ)のカードとその強さは:
(強)キング(R)、クイーン(D)、カバロ(C)、ジャック(V)、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1(弱)です。
赤いスート(ハートとダイアモンド)のカードとその強さは:
(強)キング(R)、クイーン(D)、カバロ(C)、ジャック(V)、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10(弱)です。
その他に21枚の切札のスートがあります。切札のスートの各カードには大きくアラビア数字で1〜21の数が書かれています。21の数が書かれたものが最も強く、数が小さくなるほど弱くなります。
切札の21のことをモンド(mondo)と呼びます。切札の1はパガット(pagaten)と呼びます。
それ以外に1枚の愚者のカードがあります。このカードは特別な働きをするカードです。
占い用のタロットを使う場合には、大アルカナのカードが切札のスートになります。数字はローマ数字で書かれているはずです。
小アルカナには4つのスート(貨幣、聖杯、棍棒、剣)があるので、スペード、ハート、ダイアモンド、クラブの4つのスートの代わりに使います。
得点のやり取りはポーカーチップで行います。
プレイヤーはゲームの始めに同じ数のポーカーチップを持ちます。5点、20点、100点、500点のチップがあればよいでしょう。
テーブル中央に2種類の皿を置きます。1つはパガットポットと呼ばれます。もう1つはキングポットと呼ばれます。
パガットポットは、昔は数字の1の描かれた専用の入れ物を使っていましたが、今は普通の深い皿を使います。キングポットは、昔は王冠の描かれた専用の入れ物をつかっていましたが、今は普通の浅い皿を使います。
それぞれのポットには、ゲームの始まる前、および中がすべてなくなった時すぐに、各プレイヤーがチップを20点分ずつ入れます。4人ゲームのときで、プレイに参加していないプレイヤーも、ポットに入れなければなりません。またディーラーはディールの前に各ポットに5点分ずつチップを入れます。
最初のディーラーは任意の方法で決めます。次回からは反時計回りの順に交代します。
ディールの前にディーラーはパガットポットとキングポットに5点ずつチップを入れます。
ディーラーは、ディーラーの右隣のプレイヤーから、各プレイヤーに5枚ずつ5回配り、手札が25枚になるようにします。さらに残った3枚のカードもディーラー自身に配ります。
ディーラーは自分の手札から3枚を選んで裏向きに捨て札します。捨て札されたカードはディーラーがプレイで取ったカードと同じに扱われます。
捨て札には次の制限があります:
各プレイヤーは手札に次のような組み合わせのカードがあれば必ず宣言しなければなりません。 宣言はディーラーから始めて反時計回りに1人ずつ行います。宣言をするときに手札を見せる必要はありません。宣言するものがなければパスと言います。
宣言があったら、プレイに参加している他の2人のプレイヤーはそれぞれ直ちにその点数分のチップを宣言したプレイヤーに与えます(宣言したプレイヤーは点数の2倍のチップを得ることになります)。
なお、同じカードをさまざまな宣言の一部として使うこともできます。
手札に10枚以上の切札があるときに宣言できます。このときに限り、愚者は切札とみなされます。何枚持っているかを宣言します。このときパガットを持っているかどうかも言わなければなりません。
点数は10枚で10点、1枚増えるごとに5点ずつ増えます。
愚者、モンド、パガットの3枚を持っていたらマタドールになります。
この3枚だけを持っていたら3枚マタドール、切札20も持っていたら4枚マタドール、さらに切札19も持っていたら5枚マタドールというようになります。最高で22枚マタドールまであり得ます。
点数は3枚マタドールで10点、1枚増えるごとに5点ずつ増えます。
次のような場合に宣言して得点します。どのスートであるかを言わなければなりません。
次のような場合に宣言して得点します。
プレイはトリックテイキングゲームの原則に従って行われます。プレイの順序は反時計回りです。
最初のリードは、ディーラーの右隣のプレイヤーが行います。
フォローの義務は次のようになります。
トリックに勝つのは、通常通り、切札がプレイされていれば最も強い切札をだしたプレイヤー、切札がプレイされていなければリードされたスートで最も強いカードを出したプレイヤーです。
トリックに勝ったプレイヤーが次のリードを行います。
愚者は、上記のフォローの規則をすべて無視して、いつでもプレイすることができます。
愚者をリードする場合には、どれか1つのスートを指定して、それをフォローさせます。切札を指定することも出来ます。
もし2人目のプレイヤーが指定されたスートを出さなくて3人目のプレイヤーもそのスートを持っていない場合には、2人目の出したカードのスートがフォローすべきスートとなり、それに従って3人目はプレイします。トリックの勝敗もそれに従います。
愚者をプレイしたプレイヤーは、そのトリックには勝つことができません。しかし、愚者はトリックに勝ったプレイヤーのものにはならず、愚者を出したプレイヤーのものになります。
最後のほうのプレイでは愚者の使用に次のような制限があります:
キングをプレイしてトリックに勝たなかった場合は、そのプレイヤーは他の2人のプレイヤーとキングポットに5点ずつチップを払います。
パガットをプレイしてトリックに勝たなかった場合は、そのプレイヤーは他の2人のプレイヤーとパガットポットに5ずつチップを払います。
パガットをプレイしてトリックに勝った場合は、そのプレイヤーは他のプレイヤー2人から5点ずつ受取ります(パガットポットからの受取りはありません)。
全25トリックを1人で取った場合、他の2人のプレイヤーはそのプレイヤーに85点ずつ支払います。
トゥトが行われなかった場合で、1人のプレイヤーが1トリックも取らなかった場合、他の2人のプレイヤーはそのプレイヤーに25点ずつ支払います。
トゥトやノロがない場合で、最後のトリックにパガットを出して勝った場合、他の2人のプレイヤーはそのプレイヤーに45点ずつ支払います。さらにパガットポットの中身は全部、このプレイヤーのものになります(そのあと全プレイヤーは20点ずつ出して補充します)。
トゥトやノロがない場合で、最後のトリックにキングを出して勝った場合、他の2人のプレイヤーはそのプレイヤーに40点ずつ支払います。さらにキングポットの中身は全部、このプレイヤーのものになります(そのあと全プレイヤーは20点ずつ出して補充します)。
最後のトリックにパガットを出して負けた場合、そのプレイヤーは他の2人のプレイヤーに45点ずつ払います。さらにパガットポットにあるチップと同額をパガットポットに入れて、中身を2倍にします。これはトゥトやノロがあった場合でもあります。
最後のトリックにキングを出して負けた場合、そのプレイヤーは他の2人のプレイヤーに40チップずつ払います。さらにキングポットにあるチップと同額をキングポットに入れて、中身を2倍にします。これはトゥトやノロがあった場合でもあります。
トゥトやノロやパガット・ウルティモやキング・ウルティモがなかった場合、最後のトリックを取ったプレイヤーは、他の2人のプレイヤーから20点ずつもらいます。
なお、同じポットからの受取りをするプレイヤーとポットに支払うプレイヤーがいた場合、まず受取りのあるプレイヤーがポットから全額をもらいます。そのあと、今までポットにあったチップと同額のチップを、支払うプレイヤーがポットに入れます。この場合、全プレイヤーから20点のポットの補充は必要ありません。
最後にカードや点数やトリックを取った点数による得点を計算します。点数は次の通りです。
モンド(切札21) | 4点 |
パガット(切札1) | 4点 |
愚者 | 4点 |
キング | 各4点 |
クイーン | 各3点 |
カバロ | 各2点 |
ジャック | 各1点 |
1トリックにつき | 各1点 |
ディーラーに対して(捨て札に対して) | 1点 |
全部の合計点数は78点です。
各プレイヤーは自分の点数から26点を引きます。その点数を最も近い5の倍数に丸めます(1、2は0、3、4、5、6、7は5、8、9は10に)。
点数がマイナスの場合には、その点数のチップを次回のディーラーに支払います。プラスの場合には、次回のディーラーからその点数分のチップをもらいます。
愚者をリードしてたときそのスートをフォローできなかったときに関して、McLeod氏のサイトでは次のような規則を載せていましたが、余りに複雑なので、本文では簡略化しました。
なお、Michael Dummett氏の"Twelve Tarot Games"では、愚者をリードして他の2人がそのスートをフォローできなかったときには、愚者をリードしたプレイヤーが20点を他のそれぞれの払わなければならないとなっています。
次のようなルールもあるのですが、余り意味がないので本文では省略しました。
Michael Dummett氏の"Twelve Tarot Games"では、Grosstarockというゲームと同様に、次のような点数になります。
愚者 |
5 |
モンド |
5 |
パガット |
5 |
各キング |
5 |
各クイーン |
4 |
各カバロ |
3 |
各ジャック |
2 |
さらに、取ったカードを3枚1セットにして、それぞれのセットにつき次のように点数を修正します。どのようにセットを作っても結果の点数は変わりません。
点数のあるカード3枚 |
-2 |
点数のあるカード2枚とないカード1枚 |
-1 |
点数のあるカード1枚とないカード2枚 |
0 |
点数のないカード3枚 |
+1 |
合計点は78点になるはずです。やはり自分の点数から26点を引いて精算しますが、点数は5で丸めません。
デンマーク語ではキングはkonge、クイーンはdame、カバロはkaval、ジャックはknægtのようです。