1997/10/17 赤桐
19世紀のパリのカジノで盛んだったゲームです。2人用のトリックテイキングゲームです。
エカルテというのはフランス語で「捨て札された」という意味です。カードの交換を行うことから来ています。簡単な割には奥の深いゲームです。
2人。
普通のトランプから各スートの2〜6のカードを除いた32枚のカード。
カードの強さの順位は、(強)K、Q、J、A、10、9、8、7(弱)の順です。Aの位置にご注意ください。
最初のディーラーは任意の方法で選びます。次のディールからは交替でディーラーになります。
ディーラーは各プレイヤーに1度に3枚ずつ配り、次に2枚ずつ配ります。あるいはまず2枚枚ずつ配って、次に3枚ずつ配ってもかまいません。ただし、ゲームが終わるまでは、各プレイヤーは自分の配りかたを一定にしなければなりません。
配り残しのカードはテーブル上に裏向きに置いて山札とします。山札の一番上のカードは表向きにして山札の横に置き、切札表示カードとします。切札表示カードのスートがこのディールの切札になります。切札表示カードがキングだった場合は、ディーラーは直ちに1点を得点します。
まず、ノンディーラー(ディーラーでないプレイヤー)がカードの交換を行うかどうか決めます。カードの交換とは、手札から何枚か捨て札して、同じ枚数のカードを山札から取ることです。
ノンディーラーがカードの交換を行いたくないときには、すぐに最初のリードを行い、プレイが始まります。
ノンディーラーがカードの交換をしたいときには、ディーラーに対して、カードの交換をしたいと宣言します。
これに対して、ディーラーは交換したくないときにはそう宣言します。この場合、誰も交換を行わないで、プレイが始まります。
ディーラーも交換したいときには、そのことを宣言して、交換が始まります。
交換は、まずノンディーラーが何枚捨て札するかを宣言して、実際に裏向きに捨て札します。次に、ディーラーも同じことをします。それからディーラーは、捨て札した枚数のカードを山札からノンディーラーに配り、自分にも同じように配ります。手札の5枚を全部交換することもできます。ノンディーラーは少なくとも1枚を交換しなければなりませんが、ディーラーは全く交換しなくてもかまいません。
交換が終わると、再びノンディーラーから、また交換を行うかどうかを決めていきます。このようなことを、誰かが交換を行わないことにするか、山札がなくなるまで、繰り返します。
交換するときに十分な山札がない場合には、まずノンディーラーが必要な枚数かあるいは残っている山札の数だけ交換します。ディーラーは、山札が残っていればその枚数まで交換できます。切札候補カードは山札ではないので、交換できません。
なお、捨て札したカードは自分が捨てたものであっても後で見ることはできません。
もし切札のキングが手札にあれば、最初のトリックのプレイを行う前に、このことを宣言します。1点の得点となります。
最初のトリックのカードをプレイした後では、この宣言はできません。
ノンディーラーが最初のリードをして、トリックテイキングのプレイを行います。
フォローの規則は次の通りです。
1)リードされたカードと同じスートのカードがあれば、必ず出さなければなりません。しかも、同じスートで、リードされたカードより強いカードがあれば、必ず出さなければなりません。
2)リードされたスートのカードがなければ、切札を出さなければなりません。
3)リードされたスートのカードも切札もなければ、どのカードを出してもかまいません。
トリックに勝つプレイヤーは、切札がプレイされているときには、最も強い切札を出したプレイヤー、切札がプレイされていないときには、リードされたスートの最も強いカードを出したプレイヤーです。
3トリックか4トリック取ったプレイヤーは、1点を得点します。5トリック全部取ったならば、2点の得点となります。
ただし、全く交換を行わないで最初に配られたままのカードでプレイした場合、もしカードの交換をしないと決めたプレイヤーが3トリック以上取れなかったならば、相手のプレイヤーは1点ではなく2点の得点となります。しかし、そのプレイヤーが全トリック取った場合でも2点で変わりません。
リボークが行われた場合、つまり前記のフォローの規則を破った場合には、そこからプレイをやり直します。
その結果リボークしたプレイヤーが勝った場合には、通常の得点から1点を引いた得点しかもらえません。もう1人が勝った場合には、通常通りの得点となります。
5点先取したほうがゲームに勝ちます。切札表示カードがキングだった場合やキングの宣言で5点に達した場合には、その時点でゲーム終了となります。
ゲームが終わったとき、相手が3〜4点取っている場合には1ゲーム点の勝ち、相手が1〜2点のときには2ゲーム点の勝ち、相手が0点のときには3ゲーム点の勝ちとすることもあります。
ノンディーラーのことをエルダー(Elder)、ディーラーのことをヤンガー(Younger)ということもあります。
ノンディーラーが交換を行いたいときには「カード(Cards)」または「プロポーズ(Propose)」と言ってもかまいません。交換したくないときには、「プレイ(Play)」または「スタンド(Stand)」と言ってもかまいません。
ディーラーは、交換したいときは「アクセプト(Accept)」、交換したくないときは「プレイ」または「リフューズ(Refuse)」または「リジェクト」と言ってもかまいません。
交換のとき、ディーラーも最低1枚は交換しなければならないというルールもあります。
伝統的なルールでは、リードを行うプレイヤーは、リードするカードのスートを口頭で言わなければなりません。
もし言ったスートと実際のスートが異なるときには、相手は、言ったスートをリードし直すことを要求できます。それが不可能な場合には、出したカードはそのままで、言ったスートがリードされたとみなして、フォローと勝敗決めを行うことができます。
5トリック全部取ることをボール(Vole)と呼びます。
「全く交換を行わないで最初に配られたままのカードでプレイした場合、もしカードの交換をしないと決めたプレイヤーが3トリック以上取れなかったならば、相手のプレイヤーは2点の得点となる」というルールを採用しないこともあります。
1ゲームの終了条件を10点とすることもあります。