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フィプセン(Fipsen)

2010/12/4 赤桐

 ドイツはハンブルグの北のプリスドルフ(Prisdorf)という町でプレイされてます。スカートの大会といっしょにこのゲームの大会も行うそうですが、近年は参加者が減っているということです。

 ナップの系統のトリックテイキングゲームですが、得点方法など、複雑になっています。

 ルールはJohn McLeod氏のホームページ(http://www.pagat.com/)によります。


プレイヤー

 3人〜4人。個人戦です。普通は4人でプレイしますが、人が集まらないときには3人で行うこともあります。

カード

 普通のトランプから、以外のダイアモンドのカードと他の各スートののカードを抜いた25枚のカードを使います。各スートのカードの強さのランクは、(強)10(弱)です(ダイアモンドはだけです)。

ディール

 最初のディーラー任意のやり方で決め、次回からは時計回りに交替します。

 ディーラーは、左隣のプレイヤーから時計回りの順に、まず3枚ずつまとめて各プレイヤーに配り、テーブル中央に裏向きに2枚のカードを置きます。これをスカートと呼びます。次に、2枚ずつまとめて各プレイヤーに配ります。各プレイヤーの手札は5枚になり、3枚のカードが配られないで残ります。

ビッド

 ディールが終わるとビッドを行います。

 ビッドでは、自分が取るつもりのトリック数を宣言します。さらに、次の追加宣言を行うこともできます。これの宣言を行うと、得点が2倍になります。これらの宣言はいくつでも組み合わせることができます。2つ組み合わせれば得点は4倍、3つ全部だと得点は8倍になります。

ハンドゲーム(Hand) スカートを使わないでプレイします。(通常はテーブルの上に配ったカードつまりスカートと手札の交換を行うことができますが、これを行わないということです。)
ルーテン(Ruten)ダイアモンドを切り札にします。切札は1枚だけになります。
ドゥルヒ(Durch)5トリック全部取ります(トリック数を4以下にしている場合でも宣言できます)

 ビッドの強さは、まず宣言するトリック数で決まります。トリック数が同じならば、上記の追加宣言を多く行うほうが強いビッドになります。宣言の数が同じならば、同じ強さです。

 まず、ディーラーの左隣りのプレイヤーがビッドを行います。ビッドするには2トリック以上を宣言しなければなりません。ビッドしたくなければパスを宣言します。追加宣言をするときには、どの種類の宣言をするかを言わなければなりません。

 ビッドしたときには、その左隣のプレイヤーはそれより強いビッドを行うことができます。より強いビッドが宣言された場合には、最初のプレイヤー(ディーラーの左隣りのプレイヤー)は、もっと強いビッドをするか、「ホールド」を宣言するか、パスをします。ホールドというのは同じ強さのビッドを行うということですが、ホールドの宣言をしたプレイヤーのほうに優先権があります。ホールドの時には、どの種類の追加宣言をするかは言う必要はありません。より強いビッドかホールドがビッドされたときには、もう1人のプレイヤーは、パスをしてビッドから降りるか、もっと強いビッドをしなければなりません。

 このようにして、どちらかがパスをすると、パスをしなかったプレイヤーがビッドに勝ち残ったことになります。これに対して、まだビッドをしていないプレイヤーのうち勝ち残ったプレイヤーの左隣に一番近いプレイヤーが、いままでのビッドより強いビッドをするか、パスをするかして、同じようにビッドの勝ち抜き戦を行います。ホールドを宣言できるのは、それまでに勝ち残っているプレイヤーのほうです。

 ディーラーの左隣のプレイヤーがパスをした場合には、そのプレイヤーはビッドから脱落したことになり、つぎのプレイヤーが2トリック以上で自由にビッドを行うかパスをすることができます。3人がパスをした場合は、最後のプレイヤー(ディーラー)は自由に2トリック以上のビッドを行い、ビッドに勝つことができます。

 最初のプレイヤーがビッドを行って、その左隣のプレイヤーがパスをした場合には、すでに1人勝ち抜いたことになり、次の左隣のプレイヤーがビッドするかパスをするかします。

 4人全員がパスをした場合は、配り直しとなります。同じディーラーがカードを配ります。

プレイ

 ビッドに勝ち残ったプレイヤーは、デクレアラーとなります。

 デクレアラーが最後にホールドの宣言をしていて、追加宣言が1つ以上あれば、どの追加宣言を行うかをきめなければなりません。

 5トリックのビッドをしている場合には、ドゥルヒの宣言も行っているとみなされます(ホールド宣言時の追加宣言の1つとして数えてもかまいません)。

 その後、もしハンドの宣言をしていなければ、ハンドの宣言を追加することができます。

 ハンドの宣言がない場合には、テーブル上の2枚のカード(スカート)を裏向きのまま手札に加え、2枚のカードを捨て札します。そのあとに、切り札のスートを決めて発表します。

 切札のスートがダイアモンドの場合、今までにルーテンの宣言をしていなくても、ルーテンの宣言をしたことになります。

  デクレアラーが最初のリードを行い、通常のトリックテイキングゲームのルールに従って時計回りにプレイします。つまり:

  1. リードされたスートのカードがあれば、そのスートを出します。
  2. なければ、どのカードを出してもかまいません。
  3. 切札が出ていない場合は、リードされたスートの最も強いカードを出したプレイヤーが勝ちます(トリックを取ります)。
  4. 切札が出ている場合は、最も強い切札を出したプレイヤーが勝ちます。
  5. 勝ったプレイヤーが次のリードを行ないます。

 通常は、デクレアラーがビッドしたトリック数を取ったらプレイ終了です。

 ただし、もしその時までデクレアラーが全部勝っていて、デクレアラーが続けると言えば、プレイは続きます。この場合、デクレアラーがドゥルヒを宣言したことになります。デクレアラーは、全勝しなければ、ドゥルヒ宣言分を含む失点となります。

得点

 デクレアラーは、ビッドしたトリック数を取ったらプレイ成功となり、取れなければプレイ失敗となります。ただし、ドゥルヒを宣言しているときは、全トリック取らなければ失敗です。

 デクレアラーだけが得点または失点します。

 デクレアラーがビッドしたトリック数が基本点になります。追加宣言が1つあればそれが2倍、2つなら4倍、3つなら8倍となります。

 成功のときはこれが得点となります。失敗したときには、これを2倍したものが失点となります。失点はマイナス点としてスコアシートに記入します。

キーカー(Kieker)

 キーカーは特別なビッドです。4トリックのビッドと5トリックのビッドの間の強さになります。手札に絵札(キング、クイーン、ジャック)が1枚もないときだけビッドできます(Aはあってもかまいません)。

 キーカーをビッドしたプレイヤーがビッドに勝ったら、まず、手札を左隣のプレイヤーに見せて、絵札がないことを確認してもらいます。次にスカートの2枚と、配り残りの3枚のカードを手札に加え、手札から5枚のカードを捨て札します。

 プレイの目的は5トリック全部を取ることです。成功したら10点を得、失敗したら20点失点します。ルーテンの追加宣言をすることもでき、得失点は2倍になります(成功したら20点得点、失敗したら40点失点)。ハンドゲームやドゥルヒの宣言はできません。

ズィーベナー・フィップス(Siebener Fips)

 プレイの前のいつでも(スカートや配り残りのカードを手札に入れた時でもよい)、どのプレイヤーでも、手札に4枚の7のカードとAのカードが1枚あれば、それを宣言してそのプレイヤーの勝ちすることができます、30点を得点します。プレイは行いません。


3人ゲーム

 3人ゲームも、4人ゲームと同じようにプレイを行います。配り残りのカードは8枚となります。

 ただし、キーカーの時には、手札を全部捨て札したあと、スカートと配り残りのカードを手札にし、その中から5枚をまた捨て札します。


 2010年12月4日になかよし村でプレイしました。

 ルールは簡単ですが、とても面白いゲームでした。

 トリックテイキングゲームの初心者には特にお勧めしたいです。