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フレンチ・タロット(French Tarot)

1996/10/4 赤桐

 フランスは早くからイタリアからタロットのゲームが伝わったのですが、一時は衰えていくつかの地域で細々と生きのびました。しかし、世界大戦後、再び盛んになりました。現在では最もタロットのゲームが盛んな国となっています。このゲームはフランス全土でよくプレイされているそうです。

 簡単ですが近代的なビッドと得点システムを持っています。手札は18枚と多いのですがプレイできる範囲です。ブリッジなどと違ったマスト・ラフ(マスト・オーバーラフ)のプレイをじっくりと楽しめます。

 4人でプレイして、デクレアラー1人が3人を相手にする事になるので、パスアウト(流れ)は比較的多くあります。

 いろいろなルールがあるのですが、ここではフランスタロット連盟(la fédération française de tarot)のルールに準じたものを載せておきます。必ずしも一般的かどうかはわかりませんが、分かりやすいルールです。ほかのルールも、めったに起こらないようなことに対するルールや得点が違うだけで、基本的な点は変わりません。

 なお、Windows95用のコンピューターソフトがインターネットの http://purl.org/net/tarot で入手できます。良くできていてフリーウェアなので推薦します。フランス語なのが難点ですが。


プレイヤー

 3人〜5人。普通は4人でプレイするので、まず4人用ゲームを紹介します。

カード

 フランスの78枚の競技用タロットカードを使います。スートはスペード、ハート、ダイアモンド、クラブです。

 各スートのカードとその強さは:

 (強)キング(R)、クイーン(D)、カバロ(C)、ジャック(V)、10(弱)です。

 フランス語ではキングルワ(Roi)、クイーンダム(Dam)、カバロはカバリエ(Cavalier)、ジャックバレ(Valet)となります。

 その他に21枚の切札のスートと、エクスキューズのカードがあります。切札のスートの各カードにはには大きくアラビア数字で21の数が書かれています。21の数が書かれたものが最も強く、数が小さくなるほど弱くなります。切札ののことをプチ(Petit)と呼ぶことがあります。

 エクスキューズのカードは、音楽家の絵が描かれていて、インデックスには黒い星印が書かれています。このカードは特別な働きをするカードです。

 占い用のタロットを使う場合には、大アルカナのカードが切札のスートになります。数字はローマ数字で書かれているはずです。ただし、愚者のカードはエクスキューズになります。

 小アルカナには4つのスート(貨幣、聖杯、棍棒、剣)があるので、スペード、ハート、ダイアモンド、クラブの4つのスートの代わりに使います。

カードの点数とゲームの目的

 カードの点数は次の通りです。

切札214.5点
切札1(プチ)4.5点
エクスキューズ4.5点
キング各4.5点
クイーン各3.5点
カバロ各2.5点
ジャック各1.5点
その外のカードすべて各0.5点

 全部のカードの合計点数は91点です。

 切札21と切札(プチ)とエクスキューズの3枚のカードは、ウドレ(oudler)と呼ばれます。

 プレイにおいては、最も強いビッドを行ったプレイヤー(デクレアラー)が、他の3人を敵にまわして戦います。プレイに成功するためには、デクレアラーは決められた点数以上のカードを取らなければなりませんが、その点数は取ったウドレの数により変わります。

取ったウドレの数必要点数
0枚56点
1枚51点
2枚41点
3枚36点

 例えば、ウドレを3枚取っていれば、その3枚のウドレの点数を含めて、36点かそれ以上の点数を取っていればプレイに成功したことになります。もしウドレが1枚もなければ、56点以上を取っていなければ成功になりません。

ディール

 最初のディーラー任意の方法で決めます。次回からは反時計回りの順に交代します。

 ディーラーは、ディーラーの右隣のプレイヤーから、各プレイヤーに3枚ずつ6回配り、手札が18枚になるようにします。配っている間に、適当にテーブル中央に1枚ずつ配っていき、テーブル中央にも6枚のカードが配られるようにします。ただし、テーブル中央に配るカードは最初のカードや最後のカードであってはなりません。

 このテーブル中央のカードをタロンと呼ぶことにします(フランス語ではシエン chien つまり犬と呼びます)。

 例えば次のように配れば良いでしょう

  1. 右隣のプレイヤーに3枚配る
  2. 向いのプレイヤーに3枚配る
  3. テーブル中央に1枚配る
  4. 左隣のプレイヤーに3枚配る
  5. 自分に3枚配る
  6. 上記の配りかたを、あと5回繰り返す。

 切札の1を配られて、他の切札やエクスキューズを全く配られなかったプレイヤーは、これを宣言して、このディール流すことができます。この場合、この回のディーラーの右隣のプレイヤーが新しいディーラーになって、ただちに次のディールに移ります。

ビッド

 ビッドはディーラーの右隣から反時計回りの順に行います。各プレイヤーは1回だけビッドの機会が与えられます。ビッドしたくなければパスを宣言します。

 ビッドは、後で説明する4種類のゲームのうち、デクレアラーになってどの種類かをプレイするという宣言です。最初は自由にどれでも選択できますが、他のプレイヤーがパス以外のビッドを宣言していたら、それ以降のプレイヤーは今までのビッドより強いビッドしか宣言できません(もちろんパスはできます)。

 最も強いビッドを行ったプレイヤーがデクレアラーになります。デクレアラー以外の3人をディフェンダーと呼ぶことにします。

 全員がパスをしたら、全部のカードを配り直して、再びビッドから行います。このとき、ディーラーは右隣のプレイヤーに移ります。

 ビッドの種類は弱いものから順に以下の通りです。

プリーズ(la prise/la petit)

 ビッドのあと、タロンの6枚のカードを公開したあと手札に入れて、6枚捨て札することができます。捨て札したカードは、プレイが終わったあとに、デクレアラーのものになります。

 後で詳しく説明しますが、プリーズのビッドでプレイに成功した場合には、25点に必要点数よりオーバーしている点数を加えたものがもらえます。

ガルド(la garde/la pousse)

 プレイはプリーズと全く同じです。得点だけが違います。

 プリーズの2倍の得失点になります。

ガルド・サン(la garde sans/la garde sans le chien)

 タロンの6枚のカード誰も見ることができず、交換も行いません。タロンは、プレイが終わったあとに、デクレアラーのものになります。

 プリーズの4倍の得失点になります。

ガルド・コントル(la garde contre/la garde contre le chien)

 タロンの6枚のカード誰も見ることができず、交換も行いません。タロンは、プレイが終わったあとにも、デクレアラーのものにはなりません。(ディフェンダーのものになります)。

 プリーズの6倍の得失点になります。

カードの交換

 ビッドが終わると、プリーズやガルドを行う場合には、カードの交換を行います。

 デクレアラーは、まずタロンの6枚のカードを表向きにして、全員が見えるようにします。そのあとタロンを手札に入れ、タロンを含めた手札の中から6枚のカードを他のプレイヤーには見せずに捨て札します。

 ウドレやキングを捨て札してはいけません。ウドレ以外の切札は、手札に切札やキングがありすぎて捨てざるを得ない場合だけ捨て札できます。この場合、捨て札した切札はみんなに見せます。

宣言

 カードの交換が終わると、各プレイヤーは次の宣言を行うことができます。宣言の順序は自由です。

スラム宣言(le chelem)

 プレイで全トリックを勝つという宣言です。通常はもちろんデクレアラーが行いますが、ディフェンダーが3人で全トリックを取るという意味で宣言してもかまいません。

 成功すると400点のボーナス点がありますが、失敗すると200点の罰点になります。なお、宣言しなくてスラムを達成しても200点もらえます。

手役の宣言

 手札に10枚以上の切札があるときに宣言できます。このときに限り、エクスキューズは切札とみなされます。次の種類があります。

10枚切札(simple poignée)

20点

13枚切札(double poignée)

30点

15枚切札(triple poignée)

40点

 手役の点数は、宣言した側ではなく、プレイに成功した側につきます。例えば、デクレアラーが手役を宣言して、プレイに失敗した場合には、ディフェンダーがこの点数をもらえます。

 手役を宣言した場合には、宣言した数の切札を順序よく並べてみんなに見せますが、プレイが始まる前に手札に戻します。手札にエクスキューズがあるけれど、本来の切札の枚数が宣言した枚数以上ある場合には、エクスキューズは見せません。

プレイ

 プレイはトリックテイキングゲームの原則に従って行われます。プレイの順序は反時計回りです。

 最初のリードは、ディーラーの右隣のプレイヤーが行います。例外として、スラムの宣言のあったときには、スラムを宣言したプレイヤーがリードを行います。

 フォローの義務は次のようになります。

 切札以外がリードされた場合:

  1. リードされたスートを持っていれば、その中の1枚を出します。
  2. リードされたスートを持っていなければ、切札を出します。
  3. リードされたスートを持っていなくて、誰かが既に切札を出している場合には、今まで出ている最強の切札より強い切札を出します。そういう切札を持っていなければ、他の切札を出します。
  4. リードされたスートも、切札も持っていなければ、どのカードでも自由に出します。

 切札がリードされた場合:

  1. 今まで出ている最強の切札より強い切札を出します。そういう切札を持っていなければ、他の切札を出します。
  2. 切札を持っていなければ、どのカードでも自由に出します。

 トリックに勝つのは、通常通り、切札がプレイされていれば最も強い切札を出したプレイヤー、切札がプレイされていなければリードされたスートで最も強いカードを出したプレイヤーです。

 トリックに勝ったプレイヤーが次のリードを行います。

エクスキューズ

 エクスキューズは、上記のフォローの規則をすべて無視して、いつでもプレイすることができます。

 エクスキューズがリードされた場合には、次のプレイヤーはどのカードでも出すことができます。このカードのスートが、リードされたスートとして扱われます。

 エクスキューズをプレイしたプレイヤーは、そのトリックには勝つことができません。しかし、相手側がエクスキューズを取った場合には、自分の側が取った0.5点のカードを渡す代わりに、相手側のエクスキューズを取り戻すことができます。自分の側にまだ渡すカードがなければ、それが手に入ったときに交換することができます。

 ただし、最後のトリックでエクスキューズを使った場合には、エクスキューズは勝った側のものになります。

プチ・オ・ブ(petit au bout)

 最後のトリックで切札(プチ)を使って勝った場合、10点の得点となります。

 逆に最後のトリックで切札を出して負けてしまった場合には、10点の失点です。なお、ディフェンダーの1人が切札を出して他のディフェンダーに負けてしまった場合にも、ディフェンダー側の失点となります。

 プチ・オ・ブの10点の得失点はゲームの種類により1倍、2倍、4倍、6倍されます。

得点計算

 1つのディールが終わったときの得点計算は、次のように行われます。点数などはもう一度書いておきます。

 1)デクレアラーの取ったウドレの数と点数を数えます。点数が下記の必要点数に達しているかどうかチェックします。

取ったウドレの数

必要点数

0枚

56点

1枚

51点

2枚

41点

3枚

36点

 2)必要点数以上取った場合には、取った点数から必要点数を引き、それに25点を加えます。そうでない場合には、必要点数から取った点数を引き、25点を加えます。これはもちろん失点となります。

 3)プチ・オ・ブの成功/失敗があれば、これに10点を加えるか引くかします。(加えるか引くかの判断は、もちろん、成功した側に有利/失敗した側に不利となるように行います。)

 4)それを、ゲームの種類により、次のように何倍かします。

プリーズ

1倍

ガルド

2倍

ガルド・サン

4倍

ガルド・コントル

6倍

 5)手役があれば、これに手役の点数を加えます。(この点数はプレイの成功失敗や、誰が宣言したかに関わりなく加えます。)

10枚切札(simplepoignee)20点
13枚切札(doublepoignee)30点
15枚切札(triplepoignee)40点

 6)スラムがあれば、次のスラムボーナスを加えます。

宣言のないスラム

200点

宣言したスラム

400点

 スラム宣言に失敗した場合は、マイナス200点となります。

 7)デクレアラーがプレイに成功した場合には、この点数の3倍がデクレアラーの得点になり、各ディフェンダーは、この点数がマイナス点となります。

 デクレアラーがプレイに失敗した場合には、この点数の3倍がデクレアラーのマイナス点になり、各ディフェンダーは、この点数が得点となります。

 全プレイヤーの点数の合計は常に0になるはずです。

ゲームの終わり

 ゲームがいつ終わるかについては、定まった規則はありません。プレイヤーの話し合いで決めてください。

 精算を行う場合は、各プレイヤーの点数がそのまま支払ったり受け取ったりする額となります。


3人ゲーム

 各プレイヤーに4枚ずつ24枚のカードを配り、タロンに6枚配ります。

 手役は次のようになります。

13枚切札(simple poignée)

20点

15枚切札(double poignée)

30点

18枚切札(triple poignée)

40点

 1点未満の端数がでることがありますが、デクレアラーが必要点数以上取った場合には切り上げ、取れなかった場合には切り下げます。

 もちろん、0.5点でも必要点数より下ならプレイ失敗です。

 プレイに成功した場合のデクレアラーの得点は、他の2人から貰うため、計算した点数の2倍になります。失敗した場合はこの逆です。

5人ゲーム

 各プレイヤーに15枚のカードを配り、タロンに3枚配ります。

 手役は次のようになります。

8枚切札(simple poignée)

20点

10枚切札(double poignée)

30点

13枚切札(triple poignée)

40点

 1点未満の端数の扱いは、3人ゲームと同じです。

 デクレアラーは、タロンのカードを開ける前に、キングの1枚のカードを指定して、それを持っているプレイヤーをパートナーに指定します。デクレアラーがキングを全部持っている場合には、クイーンを指定することができます。パートナーにされたプレイヤーは、指定されたカードをプレイするまでは、パートナーであることを言ってはいけません。

 得点は、プレイに成功した場合は、デクレアラーが計算した点数の2倍をもらい、パートナーが計算した点数をもらい、ディフェンダーは計算した点数分がマイナスになります。失敗した場合はこの逆です。

 指定したカードがタロンか手札にある場合には、1人でプレイすることになりますが、この場合、プレイに成功した場合のデクレアラーの得点は、他の4人から貰うため、計算した点数の4倍になります。失敗した場合はこの逆です。

 これとは別に、ディーラーがゲームに参加しないで、残りの4人で4人ゲームを行うというやりかたもあります。


注1

 フランスタロット連盟のルールでは、最初のディーラーはカードをドローして一番低いカードを引いたプレイヤーがなります。

 この時のカードのランクは、切札の方が他のスートのカードより高くなります。切札の中では21が最高で切札が最低です。他のスートのカードではが最高でが最低です。同じランクのカードは、スペードが最高で、以下ハート、ダイアモンド、クラブの順になります。エクスキューズのカードを引いたプレイヤーは引き直します。

 連盟のルールでは、カードのシャッフルはディーラーの向かい側のプレイヤーが行い、左隣のプレイヤーがカットします。

注2

 ディール、ビッド、プレイなどすべてを、時計回りに行うこともあります。

注3

 切札の1を配られて、他の切札やエクスキューズを全く配られなかったプレイヤーは、これを宣言してこのディールを流すほかに、「切札のは取れない」と宣言する事ができるというルールもあります。

 これは、相手側が切札のを取ったならば、エクスキューズの場合と同じように0.5点のカードと交換しなければならないというルールです。宣言のタイミングなどの細かい規則はさまざまです。

注4

 手役として、18枚切札を採用することもあります。

 別の系統の手役として、ミゼール(Misère)を採用することがあります。ミゼールには次の2種類があります。

 1)絵札なし(misère de tetes):絵札(ジャックカバロクイーンキング)もウドレも1枚もない手札のとき。(あるいは絵札もエクスキューズもない手札のときというルールもあります)。

 2)切札なし(misère d'atout):切札もエクスキューズもない手札のとき。

 点数は10点でゲームの種類により何倍かはしません。誰がデクレアラーかに関係なく宣言したプレイヤーが得点します。つまり、宣言したプレイヤーが30点を得、その他のプレイヤーはマイナス10点となります。

注5

 スモールスラム(le petit chelem)、つまり1トリック以外は全部のトリックを取ることの宣言を認めることもあります。

注6

 得点の点数や数えかた(どの種の点数をゲームの種類により何倍かするかなど)はかなり色々なやりかたがあるようです。

 得点の記録のやりかたとしては、上記で説明したゼロサム法の他に、スカートなどと同じように、得点した側の各プレイヤーの欄に得点の額をそのまま記入し、得点しなかったプレイヤーには何も記入しないという方法もあります。精算する場合には、各プレイヤーが他の各プレイヤーとの差額を精算します。この場合、ゲームの終了を誰かの得点がある点数に達するまでとすることもあります。

 古い得点のやりとりの方法としては、ポットを使う方法もあります。ムッシュ(mouches)と呼ばれます。チップやお金をテーブル上に拠出し、勝ったプレイヤーがそこから貰うやりかたですが、詳しい説明は省略します。


用語

 ウドレは、最近はむしろ「ブ(bout)」と呼ばれることが多いようですが、1文字の外来語は異様なのと、プチ・オ・ブのブとの混同をさけるため、「ウドレ」としました。ウドレと同じ「ブ」もプチ・オ・ブの「ブ」も同じ bout で、元来は「端(はし)」という意味ですが、使われかたが違います。