1996/11/28 赤桐裕二
ジンラミーはアメリカで生まれたラミーの一種です。単にジン(Gin)と呼ばれることもあります。
19世紀の終わり頃からGin Pokerという名前でプレイされていたようですが、その後、得点計算の方法などが改良され、1939年頃から爆発的に普及しました。
現在は一時期のような熱気はありませんが、非常にポピュラーなゲームであることは間違いありません。
とても面白いゲームです。運の要素の強いゲームではありますが、かなりの技術力を要するゲームでもあります。ルールは簡単ですので、やったことのない方はぜひお試し下さい。
2人
通常の52枚のカード
最初のディーラーには、ドローして低いカードを引いたプレイヤーがなります。同じならば、引きなおしです。(ドローとは、カードを裏向けに一列に広げて、その中から各プレイヤーが1枚を取ることです。)ドローの時には、Kが最も高位のカードで、以下Q、J、10、9...と続き、Aが最も低いカードとします。
次回からは、直前のプレイで負けた方のプレイヤーがディーラーになります。
ディーラーは1枚ずつ10枚のカードを各プレイヤーに配ります。残りのカードは山札(Stock or Stock Pile)となります。ただし、その一番上のカードだけは、表にして山札の横に置きます。これが最初の捨て札(Discard)となります。
プレイに捨て札をするときには、この捨て札の上にどんどん重ねていきます。これを捨て札の山(Discard Pile)といいます。捨て札の山においては、一番上以外のカードは見えないように重ねなければなりません。一番上以外の捨て札をプレイ中に見ることは禁止されます。
プレイは、ノンディーラー(ディールしなかったプレイヤー)が最初に行い、交互にプレイします。自分の番のときには次の1)2)のプレイを行います。
1)まず、山札または捨て札の山からカードを1枚取り、手札に加えます。取ることができるのは、山札の一番上のカードか、捨て札の山の一番上のカードです。
2)自分の手札からカードを1枚捨てます。捨てる場所は捨て札の山の上で、表向きに捨てます。今取ったばかりのカードを捨ててもかまいません。
ただし、ディール後の最初のプレイの時には、ノンディーラーは山札のカードを取ることはできず、最初の捨て札(表向きにされたカード)を取ることしかできません。もし、最初の捨て札を取りたくなかったら、「要りません」と言います。
ノンディーラーが最初の捨て札を取ったら、通常どおりプレイが進行します。
ノンディーラーが、「要りません」と言ったら、ディーラーの番になります。この時のディーラーも、山札のカードを取ることはできず、最初の捨て札を取ることしかできません。これを取りたくなかったら、「要りません」と言います。
ディーラーが最初の捨て札を取ったら、通常どおりプレイが進行します。
ディーラーも「要りません」と言ったら、またノンディーラーの番になります。ノンディーラーは、こんどは必ず山札からカードを取ってプレイを行います。以降は通常のプレイになります。
プレイの目的は、手札のなかで、カードの特定の組み合わせをできるだけ作ることです。これをメルドと呼びます。メルドには次の2種類があります。
例えば、キングを3枚とか、5を4枚とか、Aを3枚とかです。
例えば、10、J、Qとか、A、2、3、4.5とかです。
Aは2の下にしか続けることができません。つまり、A、2、3のシークエンスはOKですが、Q、K、Aはだめです。もちろん、K、A、2もだめです。
メルドは、手札の中にあるので、組み替えたり、メルドを崩して捨て札することも自由です。
手札の中で、メルドになっていないカードの点数の合計が10点以下になるようなら、「ノック」をすることができます。ノックをするとプレイは終了します。
カードの点数とは次のものです:
A | 1点 |
2〜10 | 数字通りの点数 |
J、K、Q | 10点 |
ノックは、自分の番の時に、捨て札をするときに宣言します。ノックのときは捨て札を裏向きに出します。
麻雀のように捨て札をする前に上がるのではなく、捨て札をしたあとの手札が問題になります。捨て札をしたあとの手札で、セットになっていない余ったカードの点数の合計が10点以下になったら、ノックできるわけです。
例えば、カードを山札(または捨て札)から取ったときに、次のような手札になった場合、
スペード | 9、10、J、Q | |
ハート | 2、6 | |
ダイアモンド | A、2、6、K | |
クラブ | 6 |
Kを捨て札することにすると、6、6、6の同じランクのカード4枚のメルドと、9、10、J、Qのシークエンス4枚のメルドができています。余ったカードは2とAと2の3枚になります。余ったカードの合計点は5点なので、ノックをすることができます。
ノックをしたら、そのプレイヤーは手札を公開します。どのような種類のメルドを作っているかが明らかになるように、メルドになっているカードは、各メルドごとに分けて並べ、メルドになっていないカードも別にところに並べます。
一人のプレイヤーがノックをすると、もう一人のプレイヤーも同様に手札を公開しますが、その前に相手のメルドにつけ札をすることができます。
つけ札とは、自分の手札からカードを出して、相手のメルドに付け加えることです。同じランクの3枚のカードのメルドに4枚目のカードをつけ札したり、シークエンスを上や下に伸ばすカードをつけ札することができます。
例えば、前記の例では、6を6のメルドにつけ札することや、8やKをシークエンスにつけ札することができます。また、8も7もあった場合などは、この両方をつけ札することもできます。
つけ札ができる場合でも、かならずしもつけ札する必要はありません。
メルドになっていない相手のカードに対してつけ札することはできません。(たとえ、それによってメルドを作ることができる場合でも、だめです。)
つけ札が終わったあと、両方のプレイヤーが自分の手札で、メルドやつけ札にならなかった余ったカードの点数を合計します。
通常は、2人のこの点数の差額がノックしたプレイヤーの得点となります。
ただし、この点数が同点の場合や、ノックしたプレイヤーの方が点数が多い場合には、差額に25点をプラスしたものが、ノックしなかったほうのプレイヤーの得点となります。これをアンダーカット(Undercut)と呼びます。
得点は必ず片方のプレイヤーだけに与えられます。(つまり、もう1人の得点は0点です)
ノックをするときに、捨て札後の手札のすべてのカードがメルドになっているとき、これをノックと呼ばないでジンと呼びます。つまり、余ったカードがないときのノックをジンと呼ぶわけです。
ジンのときは、余ったカードの点数が0点なので、相手の余ったカードの点数が得点になりますが、これに25点をプラスします。この25点をジン・ボーナスと呼びます。
ジンの時には、相手はつけ札をすることはできません。
ジンのとき、もし相手が0点だったとしても、アンダーカットにはなりません。ジン・ボーナスだけの得点となります。(これは相手がジンを宣言するのを忘れていた場合だけです。)
あるプレイヤーが山札からカードを取って捨て札を行い、その結果山札の残りが2枚になったら、その回のプレイは引き分けになります。
引き分けの時には、どちらにも得点はつきません。
次のディールは、その回と同じプレイヤーがディーラーになります。
ディールが終わって、どちらかのプレイヤーの累計点が100点かそれ以上になっていたら、そのプレイヤーの勝ちとなり、ゲームが終了します。
ゲームが終わったら、各プレイヤーは、今までの累計点に次の点数を加えます。
1)得点した回数に25点を掛けたもの。これをボックス・ボーナス(Box Bonusor Line Bonus)とよびます。
2)ゲームに勝ったプレイヤーは100点のボーナスがあります。これをゲーム・ボーナス(Game Bonus)と呼びます。
3)ゲームに勝ったプレイヤーは、相手が全く得点していなければ、さらに100点のボーナスを得ます。これをシャットアウト・ボーナス(Shutout Bonus)と呼びます。
両方のプレイヤーの上記の合計得点を出してから、その差額を計算します。それが最終的な点数です。つまり、敗者から勝者に支払うべき点数となります。
次に挙げるのが典型的な得点の記入例と計算例です。(記入の仕方は、この通りでなくてもかまいません。)
太郎 | I | 花子 | |||
-------------- | -- | -------------- | |||
15 | I | 20 | |||
32/47 | I | 5/25 | "/"の左側はその回の得点 | ||
12/69 | I | 42/67 | 右側は累計点 | ||
I | 9/76 | ("/"の代わりに"-"を使ったり、 | |||
I | 28/104 | 累計点だけを書くこともあります) | |||
-------------- | -- | -------------- | |||
75 | I | 125 | ボックス・ボーナス | ||
I | 100 | ゲーム・ボーナス | |||
-------------- | -- | -------------- | |||
144 | I | 329 | 69+75=144, 104+125+100=329 | ||
花子は 329-144=185点の勝利 |
ディールのとき、ノンディーラーには11枚を配るというやり方もあります。この場合、捨て札のところには何も置きません。従って、そのカードを取るか取らないかをノンディーラー(やディーラー)が決めることもありません。
ノンディーラーは最初のプレイのとき、カードを取らないで、捨て札だけをします。以後は通常のプレイとなります。
捨て札の一番上からカードを取った場合には、そのカードを直ちに捨てることはできない、というルールを採用することもあります。
ジンのときでも、つけ札ができるというルールもあります。ただし、つけ札をして0点になってもアンダーカットにはならず、ジンのプレイヤーが、ジン・ボーナスの点数だけ勝ちます。
ジン・ボーナスは、20点のこともあります。アンダーカット・ボーナスは10点〜20点のこともあります。ボックス・ボーナスも20点のことがあります。
例えば、John McLeod氏のWWW(http://www.netlink.co.uk/users/pagat/rummy/ginrummy.html)のルール(記述はMagnus氏)では、ジン・ボーナスは20点、アンダーカット・ボーナスは10点、ボックス・ボーナスは20点です。
ゲームの終了点数を100点ではなくもっと高くすることがあります。例えば、125点、150点、200点などです。ゲーム・ボーナスやシャットアウト・ボーナスは終了点数と同じになります(125点、150点、200点など)。
シャットアウトの場合、100点プラスする代わりに、ボックス・ボーナスやゲーム・ボーナスを含めた全部の点数の合計を2倍する、というやり方も広く行われています。
また、ボックスボーナスは2倍にはしないで、それ以外の点数(累計点とゲーム・ボーナス)を2倍するというやりかたもあるようです。
ディーラーは、直前のプレイで勝った方のプレイヤーが行うというルールもあります。
また、交互に行うというルールもあります。(これが最も公平です。)
山札の残りが、2枚ではなく、3枚になったときに引き分けになるというルールもあります。
また、山札の残りが2枚(または3枚)になったときに、次のプレイヤーは、捨て札を取ってノックやジンをすることができるならば、そうしてもよい、というルールを採用することもあります。
捨て札の一番上のカードのことをアップカード(Up Card)と呼びます。
ここでは、カードの組み合わせの事をメルド(Meld)と呼びましたが、普通は単にMatched Set(適合した組み合わせ?)と呼ぶことが多いようです(本文でメルドという言葉を使ったのはその方が言いやすかったからです)。
このメルドという言葉の使い方は、他のほとんどのラミーの場合とは違っています。他のラミーの場合には、組み合わせになってテーブルの上に公開されているカードを言います。
メルドのうち、同じスートの続いたカードは、本文でも述べたように、シークエンス(Sequence)と呼びます。
メルドのうち、同じランクの3枚または4枚については、特に呼び名がないことが多いのですが、グループ(Group)と呼ぶこともあります。ジン・ラミー以外のラミーでは、このようなものをセット(Set)と呼ぶことが多いようです。
ジンラミーのバリエーションですが、非常にポピュラーなものです。
普通のジンラミーの場合には、ノックができるのはメルドになっていない余ったカードの点数の合計が10点以下の時ですが、このゲームでは、最初の捨て札(ディールの時に捨て札の場所に置かれたカード)によってその点数が変わります。
K、Q、Jの絵札の時には、通常のジンラミーと同じく10点以下のときノックができます。2〜10の場合は、その数字の点数以下のときノックができます。
Aの時には、例外的に普通のノックは許されず、ジンであがることしかできません。
なおオプショナルですが、最初の捨て札がスペードであった場合、その回の点数は2倍になるというルールもよく採用されます。(2倍になるのは、ジン・ボーナスやアンダーカット・ボーナスを含めてです)。
オクラホマ・ジンの場合、ゲームの終了点数は150点になることが多いようです(200点のこともあります)。もちろん、ゲーム・ボーナスやシャットアウト・ボーナスもこれに伴って150点(または200点)になります。