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クラバヤス(Klabberjass)

1995/2/14 赤桐

 最も優れた2人用のゲームとも言われるゲームで、かなりの技術を要するゲームです。

 英米では、クラバヤスのほかに、クロビオッシ(Clobiosh)とも呼ばれます。時にはクロビーと縮めて呼ばれます。

 クラバヤスは世界で最も広くプレイされる2人用ゲームの1つで、ヨーロッパでは各国がそれぞれの亜種を持っています。フランスではブロット(Belote)と呼ばれ、国民的ゲームになっています。

 クラバヤスとはドイツ語でクラブのジャックの意味で、古くは切札がクラブで固定していて、ジャックがその最強のカードであったことから来ています。

 プレイするグループにより、細かいルールの違いはかなりあるのですが、ここではできるだけ簡明なルールを紹介します。


人数

 2人。

カード

 各スート10の32枚のカードを使用します。

ディール

 最初のディーラーはカットして低いカードのプレイヤーです。この時のカードの強さは10の順で、同位カードの場合は再度カットします。

 ディーラーはディール毎に交替します。

 ディーラーは各プレイヤーに3枚ずつ2回、合計6枚配ります。

 残りのカードは山札としてテーブル中央に裏向きに置きますが、その一番上のカードは表にして山札の横に置いておきます。このカードが切札候補カードとなります。

目的

 このゲームはトリックテイキングゲームであり、点数のあるカードを取ることによって得点します。また、手札の特定の組み合わせにより得点します。

 プレイの前にビッドを行いますが、このビッドにおいて切札を決めたプレイヤー(メーカー)は、そのディールで相手よりも高い得点を取らなければなりません。

カードの点数

 カードの点数は次の通りです。

切札の 20点
切札の 14点
11点
10 10点
4点
3点
切札以外の 2点
切札以外の 0点
0点

カードの強さ

 切札とそれ以外では、強さのランクが違います。

 切札では:(強)10(弱) の順です

 切札以外では:(強)10(弱) の順です。

 切札の強さの順序(クラブが切札であった場合の例)

  [CJ][C9][CA][C10][CK][CQ][C8][C7]

 切札以外の強さの順序(ダイアモンドが切札でない場合の例)

  [DA][D10][DK][DQ][DJ][D9][D8][D7]

ビット

 エルダー(ディーラーでない方)が最初にビッドします。ビッドは、「テイク」つまり切札候補カードのスートを切札にするか、パスをするかです。パスならば、ヤンガー(ディーラー)が同様のビッドを行ないます。

 両方がパスをしたら、2回目のビッドが行われます。エルダーは切札指定カードのスート以外のスートを切札として指定するか、パスをするかします。パスならば、ヤンガーが同様のビッドを行ないます。

 切札が決まると、ビッドは直ちに終了します。切札を決めたプレイヤーは「メーカー」と呼ばれます。

 2回目のビッドでも両プレイヤーがパスをした場合には、新しいディールが始まります。(ディーラーは交替します。)

再ディール

 ビッドが終わると、ディーラーは山札から3枚のカードをまとめて相手に配り、自分にも3枚のカードを配ります。この結果、各プレイヤーの手札は9枚になります。

 山札の一番下のカードは、ディールが終わったことを示すために、表向きにして山札の一番上に置きます。このカードはプレイには何の関係もありませんが、この1枚が見えているということは、作戦上多少の影響があります。

 切札候補カードのスートが切札になった場合には、切札のを持っているプレイヤーは、それを切札候補カードと取り替えることができます。

メルド

 プレイの前にメルドの宣言があります。

 メルドは同じスートの3枚以上のシークエンス(続き札)です。この目的では、カードはどのスートでも、10の順となります。

 メルドの例: HJ][H10][h9]

 3枚のシークエンスは20点、4枚以上のシークエンスは50点です。

 シークエンスの得点が得られるのは、最も強いシークエンスを持っているプレイヤーだけです。

 強いシークエンスとは、点数の高いほうのシークエンスです。つまり、3枚より4枚以上のシークエンスが強いということです。これが同じならば、シークエンスの一番上のカードのランクが高いほうが強くなります。これも同じならば、切札の方が強くなります。

 上記がすべて同じならば、どちらも得点しません。

 シークエンスの4枚以上の長さの違いは、シークエンスの強さには影響しません。

 最も強いシークエンスを持っているプレイヤーは、それ以外のシークエンスについても、すべて得点できます。

 実際には、次のような手続きでメルドの宣言をおこないます。

 )まず、エルダーは自分の一番長いシークエンスの1つの点数を宣言します。「なし」、「20」、「50」のいずれかです。

 )これに対してヤンガーは、「私の勝ちです」("Not Good")とか、「あなたの勝ちです」("Good")とか、「同じです」("Equal")とか答えます。

 )同じならば、エルダーはシークエンスの一番上のカードのランクを告げ、これに対してヤンガーが同様に答えます。

 )これも同じならば、一番強いシークエンスが切札であるほうが、それを告げます。

 )最もつよいシークエンスを持っているプレイヤーは、その他のシークエンスを含めて得点します。得点するためには、そのシークエンスを相手に見せなければなりません。

 シークエンスを持っていても、それを隠しておくこともできます。そのためには、もちろん、それについて宣言も得点もできません。

 なお、切札のを切札表示カードと取り替えるのは、メルドの宣言の前でも後でもかまいませんが、メルドの宣言の途中に行うことはできません。また、プレイが始まる前におこなわなければなりません。

プレイ

 メルドの宣言のあと、エルダーが自由に1枚をリードして、プレイが始まります。

 プレイはトリックテイキングゲームですが、次のルールに従います。

 a)切札がリードされた場合には、リードされた切札より強い切札があれば、それを出さなければならなりません。それがない場合には、他の切札を出します。それもない場合に限り、どのカードを出してもかまいません。

 b)切札以外のカードがリードされた場合、リードされたスートがあれば、フォローしなければなりません。フォローできないときには、切札を出さなければなりません。それもできないときに限り、どのカードでも出すことができます。

べラ

 プレイヤーが切札のキングクイーンの両方を持っていたときには、このうちの2枚目のカードをプレイするときに、「べラ(Bella)」を宣言して、20点を得点できます。

最後のトリック

 最後のトリックに勝ったプレイヤーは、カードの点数のほかに、10点を得点します。

得点

 各プレイヤーは、)メルドの点数、)べラの点数、)トリックで取ったカードの点数、)最後のトリックの10点、を合計します。

 メーカーのプレイヤーが相手よりもたくさん点数をとった場合には、各プレイヤーが上記の点数をそのまま得点します。

 同点の場合には、メーカーは0点で、相手は上記の点数をそのまま得点します。

 メーカーのほうが相手よりも点数が低かった場合には、メーカーが0点で、相手は2人の点数の合計点を得点します。

ゲーム

 何ディールか行なって、少なくとも1人が500点に達したらゲーム終了となります。高得点のプレイヤーが勝者です。


用語

 ビッドの時、テイク(Take)の代わりにアクセプト("I accept")と言うこともあります。

 切札のジャックはヤス(Jass)、切札のはメーネル(Menel)、切札のはディース(Dix)と呼ばれます。

 メーカーが相手より少なくしか得点できなかった状態を、ベット("Bete"最初のeの上には^)と呼びます。


 ディールは交代ではなく、前のディールに勝ったプレイヤーがディーラーになるというルールで行うこともあります。

 ビッドの時に、英米ではシュマイス(Schmeiss)というビッドを認めることが多いのですが、諸書によりルールが異なったり不明確だったりする上、効果も疑わしいので、ここでは採用しませんでした。

 山札の一番下のカードを表向きにするのは、プレイヤーの一方だけが故意または偶然に、山札の一番下のカードを見ることがあるので、それを公平にする意味があります。

 メルドの宣言のとき、2人の最強のシークエンスの強さが同じであった場合は、エルダーがメルドの得点を得るというルールもあります。