1994/12/20
著者:赤桐裕二
オーストリアのタロットカードゲームです。本来のタロットカード78枚のうち54枚しか使用しない「新しい」タイプのゲームに属します。タップタロックとほとんど同じころ(1800年ころ?)に生まれたといいますから、新しいタイプとしては最も古いゲームの1つですが、現在でもタップタロックと人気を分けあっています。ただし、タップタロックが3人ゲームであるのに対し、これは4人ゲームです。
初期のころのこのゲームはタップタロックと同じくらいの複雑さのゲームでしたが、その後ルールが増えつづけ、現在ではとても複雑なゲームになっています。ミゼールを含む多種のビッド、ダブル、出来役、出来役の予告、パートナー指名、大場小場など、あらゆる要素を含んだゲームです。また、現在でも地域やプレイする人により非常に多くのルールの違いがあります。
しかし、自然にルールが増えてしまったというゲームであるため、それほど理解しがたいようなルールがあるわけではありません。本稿の末尾のコントラクトとボーナスの一覧表を見ながらプレイすれば、楽しめると思います。
なお、ケーニヒスルーフェンとはキングを呼ぶという意味です。パートナーの指名を、特定のキングを指定して行うので、この名がついています。
ルールについては、ほぼ全面的にMichael Dummett 氏の著作 "Twelve Tarrot Games"に基づいています。(ただし、本稿は翻訳ではありません。赤桐が書きおろしたものです。)
4人でプレイします。通常は2人がパートナーになりますが、パートナーは一定していません。
54枚のオーストリアパックのカードを使います。スペード、クラブ、ダイヤモンド、ハートの4つのスートがあり、各スートには8枚のカードがあります。それ以外にタロックと呼ばれる切札のスートが22枚あります。
黒のスート(スペードとクラブ)のカードとその強さは次の通りです:
キング(最強)、クイーン、カバロ、ジャック、10、9、8、7(最弱)
赤のスート(ハート、ダイアモンド)のカードとその強さは:
キング(最強)、クイーン、カバロ、ジャック、1、2、3、4(最弱)
タロックの最強のカードは数字が何も入っていない「スキュース(愚者)」のカードです。次に強いのがローマ数字でXXI(21)の数字の書かれているカード(「モンド」と呼ばれることもある)です。
以下、数字が小さくなると弱くなっていき、I(1)のカード(「パガット」と呼ばれる)がタロックでは最弱のカードとなります。
スキュース、XXI、パガットの3枚を「トルル」と呼ぶことがあります。
なお、オーストリアのカードの絵札には何も文字が書かれていないことがありますが、冠をかぶっているのがキング、女の人がクイーン、馬に乗っている男がカバロ、馬に乗っていない男がジャックとなります。(道化師の絵が描かれているのがスキュースです。)
なお、このようなパックがない場合には、通常の78枚のタロットカードから不要なカードを除いて使用します。フランス製などの競技用タロットからカードを除くほうが、本来のオーストリアパックより使いやすいかもしれません。タロックの番号がアラビア数字で書かれており、見出しもあるからです。フランスのカードでは、キングはR、クイーンはD、カバロはC、ジャックはVです。
イタリア製のものや占い用のもののように、ソード、バトン、カップ、コインというスートを持ったタロットカードでも使えないことはありません。ソードとバトンをスペードとクラブの代りに使い、カップとコインをハートとダイアモンドの代りに使います。
カードを配ってから、そのカードを使ったプレイが終了するまでをディールと呼びます。(カードを配るだけの行為もディールと呼ばれますが、文脈により区別してください)。1つのディールは次のように進行します。
1)カードを配ります。
2)コントラクトのビッドを行います。コントラクトというのは、ある条件のもとで1ディールをプレイして、プレイの結果がある条件をみたすことをあらかじめ宣言することです。コントラクトは何種類もあり、強さの順位がつけられていますが、最も強いコントラクトをビッドしたプレイヤーがデクレアラーになります。
3)デクレアラーはパートナーを指定します。
4)デクレアラーはタロンのカードの何枚かと手札とを交換します。
5)ボーナスの「予告」の宣言や「コントラ」の宣言を行います。
6)プレイを行います。
7)得点の計算を行います。
ディーラーおよび席順は任意のやり方で決めます。1つのディールが終わるとディーラーは反時計回りに右隣のプレイヤーに移っていきます。(ディーラーとはカードを配るプレイヤーのことです。)
ディーラーは左側のプレイヤーにカットしてもらったあと、まず3枚のカードをテーブルの中央に裏向きに置き、更にその上に直角に十字の形になるように3枚のカードを裏向きに置きます。この6枚のカードをタロンと呼びます。
そのあと、各プレイヤーに6枚ずつ2回、裏向きに配ります(各プレイヤーは12枚ずつカードを持つことになります)。配りかたは、まずディーラーの右隣に配り、反時計回りに配っていきます。
あるプレイヤーのカードの中に、キングもタロックも1枚もなかった場合には、そのプレイヤーは配りなおしを要求することができます。この場合、同じディーラーがディールのやり直しを行います。
プレイの前にビッド、パートナーの指名、タロンと手札の交換、宣言などがありますが、説明の都合上、プレイやボーナスを先に説明します。
プレイはトリックテイキングゲームのルールに従いますが、次の規則があります。最初のリードはディーラーの右隣のプレイヤーが行います。
ただし、ミゼール系のコントラクトでは、デクレアラーが最初のリードを行います。ミゼール系のコントラクトとは、プレイでトリックを少なく取ることをめざすコントラクトで、「ピッコロ」、「ベッテル」、「ピッコロ・ウベルト」、「ベッテル・ウベルト」および「トリシャーケン」があります。
プレイは反時計回りに行います。
タロックがリードされたときには、タロックを持っていれば、タロックのカードを出さなければいけません(マスト・フォローと言います)。持っていなければ、何を出してもかまいません。
タロック以外のカードがリードされたときには、リードされたスートを持っていればそのスートのカードを出さなければなりません(マスト・フォロー)。リードされたスートを持っていなくて、タロックを持っていればタロックを出さなければいけません(マスト・ラフと言います)。それ以外の時には何を出してもかまいません。
ただし、ミゼール系のコントラクトでは、リードされたスートで今までに出ているカードより強いカードを持っている場合には、そのカードを出さなければなりません(複数あれば任意に選べます)。タロックがリードされたときや、他のスートがリードされてそのスートのカードを持っていないときには、持っていればもちろんタロックを出さなければなりませんが、可能ならば場に出ているタロックより強いタロックを出さなければなりません(複数あれば任意に選べます)。つまり、マスト・フォローとマスト・ラフの義務の範囲内で、その時点で勝てるカードを持っていれば、出さなければなりません(マスト・ウィンと言います)。
タロックが1枚でもプレイされているときには、最も強いタロックを出したプレイヤーがトリックに勝ちます。それ以外のときにはリードされたスートで最も強いカードを出したプレイヤーがトリックに勝ちます。
ただし、「ファーベンソロ」というコントラクトのときには、タロックは切札ではなくなるので、単にリードされたスートで最も強いカードを出したプレイヤーがトリックに勝ちます。(ただし、このコントラクトにおいても、リードされたスートがなくて、タロックを持っている場合には、タロックを出さなければなりません。)
トリックに勝ったら、勝ったプレイヤーが出されたカードを裏向きにして回収しますが、そのカードはそのプレイヤーの前に置かれます。パートナーでプレイする場合でも、プレイが終わって点数計算するまでは、各個人の前に置いたほうがよいでしょう。
プレイが終わったら、デクレアラーはカードの点数を計算します。ミゼールなどのコントラクト以外では、36点以上取ると、コントラクトが成功します。
各カードの点数は次の通りです(下記以外のカードには点数はありません):
スキュース(愚者) |
5 |
XXI(タロックの21) |
5 |
パガット(タロックの1) |
5 |
各キング |
5 |
各クイーン |
4 |
各カバロ |
3 |
各ジャック |
2 |
さらに、取ったカードを3枚1セットにして、それぞれのセットにつき次のように点数を修正します。どのようにセットを作っても結果の点数は変わりませんので、計算しやすいようにセットを作っておきましょう。
点数のあるカード3枚 |
-2 |
点数のあるカード2枚とないカード1枚 |
-1 |
点数のあるカード1枚とないカード2枚 |
0 |
点数のないカード3枚 |
+1 |
(セットによる修正の結果は、点数のないカードを1点と数えて、1セットにつき2点ずつ減点していくのと同じことになります。)
3枚セットで割り切れないときには、点数のないカードを端数(セットにならないカード)とします。端数のカードが2枚のときには+1点の修正をします。端数のカードが1枚のときには修正点はありません。
修正後の全点数の合計は70点になります。
ビッドによるコントラクトの成功や失敗により、あるいは、ボーナスやペナルティーにより、ゲームポイントが発生します。
ゲームポイントはカードの点数とは全くちがいますから、注意してください。
このゲームでは、ゲームポイントが発生すると全員がそれに関係してきます。ゲームポイントはゼロサム法で記入します。
1人のプレイヤーだけがゲームポイントを得たときには、その点数を他の3人からもらうことになります。つまり、他の3人はそのゲームポイントをマイナス点として記入し、ゲームポイントを得たプレイヤーはそのゲームポイントの3倍の点数を記入します。
2人のプレイヤーがゲームポイントを得たときには、各プレイヤーがそれぞれ1人のプレイヤーから点数をもらうことになります。つまり、ゲームポイントを得たプレイヤーはその点数を記入し、それ以外の2人はその点数をマイナス点として記入します。
3人のプレイヤーがゲームポイントを得たときには、他の1人がその点数を3人に払うことになります。したがって、ゲームポイントを得た3人はそのゲームポイントを記入し、他の1人はそのゲームポイントの3倍の点数をマイナス点として記入します。
コントラクトの失敗やペナルティーでマイナスのゲーム点を得た場合にも、プラスとマイナスは逆になりますが、同様にゼロサム法で点数を記入ます。
ボーナスはプレイの結果として得られます。ボーナスが発生すると、デクレアラー側か相手側のいずれかのプレイヤー全員のゲームポイントとなります。
ボーナス獲得に失敗したときに、ペナルティーがつくことがありますが、これもデクレアラー側か相手側のいずれかのプレイヤーの全員のゲームポイントとなります。
ボーナスやペナルティーが発生するのは、ミゼール系でないコントラクト(カードの点数で36点以上取ることをめざすコントラクト)だけです。
「ファーベンソロ」というコントラクトでは、「バラット」というボーナスのみが発生します。
プレイヤーはボーナスの「予告」をプレイの前にすることができます。予告をしてそのボーナスに成功すれば2倍のゲームポイントが得られます。しかし、予告をしたのにそのボーナスが得られなかったときには、逆にそのゲームポイント(2倍の点数)がペナルティーになります。
ただし、「タロック21の捕獲」と「指定キングの捕獲」というボーナス(ペナルティー)を予告することはできません。
ボーナスの得られる役は次の通りです:
最後のトリックにパガットを使って勝つと得られるボーナスです。最後のトリックにパガットを出したのに、勝つことができなければ、ペナルティーがつきます。ただし、パガットを出したプレイヤーの味方のプレイヤーがこのトリックに勝った場合には、ボーナスもペナルティーもつきません。
ボーナスおよびペナルティーは10ゲームポイントです。
最後から2番目のトリックにウーフ(タロックの2)を使って勝つと得られるボーナスです。パガットと同様にペナルティーがつくこともあります。
ボーナスおよびペナルティーは20ゲームポイントです。
最後から3番目のトリックにコカトー(タロックの3)を使って勝つと得られるボーナスです。パガットと同様にペナルティーがつくこともあります。
ボーナスおよびペナルティーは40ゲームポイントです。
デクレアラーが、キングのスートを指定して、パートナーを指名したときだけに発生するボーナスです。指定されたキングを出して最後のトリックを勝つと得られます。このボーナスは、キングを出したプレイヤーでなく、味方のプレイヤー(デクレアラー)が最後のトリックに勝った場合でも得られます。
指定されたキングが最後のトリックに出て、相手側がこのトリックに勝った場合にはペナルティーがつきます。
ボーナスおよびペナルティーは10ゲームポイントです。
片方の側がトルルの3枚のカード(スキュース、タロックの21、パガット)全部をプレイの結果として得た場合に発生します(所有権のあるタロンや捨て札も含みます)。
ボーナスは10ゲームポイントです。
片方の側が4枚全部のキングををプレイの結果として得た場合に発生します(所有権のあるタロンや捨て札も含みます)。
ボーナスは10ゲームポイントです。
タロックの21を出したときに、相手側にそのトリックをスキュースで取られたときにときに発生するペナルティーです。ペナルティーなので予告することはできません。
10ゲームポイントです。
デクレアラーが、キングのスートを指定して、パートナーを指名したときだけに起こりえます。指定したキングを出したときに、相手側のそのトリックを取られた時に発生するペナルティーです。ペナルティーなので予告はできません。
10ゲームポイントです。
デクレアラーの側が全トリックを取った場合に発生するボーナスです。
コントラクトのゲームポイントの代りに、その4倍のゲームポイントがつきます。
ビッドはカードが配られたあと行われます。次のルールに従って行われます:
1)ディーラーの右隣のプレイヤーからビッドを始め、反時計回りに行います。
2)1度パスをしたプレイヤーは2度とビッドには参加できません。パスをしない限り何度でもビッドを行えます。
3)ディーラーの右隣のプレイヤーは、最初に必ず「私のゲーム(マイン・シュピール)」とビッドしなければなりません。「私のゲーム」というのはコントラクトの種類ではありません。残りの3人が続けてパスをしたときには、このプレイヤーは、自由にコントラクトの種類を選び、デクレアラーなります。
4)それ以降のビッドは、コントラクトの名前を宣言します。ただし、最も弱い3つのコントラクト(「ルーファー」、「ゼクサードライアー」、「トリシャーケン」)はビッドできません。つまり「ピッコロ」以上のビッドをしなければなりません。「ルーファー」などのコントラクトは「私のゲーム」のあとに3人が続けてパスをしたときだけ可能です(ただし、 「私のゲーム」のプレイヤーはもっと強いコントラクトをビッドすることもできます)。
5)誰かがコントラクトの名前をビッドしてからは、今までのコントラクトより強いコントラクトをビッドしなければなりません。コントラクトの強さは後述します。
6)ただし、席順が上位のプレイヤーは下位のプレイヤーのビッドに対して「ホールド」を宣言できます。ホールドとは下位のプレイヤーのコントラクトと同じコントラクトをビッドすることですが、そのまま決まれば、ホールドをビッドしたプレイヤーがデクレアラーになります。席順はビッドの順と同じようにディーラーの右隣が最も上位で、以下反時計回りに下がっていき、ディーラーが最も下位となります。なお、「私のゲーム」に対してホールドは宣言できません。
7)1人を除いた他の3人がパスをすればビッドが終了します。
ビッドできるコントラクトを、弱いものから順に説明していきます。(ただし、ルーファーとゼクサードライアーとトリシャーケンは同格です。)
このコントラクトでは、デクレアラーはパートナーを指名します。指名はいずれかのスートのキングを指定することにより行います。そのスートのキングを持っているプレイヤーがパートナーになります。
デクレアラーが3枚のキングを持っているときには、「残りのキング」というように指定することもできます。
指定されたキングを持っているプレイヤーは、すぐには自分パートナーであることを明らかはしません。プレイ中にそのキングが出て始めて明らかになります。
自分の手札にあるキングを指定することも可能です。この場合、パートナーなしで他の3人と戦うことになります。指定したキングがタロンの中にあった場合もパートナーなしでプレイすることになります。
パートナーの指定のあと、デクレアラーはタロンの6枚をすべてのプレイヤーに見えるように表向きにしてから、上の3枚か下の3枚のいずれかを手札に加えます。そして、この手札の中から3枚のカードを裏向きに捨て札します。
ただし、キングやトルルのカード(スキュース、タロックの21、パガット)を捨て札してはいけません。また、タロックのその他のカードも、他に捨てるカードがない場合を除いては、捨て札できません。
取らなかったタロックは裏向きにして、捨て札と共にデクレアラーのそばに置きます。
プレイの結果、パートナーの取ったカードと合わせて、36点以上取ればコントラクトは成功します。タロンに残したカードや、捨て札したカードも取ったカードとみなします。
なお、デクレアラーの指定したキングがタロンの中にあった場合には、デクレアラーは「降伏」することができます。降伏が行われると、プレイに失敗したとみなされ、通常のゲームポイントがつきます。降伏はコントラなどの宣言(後述)の前に行われるので、「コントラ」を避けることができます。
ルーファーのゲームポイントは10点です。
このコントラクトではデクレアラーは単独で他の3人と戦います。
デクレアラーはタロンの6枚を表にして見せたあと、すべてを手札に加え、6枚を捨て札します。捨て札にはルーファーのときと同じ制限があります。
ルーファーと同様に、プレイして36点以上取ればコントラクトは成功します。やはり、捨て札のカードも取ったカードとみなします。
ゲームポイントはコントラクトに成功したときには20点、失敗したときには(マイナス)40点です。
このコントラクトでは、4人の各プレイヤーはそれぞれ自分のために戦います。タロンは裏向きのまま置かれ、誰のものにもなりません。
ポイントは次のようになります。
a)全員が同点だった場合ゲームポイントの移動はなし
b)各プレイヤーが少なくとも1トリックを取った場合最も多く点数を取ったプレイヤーがマイナス10ゲームポイント(そのプレイヤーがデクレアラーだった場合はマイナス20ゲームポイント)
b')ただし、最も多く点数を取ったプレイヤーが同点で2人または3人いる場合そのプレイヤーたちがマイナス10ゲームポイント(デクレアラーも同額)
c)1人または2人のプレイヤーが1トリックも取らなかった場合1トリックも取らなかったプレイヤー(たち)がプラス10ポイント
d)1人だけが全トリック取った場合全トリックを取ったプレイヤーがマイナス10ポイント(そのプレイヤーがデクレアラーだった場合はマイナス20ゲームポイント)
ミゼール系のゲームなので、既に説明したように、プレイにおいてはデクレアラーが最初のリードを行い、マスト・ウィンの義務があります。
トリシャーケンがプレイされたら、次のディールから4ディールの間、ボーナスなどを含むすべてのゲームポイントが2倍になります。もし、トリシャーケンがあってゲームポイントが倍になっている期間中にまたトリシャーケンがあれば、その期間が終わってから4ディールの間、ゲームポイントが2倍になります。(ただし、決められたディール数が終了すれば、これに係りなくゲームは終わります。)
デクレアラーがゲームでちょうど1トリックだけを取れば、このコントラクトは成功します。カードの点数はこのコントラクトでは関係ありません。
パートナーはありません。タロンは裏向きのまま置かれ、誰のものにもなりません。
ミゼール系のゲームなので、既に説明したように、プレイにおいてはデクレアラーが最初のリードを行い、マスト・ウィンの義務があります。
ゲームポイントは20点です。
ルーファーと同じように、キングのスートを指定してパートナーを指名します。自分の持っているキングを指定することも可能です。
タロンは裏向きのまま置かれ、手札との交換はしません。プレイ後はデクレアラーの相手側のカードと見なされます。
指定されたキングがタロンに入っていた場合、それはプレイが終わるまで判りません。この場合には、3人と戦ったことになりますが、指定されたキングを含むタロンの上か下の3枚のカードはデクレアラーの取ったカードを見なされます。また、このとき「コントラ」(後述)の宣言があって負けた場合には、コントラ宣言はなかったものと見なします。
このコントラクトのときには、バラット以外のすべてのボーナス/ペナルティーは2倍になります。
ゲームポイントは20点です。
デクレアラーがプレイで1トリックも取らないことをめざします。カードの点数はこのコントラクトでは関係ありません。
パートナーはありません。タロンは裏向きのまま置かれ、誰のものにもなりません。
ミゼール系のゲームなので、既に説明したように、プレイにおいてはデクレアラーが最初のリードを行い、マスト・ウィンの義務があります。
ゲームポイントは30点です。
プレイの条件はルーファーと同じです。(キングを指名し、タロンと3枚交換します。)
ただし、デクレアラーはパガット、ウーフ、コカトーのいずれかの予告をしなければなりません。
コントラクトのゲームポイントは20点です。予告によるゲームポイントは、コントラクトの成功失敗にかかわりなく、別につきます。
指定したキングがタロンにあった場合には降伏することもできます(マイナス20ゲームポイントのみ)。
デクレアラーはパートナーなしで3人と戦います。
キングの指名をしない点を除けば、ルーファーと同じです。(タロンと3枚交換します。)
ゲームポイントは40点です。
デクレアラーはパートナーなしで3人と戦い、カードの点数を36点以上取ることをめざします。
タロンは裏向きのまま置かれ、交換しません。プレイ後はデクレアラーの相手方のカードと見なされます。
バラットの予告しか行うことができません。
このコントラクトはミゼール系ではありませんが、特別にデクレアラーは最初のリードを行います。
すでに述べたように、このコントラクトではタロックは切札としての力はありません(ノートランプ)。
ゲームポイントは50点です。
ピッコロと次の点を除いて同じです。
最初のトリックがプレイされたあと、プレイヤー全員が手札を見せてプレイします。
ゲームポイントは60点です。
ベッテルと同様ですが、ピッコロ・ウベルトと同じやりかたで手札を開いてプレイします。
ゲームポイントは80点です。
デクレアラーはパートナーなしで3人と戦います。タロンは裏向きのまま置かれ、交換しません。プレイ後はデクレアラーの相手方のカードと見なされます。
最初のリードはディーラーの右隣のプレイヤーが行います。
このコントラクトのときには、バラット(後述)以外のすべてのボーナス/ペナルティーは2倍になります。
ゲームポイントは100点です。
コントラクトが決まり、必要ならばタロンと手札の交換をしたあと、コントラおよびボーナスの予告のための宣言います。
宣言はデクレアラーの右隣から4人全員で反時計回りに行います。宣言は1人で同時にいくつでも行えます。既に行われた宣言と同じ宣言をすることはできません。何も宣言したくないときは「パス」と言いますが、パスをしたプレイヤーもあとで宣言をすることは可能です。3人続けてパスがあったら終了します。
パートナーのあるコントラクトの場合には、宣言により、あるプレイヤーがどちらの側のプレイヤーであるかが全員に判ることがあります。
可能な宣言は次の通りです。
「パガット」、「ウーフ」、「クカトー」、「キング・ウルティモ」、「トルル」、「4枚キング」、「バラット」の予告
コントラクトに対する「コントラ」、「リコントラ」、「スブコントラ」
予告の1つに対する「コントラ」、「リコントラ」、「スブコントラ」
予告とはボーナスを得るという宣言です。予告はデクレアラーでも相手側でも宣言することができます。予告して成功した場合にはボーナスの2倍のゲームポイントが得られますが、失敗した場合にはそのゲームポイントがペナルティーとなります。
もちろん、予告ができるのはボーナスが発生するコントラクト(ミゼール系でないコントラクト)に限ります。また、ファーベンソロではバラットしかボーナスが発生しないので、バラットの予告しかできません。
また、すでに述べたように、「タロック21の捕獲」と「指定キングの捕獲」の予告はできません。
デクレアラー以外のプレイヤーが予告する場合で、そのプレイヤーがデクレアラーのパートナーかどうか他のプレイヤーには判らない場合には、そのプレイヤーは自分がパートナーであるかどうかを言わなければなりません。
バラットの予告があると、カードの点数で36点以上取るという目標は意味を失います。つまり、36点以上取っても、全トリック取れなければ、コントラクトは失敗になります。また、「コントラクトに対するコントラ」等も無効になります。
パガットやキング・ウルティモの予告があると、ほかにプレイできるカードがある限りは、予告したプレイヤーは最後のトリックまで、ボーナスのために必要なカード(パガットかキング)を使うことはできません。
ウーフの予告をしたプレイヤーは、ほかにプレイできるカードがある限りは、最後から2番目のトリックまで、 タロックの2を使ってはいけません。また、最後から2番目のトリックにおいて、タロックの2を使うことが可能ならば、必ず使わなければなりません。
コカトーの予告の場合も同様にタロックの3の使用制限があります。
ただし、例えばパガットとコカトーの両方を予告しているような場合で、最後から3番目より前にどちらかを使わざるを得なくなった場合には、どちらを使うかは選択できます。
「コントラ」とはコントラクトまたは予告に対して宣言するもので、コントラクトのゲームポイントや予告のゲームポイントを2倍にするというものです。
コントラクトに対するコントラは、デクレアラーの相手方しかできません。予告に対するコントラは、どの予告にたいするコントラかを明確にしなければなりません。もちろん、すでにその予告がされている必要があります。これは予告したプレイヤーの相手方のプレイヤーしか行うことができません。
「リコントラ」とは、コントラがあった場合に、そのコントラによって2倍されていたゲームポイントをさらに2倍にし、元の4倍にするという宣言です。リコントラはコントラを宣言したプレイヤーの相手側のプレイヤーしか宣言することができません。「スブコントラ」とは、リコントラがあった場合に、そのリコントラによって2倍されていたゲームポイントをさらに2倍にし、元の8倍にするという宣言です。リコントラはコントラを宣言したプレイヤーの相手側のプレイヤーしか宣言することができません。
トリシャーケンのコントラクトでは、コントラは宣言できません。
あらかじめ決めておいたディール数が終わると、ゲームは終了します。ディール数は4の倍数にするほうがよいでしょう。
付録1
コントラクト表
ゲーム |
交換 |
タロンの |
パートナー |
目的 |
プレイ | |
ルーファー |
10 |
3 |
デクレアラ |
Yes |
36点 |
通常 |
ゼクサードライアー |
20(-40) |
6 |
デクレアラ |
No |
36点 |
通常 |
トリシャーケン |
10(20) |
0 |
- |
各自 |
少トリック |
マストウィン |
ピッコロ |
20 |
0 |
- |
No |
1トリック |
マストウィン |
ソロルーファー |
20 |
0 |
相手方 |
Yes |
36点 |
通常 |
ベッテル |
30 |
0 |
- |
No |
0トリック |
マストウィン |
ベッサー・ルーファー |
20 |
3 |
デクレアラ |
Yes |
36点 |
通常 |
ドライアー |
40 |
3 |
デクレアラ |
No |
36点 |
通常 |
ファーベンソロ |
50 |
0 |
相手方 |
No |
36点 |
ノートランプ |
ピッコロ・ウベルト |
60 |
0 |
- |
No |
1トリック |
マストウィン |
ベッテル・ウベルト |
80 |
0 |
- |
No |
0トリック |
マストウィン |
ソロドライアー |
100 |
0 |
相手方 |
No |
36点 |
通常 |
リード |
ボーナス |
コントラ |
備考 | |
ルーファー |
ディーラーの右隣 |
Yes |
Yes | |
ゼクサードライアー |
ディーラーの右隣 |
Yes |
Yes | |
トリシャーケン |
デクレアラー |
No |
No | 次の4ディールはボーナス/ペナルティー2倍 |
ピッコロ |
デクレアラー |
No |
Yes | |
ソロルーファー |
ディーラーの右隣 |
Yes |
Yes | バラット以外のボーナス/ペナルティー2倍 |
ベッテル |
デクレアラー |
No |
Yes | |
ベッサー・ルーファー |
ディーラーの右隣 |
Yes |
Yes | パガットorウーフorコカトー予告 |
ドライアー |
ディーラーの右隣 |
Yes |
Yes | |
ファーベンソロ |
デクレアラー |
Yes |
Yes | 予告できるのはパガットだけ |
ピッコロ・ウベルト |
デクレアラー |
No |
Yes | |
ベッテル・ウベルト |
デクレアラー |
No |
Yes | |
ソロドライアー |
゛ィーラーの右隣 |
Yes |
Yes | バラット以外のボーナス/ペナルティー2倍 |
付録2
ボーナス/ペナルティー表
パガット | 最後のトリックにパガットで勝つ | 10ゲームポイント |
ウーフ | 最後から2番目のトリックにタロックの2で勝つ | 20ゲームポイント |
コカトー | 最後から3番目のトリックにタロックの3で勝つ | 30ゲームポイント |
キング・ウルティモ | 最後のトリックにパートナー指定キングで勝つ | 10ゲームポイント |
トルル | スキュース、タロックの21、パガットの獲得 | 10ゲームポイント |
4枚キング | 4枚全部のキングの獲得 | 10ゲームポイント |
タロック21の捕獲 | タロック21をプレイで取られる | 10ゲームポイント |
指定キングの捕獲 | パートナー指定キングをプレイで取られる | 10ゲームポイント |
バラット | デクレアラー側が全トリックを取る | コントラクトのゲームポイントが4倍に |