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ロンブル(l'hombre)

2003/11/1 赤桐

 ロンブルは17世紀初頭にスペインで生まれ、17世紀から18世紀にかけてヨーロッパ中で盛んにプレイされたオンブルというゲームの一種です。

 デンマークで現在でもよくプレイされています。トリックテイキングゲームです。


プレイヤー

 3人または4人。4人で行うときには、ディーラーの向かいに座っているプレイヤーはプレイには参加しません。

 プレイに参加する3人のうち、ディーラーの右隣のプレイヤーをフォアハンド、ディーラーの左隣のプレイヤーをミドルハンド、ディーラーをバックハ ンドと呼びます。

カード

 通常の52枚のカードから、各スート10を 除いた、40枚のカードを使います。

 切札以外の各スートのカードの強さは次の通りです(強いものから順)。

 切札のスートのカードの強さは次の通りです(強いものから順)。

 このように、切札のあるゲームでは常にSは 最も強い切札になりCは3番目に強い切札になります。Sの ことをスパディエ(spadille)、Cのことをバスタ(basta)と呼びます。2番目に強い切札は、切札以外ならばもっとも弱いカード(黒のか赤の) になりますが、これをマニエ(manille)と呼びます。また、赤いスートの場合にはそのスートのエースが4番目に強い切札になりますが、これはポント(ponto)と呼ばれます。

 最も強い3枚の切札(スパディエ、マニエ、バスタ)を総称して、マタドール(matador)と言います。

ディール

 最初のディーラーは任意の方法で決めます。次回からは、ディーラーは反時計回りに交代します。

 ディーラーは、フォアハンドから始めて反時計回りに、各プレイヤーに3枚ずつまとめて3回配りま す。残った13枚のカードはテーブルに裏向きに置きます。これがタロン(talon)となります。

ビッド

 ディールが 終わると、誰がデクレアラーになるかを決めるために、ビッドを行います。

 ビッドにおいて各プレイヤーはプレイするゲームの種類を宣言していきます。ゲームの種類は大きく分けてゲームコントラクトとノロコントラクトの2 つがあります。ゲームコントラクトはできるだけ多くのトリックを取るこ とが目的になります。ノロコントラクトではデクレアラーは1トリックも取らないようにプレイします。ノロコントラクトでは切札はありません。

 ゲームの種類は次のものがあります。

種類
コントラクト
内容 得失点
罰 点
シンプルゲーム
ゲーム デクレアラーが切札を指定する。デクレアラーが最初にタロンとのカードの交換を行う。 1
1
スペードゲーム
ゲーム スペードを切札にする。それ以外はシンプルゲームと同じ。
1
1
トゥルネ(Tourné)
ゲーム
タロンの一番上のカードが表向きにされ、それが切札になる。デクレアラーが最初にカードの交換を行う(表向きにされたカードから交換 を始める)。 1
1
シンプル・ノロ
ノロ
切札なし。デクレアラーだけがタロンと手札の交換を行う。 2
1+
グランド・トゥルネ ゲーム
トゥルネと同様だが、ビッドするプレイヤーは SCを配られていなければならない。 2
1
ソロ
ゲーム デクレアラーが切札を指定する。デクレアラーはタロンとのカードの交換はしない。他のプレイヤーは交換できる。
2
1
ピュア・ノロ
ノロ 切札なし。デクレアラーも他のプレイヤーもタロンとの交換はできない。
3
2
スペード・ソロ
ゲーム ソロと同じだが、切札は必ずスペード。 3
2
ノロ・ウベルト
ノロ 切札なし。ピュアソロと同様だが、デクレアラーの最初のプレイの時に、手札をすべて見せる。その後も手札を公開した状態でプレイす る。
5
3


 上記の表の下のほうに書いているゲームの種類を宣言するほうが強いビッドになります。だれかがビッドした後では、それより強いゲームの種類しか宣言することができません。ただし、席による優先順位としてフォアハンド>ミドルハンド>バックハンドがあり、優先順位の高いほうのプレイヤーは「セルフ (self)」と宣言して、優先順位の低いプレイヤーの宣言したゲームの種類と同じものを宣言することができます。

 なお、上記の表の例外として、ピュア・ノロとスペード・ソロは同じ強さのゲームの種類になります。このどちらかのゲームの種類が宣言された場合、 (席順が上位のプレイヤーでも)もう1つのゲームの種類を後で宣言することはできません。

 実際のビッドは勝ち抜き戦方式で行われます。 まず最初にフォアハンドが宣言を行い、次にミドルハンドが宣言を行って、どちらかがパスを宣言する まで2人でビッドを行います。そのあと、バックハンドがビッドを行い、フォアハンドかミドルハンドのうちパスをしなかったプレイヤーがビッドを行って、や はりどちらかがパスを宣言するまでビッドを行います。最後までパスをしなかったプレイヤーがデクレアラーになります。

 最初の2人がパスをした場合、リアハンドは何かゲームの種類をビッドすればデクレアラーになります。全員がパスした場合には、ゲームは行われず、 次のディーラーが配りなおしを行います。

 通常はデクレアラーのビッドしたゲームの種類でプレイは行われますが次の例外があります。

 ゲームの種類が確定したら、シンプルゲームかソロの場合にはデクレアラーが切札のスートを指定します。トゥルネやグランド・トゥルネの場合にはタ ロンの一番上のカードを表向きにして、それが切札になります(切札のスートを決めるときだけはSCはそれぞれスペード、クラブとして扱います)。

交換

 プレイの前に、手札とタロンのカードの交換を行います。交換は必ずデクレアラーから行います(デクレアラーが交換を行えないコントラクトを除く)。次にデクレ アラーの右隣のプレイヤーが行い、最後に残ったプレイヤーが行います。

 交換は、タロンのカードの枚数が足りる限り、何枚でも行うことができます。交換を行うプレイヤーはまず手札から交換するカードをすべて裏向きに捨て札 し、そのあとその枚数のカードをタロンからドローします。捨て札するカードの種類の制限はありません。

 残ったタロンのカードはそのまま裏向きに置かれ、誰も見ることはできません。

プレイ

 最初のリードは 必ずフォアハンド(ディーラーの右隣のプレイ ヤー)が行います。プレイは反時計回りに行います。

 通常のトリックテイキングゲームのルールに従ってプレイします。つまり:

  1. リードされたスートのカードがあれば、そのスートを出します。
  2. なければ、どのカードを出してもかまいません。
  3. 切札が出ていない場合は、リードされたスートの最も強いカードを出したプレイヤーが勝ちます(トリックを取ります)。
  4. 切札が出ているた場合は、最も強い切札を出したプレイヤーが勝ちます。
  5. 勝ったプレイヤーが次のリードを行ないます。

 切札のあるゲームの場合、SCはそのカードに記されているスートではなく、切札のスートに属すことに注意し て下さい。

 ただし、マタドール(SA=スパディエ、マニエ、C=バスタ)のカードを持っていて他の切札を持っていないときに切札がリードさ れた場合、普通のルールに従えばマタドールを出すことになりますが、マタドールを出さないで切札以外のカードをプレイしてもかまいません。ただ、リードさ れたカードが持っているマタドールよりも強いマタドールのカードだった場合には、そのマタドールは出さなければなりません。

プレイの結果

 ゲームコントラクトの場合、プレイの成功や失敗について、次のような結果がありえます。

成功

 デクレアラーが他のどのプレイヤーよりも多くのトリックを取った場合、成功となります。つまり、5トリック取ったときや、デクレアラーが4トリッ ク取り、他のプレイヤーが3トリックと2トリックだったときです。

失敗(bête)

 デクレアラーの取ったトリック数が、他のプレイヤーのトリック数の多いほうと同じだった場合です。つまり、トリック数が4-4-1だったときか、 3-3-3だったときです。

大失敗(kodille)

 デクレアラーの取ったトリック数が、他のどちらかのプレイヤーのトリック数より少なかった場合です。

スラム(Tout)

 デクレアラーが9トリック全部を取った場合です。デクレアラーは最初の5トリックを取ったときに、スラムを狙うかどうか決めなければなりません。 狙わなければ、そこでプレイを終了します。プレイを続けたらスラムを狙ったことになります。

 ノロコントラクトの場合には、プレイの成功や失敗について、次のような結果がありえます。

成功

 デクレアラーが1トリックも取らなかった場合です。

失敗(bête)

 デクレアラーが1トリックだけ取った場合です。

大失敗(kodille)

 デクレアラーが2トリック以上取った場合です。

 プレイは結果がはっきりするまで行いますが、結果が明らかになったらそれでプレイは終了します。(ただし、シンプル・ノロの場合には点数が関係するの で、最後までプレイします。)

得点

 プレイの結果に応じて次のように得点が計算されます。

成功

 デクレアラーは、他のプレイヤーそれぞれからゲームの種類によりきまっている数のチップを受け取ります。チップの数は、シンプルゲーム、スペード ゲーム、トゥルネでは1、シンプル・ノロ、グランド・トゥルネ、ソロでは2、ピュア・ノロ、スペード・ソロでは3、ソロ・ウベルトでは5です(ゲームの種類の表の「得失点」のところの数字です)。

失敗

 デクレアラーは、他のプレイヤーそれぞれからにゲームの種類により決まっている数のチップを支払います。チップの数は成功のときの数と同じです (ゲー ムの種類の表の「得失点」のところの数字です)。

大失敗

 デクレアラーは、他のプレイヤーそれぞれにゲームの種類により決まっている数のチップを支払い、さらに追加のチップも支払います。追加のチッ プは、シンプルゲーム、スペードゲーム、トゥルネ、グランド・トゥルネ、ソロでは1、ピュア・ノロ、スペード・ソロでは2、ソロ・ウベルトでは3です(追 加のチップ数はゲームの種類の表の「罰点」のところの数字です)。シンプル・ノロではデクレアラーの取ったトリック数から1を引いたものが追加のチップと なります(例えば4トリック取ったら4-1=3が追加のチップとなります)。

スラム

 成功したら、各プレイヤーから1チップずつ余分にチップをもらえます。失敗した場合には、各プレイヤーからもらうチップの数が1チップずつ少なく なります。

降伏

 デクレアラーは自分の最初のプレイの前に降伏を宣言することができます。

 この場合には、プレイは行われず、プレイが「失敗」したものとして得点計算が行われます。(これにより、大失敗となることを防ぐことができます。)