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オットーチェント(Ottocento)

1995/3/30 赤桐

 イタリアのボローニャ地方のゲームです。タロットカード78枚のうち62枚だけを使って行う4人用のゲームです。

 トリックテイキングゲームですが、取ったカードで出来役を作ることが主な目的になります。ちょっと花札に似たような趣のあるゲームです。

 ルールはMichael Dummett氏の"Twelve Tarot Games"に基づきますが、翻訳ではなく、独自に記述したものです。


カード

 正式にはボローニャ版のタロットカードを使います。これには各スートからの数札が欠けています。スートはソード、バトン、カップ、コインです。

 ソードとバトンのスートのカードは、強いカードから順に、次の通りです。キングクイーンカバロジャック10

 カップとコインのスートのカードは、強いカードから順に、次の通りです。キングクイーンカバロジャック10

 さらに、切札のカードが21枚あります。このうち12枚はから16までのアラビア数字が書かれています。それ以外の9枚は絵だけが描かれています。強いものから順に挙げると次の通りです。天使世界太陽16151413121110ムーア人(4枚)、ベガト

 さらにもう1枚、絵だけが描かれたカードがあります。マット(道化、愚者)です。このカードは特別な働きをします。

 天使世界ベガトマットの4枚はタロッキと呼ばれます。

カードの点数

 以下のカードにはそれぞれ点数があります。このゲームでは取ったカードの点数がそのままゲームの得点になります。(その他にも手役や出来役による得点があります。)

天使 5点
世界 5点
ベガト 5点
マット 5点
キング 5点
クイーン 4点
カバロ 3点
ジャック 2点

 だだし、取ったカードを2枚ずつペアにして、以下の補正します。どのカードをペアにしても結果は同じですから、計算しやすいようにペアにしてください。

 点数のあるカードと点数のないカードのペアでは点数補正をしません。点数のないカード2枚のペアにはプラス1点の補正をします。点数のあるカード2枚のペアにはマイナス1点の補正をします。

 また、最後のトリックを取ったプレイヤーには6点が追加で与えられます。これを含めて、全点数は93点となります。

プレイヤー

 プレイヤーは4人です。向かい合った2人がパートナーになります。

ディール

 最初のディーラー任意の方法で決めます。次回からディーラーは右隣に移っていきます(反時計回り)。

 ディーラーはカードをディーラーの右隣から始めて反時計回りに配っていきます。5枚ずつ3回、つまり各プレイヤー15枚になるように配ります。ただし、最後にディーラー自身に配るカードだけは7枚にして、ディーラーだけには17枚配るようにします。

捨て札

 ディーラーは自分のカードを見て2枚を裏向けに捨て札します。捨て札したカードはプレイの後に、プレイで取ったカードと同じとみなしますが、手役の一部にはなりません(出来役の一部にはなります)。

 タロッキ(天使世界ベガトマット)およびキングは捨て札をすることはできません。つまり、5点のカードは捨て札できません。その他のカードは、切札も含め、自由に捨て札できます。

プレイ

 ディーラーの右のプレイヤーが最初のリードを行います。プレイは反時計回りで、 トリックテイキングゲームのルールで行われます。フォローの義務があり、フォローできないときには切札を出す義務があります

 ムーア人のカードが複数出されたときには、最後に出されたムーア人が一番強いカードになります。

 マットを持っている人はフォローの義務に従わずに、いつでもマットを出すことができます。マットをリードした時には、次にプレイするプレイヤーはどのスートのカードを出してもかまいません。それ以降にプレイするプレイヤーは2番目のプレイヤーのスートをフォローします。

 マットを出したプレイヤーは常にトリックには負けます。ただし、勝ったのがパートナーでなく、相手側であった場合にも、マットだけは相手側のものにはならず、マットを出したプレイヤーのものになります。ただし、こうしてマットを持っている側は、プレイが全部終わったあとで、自分の側の取ったカードの中のどれか1枚を選んで、相手側に渡さなければなりません。もし、1回もトリックに勝っていなくて、マットしかカードを持っていない場合は、マットを相手に渡します。

シグナル

 プレイ中、自分がリードをするときに、次の3種のシグナルをパートナーに送ることができます。シグナルは敵のパートナーにもはっきり分かるように送らなければなりません。

 ただし、シグナルを受けたパートナーは、適当でないと判断したならば、必ずしもシグナルに従う必要はありません。

ブッソ

 テーブルを握ったこぶしで叩きます。これは、パートナーに、リードしたスートの最高位のカードを出すことを要求するとともに、このトリックに勝ったら、同じスートを返す(リードする)ことを要求するものです。

ボロ

 リードするカードを軽く空中に投げ出して、カードがすこし飛ぶようにします。これは、そのプレイヤーがリードしたスートをもう持っていないことを表わします。

 リードしたスートを返して欲しければ、このシグナルとブッソのシグナルを両方いっしょに出します。

ストリスチオ

 切札をリードするときだけ使えるシグナルです。リードするカードをテーブルでこすります。これは、パートナーに出来るだけ多く切札をリードするように求めるものです。しかし、それほど強い要求ではないので、シグナルを受けたパートナーは、従うかどうかは自分で判断します。

手役の発表

 各プレイヤーは、最初のトリックのカードを出す直前に、手役の発表を行います。手役は、パートナーを含まない、個人の手札について計算します。ただし、点数はパートナーの共通の点数となります。

 手役に関係したカードは、表向けにしてプレイヤーの前にさらし、そのままプレイします。

 手役があっても、発表するかどうかはプレイヤーの自由です。手役の一部だけを発表することもできます。

出来役の計算

 出来役の計算は、プレイ終了後に、カードの点数計算と同時に行います。出来役は、手役と違い、パートナーの取ったカードを合わせて計算できます。

 出来役を計算するためには、取ったすべての切札と絵札とエースを、スートごと、ランクごとの縦横に並べるのが良いやりかたです。

得点とゲームの終了

 各ディールのカードの得点、手役、出来役の点数は、スコア表とは別にメモしておきます。すべてのプレイと計算が終わると、これらの点数は合計されてスコア表に記されますが、その前に5の倍数に丸められます。つまり1と2の端数は0に、3から7の端数は5になり、8と9の端数は繰り上がって10になります。

 ディール終了時に、片方のパートナーが800点を超えたら、そのパートナーが勝者となり、ゲームは終了になります。両方が800点を超えたら、点数の高い方が勝ちます。同点ならば、さらにディールを行います。(オットーチェントというゲーム名は800点という意味です。)

 スコアをつけやすくするために、点数を5で割ってスコア表に書き込むこともあります。この場合は160点でゲーム終了となります。

手役と出来役

 このゲームでは手役と出来役は全く同じシステムによる点数となります。

 カードの組み合わせにより点数がつきます。組み合わせには「クリッケ」と「シークエンス」の2種類があります。

 同じカードを違う種類のクリッケやシークエンスに重複して使用することは可能です。

クリッケ

 クリッケに属するのは次の組み合わせです。

タロッキ3枚(タロッキは天使世界ベガトマット 18点
タロッキ4枚 36点
キング3枚 17点
キング4枚 34点
クイーン3枚 14点
クイーン4枚 28点
カバロ3枚 13点
カバロ4枚 26点
ジャック3枚 12点
ジャック4枚 24点

 クリッケが3つ以上できると、クリッケのボーナスは倍になります。

シークエンス

 シークエンスは後述するようなカードの組み合わせです。そのなかにはシークエンスという言葉にふさわしくないものも含まれますが、ゲーム上はシークエンスとして扱われます。

 シークエンスの点数は、3枚のシークエンスが10点で、それより1枚長くなるごとに、5点が加わります。

 シークエンスが3つ以上できると、シークエンスのボーナスは倍になります。

 シークエンスは次の通りです:

  1. エース3枚または4枚
  2. ムーア人3枚または4枚
  3. グランデ

 グランデは切札のシークエンスです。

 グランデとなるには、天使が絶対に必要で、さらに世界太陽のうち2枚以上が必要です。それに加えて、16から連続する数下がりの切札があれば、それもグランデの枚数に加わります。

 つまり、次のような組み合わせです。

D)普通のスートのシークエンス

 普通のスートのシークエンスには、キングが絶対に必要で、それにクイーンカバリエジャックのうち2枚以上が必要です。さらに、エースがあれば枚数が1枚増えます。それ以外の数札はシークエンスには関係しません。

 つまり、次のような組み合わせです。

 もちろん、すべて同じスートでなければなりません。

コンタトリ

 ベガトマットは、シークエンスについてのワイルドカードとして使うことができます。この働きをするとき、この2つのカードをコンタトリと呼びます。

 コンタトリは、すべてのシークエンスに対して、同じカードをワイルドカードとして使うことができます。ただし、もちろん1つのシークエンスに対しては1回しか使えません。

 コンタトリは、ワイルドカードとして使用する代わりに、単にシークエンスの枚数を1枚増やすために使うこともできます。例えば、エース4枚のシークエンスがあれば、5枚のシークエンスとすることができます。

 コンタトリをワイルドカードとして使う際には次のような制限があります。

 )天使キングの代わりには使えません。

 グランデには天使のほかに世界太陽のうち2枚が必要ですが、このうち少なくとも1枚は本当の(コンタトリでない)カードでなければなりません。

 普通のスートのシークエンスはキングのほかにのうち2枚以上が必要ですが、このうち少なくとも1枚は本当のカードでなければなりません。

 エースのシークエンスには少なくとも2枚は本当のエースがなければなりません。

 ムーア人のシークエンスには少なくとも2枚は本当のムーア人がなければなりません。

 グランデの時に、コンタトリが2枚あっても、2つ連続したカードの代わりにはなりません。具体的には次の2つの場合があります。

 (a)切札の数字のカード(16...5)の2つ連続した数字の代わりにはなりません。

 (b)天使、世界と15があった場合には、太陽か月のいずれかと、16の代わりにはなれず、15を含むシークエンスにはなりません。

 ただし例えば天使太陽15があった場合は、世界16の代わりになると考えられるので、15まで続くシークエンスになります。