トップに戻る

ピシュティ(Pishti)

1995/2/15 赤桐
1999/9/4追加

 トルコの全土で盛んにプレイされているゲームです。ピシュティというのはトルコ語で「料理した」という意味だそうです。

 カシノや花札などの系統のゲームですが、合わせることのできるカードがに1枚しかないのが特徴です。ただし、1枚合わせると場のカードがすべて取れます。なお、花札と違って、めくり札はありません。

 ルールはRobert Harbin氏の"Waddingtons Family Card Games"という本を基にしています。彼はこのゲームを強く推薦しています。


人数

 2人、または4人のパートナーシップゲーム。まず、2人用を説明します。

カード

 通常の52枚のカード。

ディール

 カットして高位のカードがディーラーになります。ディーラーはディールごとに交代します。

 ディーラーは4枚のカードを相手に配り、4枚のカードを自分に配ります。

 そのあと、3枚のカードを裏向きに重ねてテーブル中央に配ります。さらに、その上に1枚を表向きに置きます。この4枚のカードが最初の場札になります。(場札はプレイ中もこのように全部重ねて置かれます。)

 もし、一番上のカードがジャックならば、裏向きにして場札の一番下に入れ、一番上にきたカードを表向きにします。

 配り残しのカードの一番下のカードは表向きにします。このカードはそのまま一番下に置いておきますが、インデックスが見えるように少しずらしておきます。

 このカードがジャックの場合は、ディーラーはそれを裏向きにして自分のそばに置きます。このカードは、プレイで取ったカードとして扱われます。

 それ以外の場合には、このカードは、見えているという以外には、特別な働きはしません。

プレイ

 ノンディーラーから順にプレイを行います。

 プレイヤーは、場札の山の一番上のカードと同じランクのカードを場に出すと、場札のカード全部と出したカードを取ることができます。例えば、場札の一番上のカードがキングならば、キングを出して、場札全部と出したキングを取ることができます。(したがって、取ると場札は1枚もなくなります。)

 取ったカードは、自分のそばに裏向きに置きます。これは、もうプレイには使用しません。取った直後に、取ったカードの内容を見ることはできますが、一度裏向きに置かれたカードは、自分のものでも後で見ることはできません。

 場札の一番上のカードと同じカードがないときや、取りたくないときには、どのカードでも1枚を場札の上に表向きに置きます。今度はこのカードが場札の一番上のカードとなります。

 場札が1枚もないときにも、1枚のカードを表向きに置いて、新しい場札とします。

 このゲームではジャックワイルドカードになります。場札の一番上が何のカードであっても、ジャックを出すと取ることができます。

 場札の一番上のカードがジャックだった場合には、ジャックでしか取ることはできません。

追加ディール

 両方のプレイヤーの手札がなくなったら、ディーラーは配り残しのカードから4枚ずつを各プレイヤーに配ります。

 一番下の表向きのカードも、最後にディーラーに配られることになります。もし、ジャックが表になった結果、そのカードがなければ、ディーラーは最後は3枚しか配られないことになります。

 手札がなくなって、配り残しのカードもない場合は、ディール終了となります。残っている場札はどちらのものにもなりません。

得点

 ディールが終わると次のように得点を計算します。

取ったカードの多いプレイヤーに3点
D103点
C2点
エース1点
ジャック1点
ピシュティ10点

 ピシュティとは、場に1枚しかカードがないときに、場のカードを取ることです。(つまり、2回以上続けて場のカードを取った時に発生します。)

得点

 ディールが終わって、どちらかの得点が101点以上ならば、ゲームは終了します。(101点の代わりに151点にしてもかまいません。)

 得点の多いプレイヤーが勝者となります。


4人ゲーム

 最初に配られる手札やプレイ途中に配られる手札は、2人ゲームと同じように、4枚です。

 ディーラーの左隣から時計回りにプレイは行われます。

 向かい合った2人はパートナーとなります。


ブラフ・ピシュティ

 このゲームのバリエーションです。

 ピシュティをしようとするときに、出すカードを裏向きに出します。

 相手が何も言わなければ、そのままピシュティとして場札を取っていきます。

 相手が「違う」と言った場合には、出したカードを表向きにします。その結果、次のようになります。


スコアのつけ方

 トルコでは、このゲームのスコアを次のようにつけるそうです。

 各プレイヤー(パートナー)のスコアシートを、ラバーブリッジと同じように、横線を引いて、上の部分と下の部分に分けます。

 上の部分には、得点の10点ごとに線を1本ずつ書き入れていきます。書き方は40点までは縦の短い線を横に並べ、50点になると4本の縦線にクロスする長い横線を書きます。次からは、また別の所に縦線を書いていき、50点目(累計100点目)にはまた横線を引きます。(日本で「正」の字を1画ずつ書いていくのと同じことです。)

 下の部分には、累計点の10点未満の端数を書き入れます。端数が変わるごとに、新しい端数を書き入れていきます。

 この書き方をするときには、ピシュティの点数は発生するたびに記入します。つまり、上の部分に線を1本ずつ書き加えます。


 ゲームの名前"Pishti"を「ピシュティ」と読むことについては、松田道弘氏訳の「トランプゲーム大百科」に従っておきました。

 なお、"Pashta"と呼ばれることもあるようです。

 David Parlett氏が"A Dictionary of Card Games"で紹介しているルールでは、ジャックはワイルドカードではなく、配り残しの一番下のカードを表にすることもありません。また、100点到達でゲーム終了となります。

 本文では、プレイ中にピシュティが発生して、その得点を加算すると101点に到達するような場合でも、ディール終了までプレイを行うというように書きましたが、それが正しいかどうか確認できませんでした。

 もしかしたら、ピシュティの得点はすぐに累計点に加算されて、それが101点に到達したら、その時点でゲーム終了になるのかもしれません。

 場札の一番上のカードがジャックの場合の取り方についても、本文が正しいかどうかは確認できませんでした。

 なお、「場札の一番上」と書きましたが、ジャックがそういう状態になるのは、その前に相手が場札を取って、ジャック捨て札した場合だけです。したがって、ジャックは1枚だけで場にあることになります。

 http://www.pagat.com/に紹介されているルールは次の点が本文と違います。

 )4人プレイではディーラーの右隣から反時計回りにプレイします。ディールのときも、ディーラーの右側から4枚ずつ反時計回りに配ります。

 )ディーラーの左隣のプレイヤーはディールの前にカットしますが、そのとき一番下に来ることになるカードを見ます。それがジャックだった場合にはその上に一番近いのジャックでないカードを取って、一番下に来る位置に置きます。(そのカードは後で本文と同じようにずらして見えるようにします。)

 ジャックジャック以外の1枚の場札を取ってもピシュティにはなりません。

 ジャックで場札のジャックを取った時のピシュティの点数は10点ではなく20点になります。

 )プレイ後に残った場札は、最後に場札を取ったプレイヤーが取ります。

 )ゲームの終了は151点です。ディールが終わって得点計算の終わった時点で判定されます。