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プッシュ(Push)

2007/5/5 赤桐

 コントラクト・ラミーに似たゲームですが、4人で行うパートナーゲームであり、カードのドローのしかたが変わっています。

 ルールは John McLeod氏のホームページ(http://www.pagat.com/)によります。Paul Walty氏によるものだそうです。どのような由緒のゲームかは、よく分かりません。

プレイヤー

 4人。向かい合った2人がパートナーになります。

カード

 52枚のトランプ2組とジョーカー4枚の108枚のカードを使います。

 カードのランクは(低)10(高)の順です。は最も下のカードとしても最も上のカードとしても使えます。

 カードの点数は次の通りです。この点数はプレイの最後にこれらのカードが手札に残っていたときの罰点です。

ジョーカー 20点
15点
10Q 10点
5点

メルド

 特定の組み合わせの1組のカードのことです。ただし、このゲームでは表向きにテーブルに出さないとメルドとは認められません。

 このゲームの目的は、手札からメルドを作っていくことです。

 メルドには次の2種類があります。

[ラン(run)]

 同じスートの3枚かそれ以上の続き札のことです。例えば、HH10HJの3枚はランになっています。

 エース)はの下のカードとして、--というようにつながります。また、の上のカードとして--というようにもつながります。しかし、---というようにはつながりません。

 同じスートのランを2つ以上作ることは可能ですが、2つのランを合体させたり(---------)、1つのランを2つに分けたり(---10-J----10-J--)することはできません。

[セット(Set)]

 3枚または4枚の同じランクのカードです。例えば、HSCの3枚はセットになっています。セットの中に同じスートのカードを2枚含めることはできません。つまり、HSSなどはセットにはなりません。

 同じランクのセットを2つ以上作ってもかまいません。

ワイルドカード

 このゲームでは、ジョーカーワイルドカード(代札)です。メルドにおいて、どのカードの代わりにでも使うことができます。

 ワイルドカードを使うときにはどのカードの代わりにするかをはっきり言わなければなりません。ただしセットの場合にはどのスートのカードの代わりにするかを言う必要はありません。

 例えば、D8-C2-ジョーカーをメルドにした場合、ランにする場合なら、ジョーカーCがそれぞれ何のカードを表すかを言わなければなりません。つまり、D6-D7-DなのかD7-D8-DなのかD8-D9-D10なのかを明らかにする必要があります。セットにする場合には、セットにすると宣言するだけでかまいません。

 ワイルドカードの使用制限はありません。ワイルドカードだけのランやセットを作ってもかまいません(ランのときはスートと各カードのランク、セットのときはランクを宣言する必要があります)。はそのままのカードとしても使えます。

最初のメルド

 このゲームでは各プレイヤーが最初にメルドを作るためには、次の表の「最初のメルド」の欄のメルドを1度に出さなければなりません。何ディール目かで最初のメルドの内容は変わります。

ディール順 配る枚数 最初のメルド
1
6 3枚のセットを2組
2
7 3枚のセットを1組と、4枚のランを1組
3
8 4枚のランを2組
4
9 3枚のセットを3組
5
10 5枚のランを2組

ディール

 最初のディーラー任意に決めます。次回からは時計回りに交替します。

 ディーラーは1ディール目は6枚ずつカードを配りますが、ディールが進むにつれて1枚ずつ配るカードが増えます。上記の表の「配る枚数」の欄を参照ください。カードは左隣のプレイヤーから時計回りに1枚ずつ配ります

 残ったカードは山札としてテーブル中央に裏向きに置きます。山札の一番上のカードは表にされて山札の横に置かれます。これが最初の捨て札となります。プレイ中の捨て札は常にこの場所に置かれます。表向きにしたカードがワイルドカードだった場合には、それを山札の中に入れて、再び山札の一番上のカードを表向きにします(これもワイルドカードだった場合は同じことを繰り返します)。

プレイ

 ディーラーの左隣のプレイヤーが最初にプレイし、時計回りの順に1人ずつプレイを行います。

 各プレイヤーのプレイは次のように行います。

 )まず、山札または捨て札からカードを取って手札に加えます。これをドロー(Draw)といいます。

 )次に、可能ならば、メルドを作ったりレイオフというプレイをすることができます。可能な場合でも、しなくてもかまいません。

 )最後に、手札から1枚のカードを捨て札します。捨てるカードは捨て札の場所に表向きに置きます。

ドロー

 ドローは次のA)B)のいずれかの方法で行います。

 A)捨て札を取って手札に加えます。

 B)山札の一番上のカードを裏向きのまま捨て札に乗せ、そのカードと捨て札(合計2枚)を左隣のプレイヤーに渡します。左隣のプレイヤーはそれを他のプレイヤーに見せないで手札に入れます。次に、その番のプレイヤーは山札の一番上のカードを取って手札に加えます。

メルド

 自分の手札にメルドになるカードがあれば、それを表向きにテーブルに出して、メルドとすることができます。

 ただし、各プレイヤーの最初のメルドのときには、前記の「最初のメルド」の条件のメルドを一度に出さなければなりません。この条件のメルドを含んでいれば、もっと多いまたは長いメルドでもかまいません。たとえ自分のパートナーが最初のメルドをしていても、この条件は免除されません。

 最初のメルドの次の番からは、自由にメルドを作ることができます。

レイオフ(laying off)

 レイオフとはメルドにカードを付け加えることです。もちろん、付け加えてもメルドの条件を満たしていることが条件です。レイオフは自分、パートナーおよび敵のプレイヤーの誰のメルドに対しても行うことができます。

 例えばHSCのメルドがあるならば、手札にDを持っていれば、それをレイオフすることができます。また、CC10CCQのランに対して、CKCをレイオフすることができます。

 ワイルドカードをレイオフすることも自由にできます。

 レイオフのプレイをすることができるのは、メルドをしたことのあるプレイヤーだけです。最初のメルドをしたその番でレイオフすることもできます。

ワイルドカードの置き換え

 ワイルドカードを含んだメルドで、ワイルドカードが代わりをしているカードの本物を持っているプレイヤーは、そのカードをワイルドカードの位置に置き、そのワイドカードを使ってメルドを作ることができます。(手札に入れることはできません。また、レイオフに使うこともできません。)

捨て札

 プレイの最後に、必ず手札から1枚を捨て札します。 

プレイの終了

 誰かがメルドやレイオフや捨て札によって手札がなくなると、プレイが終了します。つまり、捨て札をしないで手札がなくなっても、捨て札をすることにより手札がなくなってもかまいません。

 山札が1枚以下になって、次のプレイヤーが捨て札を取らなかった場合もプレイは終了します。

得点

 上がったプレイヤー(手札がなくなったプレイヤー)の相手チームのプレイヤーは、メルドしていない手札の点数を合計して、罰点として記入します。上がったプレイヤーのパートナーの罰点は計上しません。

 どちらのチームも上がらなかった場合は、両チームが罰点を計上します。

ゲーム

 5ディール終わって、罰点の合計の少ないチームが勝ちになります。


 John McLeod氏のホームページのルールには山札が1枚以下になった場合のルールはありませんでした。私が推測で追加したものです。実際にはそのようなことはほとんど起こらないようです。


 2007年5月5日に、なかよし村でプレイしました。ドローの異様なルールにどうなることかと思いましたが、とても面白くプレイできました。

 カードを押し付けられることは必ずしも不利にはならないようです。1回も押し付けられなければ逆に上がるのは難しいでしょう。また、捨て札をするときのは、そのカードがパートナーに行く可能性も考慮する必要があります。

 他のプレイヤーが、どの捨て札を取ったか取らなかったか、どの捨て札をしたか、どのカードを押し付けられたまま手札に入れているかなど、できるだけ記憶しておく必要があり、考えようとすると結構深いゲームです。

 とはいえ、他のラミーゲームと同じように、実際の勝敗は運で決まることが多いのも事実です。引いてくるワイルドカードの数が決定的に勝敗に影響します。