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ルーマニアン・タロック(Romanian Tarok)

2002/5/4
赤桐裕二

 ルーマニア北東部のタロットゲームです。 タロンと手札を交換するときに、選び方によって失敗したときの違ってくるという特徴的なルールがあります。

 ルールは http://www.pagat.comによります。


プレイヤー

 4人または3人でプレイしますが、まず4人プレイを説明します。

カード

 オーストリアパックと同じ種類の54枚のタロットカードを使います。スペード、クラブ、ダイヤモンド、ハートの4つのスートがあり、各スートには8枚のカードがあります。それ以外に切札(taroas)のスートが22枚あります。

 黒のスート(スペードとクラブ)のカードとその強さは強い順に次の通りです:

   キングクイーンカバロジャック10

 赤のスート(ハート、ダイアモンド)のカードとその強さは:

   キングクイーンカバロジャック

 切札の最強のカードは数字が何も入っていない「スキズ(Skiz,愚者)」のカードです。次に強いのがローマ数字でXXI(21)の数字の書かれているカードです。これはルナ(luna月)と呼ばれます。

 以下、数字が小さくなると弱くなっていき、I(1)のカードが切札では最も弱いカードとなります。このカードはパガット(Pagat)と呼ばれます。

カードの点数

 プレイの目的はトリックに勝って、取ったカードの点数を得ることです。全部で70点ありますが、普通は自分と自分の仲間の取ったカードの点数の合計で36点以上を狙います。

 各カードの点数は次の通りです:

スキズ(愚者)

5

モンド(切札21

5

パガット(切札

5

キング

5

クイーン

4

カバロ

3

ジャック

2

それ以外のカード

1

 さらに、取ったカードを3枚1セットにして、それぞれについて2点を引いていきます。2枚または1枚残ったら1点を引きます。

ディール

 4枚のカードの中に切札を1枚だけ入れて、シャッフルして各プレイヤーに配り、切札を配られたプレイヤーが最初のディーラーになります。1つのディールが終わるとディーラーは反時計回りに右隣のプレイヤーに移っていきます。

 最初のディールの前に、各プレイヤーは1ゲームポイントに相当するチップを、テーブル上の1つの入れ物またはどこかの場所に置きます。これをプールと呼びます。さらに、各ディールの前にディーラーは1チップそのプールに入れなければなりません。(従って、最初のディールではディーラーが2チップ、他のプレイヤーが1チップを入れることになります。)

 ディーラーはカードをシャッフルして、向かい合ったプレイヤーにカットしてもらいます。

 ディーラーは最初の6枚をテーブル中央に裏向きに置きます。これがタロンとなります。残りのカードは、ディーラーの右隣から反時計回りに、6枚ずつ2回各プレイヤーに配ります。各プレイヤーの手札は12枚となります。

 もし、手札にキングも切札も1枚もなければ、そのプレイヤーはそのディールの無効を宣言してもかまいません。この場合、このディールはプレイされず、次のディーラーが新しいディールを始めます。

ビッド

 ディールが終わると、デクレアラーを決めるためにビッドを行います。

 ビッドには大きく分けてドイ(doi=2枚)、ウヌ(unu=1枚)、ソロ(solo)の3種類があります。それぞれ、デクレアラーは手札とタロンを2枚、1枚、0枚交換できます。

 ビッドを細かく分けると次の種類になります。後ろに行くほど強いビッドです。

 ビッドはディーラーの右隣ののプレイヤーから反時計回りに1人ずつ行います。1度パスをするともうビッドに参加できませんが、パスをしない限り何度でもビッドできます。

 最初にパス以外のビッドを行うプレイヤーは、「最初のドイ」か「最初のウヌ」か「ソロ」のビッドしかできません。

 あとのプレイヤーはそれより強いビッドをしなければなりませんが、「2番目のドイ」は「最初のドイ」があったときだけビッドすることができます。「3番目のドイ」は「2番目のドイ」があったときだけビッドできます。

 同様に、「2番目のウヌ」は「最初のウヌ」があったときだけビッドでき、「3番目のウヌ」は「2番目のウヌ」があったときだけビッドできる、などとなります。

 ただし、席順が上位のプレイヤーは下位のプレイヤーのビッドに対してラ・ミネ(la mine)を宣言できます。これは下位のプレイヤーと同じビッドをするという意味ですが、そのまま決まればラ・ミネをビッドしたプレイヤーのビッドが優先されます。席順はビッドの順と同じようにディーラーの右隣が最も上位で、以下反時計回りに下がっていき、ディーラーが最も下位となります。

 3人続けてパスをすればその時点でビッド終了です(3人パスをした後に最後にビッドをしたプレイヤーが別のコントラクトをビッドすることはできません)。最後にビッドしたプレイヤーがデクレアラーになります。

パートナーの指名

 ビッドが終わると、デクレアラーはパートナーを指名しなければなりません。どれかのスートのキングを指定して、そのカードを持っているプレイヤーをパートナーに指名します。

 自分の持っているキングを指定してもかまいません。その場合にはパートナーがいません。また、自分がキングを4枚すべて持っている場合(この場合にもキングの指定は行います)や、タロンの中に指定したキングがあった場合にも、パートナーなしでプレイすることになります。

 なお、指名されたプレイヤーは、プレイや宣言で明らかになるまでは、指名されたことを誰にも告げてはいけません。自分を指名した場合も同じです。

タロンとの交換

 パートナー指名の後で、ソロ以外のビッドの場合には以下のようにタロンと手札との交換を行います。レベルと書かれている数字は得失点の計算の時に使う数です。

 「最初のドイ」のプレイヤーは次にいずれかを行うことができます。

  1. タロンの最初の2枚を自分だけで見て、それを手札に加える。(レベル1)
  2. タロンの最初の2枚が気に入らない場合、それを全プレイヤーに公開し、2番目の2枚を自分だけで見て手札に加える(レベル2)
  3. 2番目の2枚も気に入らない場合、全プレイヤーに公開し、3番目の2枚を自分だけで見て手札に加える。(レベル3)
  4. 3番目の2枚も気に入らない場合、3番目の2枚を公開したあと、最初の2枚を取る。(レベル4)
  5. その代わりに、2番目の2枚を取る。(レベル5)

 「2番目のドイ」では、タロンのカードを2枚ずつの組に分けて、次にいずれかを行うことができます。

  1. タロンの2番目の2枚を自分だけで見て、それを手札に加える。(レベル2)
  2. タロンの2番目の2枚が気に入らない場合、それを全プレイヤーに公開し、3番目の2枚を自分だけで見て手札に加える(レベル3)
  3. 3番目の2枚も気に入らない場合、全プレイヤーに公開し、1番目の2枚を自分だけで見て手札に加える。(レベル4)
  4. 1番目の2枚も気に入らない場合、1番目の2枚を公開したあと、2番目の2枚を取る。(レベル5)
  5. その代わりに、3番目の2枚を取る。(レベル6)

 「3番目のドイ」では、タロンのカードを2枚ずつの組に分けて、次にいずれかを行うことができます。

  1. タロンの3番目の2枚を自分だけで見て、それを手札に加える。(レベル3)
  2. タロンの3番目の2枚が気に入らない場合、それを全プレイヤーに公開し、1番目の2枚を自分だけで見て手札に加える(レベル4)
  3. 1番目の2枚も気に入らない場合、全プレイヤーに公開し、2番目の2枚を自分だけで見て手札に加える。(レベル5)
  4. 2番目の2枚も気に入らない場合、2番目の2枚を公開したあと、3番目の2枚を取る。(レベル6)
  5. その代わりに、1番目の2枚を取る。(レベル7)

 「最初のウヌ」の場合は次のいずれかを行うことができます。

  1. タロンの最初の1枚を自分だけで見て、それを手札に加える。(レベル1)
  2. タロンの最初の1枚が気に入らない場合、それを全プレイヤーに公開し、2枚目を自分だけで見て手札に加える(レベル2)
  3. 2枚目も気に入らない場合、全プレイヤーに公開し、3枚目を自分だけで見て手札に加える。(レベル3)
  4. 3枚目も気に入らない場合、全プレイヤーに公開し、4枚目を自分だけで見て手札に加える。(レベル4)
  5. 4枚目も気に入らない場合、全プレイヤーに公開し、5枚目を自分だけで見て手札に加える。(レベル5)
  6. 5枚目も気に入らない場合、全プレイヤーに公開し、6枚目を自分だけで見て手札に加える。(レベル6)
  7. 6枚目も気に入らない場合、全プレイヤーに公開し、1枚目を手札に加える。(レベル7)
  8. その代わりに、2枚目を手札に加える(レベル8)
  9. その代わりに、3枚目を手札に加える(レベル9)
  10. その代わりに、4枚目を手札に加える(レベル10)
  11. その代わりに、5枚目を手札に加える(レベル11)

 「2番目のウヌ」の場合は次のいずれかを行うことができます。

  1. タロンの2枚目のカードを自分だけで見て、それを手札に加える。(レベル2)
  2. タロンの2枚目のカードが気に入らない場合、それを全プレイヤーに公開し、3枚目を自分だけで見て手札に加える(レベル3)
  3. 3枚目も気に入らない場合、全プレイヤーに公開し、4枚目を自分だけで見て手札に加える。(レベル4)
  4. 4枚目も気に入らない場合、全プレイヤーに公開し、5枚目を自分だけで見て手札に加える。(レベル5)
  5. 5枚目も気に入らない場合、全プレイヤーに公開し、6枚目を自分だけで見て手札に加える。(レベル6)
  6. 6枚目も気に入らない場合、全プレイヤーに公開し、1枚目を自分だけで見て手札に加える。(レベル7)
  7. 1枚目も気に入らない場合、全プレイヤーに公開し、2枚目を手札に加える。(レベル8)
  8. その代わりに、3枚目を手札に加える(レベル9)
  9. その代わりに、4枚目を手札に加える(レベル10)
  10. その代わりに、5枚目を手札に加える(レベル11)
  11. その代わりに、6枚目を手札に加える(レベル12)

 「3番目のウヌ」〜「6番目のウヌ」の場合も上記に準じてタロンからカードを1枚取ります。「3番目のウヌ」はレベル3から始まり、「6番目のウヌ」はレベル6から始まるというようになります。

 デクレアラーはタロンから取った枚数のカードを裏向きに捨て札します。キングやスキズや切札21(ルナ)や切札1(パガット)、つまり5点のカードは捨て札できません。他の切札も、切札が多すぎてどうしても捨てなければならない場合以外は、捨て札することはできません(切札の捨て札だけは表向きにします)。

 捨て札したカードと、取らなかったタロンのカードは裏向けにデクレアラーの右に置きます。これらはプレイの後に、デクレアラーのチームの取ったカードとして扱われます。

 ソロの場合には、タロンのカードは誰も見ることはできません。そのままデクレアラーの右に置かれて、プレイの後に、デクレアラーのチームの取ったカードとして扱われます。

 デクレアラーは、タロンの中に指名したキングを見つけた場合には、1ゲームを失ったことにして、降伏することもできます。

プレイ

 プレイはトリックテイキングゲームのルールに従いますが、次の規則があります。

 最初のリードは、デクレアラーが誰かに関わりなく、ディーラー右隣のプレイヤーが行います。プレイは反時計回りに行います。

 切札がリードされたときには、切札を持っていれば、切札のカードを出さなければいけません(マスト・フォローと言います)。持っていなければ、何を出してもかまいません。

 切札以外のカードがリードされたときには、リードされたスートを持っていればそのスートのカードを出さなければなりません(マスト・フォロー)。リードされたスートを持っていなくて、切札を持っていれば切札を出さなければいけません(マスト・ラフと言います)。それ以外の時には何を出してもかまいません。

 トリックは、切札がプレイされているときには最も強い切札を出したプレイヤーが勝ち、切札がプレイされていないときにはリードされたスートの最も強いカードを出したプレイヤーが勝ちます。

 取ったトリックはチームごとに裏向きに置かれます。

コンベンション

 切札10より弱い切札をリードすることは、強い2枚の切札の1枚つまりスキズまたはルナ(切札21)をもっていることをパートナーに伝える意味になります。切札10以上の切札をリードすることは、普通、この2枚の強い切札を持っていないという意味になります。このコンベンションはデクレアラーのチームでよく用いられます。絶対に守らなければならないルールではなく、相手を欺くために用いることもあります。

ボーナス

 プレイによって次のボーナス得点(失点)があることがあります。

トルラ(Trula)

 1チームがスキズ、ルナ(切札21)、パガット(切札)を全部取ったときにボーナス点があります。

トチ・レギイ(roti regii)

 1チームが4枚のキングをすべて取ったとき。

レゲレ・プリンス(regere prins)

 パートナー指名に使われたキングを相手チームが取ったときや、タロンの中にあったけれどデクレアラーがそれを手札に入れなかったときに、デクレアラーの相手チームにつきます。

ルナ・プリンサ(Luna prinsa)

 ルナ(切札21)が相手チームのスキズによって取られたときに、取ったチームにつきます。

パガット・ウルティモ(Pagate ultimo/pagat la fine)

 最後のトリックをパガット(切札)で勝ったときにつきます。最後のトリックにパガットを出して他のプレイヤーが勝った場合には、パガットを出したほうでないチームがこのボーナスを得ます。(パガットを出したチームのもう1人のプレイヤーが勝った場合にも、相手チームが得点します)。

レゲ・ウルティモ(Rege ultimo/popo la fine)

 デクレアラーチームが最後のトリックに指名のときのキングを出して、デクレアラーチームが勝ったときにつきます(そのキングで勝たなくてもかまいません)。

 最後のトリックに指名のときのキングが出て、相手チームが勝った場合には、相手チームはレゲレ・プリンスのボーナスだけでなく、レゲ・ウルティモのボーナスも得ます。

バラット

 1つのチームが全トリックを取ったときのボーナスです。

宣言

 タロンのカードの交換の後、プレイが始まる前に、次の宣言を行うことができます。宣言により得点が変わってきます。

 宣言には次の種類があります。

  1. 手役の発表(切札の枚数を発表)
  2. ボーナスの予告: ボーナスの得点を得ることを予告して得点を多くしようとするもの
  3. コントラ: ゲームの得失点やボーナスの得失点を倍にするもの

手役の発表(切札の枚数を発表)

 次のいずれかの宣言をすることができます。

 ただし、各チームにはそれぞれ1つの手役しか認められません。自分のチームのプレイヤーが先に自分と同じかそれ以上の枚数の手役を発表していた場合には、手役を発表することはできません。(誰が自分のチームかわかっていない場合には、発表できます。また、発表のときにどのチームであるかは言いません。)

 発表できないときや、したくないときは、メルゲ(merge)と言います。

ボーナスの予告

 ボーナス得点を得ることをあらかじめ宣言しておくと、より高い得点を狙うことができます。

 宣言のときには、自分がどちらのチームかも言います。

 トルラ、トチ・レギイ、ルナ・プリンサ、バラットの宣言はだれでもできます。

 パガット・ウルティモを宣言できるのはデクレアラーだけです。この宣言をすると、パガットを最後のトリックより前にプレイしてしまったときや、デクレアラーチームがパガットを持っていなかったときにも、相手チームにこのボーナスがつきます。パガット・ウルティモを宣言するときに、切札を8枚以上持っていれば、必ず手役(切札枚数)を発表しなければなりません。

 レゲ・ウルティモを宣言できるのは、指名されたキングを持っているプレイヤーだけです。やはり、指名されたキングを最後のトリックより前にプレイした場合も失敗となり、相手チームがボーナスをもらいます。

コントラ

 プレイによる得点に対して、デクレアラーの相手側のチームのプレイヤーは、コントラ(contra)を宣言して得失点を2倍にすることができます。それに対して、デクレアラーのチームのプレイヤーはレコントラ(recontra)を宣言して得失点を4倍にすることができます。レコントラに対して、デクレアラーの相手側のチームのプレイヤーは、スプラ(supra)を宣言して得失点を8倍にすることができます。スプラに対して、デクレアラーのチームのプレイヤーはヒルス(hirs)を宣言して得失点を16倍にすることができます。ヒルスに対して、デクレアラーの相手側のチームのプレイヤーは、モルド(mord)を宣言して得失点を32倍にすることができます。

 ボーナスの予告に対しても、それぞれコントラを宣言することができます。コントラに対し、レコントラ、スプラ、ヒルス、モルドも同じように宣言できます。ただし、どちらのチームに所属するか明らかになっていないプレイヤーの予告に対しては、コントラを宣言することはできません(ただし、指定されたキングを自分が持っていて、予告したのが相手チームだと分かる場合にはコントラを宣言できます)。

 パガット・ウルティモに対してコントラを宣言するときに切札を8枚以上持っていれば、必ず手役(切札枚数)を発表しなければなりません。

宣言の順序

 宣言はデクレアラーから始まって、反時計回りに1人ずつ行います。

 自分の番のときに上記3種類の宣言をすべておこないます。1回りした後は、手役の発表やボーナスの予告は行うことができません。コントラなどの宣言はそれができる最初の機会に行わなければなりません。コントラなどの宣言のあと3人続けてパスがあると宣言終了です。

得点

 2人対2人のプレイの場合、計算されたゲームポイントのチップを1つのチームの各プレイヤーからそれぞれ相手チームの各プレイヤーに渡します。

 デクレアラーが1人でプレイした場合、勝ったときには、計算されたゲームポイントのチップを他の3人ぞれぞれからもらいます。負けた場合には、計算されたゲームポイントのチップを他の3人ぞれぞれに渡します

 同じチームの得失点は同じです。手役の場合も同じゲームポイントを相手チームからもらうことになります。

ビッドの種類 ドイ ウヌ ソロ
デクレアラーチームの成功 2 3 8
デクレアラーチームの失敗 2 x レベル数 3 x レベル数 8
手役 8枚切札 1 1 1
9枚切札 2 2 2
10枚切札 3 3 3
トルラ 予告なし 1 1 2
予告あり 2 2 4
トチ・レギイ 予告なし 1 1 2
予告あり 2 2 4
レゲレ・プリンス 予告なし 1 1 2
予告あり - - -
ルナ・プリンサ 予告なし 1 1 2
予告あり 2 2 4
パガット・ウリティモ 予告なし 1 1 2
予告あり 7 7 9
レゲ・ウルティモ 予告なし 1 1 2
予告あり 2 2 4
バラット 予告なし 8 8 32
予告あり 16 16 64

 デクレアラーチームの成功とは、デクレアラーチームが36点以上取ったときで、失敗とは36点未満のときです。 

 コントラなどが掛かったとき、デクレアラーチームの成功のドイのときの基本点(コントラで2倍などする前のゲームポイント)は2ではなく 2 x レベル数になります。ウヌの基本点は 3 x レベル数になります。

 バラットがあったときや、バラットの予告があったときには、デクレアラーチームの成功、失敗についてのゲームポイントはなくなります。

パガットウルティモのとき

 パガット・ウルティモの宣言があった場合、上記のほかにプールとのやり取りがあります。

 宣言成功の場合、デクレアラーチームはプールを全部もらい、同額にわけます(端数はデクレアラーのもの)。失敗の場合、プールと同額をデクレアラーチーム全員で分けてプールに払います(端数はデクレアラーが払います)。

 コントラのとき。宣言成功の場合、デクレアラーチームはプールを全部もらい、半分ずつ分けます(端数はデクレアラーのものです)。相手チームはプールの額が以前の2倍になるようにプールに入れます。失敗の場合、相手チームはプールを全部もらい分けます。デクレアラーチームは、プールの額が以前の2倍になるようにプールに入れます。

 レコントラ、スプラ、モルドなどでも同様に、もらうのはプールの額だけですが、入れるのは2倍ずつ増えていきます。

指名したキングがタロンにあった場合

 デクレアラーが指名したキングをタロンのなかで見つけた場合、降伏することができます。

 この場合、デクレアラーは各プレイヤーにプレイに失敗したときの点数(2 x レベル数、または 3 x レベル数)を支払います。

 もし、手札にトルラの3枚のカードのうち1枚もなければ、予告無しのトルラの点数(1ゲームポイント)も払わなければなりません。

 指名したキングをタロンのなかで見つけたのにそのカードを取らずにプレイを行った場合、プレイ終了後そのキングは相手チームのものになります。さらに、レゲレ・プリンスのゲームポイントが相手チームにつきますが、この場合は1ゲームポイントではなく、2ゲームポイントになります。

 タロンの中のデクレアラーが見なかったところに指名したキングがいた場合には、相手チームにレゲレ・プリンスのゲームポイントはつきません。ドイまたはウヌのビッドのときには、そのキングはデクレアラーチームのものになりますが、プレイで取ったカードの中から点数の少ないカードを1枚相手チームに与えなければなりません。「ソロ」のビッドの場合には、そのキングは相手チームのものになります。

ミキミキ(Michi-michi)

 ビッドのとき、全プレイヤーがパスをするとミキミキのプレイが行われます。

 プレイのあと、各プレイヤーは取ったトリック1つについて1ゲームポイント分のチップをプールに入れます。それ以外の得失点はありません。

 ミキミキのあと4ディールはすべてのゲームポイントは2倍になります。(プールについては通常どおりです)。この期間をラドレル(radler)と呼びます。

 ラドレルの間にミキミキがあったときには、取ったトリック1つについて2ゲームポイント分のチップをプールに入れます。また、ラドレルの期間が4ディール延びます。


3人ゲーム

 ルーマニアン・タロックの3人ゲームのことをタペル(taper)と呼びます。

 カードは4人用のカードから黒のスートのと赤のスートのを取り除いた42枚を使います。

 プールへのチップの入れ方やカードの配り方はは4人ゲームと同様です。カットはディーラーの左隣のプレイヤーが行います。

 カードの枚数が少なくなったので、全点数は66点になります。デクレアラーは34点以上取らなければ成功にはなりません。

 デクレアラーは必ず1人でプレイします。

 3人ゲームにはトレイ(trei=3枚)のビッドがあり、ドイより弱いビッドになります。最も低いビッドは「最初のトレイ」(ウヌル・デ・トレイ=unul de trei)で、次が「2番目のトレイ」(アル・ドイレア・デ・トレイ=al doilea de trei)になります。その後、「最初のドイ」以下4人ゲームと同じビッドが続きます。

 「最初のトレイ」のプレイヤーは次にいずれかを行うことができます。

  1. タロンの上の3枚を自分だけで見て、それを手札に加える。(レベル1)
  2. タロンの上の3枚が気に入らない場合、それを全プレイヤーに公開し、下の3枚を自分だけで見て手札に加える(レベル2)
  3. 下の3枚も気に入らない場合、それを公開したあと、上の3枚を取る。(レベル3)

 「2番目のトレイ」では、タロンのカードを3枚ずつの組に分けて、次にいずれかを行うことができます。

  1. タロンの下の3枚を自分だけで見て、それを手札に加える。(レベル2)
  2. タロンの下の3枚が気に入らない場合、それを全プレイヤーに公開し、上の3枚を自分だけで見て手札に加える(レベル3)
  3. 上の3枚も気に入らない場合、それを公開したあと、下の3枚を取る。(レベル4)

 トレイを成功したときは1ゲームポイントになります。失敗したときはレベル数がそのまま失点になります。コントラなどのときに成功したときにはレベル数にコントラなどの倍数を掛けたものが得点になり、失敗したときにはレベル数にコントラなどの倍数を掛けたものが失点になります。

 4人ゲームの8枚切札、9枚切札、10枚切札の手役の代わりに10枚切札、11枚切札、12枚切札の手役になります。点数はそれぞれ、1ゲームポイント、2ゲームポイント、3ゲームポイントです。パガットウルティモを予告しているプレイヤーや、相手のパガットウルティモに対してコントラを宣言しているプレイヤーは、10枚以上の切札が手札にあった場合には必ず手役を発表しなければなりません。

 キングの指名がないので、レゲレ・プリンスやレゲ・ウルティモのボーナスはありません。

 ミチミチはありません。全員がパスの場合は流れになり、次のディーラーが新しいディールを行います。ただし 次回からの3ディールの間ははラドレルになります(得点が倍になります)。

 上記以外のルールは4人ゲームと同じです。


注1

 ディールの前のカットのとき、カットするプレイヤーは、カットする代わりにカードの束をノックする(上を軽くたたく)こともできます。この場合ディーラーの右隣のプレイヤーは次の配り方のいずれを行うかを選択します。なお、どの場合も最初の6枚はタロンに配ります。

  1. 通常どおり6枚ずつ配ります。
  2. 12枚ずつまつめて4つの山を配ります。ディーラーの右隣のプレイヤーは4つの山のうちどの山を手札にするかを選択できます。同じようにして反時計回りの順に残っているどの山を自分の手札にするかを選択していきます。
  3. アベレス(abeles)というやり方。最初の6枚はタロンに配り、次の6枚はディーラーの右隣に配ります。そのあとは12枚ずつまとめて他の各プレイヤーに配ります。そのあとディーラーの右隣に6枚を配ります。
  4. 1-2-3-3-2-1というやり方。最初の6枚をタロンに配ったあと、まとめて1枚、2枚、3枚、3枚、2枚、1枚というように配ります。

注2

 4人ゲームでも、トレイのビッドを認めることがあります。