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三打哈(サンダーハー/さんだごう)

2023/11/4 赤桐

中国の湖南省で発祥し当地で盛んにプレイされているゲームです。 全国的にもある程度プレイされているようです。 トランプを使ったトリックテイキングゲームです。


プレイヤー

4人または3人。まず4人ゲームを紹介します。

カード

普通のトランプから各スートのを抜きジョーカー2枚を加えた46枚のカードを2組使います。 2種類のジョーカーを区別する必要があります(2枚ずつ4枚使います)。 それぞれ大王小王と呼びます。

4つのスートのどれかが切札(主牌)となりますが、7のランクのカードと2のランクのカードもすべて切札になります。 強いものから順に、次のようになります。

大王小王主7副7主2副210

主7とは切札のスートの(2枚)のことで、副7とは切札スート以外の(6枚)の事です。 副7はすべて同じ強さです。 主2副2も同様です。

切札以外のスート(副牌)では、各スートには強いのものから順に次のカードがあります。

10

カードの点数は、次のようになります。

カード 点数
10 10点
5点

ディール(発牌)

誰がディーラーになってもかまいません。 最初にビッドするプレイヤー(次の項で述べます)がディーラーを行うことが多いようです。

ディーラーはシャッフルを行い、左隣のプレイヤーにカットしてもらった後、カードの山を裏向きにテーブル中央に置き、取りやすいようにずらして広げます。

そのあと、ディーラーから反時計回りにの順にこのカードの一番上を1枚ずつ取っていきます。 これを各プレイヤーの手札が21枚になくなるまで続けます。

残った8枚のカードは裏向きのままテーブルに置かれます。これを底牌と呼びます。

ビッド(叫分)

最初のディールでは、任意の方法で「東家」のプレイヤーを決め、その右隣のプレイヤーからビッドを始めます。

その後のディールでは、前回のデクレアラー(このあと説明します)がプレイに成功していたらそのプレイヤーから、失敗していたらその右隣のプレイヤーからビッドを始めます。

ビッドは反時計回りに1人ずつ行います。

ビッドは自分以外が獲得するカードの点数の予想に基づいて行います。

80点以下の点数でビッドしなければなりません。 また、今までビッドされた最低点より低い点数でビッドしなければなりません。 最低点は5点です。

ビッドしたくなければパスをしますが、一度パスをしたらそのあとビッドはできません。 パスをしなければ反時計回りの順に何度でもビッドできます。

常に切札になるカード(大王、小王、)を7枚以上持っているプレイヤーは、必ず75点以下をビッドしなければなりません。 すでに75点以下を他のプレイヤーがビッドしているときは、パスをしてもかまいません。

1人以外の全員がパスをしたら、パスをしなかったプレイヤーがデクレアラー(荘家)となります。

全員がパスをしたら、最初にビッドを始めたプレイヤーが80点でデクレアラーになります。

交換と切札宣言

デクレアラーは配り残りのカード(底牌)を表向きにして全員に見せたあと、手札に入れ、手札から自由に8枚をテーブル中央に裏向きに捨て札します(底牌だったカードを捨て札してもかまいません)。

捨て札されたカードも底牌と呼ばれます。 底牌は普通はデクレアラーの取ったカードとして扱われますが、後で述べるように、相手側のものになることもあります。

交換のあと、デクレアラーは切札のスートを宣言します。

降伏

デクレアラーは底牌を見たあと、最初のプレイを行う前に、降伏することができます。

降伏した場合、プレイは行われず、デクレアラーのプレイ失敗として得点計算が行われます。

プレイ

デクレアラーが最初のリードを行い、反時計回りにトリックテイキングゲームのプレイを行います。 通常通り、トリックに勝ったプレイヤーが次のリードを行い、各プレイヤーの手札がなくなるまで続けます。

のカードは必ず切札となり、元のスートには属さないことにご注意ください。

デクレアラー以外のプレイヤー(ディフェンダーと呼ぶことにします)は、別々にプレイしますが、同じチームとなってビッドの点数以上の点数を取ることを目指します。 デクレアラーは、ビッドの点数ちょうどだと失敗になるので、それより少ない点数しか取られないことを目指します。

プレイしたカードはテーブルの自分の前のところに表向きのまま乱雑に置いておきます。 そのあとプレイするときは、プレイするカードを今までのカードの上に置きます。

ディフェンダーが取った得点のあるカードだけは、テーブル中央の底牌の上に置きます。

自分のプレイしたカードや他のプレイヤーがプレイしたカードは自由に見ることができます。 デクレアラーだけは、プレイが始まっても底牌を見ることができます。

このゲームでは2枚以上のリードが可能です。リードの種類により次のルールになります。

シングル(単張)

1枚のカードのリードです。どのカードをリードすることもできます。フォローは次のルールに従います。

  1. リードされたスートのカードを持っていればプレイしなければなりません。2枚以上あればどれを出してもかまいません。
  2. リードされたスートがなければ何を出してもかまいません。

勝つのは、切札がプレイされていれば最も強い切札、そうでなければリードされたスートで最も強いカードです。

同じスートで同じランクのカードがプレイされた場合は、先にプレイされたカードのほうが強くなります。 (HHがプレイされた場合や、 切札がクラブのときにDSがプレイされた場合など)。

ペア(対子)

同じスートで同じランクの2枚のカードをリードすることができます。 主7(切札スートの7)と副7(切札スート以外の7)は別のランクになります。 それだけでなく、副7の6枚はマークが違っても同じランクではありますが、同じマークでなければペアとして出すことはできません。 についても同様です。 大王と小王は別ランクなので当然ペアにはなりません。(大王2枚や小王2枚はペアになります。)

このゲームでは、複数カードがリードされたときは、同じ枚数(優先度1番)で同じスート(優先度2番)で同じ形(優先度3番)のカードをフォローしなければなりません。 ペアの場合には次のようになります。

  1. リードされたスートのペアがあれば出さなければなりません。2組以上あればどれを出してもかまいません。
  2. リードされたスートのペアがなければ、リードされたスートが2枚以上あればそのスートを出さなければなりません。3枚以上のときはどれを出すかは自由に選択できます。
  3. リードされたスートが1枚だけのときは、その1枚と、自由に選んだ他のスートのカードを出します。
  4. リードされたスートが1枚もなければ、どのカードを出してもかまいません(ペアでなくてかまいません)。

リードされたスートで最も強いペアが勝ちます。 ただし、ペアになっている切札が出た場合に限り、その切札が勝ちます。 (2人以上からペアの切札が出たときは、当然強い切札のペアのほうが勝ちます。)

例えば、切札がスペードで、DQのペアがリードされたら。

このゲームでは、切札以外の複数カードがリードされたとき、切札を使って勝つことができるのは、出したカードがすべて切札であり、しかもリードされたカードと同じ形のときだけです。

なお、同じランクのペアが出た場合は、最初にプレイされたペアのほうが強くなります。 (切札がスペードのときに、H7のペアとCのペアがプレイされた場合など)。

トラクター(拖拉機/トラジ/連対)

ペアの続き札のリードです。 例えば、HのペアとHのペアなどです。 3連以上続いていてもかまいません。

続き順はカードの説明のところで述べたランクの順になります(切札と切札以外では異なります)。 は続かず、8が続くというようになります。

スペードが切札のときは、SのペアとDのペアは1つランクが違うので続きますが、 DのペアとCは同じランクなので続きません。

トラクターの例(スペードが切札のとき)

フォローのルールは、やはり同じ枚数(優先度1番)で同じスート(優先度2番)で同じ形(優先度3番)となります。 具体的には、次のようになります。先に書いたほど優先度が高くなります。

  1. 同じスートの同じ形のトラクターがあればそれを出します。2組以上あればどれを出してもかまいません。
  2. 3連以上のトラクターがリードされたとき、同じスートの2連以上のトラクターがあればあれば出します。 それ以外のカードはできるだけ同じスートのペア(優先)とシングルで出しますが、同じスートがなければ自由に他のスートのカードを出します。
  3. 同じスートのペアがあればできるだけ多くペアを出します。 それ以外のカードは同じスートのシングルで出しますが、同じスートがなければ自由に他のスートのカードを出します。
  4. 同じスートのシングルをできるだけ多く出します。同じスートがなければ自由に他のスートのカードを出します。

リードされたスートで最も強いカードを使ったトラクターが勝ちます。 切札が勝つことができるのは、リードされたのと同じ形のトラクターになっている場合だけです。

甩牌(しゅつはい/シュアイパイ)

複数の同じスートのトラクター、ペア、シングルを一度にリードすることです。 すべてのセット(トラクター、ペア、シングル)が最も強いと考えたときに行います。

甩牌の例(スペードが切札のとき)

甩牌がリードされ、自分の番になったとき、甩牌を構成するセット(トラクター、ペア、シングル)のうち、どれかで1つにでも勝つことができるカードを持っていたら、 それを出して、リードするプレイヤーにリードのやり直しを要求することができます。 (ただし、リードされたスートが切札でないときに切札で勝つ場合にはやり直しの要求はできません)。

  1. D-Dがリードされたとき、Dを出す(Dに勝てる)。
  2. D-Dがリードされたとき、Dを出す(DにもDにも勝てる)。
  3. C-[C-C]-[C10-C10]がリードされたとき、 Cを出す。(Cに勝てる)。
  4. C-[C-C]-[C10-C10]がリードされたとき、 [C-C]を出す。([C10-C10]に勝てる)。

出し直しを要求するとき、自分が出したカードで勝てる1つのセット(シングルも含む)を出すことを要求します。 上記の例1ではDを要求します。 例2ではDDのどちらでも要求することができます。 例3ではCです。 例4では[C10-C10]です。

出し直しが要求されたら、今まだプレイしていた他のプレイヤーも出したカードを手札に戻します。

なお、同じチームのプレイヤーがリードした甩牌に対しても、出し直しが要求できるカードを出すことになった場合には、出し直しを要求しなければなりません。

出し直しを要求しない場合には、リードされたカードをフォローしなければなりません。 リードされたすべてのセット(トラクター、ペア、シングル)に対してフォローが必要です。 フォローの優先順位は、トラクターが最も優先され、ペア、シングルと続きます。

甩牌のリードに勝つことができるのは、すべてのセット(トラクター、ペア、シングル)に勝つ場合だけです。 切札の場合には、プレイするすべてのカードが切札でなければなりません。

勝つためには同型でなければなりません。 ただし、トラクターを崩してペアやシングルとして使用するとか、ペアを崩してシングルとして使用することは可能です。

勝つ例

  1. D-Dがリードされたとき、S10-Sを出す。
  2. C-[C-C]-[C10-C10]がリードされたとき、 S-[S-S8]-[S-S]を出す。
  3. D-[D-D]-[D-D]がリードされたとき、 D-[D-D]-[D10-D10]を出す。

2人以上が甩牌のリードに勝った場合にどのプレイヤーの勝利か決めるには、トラクターがある場合には最強のトラクターを比べ、トラクターがなくペアがある場合には最強のペアを比べ、シングルしかない場合には最強のシングルを比べます。 同じ場合には、先にプレイしたプレイヤーの勝ちになります。 最強のもの以外は比べません。 また、リードされた甩牌の形で比べるので、トラクターを崩してペアに使用するとか、ペアを崩してシングルとして使用した場合は、トラクターやペアとは数えません。

例(スペード切札):

C-[C-C]-[C10-C10]がリードされたとき、 Aが、S-S-S-S-Sを出し、 Bが、SA-S-S-S-Sを出した。

BのSAがAのSより強いですが、ペアを優先して比べるので、 AのSのペアがBのSのペアより強く、Aの勝ちとなります。 BのS-S-S-Sはトラクターになっていますが、 ペアとして使っているので、数えません。

底牌の獲得(抠底)

次の2つの条件を満たせば、底牌のカードはディフェンダーの取ったカードとして扱われます。 それ以外の場合は、デクレアラーのものです。

  1. 最後のトリックをディフェンダーが切札を使って勝つ。
  2. 最後のトリック使われた切札が底牌にある切札より強い(あるいは底牌に切札がない)。

得点

プレイが終わると、ディフェンダーが取ったカードの点数を合計します。

ディフェンダーの取った点数(得分)がビッドした点数(荘分)より小さければ、プレイ成功です。 ディフェンダーの取った点数がビッドした点数と同じか多い場合には失敗となります。

プレイ成功の場合にはデクレアラーは次のゲーム点を他の3人それぞれからもらいます。

ディフェンダーの点数 名称 ゲーム点
0点 大光 3ゲーム点
30点未満 小光 2ゲーム点
30点以上 保荘 1ゲーム点

プレイ失敗の場合にはデクレアラーは次のゲーム点を他の3人それぞれに払います。

ディフェンダーの点数 名称 ゲーム点
ビッドの点数+40未満 跨荘 1ゲーム点
ビッドの点数+40以上+70未満 小倒 2ゲーム点
ビッドの点数+70以上 大倒 2ゲーム点

降伏のときは、次のゲーム点を他の3人それぞれに支払います。

ビッドした点数 名称 ゲーム点
55点以上 跨荘 1ゲーム点
50点以下 小倒 2ゲーム点

ゲーム

ゲーム終了の条件は決まっていません。

3人ゲーム

3人のときは、手札を28枚として、同じルールでプレイします。

あるいは、各スートのを抜き、手札25枚でプレイします。 このとき、底牌は9枚になります。


2023年11月4日、プレイしました。

トラクターが出るような派手な展開にはなりませんでしたが、1対3ですがデクレアラーが結構戦えることが分かりました。

手札が多くて大変ですが、またプレイしてみたい面白いゲームでした。

なお、色々書きましたが、複数枚リードに対しては同じ枚数、できるだけ同じスート、可能なら同じ形というフォローで問題ありません。 甩牌は絶対勝てるというときに出すもので、それに勝てることは普通はないはずです。 レアケースにぶち当たったら、本文を読み直してください。