1997/10/31 赤桐
スコポーネは、大きいスコパという意味で、スコパというゲームのバリエーションなのですが、スコパと並んで、イタリアで非常にポピュラーなゲームです。カシノ系のゲームの代表的なものです。
カードを全部最初に配ってしまうため、プレイの自由度が高く、技術を要するゲームです。また、場のカードを相手に全部取られてしまうと比較的高い点数となるので、細心なプレイが要求されます。
4人。向かい合った2人がパートナーになります。
通常の52枚のカードの各スートから8、9、10のカードを除いた、40枚のカードを使用します。
J、Q、Kはそれぞれ 8、9、10の数を表わします。従って 8、9、10のカードを除く代わりに J、Q、Kを除いてもかまいません。その方がプレイはしやすくなるはずです。
正式にはイタリアンパックのカードを使います。それについては注で記述することにします。
最初のディーラーは任意の方法で決めます。各ディール毎にディーラーは反時計回りに交代します。
ディールは、ディーラーの右隣から始めて、反時計回りに行います。まず各プレイヤーに3枚ずつ配り、テーブル中央に2枚配り、また各プレイヤーに3枚ずつ配り、再びテーブル中央に2枚配り、最後にまた各プレイヤーに3枚ずつ配ります。各プレイヤーの手札は9枚になります。
テーブル中央に配られるカードは、表向きに重ねないで置きます。このようにテーブルに置かれたカードを「場札」と呼ぶことにします。また、場札が置かれる場所を、「場」と呼ぶことにします。
残りのカードは、裏向きのままテーブルに置いておきます。
手札から1枚を出して、同じ数字の場札などを取っていくことがプレイになります。
プレイの目的は、できるだけ多く取ることですが、特に点数の高いカードを取るようにします。また、場札を全部取った場合、さらに得点になります。
ディーラーの右隣から反時計回りの順にプレイを行います。
プレイヤーは、手札から自由に1枚をテーブルに出します。出したカードで場札を取ることができたら、その場札と出したカードをまとめて、プレイヤーの前に裏向きに置きます。これが、取ったカードになります。取ったカードは、もうプレイには使われません。
カードを1枚出しても場札を取ることができなかった場合には、出したカードはそのままテーブルに置かれて、場札となります。
いずれにしても、手札から1枚プレイすると、そのプレイヤーの番は終わります。
場札の取り方は以下の通りです:
1)ペアによる取り方
出したカードと同じランクのカードが場にあれば、そのカードを取ることができます。
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同じランクのカードが何枚か場にあった場合には、そのうち1枚だけを取ることができます。
2)合計による取り方
何枚かの場札の点数の合計が、出したカードの点数に等しくなれば、それらの場札を取ることができます。Aは1点、2〜7のカードはその数字と同じ点数、Jは8点、Qは9点、Kは10点です。
←
いくつかの取り方が可能な場合には、そのうち1種類の取り方だけを選んで取ることができます。
例えば、場に2,3,4,5,5があり、7をプレイした場合には、3と4を取ってもよいし、2と5(の1枚)を取ってもかまいません。
3)出したカードで、ペアによる取り方ができる場合には、必ずペアによって取らなければなりません。
4)出したカードで何かを取ることができれば、必ず取らなければなりません。
プレイで場札を全部取ってしまうことを、スイープ(Sweep)またはスクープ(Scoop)と呼びます(イタリア語ではスコパ Scopa となります)。
スイープは1点の得点となりますが、得点はプレイが終わってから計算するので、記録しておくために、スイープで取ったカードの中の1枚を表向きにしておきます。
全プレイヤーが手札をすべて使いきったら、プレイは終了です。
残った場札は、最後に場札を取ったプレイヤーのものとなります。
プレイのあと、取ったカードにより、次の得点がつきます。(得点の点数は、プレイでカードを取る時の点数とは違います。)
チームで取ったカードはすべていっしょにして、そのチームに対する得点を計算します。
カード(カルテ carte): 1点
カードの枚数をたくさん取った方のチームが得点します。同じ枚数ならば、誰も得点しません。
ダイアモンド(デナリ denari):1点
ダイアモンドの枚数をたくさん取った方のチームが得点します。同じ枚数ならば、誰も得点しません。
ゴールド(セッテベロ settebello):1点
7を取ったチームが得点します。
プライム(プリミエラ primiera):1点
各カードには、プライムの得点だけのための次のような点数があります: A:16点、2:12点、3:13点、4:14点、5:15点6:18点、7:21点、J:10点、Q:10点、K:10点
まず、各チームは、自分の取ったカードの中から、各スートについて、プライムのための点数の最も高いカードを抜き出します。その後で、抜き出したカードのプライムのための点数を合計します。
こうして得られたプライムのための点数の合計が多かった方のチームがプライムの得点(1点)を得点します。同点ならば、どちらも得点しません。
スイープ(スコパ Scopa):各1点
プレイ中のスイープの回数1回ごとに、1点を得点します。
得点を計算して、いずれかのチームの累計得点が11点かそれ以上になっていたら、ゲーム終了です。得点の高いチームが勝者となります。
もし同点ならば、前回のディールまでの累計点から、チームが、カード、ダイアモンド、ゴールド、プライム、スイープの順に同時に加算していき、最初に11点に達したチームの勝ちとなります。
イタリア固有のカードは、各スートが、レ(Re),カバロ(Cavallo),ファンテ(Fante),7,6,5,4,3,2,Aからなっています。スートは、ソード(スパーデ Spade、剣)、バトン(バストーニ Bastoni、棍棒)、カップ(コッペ Coppe、聖杯)、コイン(デナリ Denari、貨幣)です。ソードがスペードに、バトンがクラブに、カップがハートに、コインがダイアモンドに相当すると考えてください。
ゲームサークル「なかよし村とゲームの木」のルールでは、最初に場に3枚か4枚のキングが出たら、同じディーラーで配りなおしです。
ゲーム終了時点で得点が同じ場合、同点でなくなるまでディールを続けるというルールもあります。
ゲーム終了の点数が15点のこともあります。
スコポーネのシリアスなプレイヤーに人気のあるバリエーションです。名前は、科学的なスコポーネという意味です。
各プレイヤーに10枚ずつカードを配ります。場には1枚も配りません。従って、最初のプレイヤーは必ず捨て札をすることになります。
スコポーネ・シエンティフィコの一種で、Sandro Tamanini氏によりインターネットで紹介されているものです。ディールが10枚というほかに、本文のルールと次のような違いがあります:
1)どちらかのチームが21点以上になれば、ゲーム終了になります。同点ならば、さらにディールを続けます。
2)片方のチームがダイアモンド(コイン)のA、2、3を全部取った場合に得点します。点数は、Aからつながるシークエンスの枚数と同じです。例えば、A、2、3、4、5を取っていて、6がない場合には、5点の得点となります。この得点をナポリ(Napoli)と呼びます。
3)片方のチームが、全部のダイアモンド(コイン)のカードを取ったときには、直ちにそのチームの勝ちでゲームが終了します。これをカポット(Cappotto)と呼びます。