1997/4/21 赤桐
(2008/8/2改訂)
スカートはドイツの代表的なゲームです。
ライプニッツの近くのアルテンブルグという町で1810年代に発明されたようですが、初期のものは現在のスカートとはかなり違うルールです。
ルールの改良を続けながら普及していき、19世紀の終わりにはドイツで最もポピュラーなゲームとなりました。その後もルールの改良は続きましたが、現在まで引き続き高い人気があります。
スカートはカードゲームの中でも、最も理知的で深みのあるゲームといわれています。それは間違いではありませんが、同時に、スピーディーでエキサイティングなギャンブルゲームでもあります。
ルールは最初はわかりにくいかも知れませんが、基本の原理さえ理解すれば、それほど複雑というわけではありません。
スカートでは次のようにゲームを行います。
3人〜5人。4人のときにはディーラーはプレイには参加しません。5人のときはディーラーとディーラーの2つ右隣のプレイヤーもプレイに参加しません。ドイツでは4人で行うのを好む人も多いようです。
プレイに参加する3人のプレイヤーのうち、ディーラーの左隣のプレイヤーをフォアハンド、その左隣をミドルハンド、残りの1人をリアハンドと呼びます。3人で行うときには、ディーラーがリアハンドになります。
通常の52枚のカードから、各スートの2〜6を除いた、32枚のカードを使います。
ドイツの東部や南部の地方では、通常のクラブ、スペード、ハート、ダイアモンドのスートを持つカードの代わりに、ドイツ固有のスートである、どんぐり、木の葉、ハート、鈴のカードが使われます。このカードでは、クイーンはオーバー(Ober)、ジャックはウンター(Unter)となります。
各カードには次のような点数があります。
A | 11点 |
10 | 10点 |
K | 4点 |
Q | 3点 |
J | 2点 |
これ以外のカードは0点です。全部のカードの点数の合計は120点になります。
多くの場合、カードの点数を取ることがゲームの目的になります。しかし、プレイの結果の得点(ゲーム点)はそれとは別に計算しますので、混同しないようにしてください。
最初のディーラーは任意の方法で決めます。次回からは、ディーラーは時計回りに交代します。
ディーラーはシャッフルして右隣のプレイヤーにカットしてもらったあと、次のように配ります。
配るときは、ディーラーの左隣から時計回りに配ります。各プレイヤーの手札は10枚になります。
テーブルに置かれた2枚のカードはスカートと呼ばれます。
ディールが終わると、誰がソロイストになるかを決めるために、ビッドを行います。
このゲームでは、各カードに点数があり、トリックで勝つと点数を取ることになります。多くの場合、ソロイストになったプレイヤーは、1人で過半数の点数(61点以上)を取ることが目的となり、それ以外の2人は協力してそれを阻止しようとします
ソロイストになったプレイヤーは、ゲームの種類を指定できます。ゲームの目的や切札のスートなどを決めることができるわけです。
しかし、ビッドは、取ることできそうなカードの点数や、切札の種類を宣言するわけではありません。プレイした結果による最終的なゲーム点を予想して、それに基づいてビッドします。最終的なゲーム点とは、後で説明するように、ゲームの種類や、手札の内容、取ったカードの点数などによって計算されるものです。
このような点数を最も高くビッドしたプレイヤーがソロイストになるわけです。同じ点数のビッドならばフォアハンド>ミドルハンド>リアハンドの順に優先順位があり、優先順位の高いほうがソロイストになります。
実際のビッドは勝ち抜き戦方式で行われます。まず、フォアハンドとミドルハンドがビッドを行い、勝ったプレイヤー、つまりパスをしなかったほうのプレイヤーがリアハンドとビッドを行います。最後までパスをしなかったプレイヤーがソロイストになります
最初に発言するのはミドルハンドです 。ミドルハンドは18かそれ以上の点数をビッドするか、パスをします。(パスをした場合は、すぐにフォアハンドとリアハンドのビッドに移ることになります。)
ミドルハンドが点数のビッドをしたら、フォアハンドは「はい(イエス)」またはパスのビッドをします。「はい」というのは、ミドルハンドの言った点数と同じ点数を宣言するという意味です。
同じ点数ならフォアハンドに優先権があるので、フォアハンドが「はい」とビッドしたら、ミドルハンドは、今まで言った点数より高い点数をビッドするか、パスをするかしなければなりません。
ミドルハンドが点数のビッドをしたら、先ほどと同じように、フォアハンドは「はい」またはパスのビッドをします。
どちらかがパスを宣言するまで、このような事を繰り返します。
リアハンドとのビッドも同じように行います。
リアハンドがまず点数のビッドを行います(あるいはパスをします)。フォアハンドとミドルハンドの勝者が、それに対して「はい」をビッドするか、パスをします。
リアハンドが最初にビッドする点数は、もちろんフォアハンドとミドルハンドのビッドの時に出ていた点数より高い点数でなければなりません。ミドルハンドがいきなりパスをしていて、点数がビッドされていないときには、18からビッドしてかまいません。
最後までパスをしなかったプレイヤーが、ソロイストになります。
もしミドルハンドとリアハンドが点数のビッドを行わないで直ちにパスをしたら、フォアハンドは18のビッドをしてソロイストになるか、パスを宣言します。パスの場合には、プレイは行われないで、次のディールが始まります。(次のディーラーは左隣のプレイヤーに交代します。)
ビッドの例を少し挙げておきます。Fはフォアハンド、Mはミドルハンド、Rはリアハンドを表わします。
例1 M:18、F:はい、M:20、F:はい、M:パス(フォアハンドが勝ち残り)、R:22、F:はい、R:23、F:はい、R:24、F:パス(リアハンドがソロイスト、ビッドの点数は24)
例2 M:パス(フォアハンドが勝ち残り)、R:18、F:はい、R:パス(フォアハンドがソロイスト、ビッドの点数は18)
例3 M:18、F:パス(ミドルハンドが勝ち残り)、R:20、M:パス(リアハンドがソロイスト)
ソロイストになったプレイヤーが宣言できるゲームの種類は、次のようになります。
クラブ、スペード、ハート、ダイアモンドの4つのスートのうちの1つを切札にして、プレイを行います。
ただし、各スートのジャックは、どのスートを切札にした場合でも、切札として扱われます。
切札のスートのカードとその強さの順位は、(強)J、J、J、J、A、10、K、Q、9、8、7(弱)です。
切札以外の各スートのカードと強さの順位は、(強)A、10、K、Q、9、8、7(弱)です。
スートゲームをプレイする場合、さらに、スカートゲームにするかハンドゲームにするかを選択します。
スカートゲームのときには、スカート(テーブル上のカード)の2枚を手札に入れて、2枚を捨てることができます。ハンドゲームでは、スカートはそのままにしておきます。
これらの捨て札やスカートのカードの点数は、プレイ終了後、ソロイストが取った点数として数えます。
ハンドゲームを行う場合に限って、さらに次の宣言を行うことができます。これらの宣言で成功した場合は得られるゲーム点が高くなります。
プレイで90点以上取ると宣言することです。
プレイで全トリックを取ると宣言することです。シュワルツ宣言を行ったときには、シュナイダー宣言も行ったものとみなされます。
手札をすべて公開してプレイし、全トリックを取ることを宣言することです。ウベアを宣言したときには、シュナイダー宣言とシュワルツ宣言もあったものとみなされます。
なお、これらの宣言で少しでも失敗したら、プレイ失敗となり、高いマイナス点となります。例えば、シュナイダー宣言をして、90点取ることに失敗したら、たとえ61点以上取っていてもプレイは失敗です。また、全点数(120点)を取ったとしても、全トリックを取れなかったなら、シュワルツ宣言に失敗します。
グランドのゲームでは、4枚のジャックだけが独立した切札のスートになっています。(従って、5つのスートが存在することになります。)
切札のスートのカードとその強さの順位は、(強)J、J、J、J(弱)です。
切札以外の各スートのカードと強さの順位は、(強)A、10、K、Q、9、8、7(弱)です。
グランドでも、スートゲームと同じように、スカートゲームにするかハンドゲームにするかを決めます。ハンドゲームでは、やはり、シュナイダー宣言、シュワルツ宣言、ウベアをすることが可能です。
ヌルのコントラクトでは、ソロイストは1トリックも取らないことを目的としてプレイします。(ヌルは「ミゼール」と呼ばれることもあります。)
切札はありません。
各スートのカードと強さの順位は、(強)A、K、Q、J、10、9、8、7(弱)です。
ヌルにおいても、スカートゲームとハンドゲームがあります。
また、手札を公開してプレイすること、つまりウベア(オープン)もプレイ可能です。この場合のウベアは、もちろん全トリックを取ることを目指すわけではなく、やはり全くトリックを取らないことが目的です。ヌルにおいては、スカートゲームでもハンドゲームでも、ウベアを宣言することができます。
従って、ヌルには、次の4つの種類があります。
ソロイストは、プレイの前に、スカートゲームにしようとしている場合には、スカートの2枚のカードを他のプレイヤーに見せずに手札に加え、2枚のカードを裏向きに捨て札します。捨て札したカードはテーブル上に他のカードと区別して置いておきます。どのカードを捨て札してもかまいません。スカートにあったカードを捨て札することも可能です。
ハンドゲームの場合には、スカートの2枚はそのまま他のカードと区別してテーブルに置いておきます。
そのあと、ソロイストはゲームの種類を宣言します。
ウベアでは、そのあと手札をすべて上向きにして、プレイヤーの前のテーブルに置きます。
それから最初のリードが行われます。最初のリードを行うプレイヤーは、必ずフォアハンドです。
通常のトリックテイキングゲームのルールに従ってプレイします。つまり:
なお、スートゲームやグランドの場合、ジャックはそのカードに記されているスートではなく、切札のスートに属すことに注意して下さい。
ヌルの場合には、ソロイストが1トリックでも取った場合、失敗となり、直ちにプレイは終了します。
プレイが終わると、ソロイストは自分の取ったカートの点数を合計します。他の2人のプレイヤーも、普通は確認のため2人のカードを合わせて点数を合計します。
スカートゲームの場合に手札にスカートを加えたあと捨てた2枚のカードや、ハンドゲームの場合の手をつけなかったスカートの2枚は、ソロイストのものになるので、その点数はソロイストの点数に加わります。
通常はソロイストが61点かそれ以上を取ったらプレイ成功となります。
ヌルのゲームを除き、「基本点」と「達成点」を掛けたものが得点となります。
ゲーム点 = 基本点 x 達成点
基本点とは、ゲームの種類による点数です。達成点とは、獲得した得点や、手札とスカートの内容、シュナイダーなどの宣言による点数です。
基本点は、ゲームの種類により、次のようになります。
スートゲーム:ダイアモンドが切札 | 9点 |
スートゲーム:ハートが切札 | 10点 |
スートゲーム:スペードが切札 | 11点 |
スートゲーム:クラブが切札 | 12点 |
グランド | 24点 |
達成点は、次の点数のうち、あてはまる点数をすべて合計したものになります。
ウィズまたはウィズアウト(トップ) | 各1点 |
ゲーム | 1点 |
ハンド | 1点 |
シュナイダー | 1点 |
シュナイダー宣言 | 1点 |
シュワルツ | 1点 |
シュワルツ宣言 | 1点 |
ウベア | 1点 |
逆シュナイダー | 1点 |
逆シュワルツ | 1点 |
ウィズというのは、手札とスカートのカード(または捨て札したカード)を合わせて、一番強い切札(J)から連続して、何枚の切札があったかという枚数です。Jがなければ、ウィズは0です。
例えば、Jがあるけれど、次に強いJはない場合、ウィズは1です。J、J、J、J、切札のAがあって、切札の10がなければ、ウィズは5になります。
ウィズアウトというのは、手札とスカートのカード(または捨て札したカード)を合わせて、一番強い切札(J)から連続して、何枚の切札が欠けていたかという枚数です。Jがあれば、ウィズアウトは0です。 例えば、Jがなく、Jもなくて、Jがある場合には、ウィズアウトは2になります。スートゲームで1枚も切札がない場合には、ウィズアウトは11になります。
ウィズとウィズアウトをまとめて「トップ」と呼びます。
「トップ」の点数は、ウィズまたはウィズアウトのうち、0でない方の数がそのまま点数になります。ですから、少なくとも1点はあります。
なお、ウィズやウィズアウトでは、取ったカードではなく、配られたときの手札とスカートを合わせたカードにあった切札を調べるということにご注意ください。手札にどのような切札があったかということは、記憶しておく必要があります。
また、スカートゲームかハンドゲームかに関わりなく、最初の手札だけでなくスカートも含んだカードが問題になるので、スカートに入っていた切札によっては、ビッドの時に考えていたものより実際の達成点が多くなったり少なくなったりすることがあります。
「ゲーム」の点数は、61点達成した場合にも、しなかった場合にもつきます。つまり、いつでも1点になります。
「ハンド」の点数は、ハンドゲームを行った時につきます(失敗した場合もつきます)。
「シュナイダー」の点数は、90点かそれ以上取った場合につきます。
「シュナイダー宣言」の点数は、シュナイダーの宣言を行った場合につきます(失敗した場合もつきます)。シュナイダー宣言があった場合、「シュナイダー」の点数も成功失敗に関わらず別につきます。なぜなら、得点計算は常に成功した場合の点数を基準に計算するからです。
「シュワルツ」の点数は、全トリックを取った場合につきます。なお、この場合シュナイダーも達成しているはずなので、「シュナイダー」の点数も別につきます。
「シュワルツ宣言」の点数は、シュワルツの宣言を行った場合につきます(失敗した場合もつきます)。この場合、シュナイダー宣言も行っているとみなされるので、「シュナイダー宣言」の点数も別につきます。また「シュナイダー」と「シュワルツ」の点数も別につきます(失敗した場合にも)。
「ウベア」の点数は、ウベアの宣言をしてプレイした場合につきます(失敗した場合にもつきます)。この場合、シュナイダー宣言とシュワルツ宣言も行っているとみなされるので、「シュナイダー宣言」と「シュワルツ宣言」の点数も別につきます。また「シュナイダー」の点数と「シュワルツ」の点数も別につきます(失敗した場合にも)。
「逆シュナイダー」は、めったに起こりませんが、ソロイスト以外の2人が90点かそれ以上を取った場合につく点数です。つまり、ソロイストが30点以下の点数しか取れなかった時に起こります。
「逆シュワルツ」は、ソロイストが1トリックも取れなかったときにつきます。もちろん、「逆シュナイダー」の点数も別につくわけです。
達成点の計算の例を少し挙げておきます。
例えばウィズ2のハンドゲームでシュワルツを達成したときには、シュナイダーも同時に達成しているので、ウィズ(2)+ゲーム(+1=3)+ハンド(+1=4)+シュナイダー(+1=5)+シュワルツ(+1=6)で達成点は6になります。これをゲーム中に口頭で数えるときには、「ウィズ2、ゲーム3、ハンド4、シュナイダー5、シュワルツ6」と言います。
ウィズ2のハンドゲームでシュワルツ宣言に失敗したときには、{ウィズ(2)+ゲーム(+1=3)+ハンド(+1=4)+シュナイダー(+1=5)+シュナイダー宣言(+1=6)+シュワルツ(+1=7)+シュワルツ宣言(+1=8)}に失敗したということで、達成点は8になります。
プレイが成功した場合も失敗した場合も、上記のやり方でゲーム点を計算します。
ただし、61点を取ることに失敗した場合や、シュナイダー宣言やシュワルツ宣言やウベアに失敗した場合には、そのゲーム点を2倍したものがマイナスのゲーム点となります。
つねに、ソロイストだけが、このようなプラスまたはマイナスのゲーム点をつけます。
もし、計算した得点がビッドした点数より少なければ、その場合も失敗となります。これをオーバービッドの状態と呼びます。
この場合、達成点を必要なだけ増やして、ゲーム点(基本点x達成点)がビッドした点数かそれより多くなるようにします。このゲーム点を2倍したものがマイナス点となります。
あるいは、宣言した点数を得るためにシュナイダーやシュワルツなどを試みて失敗したと考えて、シュナイダーやシュワルツなどの達成点を加えていっても同じことになります。
少し例を挙げておきます。
例1 スートゲーム(ハート)のハンドゲーム。ビッドした点数は40。ウィズ3。カードの点数が95点あった場合。
基本点は10。達成点はウィズ(3)+ゲーム(+1=4)+ハンド(+1=5)+シュナイダー(+1=6)で6。ゲーム点は10x6=60。ビッドした点数以上なので文句なく60ゲーム点となります。
例2 スートゲーム(クラブ)のスカートゲーム。ビッドした点数は18。ウィズ2。カードの点数が55点でプレイ失敗だった場合。
基本点は12。達成点はウィズ(2)+ゲーム(+1=3)で3。2x3=36ゲーム点。これを2倍してマイナス72ゲーム点です。
もしこれがハンドゲームならば、基本点は12で、達成点はウィズ(2)+ゲーム(+1=3)+ハンド(+1=4)の4。12x4=48、これを2倍してマイナス96ゲーム点です。
例3 グランドのスカートゲーム。ビッドした点数は60。ウィズアウト1で88点獲得(シュナイダーにはならない)の場合。
基本点は24。達成点はウィズアウト(1)+ゲーム(+1=2)で2。24x2=48ゲーム点。これはビッドの点数より少ないので、失敗となります。達成点を1つ増やして3点にすると、24x3=72点で、ビッドの点数より多くなるので、これが計算されたゲーム点です。これを2倍してマイナス144ゲーム点となります。
なお、例3で、カードで得た点数が61点に少し足りない場合でも、同じ計算をして、同じマイナス点となります。
ヌルの場合には、次の基本点がそのままゲーム点になります。達成点は関係ありません。
ヌル(スカートゲーム) | 23点 |
ヌル(ハンドゲーム) | 35点 |
ヌル・ウベア(スカートゲーム) | 46点 |
ヌル・ウベア(ハンドゲーム) | 59点 |
失敗のときには、マイナス点が2倍になります。
ゲーム点がビッドした点数より少なければ(オーバービッドの場合には)、この基本点を何倍かして、ビッドした点数かそれ以上になるようにします。それを2倍したものがマイナス点になります。
ソロイストは、プレイで成功することができないと考えたならば、プレイしないで降参することができます。
降参は、スカートゲームならば手札とスカートの交換をおこなった後、ゲームの種類の宣言と同時に行います。
この場合のゲーム点計算は、宣言されたゲームの種類に基づいて通常にプレイして失敗した場合と同じです。ただし、逆シュナイダーや逆シュワルツの達成点はつきません。
なお、プレイ中でも降参できますが、その場合はプレイに参加するプレイヤーの少なくとも1人の同意が必要です。
ゲーム終了については、特に定まった規則はありません。
ただし、全員が同じ回数だけディーラーになるように、3人でゲームを行なうときには3の倍数、4人なら4の倍数、5人なら5の倍数になるディール数で行うようにしましょう。
ゲームが終了したら、各プレイヤーは他の全プレイヤーと、それぞれとのゲーム点の差だけの額を精算します。
例えば、プレイヤーをA、B、C、Dとし、それぞれのゲーム点をa, b, c ,dとすると、Aが得られる点数(マイナスになる場合は支払う点数)は:
Aの精算点数 = (a-b)+(a-c)+(a-d) となります。
なお、4人ゲームでは、各人の精算点数は自分のゲーム点を4倍したものから、4人のゲーム点の合計を引いたものでもあります。すなわち:
Aの精算点数 = (a-b)+(a-c)+(a-d) = 3a - b - c - d = 4a - (a+b+c+d)
同様に、3人ゲームでは、各人の精算点数は自分のゲーム点を3倍したものから、3人のゲーム点の合計を引いたものになります。
ゲームの種類とプレイの結果による達成点をまとめると次の表のようになります。(これにウィズ/ウィズアウトの数を加えたものが実際の達成点になります。)
シュワルツ | シュナイダー | 31点〜89点 | 逆シュナイダー | 逆シュワルツ | |
スカートゲーム | 3 | 2 | 1 | 2 | 3 |
ハンドゲーム | |||||
宣言なし | 4 | 3 | 2 | 3 | 4 |
シュナイダー宣言 | 5 | 4 | 4 | 5 | 6 |
シュワルツ宣言 | 6 | 6 | 6 | 7 | 8 |
ウベア | 7 | 7 | 7 | 8 | 9 |
ドイツの伝統的なカードで行うとき、どんぐりはクラブに、木の葉はスペードに、ハートはハートに、鈴はダイアモンドに対応すると考えて下さい。
ビッドのときは、最初にミドルハンドから発言しますが、発言を促すために、フォアハンドが、「私がフォアハンドです」とか、「聞いていますよ」とか、「ビッドして下さい」とか言うことがあります。
ビッドのとき、プレイの結果の得点としてありえないような点数をビッドすることは、正式には禁止されます。例えば19です。
ビッド可能な100までの点数は次の通りです:18, 20, 22, 23, 24, 27, 30, 33, 35, 36, 40, 44, 45, 46, 48, 50, 54, 55, 59, 60, 63, 66, 70, 72, 77, 80, 81, 84, 88, 90, 96, 99, 100
1999年1月1日に次のように公式ルールが改正されたので、このルールもそれに従って改正しています。
1.それまではスカートゲームのときだけ、失敗のときにゲーム点を2倍していたが、ハンドゲームでも失敗時にゲーム点を2倍にすることになった。
2.それまではグランドのウベアでは基本点を36点にしてウベアの達成点を計算しないようにしていたが、基本点を24点のままで通常通りウベアの達成点を計算するようにした。
スカートはドイツのゲームなので、用語はすべてドイツ語に統一しようかとも思いましたが、日本ではドイツ語がそれほどなじみがなく、今までの用語ともひどく違ってくるので、断念しました。
また、既に発表されているMILKさんのルールや「日本スカートゲーム協会(JSGA)公式ルール」に従ったほうがよかったのかもしれませんが、自分の判断と趣味を優先させることにしました。お許し下さい。
若干の用語についいてコメントしておきます。
「達成点」については、従来の用語(マルチプル・ファクターなど)は、ドイツ語からはかけ離れており、わかりやすい用語でもないため、改めました。ドイツ語では、Spielwertであり、「ゲーム点」というのが一番近いと思いますが、ゲームの種類によって決定される基本点とまぎらわしいので、「達成点」としたものです。
ウィズとウィズアウトを総称して、「マタドール」という呼び方もされていますが、本文では特に必要もないので、そう呼びませんでした。マタドール(Matador)というのは、英米で伝統的に呼んでいる名前ですが、少なくとも現在のドイツでは使われていません。現在ドイツの用語は「シュピッツェン(Spitzen)」となります。
「シュワルツ(Schwarz)」は、シュバルツと読む方が原音に近いと思いますが、ゲーム用語として普及しているようなので、従来通りにしました。
なお、「ソロイスト」を「デクレアラー」、「ゲームの種類」を「コントラクト」と呼ぶこともできますが、コントラクトブリッジに近すぎる用語なので避けました。
参考のため、ゲームで使われた用語の英語とドイツ語の原語を表にしておきました。アスタリスク(*)がついているのが、日本語の表記の基になった言葉です。
クラブ | *Club | Kreuz |
スペード | *Spade | Pik |
ハート | *Heart | Herz |
ダイアモンド | *Diamond | Karo |
どんぐり | acorn | Eichel |
木の葉 | leaves | Grün |
ハート(ドイツカード) | heart | Rot |
鈴 | bell | Schellen |
エース | *Ace | As/Daus |
キング | *King | Könich |
クイーン | *Queen | Dame |
ジャック | *Jack | Bube |
オーバー | - | *Ober |
ウンター | - | *Unter |
ディーラー | *Dealer | Geber |
フォアハンド | *Forehand | Vorderhand |
ミドルハンド | *Middlehand | Mittelhand |
リアハンド | *Rearhand | Hinterhand |
ソロイスト | *Soloist/Declarer | Einzelspieler |
ソロイスト以外のプレイヤー | Opponent/Defender | Mitspieler |
パス | *"Pass"/"I pass" | "Passe"/"Ich passe" |
はい(ビッドのとき) | *"Yes"/"I have"/"Have it" | "Habe ich" |
スートゲーム | *Suit Game | Farbspiel |
スカートゲーム | *Skat Game | Spiel mit Skataufnahme |
ハンドゲーム | *Hand Game | Handspiele |
シュナイダー宣言 | Declared Schneider | Schneider angesagt |
シュワルツ宣言 | Declared Schwarz | Schwarz angesagt |
グランド | *Grand | Grand(フランス語)/Grandspiel/Großspiel |
ヌル | Misere | *Null/Nullspiel |
基本点 | Base Value | Grundwert/Farbwert |
達成点 | Multiple Factor/Multiplier/Game Factor/Playing Factor | Spielwert |
ウィズ | *With | Mit |
ウィズアウト | *Without/Against | Ohne |
トップ | Matador/*Top | Spitze |
ゲーム | *Game | Spiel/Spiel einfach |
シュナイダー | - | *Schneider |
シュワルツ | - | *Schwarz |
ウベア | Open | *ouvert(フランス語)/offen |
降参 | Concede | schenken |
[ 2008年8月改定 ]
ウベルトと表記していたのを、ドイツでの発音に従い、ウベアという表記に変えました(近藤謙太氏にほぼ従いましたが氏はウヴェアと表記しています)。また、ウィズとウィズアウトの総称としてトップという言葉を使うようにしました。これも近藤謙太氏に従いました。
グランドのドイツでの発音はフランス語読みで「グラン」となるようですが、英語読みということでグランドのままにしてあります。
ドイツスカート連盟では、トーナメントのとき、4人で1つのテーブルを作って48ディールを行います。人数が4で割り切れないときは3人のテーブルも作り36ディール行うようです。
このとき、通常のゲーム点に加えて次のゲーム点が加算されます。
公式ルールではありませんが、よく行われているルールです。
参加する3人全員がパスした場合にもプレイを行います。このとき、グランドのプレイと同じように、切札のスートのカードとその強さの順位は、(強)J、J、J、J(弱)となり、切札以外の各スートのカードと強さの順位は、(強)A、10、K、Q、9、8、7(弱)となります。プレイの目的はできるだけカードの点を取らないことです。
プレイで最も多くの点数を取ったプレイヤーがマイナス20ゲーム点となります。同点の場合は、同点のプレイヤーすべてがマイナス20ゲーム点となります。
1人が1トリックもトリックを取らなかった場合は、最も多くの点数を取ったプレイヤーがマイナス40ゲーム点となります。同点の場合もすべてマイナス40ゲーム点です。
1人が全トリックを取った場合は、そのプレイヤーはプラス120ゲーム点となります。
次のようなルールを採用することもあります。
フォアハンドがまずスカートを取って手札に入れ2枚を捨て札します。ミドルハンドがその捨て札を取って手札に入れ、2枚を捨て札します。最後にリアハンドが同様に捨て札と手札を交換します。
捨て札は何でも捨てられるというルールと、ジャックを捨て札してはいけないというルールがあります。
交換はしなくてもかまいません。1人が交換しない(スカートや捨て札を取らない)と最後のゲーム点が2倍になるというルールもあります。この場合、2人以上交換しないプレイヤーがいたら、4倍、8倍となっていきます。
最も多くの点数を取ったプレイヤーのゲーム点をマイナス10点とするなど、取り決めによっていろいろなゲーム点になります。
最も多くの点数を取ったプレイヤーのゲーム点を、取ったカードの点数とすることもあります。
全トリックを取った場合、多くのマイナス点とすることもあります。
本文のようにスカートの点数を計算しないという方法のほかに、つぎのようにすることもあります。
このルールも公式ルールではありませんが、よく行われています。
ソロイスト以外のプレイに参加するプレイヤーは誰でも、自分が最初のプレイを行う前であれば、「コントラ」を宣言できます。この宣言があると、プレイの結果のゲーム点が2倍になります。
コントラの宣言があると、そのすぐ後に、ソロイストは「レコントラ」(あるいは「レ」)を宣言できます。この宣言があると、プレイの結果のゲーム点が4倍になります。
ヌルのビッドのときにはコントラやレコントラができないというルールもあります。