トップに戻る

ストブカーラ(Stovkahra)

2013/6/1 赤桐

 16世紀ごろイタリアで生まれたトラッポラというゲームは、中央ヨーロッパ中に普及して、いろいろなバリエーションが生まれましたが、現在ほぼ死滅しています。

 ストブカーラは、トラッポラの中で唯一生き残っていると思われるゲームです。ルーマニアのセルビアとの国境に近いシュミセ(Šumice)という村でプレイされています。村の人口は500人ほどですが、男性の間で、熱狂的にプレイされているそうです。

 ルールはJohn McLeod氏のインターネットWWW(http://www.pagat.com/)によりました。


プレイヤー

 4人。向かい合った2人がパートナーになります。

カード

 通常の52枚のカードから、各スートを除いた32枚のカードを使います。

 元来は、今のイタリアパックのカードと同じようなカードが使われました(数札の構成は全く異なりますが)。

 カードの強さは、強いものから順に、10です。

 カードの点数は:

エース6点
キング5点
クイーン4点
ジャック3点
それ以外0点

ディール

 最初のディーラー任意の方法で決めます。次回からは順に時計回りに交替します。

 ディーラーは、配る前にカードを右隣のプレイヤーにカットしてもらいます。カットのあと、一番下になったカードを全員に見せます。このスートがそのディール切札になります。

 ディーラーは左隣のプレイヤーから時計回りの順に全部のカードを配ります。カードは最初は3枚ずつ、次に2枚ずつ、最後に3枚ずつまとめて配ります。

 最初に左隣のプレイヤーに配る3枚のカードだけは、表向きに配ります(配り終わり、全員が何のカードかを確認したら、手札に入れます)。

 ディーラーは一番最初のディールではカードをシャッフルしますが、それ以降はシャッフルしません。単にカードを集めて、右隣のプレイヤーにカットしてもらうだけです。

手役の宣言

 最初のリードが行われる前に、手役を宣言することができます。宣言の順序は決まっていません。手役は次のものがあります。

手役の名前 点数説明
4枚エース40点 手札にが4枚あるとき
3枚エース30点 手札にが3枚あるとき
4枚、4枚10 20点手札にが4枚、または10が4枚あるとき
3枚、3枚10 10点手札にが3枚、または10が3枚あるとき
4枚絵札 12点 手札にが4枚、が4枚、が4枚のいずれかがあるとき
3枚絵札 6点 手札にが3枚、が3枚、が3枚のいずれかがあるとき

 手役の宣言をしても、手札を見せる必要はありませが、ランクと枚数はきちんと宣言しなくてはなりません。3枚のときに、どのスートが欠けているかを知らせる必要はありません。

 手役があっても宣言を行わなくてもかまいませんが、点数はもらえません。

プレイ

 ディーラーの左隣がリードを行います。

 プレイはトリックテイキングゲームのルールに従って行われます。

 フォローの規則は次の通りです:

  1. リードされたスートのカードがあれば、出さなければなりません。リードされたスートがなくて切札がある場合には、切札を出さなければなりません。リードされたスートも切札もない場合には、どのカードを出してもかまいません。
  2. 上記のルールの範囲内で、今までに出たカードに勝てるカードがあれば、出さなければなりません。

得点

 プレイが終わると、各チームは手役の点数と取ったカードの点数を合計します。さらに、次の点数も加えます。

1)最後のトリックを取ったチームに6点
2)最後のトリックをのランクのカードで勝った場合
 (この点数には最後のトリックに勝った6点も含まれます)
26点
3)最初のトリックをのランクのカードで勝った場合52点
4)最初か最後以外のトリックをのランクのカードで勝った場合10点

ゲーム

 累計点が100点に達すると、そのチームの勝ちでゲームが終わります。相手チームが50点以上取っていたときは、1ブルカ(brčka)を得ます。相手チームが50点未満のときは2ブルカを得ます。

 役の宣言を行った後や、トリックに勝った後に、自分のチームが100点に達したと思ったら、プレイの途中でも、ドスト(dost)を宣言できます。この宣言があるとプレイは終了して、それまでの点数を計算します。

 ドストを宣言したチームの累計点が実際に100点以上になったらそのチームの勝利となり、相手チームの点数により1ブルカまたは2ブルカの勝ちとなります。この場合、相手チームも100点に達していたり、自分のチームの累計点より多くても1ブルカの勝ちになります。

 もしドストを宣言したチームの累計点が100点に達しなければ、相手チームの勝利となります。このとき相手チームは2ブルカの勝ちになります。

 勝ったブルカは、自分のブルカの累計に加えることに使うことも、相手のブルカの累計を減らすことに使うこともできます。

 ブルカの累計が10に達したチームが、最終的な勝者となります。

シグナル

 ディーラーの右隣のプレイヤーは、自分の手札に切札のがあり、1つ(以上)のスートのカードが手札に1枚もない場合だけ、最初のトリックを切札で勝つために、最初のリードを行う自分のパートナーにシグナルを送ることができます。

 シグナルは、相手のチームが見ていないときに、口の動きで、リードしてほしいスートの名前を知らせます。


 2013年6月1日、なかよし村でプレイしました。

 得点計算が少し面倒でしたが、なかなか面白いゲームでした。トラッポラの系統がどうしてほぼ絶滅したのか、不思議です。