1995/12/2 赤桐
ツバンツィッヒャールーフェンはハンガリアンタロックの祖先にあたるようなゲームですが、いまでもオーストリアで広くプレイされています。
手札のタロンとの交換がないことが特徴的です。タロットゲームには珍しく、時計回りでプレイされることが多いようです。
4人。
通常のタロットカードから、タロック(切札)の2と3を除きます。また、ハートとダイアモンドでは2〜10の数札を除き、スペードとクラブでは1(A)〜9の数札を除きます。こうして、40枚のカードを使います。
タロックのカードとその強さの順位は次のようになります。
{強い}スキュース(愚者)、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、1(パガット){弱い}
ハートとダイアモンドでは次のようになります。
{強い}キング、クイーン、カバロ、ジャック、A(1){弱い}
スペードとクラブでは次のようになります。
{強い}キング、クイーン、カバロ、ジャック、10{弱い}
プレイは、取ったトリックのカードの点数を多く得ることが目的となります。カードの点数は次の通りです。
各キング |
5点 |
各クイーン |
4点 |
各カバロ |
3点 |
各ジャック |
2点 |
各A、各10 |
0点 |
スキュース |
5点 |
タロックの21 |
5点 |
タロックの1(パガット) |
5点 |
上記以外の各タロック |
1点 |
他のタロットゲームのように点数の補正は行いません。
点数の合計は88点になります。
最初のディーラーは適当な方法で選びます。ディーラーはディール毎に時計回りに交代します。
ディーラーは、各プレイヤーに5枚ずつ2回、つまり手札が10枚になるように配ります。
点数が5点のタロック、つまりスキュース、21、1(パガット)の3枚のことをトルルと呼びます。配られた手札の中にトルルの3枚があった場合、直ちにそのことを宣言しなければなりません。これにより1ゲームポイントが得られます。(ゲームポイントとは、プレイの結果、プレイヤーの得点として得られるもので、カードの点数とは違います。)
ディール(およびトルルの宣言)のあと、ディーラーの左隣から時計回りに、1人ずつビッドをおこないます。ビッドの機会は1度しかありません。
ビッドの種類はルーファー(Rufer)とソロ(Solo)の2種類です。ソロのほう が強いビッドになります。
ディーラーの左隣のプレイヤーは、必ずルーファーまたはソロのビッドをおこなわなければなりません。ルーファーのビッドならば、他のプレイヤーはソロのビッドを行うことができます(パスをすることもできます)。
もっとも強いビッドを行ったプレイヤーがデクレアラーになります。
ルーファーのビッドが成立したときには、デクレアラー(ディーラーの左隣のプレイヤー)は、パートナーを持つことになります。
ルーファーのビッドをするときに、カードを指定して、そのカードを持っているプレイヤーをパートナーに指定します。指定するカードは、タロックの20でなければなりません。もし自分がタロックの20を持っていれば、タロックの19を指定します。それも持っていれば、タロックの18を指定するというようにします。つまり、スキュースと21以外で、自分の持っていない一番強いタロックを指定します。
指定されたカードを持っているプレイヤーは、そのカードをプレイするまで、自分がパートナーであることを明かしてはいけません。ただし、後述するような宣言をおこなうときには、パートナーであるかどうか明らかにしなければなりません。
デクレアラーの取ったカードとパートナーの取ったカードを合わせて、45点以上取ることができれば、ビッドは成功です。
ゲームポイントは1点です。
ソロのビッドをしたデクレアラーは、他の3人を相手にプレイします。
デクレアラーが45点以上のカードを取ることができたら、ビッドは成功です。
ゲームポイントは4点です。
タロックの1(パガット)を持っているプレイヤーが、最後のトリックをパガットで勝つと1ゲームポイントを得ることができます。
ビッドの時にパガットウルティモを宣言しておくと、成功すれば、1ゲームポイントの代わりに、2ゲームポイントを得ることができます。ただし、失敗すると2ゲームポイントを失います。
パガットウルティモを宣言できるのは、デクレアラーになるためのビッドをしているプレイヤーか、そのパートナーだけです。宣言は、自分のビッドの番のときに、ビッドといっしょに行います(パートナーは、ビッドなしで宣言できます)。パートナーがこの宣言を行った場合は、パートナーであることが明らかになります。
ソロのビッドがあった場合には、ルーファーをビッドした側のパガットウルティモの宣言は無効になります。つまり、デクレアラーの宣言だけが有効というわけです。
全トリックを取ると、ビッドの点数とは別に、6ゲームポイントが得られます。
ビッドの時にバラットを宣言しておくと、全トリック取るのに成功すれば、6ゲームポイントの代わりに、12ゲームポイントを得ることができます。
パガットウルティモと同じように宣言します。同様に、デクレアラー側だけが宣言することができますが、最終的にデクレアラーになれなければ無効です。パガットウルティモと両方を宣言することも可能です。
ルーファーのビッドをした側がバラットの宣言をした場合、ソロのビッドはできなくなります。
ビッドに対して、デクレアラー側でないプレイヤーは、コントラ(ダブル)を宣言することができます。コントラは、ビッドが失敗すると考えて、ビッドについてのゲームポイントを2倍にするという宣言です。ビッドが成功した場合も失敗した場合も、ゲームポイントは2倍になります。
コントラがあったら、デクレアラーの側はリコントラ(リダブル)を宣言することができます。リコントラの宣言があると、ゲームポイントは4倍になります。
リコントラに対し、デクレアラー側でないプレイヤーはスブコントラを宣言できます。スブコントラの宣言があると、ゲームポイントは8倍になります。
パガットウルティモやバラットの宣言に対しても、コントラ等が可能です。それぞれ別に、コントラ等を行います。
コントラ等は、ビッドのときの自分の番のときに行います。ただし、ビッドやパガットウルティモやバラットの宣言は1巡で終わりですが、コントラやリコントラやスブコントラの可能性のある限り、ビッドと同じように時計回りに発言を続けます。ただし、1周前以前の発言に対してコントラ等の宣言をすることはできません。
ビッドや宣言が他のプレイヤーのビッドや宣言によって無効になったときには、それに対するコントラ等も無効になります。例えば、ルーファーに対してコントラを宣言しても、他のプレイヤーがソロのビッドをすれば、コントラは無効になります。
プレイはトリックテイキングゲームの原則通りに行います。
リードはディーラーの左隣のプレイヤーが行います。プレイは時計回りに行います。
タロックがリードされたときには、タロックを持っていれば、タロックのカードを出さなければいけません。持っていなければ、何を出してもかまいません。
タロック以外のカードがリードされたときには、リードされたスートを持っていれば、そのスートのカードを出さなければなりません。リードされたスートを持っていなくて、タロックを持っていればタロックを出さなければいけません。それ以外の時には何を出してもかまいません。
ルーファーでビッドに成功したときには、成功したパートナー2人はそれぞれゲームポイント(1ポイント)がプラスの得点になります。他の2人はゲームポイントがマイナスの点になります。ビッドに失敗したときには、逆になります。
パガットウルティモやバラットの成功・失敗についても、デクレアラー側の2人と他の2人が同様にゲームポイントだけ、プラスまたはマイナスになります。
ソロの場合、成功したら他の3人からゲームポイント(4ポイント)ずつもらえるという考え方になります。つまり、ソロのプレイヤーは4x3=12ポイントのプラス点となり、ほかの3人が4ゲームポイントずつマイナスとなります。失敗の場合は、これが逆になります。
ソロの場合の、パガットウルティモやバラットについても同様です。
トルルについては、ルーファーのビッドであっても、他の3人からゲームポイントをもらえます。つまり、トルルのプレイヤーが3ポイントのプラスとなり、他のプレイヤーはマイナス1ポイントとなります。
ゲームをいつ終了するかについては、決まったルールはありません。
オプショナルルールです。
ファルバールはルーファーとソロの中間の強さのビッドです。ソロと同じように、デクレアラーが1人で45点以上取れば成功します。ゲームポイントもソロと同じ4ゲームポイントです。
ファルバールの時には、タロックは切札としての力を失い、単なる1つのスートとなります。ただし、他のスートがリードされたとき、フォローできなければタロックを出さなければならないというルールは、有効です。
ファルバールの時には、デクレアラーが最初のリードを行います。