1994/5/10 赤桐裕二
2002/8/7 改定
ハンガリーで最もポピュラーなカードゲームです。トリックテイキングゲームですが、ハンガリアンタロックと同じように最後のトリックを一番弱い切札で勝つとウルティといって得点になります。
このゲームのもう1つの特長は、ビッドを行うごとに手札の交換をすることです。これにより、手がどんどん良くなっていく可能性があります。
ここで紹介するルールはDavid Parlett氏の"A Dictionary of Card Games"という本によりますが、彼はJohn McLeod氏の"The Journal of the International Playing-Card Society" (May,1976)に基づいて書いているそうです。
これをさらに、John McLeod氏のサイト、http://www.pagat.comによって改定しました。古いルールはここにあります。
3人。
各スートの2〜6を除いた32枚のカード。強さはA(最強)、10、K、Q、J、9、8、7の順。ただし、ノートランプゲームの時には、A、K、Q、J、10、9、8、7の順になります。
正式にはハンガリーのパックを使います。どんぐり(Makk)、葉(Zöld)、ハート(Piros)、鈴(Bells)のスートがあり、絵札はキング(Király)、オーバー(Felsö)、ウンター(Also)になります。
Aと10のカードはトリックで取ると1枚10点です。また、最後のトリックを取ると10点になります。
さらに、マリッジでも点数がもらえます。マリッジとは同じスートのKとQの両方を手札に持っていることを宣言する事です。切札のマリッジは40点、それ以外のマリッジは20点です。
これらの点数はコントラクトを達成するかどうかに関わってきます。ただし、ノートランプのゲームでは無関係です。
最初のディーラーはドローして最も低いカードを引いたプレイヤーがなります(A、K、Q、J、10、9、8、7の順)。ディーラーは1ディールごとに右隣に移ります。
ディーラーは最初に右隣のプレイヤーに7枚のカードを配り、そのあと反時計回りに各プレイヤーにまとめて5枚ずつカードを配り、全部のカードを配りきってしまいます。ディーラーの右隣のプレイヤーが12枚の手札を持ち、他のプレイヤーは10枚の手札を持つことになります。
各ディールにおいて、最も高いビッドを行ったプレイヤーがソロイスト(デクレアラー)になり、他の2人と戦います。
ソロイスト以外の2人(ディフェンダー)は協力します。
以下のコントラクトをビッドする事ができます。
ソロイストは前述した点数において、他の2人の点数の合計よりも多い点数を得ることを目的とします。捨て札(後述)にあるカードの点数は、他の2人のものとなります。
ただし、マリッジで点数が多くても、1トリックも取れなかった場合にはこのコントラクトは失敗になります。
得点は1ゲームポイントですが、ハートが切札の場合は2ゲームポイントとなります。
100点以上の点数を得る事を目的とします。切札のマリッジが必要です。マリッジはこの1つしか宣言できません。
得点は4ゲームポイントですが、ハートが切札の場合は8ゲームポイントとなります。
100点以上の点数を得る事を目的とします。切札以外のマリッジが必要です。切札以外のマリッジを1つしか宣言できません。
得点は8ゲームポイントですが、ハートが切札の場合は16ゲームポイントとなります。
ノートランプでプレイして、全トリックに負ける事を目的とします。「ベトリ」、「ハート・ベトリ」、「オープン・ベトリ」の3種類があります。
他のコントラクトと重複させることはできません。
ベトリは5ゲームポイント、ハート・ベトリは10ゲームポイントです。この2つはゲームポイント以外の違いはありません。(この場合の「ハート」は単にゲームポイントが2倍になることを意味しているだけです)。
オープン・ベトリでは、最初のトリックがプレイされたあと、ソロイストは全部の手札を見えるようにテーブルに並べます。ゲームポイントは20です。
ノートランプまたは切札ありでプレイして、全トリックに勝つことを目的とします。
ノートランプの場合には他のコントラクトと重複することはできませんが、切札がある場合には、40-100または20-100およびウルティと組み合わせてビッドすることができます。
ベトリの場合と同じように、「デュルヒ」(6ゲームポイント)、「ハート・デュルヒ」(12ゲームポイント)、「オープン・デュルヒ」(24ゲームポイント)の3種類があります。
デュルヒはノートランプまたはハート以外の切札になります。ハート・デュルヒはノートランプかハート切札です。ノートランプの場合には、この2つのコントラクトにはゲームポイント以外の違いはありません。
オープン・デュルヒはノートランプでも、どのスートの切札でもかまいません。最初のトリックがプレイされたあと、ソロイストは全部の手札を見えるようにテーブルに並べます。ハートが切札でもゲームポイントに変わりはありません。
ウルティは独立したコントラクトではなく、切札のあるコントラクト(パルティ、40-100、20-100、切札ありのデュルヒ)と共に行う宣言です。
最後のトリックに切札の7を出して、勝つことを宣言します。
ゲームポイントは4ですが、ハートが切札の場合には8になります。この点数は本来のコントラクトのゲームポイントとは別に計算します。
切札7を最後のトリックより前に出してしまったり、切札7を最後のトリックに出して負けてしまった場合には、このコントラクトは失敗になりますが、その場合には上記のゲームポイントに加えて、4ゲームポイント(ハートが切札のときは8ゲームポイント)の罰点がつきます。ただし、この罰点は「コントラ」(後述)によって多くなることはありません。
切札7を持っていなくても、ウルティを宣言することは可能です。もちろん必ず失敗となります。
ビッドはディーラーの右隣のプレイヤーから行います。このプレイヤーはパスをすることはできません。彼はまず2枚のカードを裏向きに捨て札したあと、そのあとビッドを行います。
それが終わると、反時計回りにビッドが進みます。以降のプレイヤーはパスをしてもかまいませんが、ビッドする場合には以前のプレイヤーの捨て札2枚を手札に加えたあと、コントラクトをビッドし、その後手札から2枚を裏向きに捨て札します。タロンを取った後にパスをすることはできません。
パスをしたプレイヤーも後にビッドすることはできます。
3人続けてパスするとビッドは終了します(つまり、ビッドの後2人パスがあった場合に、ビッドをやり直すこともできます)。最後にビッドしたプレイヤーがソロイストになります。
ビッドするためには以前のビッドよりもゲームポイントの高いコントラクトをビッドしなければなりません(ウルティの点数も計算に入れます)。
例外として、同じポイントなのですが、パルティ+ウルティのビッドのあとベトリをビッドすることは可能です。また、ハートのパルティ+ウルティのあと他の10ゲームポイントのコントラクトをビッドすることも可能です。
ゲームポイントに関連しない情報はビッドの時には宣言しません。(ハート以外を切札にするときの切札のスートの名前や、デュルヒでノートランプにするかどうかなどです)。
ウルティの付かないハート以外のパルティのビッドでコントラクトが成立したときには、ソロイストは最初のトリックをリードする前に降伏することができます。降伏とはプレイしないでコントラクトの失敗を認める事です。降伏することで、後述するコントラや敵方のボーナス点を防ぐことができます。
降伏の場合、ゲームポイントは2になります。
ディフェンダー側のプレイヤー(ソロイスト以外の2人)のどちらでも、最初のトリックのプレイを行うと同時に、コントラ(kontra)を宣言することができます。コントラはコントラクトのウルティ以外の部分にかける事もできますし、ウルティだけにかける事もできます。両方にかける事もできます。コントラがかけられると、それに対するゲームポイントが倍になります。
切札のあるコントラクトにおいては、ディフェンダーの片方がコントラを宣言すると両方のディフェンダーの関連するすべての点数が2倍になりますが、切札のないコントラクト(ベトリおよびノートランプのデュルヒ)については、宣言を行ったプレイヤーに関連する点数しか2倍になりません。
コントラに対して、ソロイストは、第2トリックのプレイを行う時に、レコントラ(rekontra)を宣言する事ができます。ゲームポイントは4倍になります。ウルティとそれ以外のコントラクトの両方にダブルがかけられていた場合には、どちらか選択してレコントラする事も、両方レコントラする事もできます。
ディフェンダー側はリダブルに対して、スブコントラ(szubkontra)をかけることができます。スブコントラはゲームポイントを8倍にします。 そのあと、ヒルスコントラ(hirskontra =16倍)、モルドコントラ(mordkontra=32倍)、フェダクサリ(fedáksári=64倍)と続けることもできます。
これらはすべて第2トリックをリードする前に宣言しければなりません。
プレイは反時計回りに行います。トリックテイキングゲームです。
切札のスートが宣言されていない場合には、まずソロイストがそれを宣言します。その後、ソロイストが最初のリードを行い、以降は各トリックの勝者がリードを行います。
リードされると他のプレイヤーは、リードされたスートがあれば必ずそのスートのカードを出さなければなりません。リードされたスートがない場合に切札があれば、必ず切札を出さなければなりません。どちらの場合でも、可能ならば、場に出ている最強のカードより強いカードを出さなければなりません。(切札以外のリードで、2番目のプレイヤーが切札を出している場合で、3番目のプレイヤーがリードされたスートを持っている場合には、リードされたカードより強いカードを出す必要はありません)。リードされたカードも切札もなければ、何を出してもかまいません。
ノートランプのコントラクトの場合にも、切札を出す義務以外は同じです。つまり、リードされたスートがあれば必ずそのスートのカードを出さなければなりませんし、可能ならば、場に出ている最強のカードより強いカードを出さなければなりません。
ウルティのコントラクトの時には、ソロイストは最後のトリックまで切札の7をプレイしてはなりません。ただし、上記のフォローの義務に従って出さねばならない時を除きます。
マリッジがある場合には、各プレイヤーは第1トリックのプレイの時にマリッジの札を見せて宣言します(マリッジのカードはすぐに手札に戻します)。ディフェンダー側は2人の点数を合計するので、マリッジの点数も合計されます。
ハンドレッドのコントラクトをしたソロイストはコントラクトしたマリッジしか宣言できません。
得点はチップでやり取りしますが、紙に記入してもかまいません。紙に書く場合には、払ったほうをマイナスの点数とし、もらった方は同額のプラスの点数として記入します。
コントラクトが成功した場合はソロイストは他の各プレイヤーからそのゲームポイント分のチップをもらいます。失敗した場合はソロイストは他の各プレイヤーにそのゲームポイント分のチップを払います。この点数はコントラなどによって2倍等になります。
ウルティの点数はコントラクトの成功失敗とは無関係に、ウルティに成功したかどうかで、同様にチップで精算します。この点数もコントラなどで2倍等になります。
上記の得点以外に、次の得点(および罰点)があります。
ウルティのコントラクトがない場合に、最後のトリックにソロイストが切札の7を出して勝った場合には、ソロイストが2ゲームポイント(ハートが切札のときは4ゲームポイント)を各ディフェンダーからもらいます。負けた場合には、ソロイストが各ディフェンダーにゲームポイントを払わなければなりません。
最後のトリックにディフェンダー側が切札の7を出して、そのカードで勝った場合には、各ディフェンダーがこのゲームポイントをソロイストから得ます。負けた場合には、各ディフェンダーがソロイストにゲームポイントを払います。ディフェンダー側の1人が切札の7を出して、もう1人のディフェンダーがそれを取ってしまった場合も、この失敗となります。
パルティのコントラクトのソロイストが100点以上取った場合には、パルティのゲームポイントが2倍になります。
パルティのコントラクトで、ディフェンダー側が合計して100点以上取った場合にも、やはりゲームポイントが2倍になります。
このゲームポイントはコントラなどによって2倍等になります。
パルティのコントラクトのソロイストが全トリック取った場合には、パルティのゲームポイントが3倍になります。
パルティのコントラクトで、ディフェンダー側が合計して全トリック取った場合にも、やはりゲームポイントが3倍になります。
このゲームポイントはコントラなどによって2倍等になります。
ゲームはプレイヤー間の合意によって決められた回数、得点または時間になるまで行われます。
ゲームポイント | コントラクト | 切札のスート |
1 | パルティ | ハート以外 |
2 | パルティ (ハート) | ハート |
4 | 40-100 | ハート以外 |
5 (1 + 4) | パルティ + ウルティ | ハート以外 |
5 | ベトリ | ハート以外 |
6 | デュルヒ | ノートランプ、 ハート以外の切札 |
8 (4 + 4) 8 8 | 40-100 + ウルティ 40-100 (ハート) 20-100 | ハート以外 ハート ハート以外 |
10 (2 + 8) | パルティ + ウルティ (ハート) | ハート |
10 (4 + 6) 10 (4 + 6) 10 | 40-100 + デュルヒ デュルヒ + ウルティ ハート・ベトリ | ハート以外 ハート以外 ノートランプ |
12 (8 + 4) 12 | 20-100 + ウルティ ハート・デュルヒ | ハート以外 ノートランプ、 ハート |
14 (4 + 6 + 4) 14 (8 + 6) | 20-100 + デュルヒ + ウルティ 20-100 + デュルヒ | ハート以外 ハート以外 |
16 (8 + 8) 16 | 40-100 + ウルティ (ハート) 20-100 (ハート) | ハート ハート |
18 (8 + 6 + 4) | 20-100 + デュルヒ + ウルティ | ハート以外 |
20 (8 + 12) 20 (12 + 8) 20 | 40-100 + ハート・デュルヒ (ハート) ハート・デュルヒ + ウルティ (ハート) オープン・ベトリ | ハート ハート ノートランプ |
24 (16 + 8) 24 | 20-100 + ウルティ (ハート) オープン・デュルヒ | ハート ノートランプ、 切札(何でも) |
28 (8 + 12 + 8) 28 (16 + 12) 28 (4 + 24) 28 (24 + 4) | 40-100 + ハード・デュルヒ + ウルティ
(ハート) 20-100 + ハート・デュルヒ (ハート) 40-100 + オープン・デュルヒ オープン・デュルヒ + ウルティ | ハート以外 ハート以外 ハート ハート |
32 (4 + 24 + 4) 32 (8 + 24) 32 (24 + 8) 32 (8 + 24) | 40-100 + オープン・デュルヒ + ウルティ 40-100 + オープン・デュルヒ (ハート) オープン・デュルヒ + ウルティ (ハート) 20-100 + オープン・デュルヒ | ハート以外 ハート ハート ハート以外 |
36 (16 + 12 + 8) 36 (8 + 24 + 4) | 20-100 + ハート・デュルヒ + ウルティ
(ハート) 20-100 + オープン・デュルヒ + ウルティ | ハート ハート以外 |
40 (8 + 24 + 8) 40 (16 + 24) | 40-100 + オープン・デュルヒ + ウルティ
(ハート) 20-100 + オープン・デュルヒ (ハート) | ハート ハート |
48 (16 + 24 + 8) | 20-100 + オープン・デュルヒ + ウルティ (ハート) | ハート |