2019/4/6 赤桐
19世紀の終わりから20世紀中期にかけて、ハンガリーでプレイされてきたゲームです。
ルールはPagat.comによります。
2人〜4人。まず3人ゲームを紹介します。
通常の52枚のカードから、各スートの2〜6を除いた、32枚のカードを使います。
現地では、通常のクラブ、スペード、ハート、ダイアモンドのスートを持つカードの代わりに、ドイツ系統のスートである、どんぐり(makk)、ハート(piros)、かぼちゃ(tök,ドイツでは鈴)、木の葉(zöld)のカードが使われていました。このカードでは、クイーンはフェルショー(felső=上=上士官)、ジャックはアルショー(alsó=下=下士官)となります。エース、キングはそれぞれアース(ász)、キラーリ(király)です。
カードのカードの強さのランクと点数は次のようになります。
切札の場合 | ランク | J | 9 | A | 10 | K | Q | 8 | 7 |
点数 | 20 | 14 | 11 | 10 | 4 | 3 | 0 | 0 | |
切札以外 | ランク | A | 10 | K | Q | J | 9 | 8 | 7 |
点数 | 11 | 10 | 4 | 3 | 2 | 0 | 0 | 0 |
全カードの合計点は152点です。 切札がないときは120点です。 最後のトリックを取ったチームに10点が与えられるので、それを加えると162点(切札なしは130点)になります。
最初のディーラーはドローして最も弱いカードを引いたプレイヤーになります。 このときは、切札以外のランクを使います。 次回からは、ディーラーは反時計回りに交代します。
ディーラーがカードをシャッフルしてから、左隣のプレイヤーがカットします。 ディーラーは、右隣のプレイヤーから反時計回りに、各プレイヤーに3枚ずつまとめて2回配ります。 各プレイヤーの手札は6枚になります。
そのあと、1枚のカードを表向きにしてテーブル中央に置きます。これが切札候補カードとなります。
そのあと、各プレイヤーにさらに3枚ずつのカードをまとめて配ります。この3枚ずつのカードは、プレイヤーはまだ見ることができません。
配り残った4枚の内、上から3枚を切札候補カードの上に乗せて横向きに置きます。最後の1枚は表向きにして、この3枚の上に置きます。 この4枚のカードはタロンと呼ばれます。
このゲームは通常1人対2人の争いとなりますが、1人の方をデクレアラーと呼びます。 残り2人は臨時のパートナーとなります。ディフェンダーと呼んでおきます。
デクレアラーは、通常、3人の中で最も多くの点数を得ることができれば、プレイ成功となります。
デクレアラーや切札などのプレイの種類を決めるため、ビッドを行います。
まず、ディーラーの右隣から反時計回りに一巡、切札候補カードのスートを切札にするかどうかのビッドを行います。 ビッドの種類は、切札候補カードのスートを切札にすることをビッドするか、パスをするかだけです。 誰かが切札候補カードを切札にしたら、そのプレイヤーがデクレアラーになり、ビッドは終了します。
切札候補カードのスートを切札にするビッドを誰も行わなければ、もう1巡のビッドを行います。 今回は、切札のスートを何にするかをビッドするか、切札なしをビッドできます。もちろんパスもできます。 ただし、切札候補カードのスートをビッドすることはできません。 ビッドがあっても、それより強いビッドができれば、それをビッドすることができます。 ビッドの強さは、強いものから順に、切札なし、どんぐり(クラブ)、ハート(ハート)、かぼちゃ(ダイアモンド)、木の葉(スペード)です。 パス以外のビッドを最後にしたプレイヤーがデクレアラーになり、ビッドした切札(または切札なし)でプレイが行われます。
2巡目のビッドでも全員パスのときは、最後に配られた3枚のカードを全員が手札に入れて、3巡目のビッドを行えます。 ここでビッドできるのはベトリ(Betli)というものだけです。 これは、切札なしで、1トリックも取らないという宣言になります。 誰かがベトリを宣言したら、そのプレイヤーがデクレアラーになり、ビッドは終了します。
3巡目のビッドでも全員パスのときは、クロピトズキ(Kloptzky)というプレイを行います。 これは、切札なしで、各プレイヤーができるだけトリックを取らないようにするゲームです(カードの点数は無関係です)。
フィグラークとはボーナス得点の宣言です。 ただし、ベトリやクロピトズキの場合には、行いません。
デクレアラーが宣言して成功した時は、ディフェンダーの2人からゲーム点からもらい、失敗した時はディフェンダー2人にゲームを支払います。 ディフェンダーの1人が宣言して成功した時は、ディフェンダーの2人がデクレアラーからゲーム点からもらい、失敗した時はディフェンダー2人がデクレアラーにゲーム点を支払います。
つまり、ディフェンダーは、宣言の成功/失敗は個人のものだけを数えますが、 宣言していない方のディフェンダーも常に同額の受け取りや支払いとなります。
フィグラークの機会は2回あります。1回目の宣言(elölről)、2回目の宣言(hátulról)と呼ぶことにします。 1回目の宣言はビッドの直後に行います。 このときには、最後に配られた3枚のカードは、まだ見てはいけません。 そのかわり、成功/失敗のゲーム点は、下記の説明の点数の2倍となります。
2回目の宣言は、後で述べるように、1回目のトリックのプレイと同時に行います。 このときは、下記の通りの点数になります。
次の種類があります。
切札のキングとクイーンを持っているプレイヤーが宣言できます(切札なしのときは不可能です)。 プレイ成功/失敗の点数を1ゲーム点増やすという宣言です。
これ以外のフィグラークでは、宣言したプレイヤーだけが成功/失敗に関わりますが、 これに限っては、ディフェンダーが宣言した場合、もう1人のディフェンダーの点数がデクレアラーより多い時でも、 この宣言は成功となります。
1人で、カードの点数と最後のトリックの点数の合計で、82点以上取るという宣言です。 切札なしのゲームでは、66点以上でかまいません。 このゲームには手役の点数がありますが、それを加えた点数ではありません。 1ゲーム点。
1人で、カードの点数と最後のトリックの点数の合計で、100点以上(切札なしなら80点以上)取るという宣言です。 手役の点数を加えることはできません。 2ゲーム点。
1人で、カードの点数と最後のトリックの点数に手役の点数を加えて、200点以上(切札なしなら180点以上)取るという宣言です。 1ゲーム点。
1人で、エースを全部(4枚)取るという宣言です。1ゲーム点。
1人で、切札のJ、9、7の3枚のカードを取るという宣言です。 1ゲーム点。
最後のトリックを切札の7を出して勝つという宣言です。 2ゲーム点。
この宣言をしたプレイヤーは、最後のトリックまで切札7をプレイしてはいけません。 ただし、プレイの規則で出さなければならない時は出します。
最後のトリックで切札7を出して勝てなかったとき(パートナーが勝った時も含む)や、 最後のトリック以前にこのカードをプレイしてしまったときは、失敗になります。
1人で、切札のA、K、Qの3枚のカードを取るという宣言です。 1ゲーム点。
1人で、切札のJ、9、A、10、K、Qの6枚のカードを取るという宣言です。 2ゲーム点。
1人で、全トリックを取るという宣言です。 5ゲーム点。
もちろん、切札なしの時は、切札に関連するフィグラークは宣言できません。
アブソルートとサーザスを一度の宣言ですることはできません(1回目宣言で両方または2回目宣言で両方は不可)。 1回目の宣言でサーザスを宣言し、2回目の宣言でアブソルートを宣言することもできません。
1回目の宣言または2回目の宣言で、以下のコントラなどの宣言も行うことができます。 (べトリのときは、2回目の宣言のときだけ行えます)。
これらの宣言があると、プレイの結果に対するゲーム点が増えます。 また、プレイの結果に対するコントラ等とは別に、各フィグラークへのコントラ等も可能です。
下記の宣言は、コントラの対象(プレイの結果、各フィグラークなど)別に、 決められた側によって1回しか宣言できません。
これらを1回目の宣言で行うと、ゲーム点はそれまでの4倍になります。 つまり、例えばコントラとレコントラがあれば、ゲーム点は4倍x4倍で16倍となります。
2回目の宣言では2倍となります。 2回目の宣言では、対象のコントラ等が1回めに既に宣言されている場合は。それに引き続いての宣言となります。 例えば、1回めの宣言でコントラがあり、それで終わっていた場合、2回目の宣言でレコントラを宣言できます。 この場合のゲーム点は4倍x2倍=8倍です。
1回目の宣言はビッドの直後に行います。このときまだ、最後に配られた3枚は見てはいけません。
宣言は、デクレアラーから始めて、反時計回りに行います。 自分の番のとき、宣言したいフィグラークとコントラ等をすべて宣言します。 ただし、フィグラークは最初の1巡しか行えません。
2巡め以降は、コントラ等をビッドすることができます。 ただし、2人のプレイヤーが連続してパスをした(何もビッドしない)ときに宣言は終了します。
1回めの宣言が終わると、最後に配られた3枚を手札に加えます。
プレイや2回目の宣言の前に、切札候補カードのスートが切札に決まった時だけ、次のような交換ができます。
トリックテイキングのプレイを行います。 プレイは反時計回りです。
フォローの規則は次のようになります。
切札ゲームやベトリやクロピトズキのとき、デクレアラーが誰かにかかわりなく、ディーラーの右隣のプレイヤーが最初のリードを行います。 切札なしゲームの時はデクレアラー(ディーラーではない)の左隣のプレイヤーが最初のリードを行います。
各プレイヤーは自分の1トリック目のプレイと同時に2回目の宣言を行います。 このとき、フィグラークとコントラ等だけでなく、手役の宣言も合わせて行います。
宣言が1トリック目の1巡で終わらない時は、プレイを一時休んで、2巡目以降の宣言を行います。 1回めの宣言と同様、2人が続けてパスをすると、宣言は終了します。
手役の種類と宣言方法は次のようになります。 点数はカード点です。つまり、カードの点数に追加される点数です。 プレイの結果であるゲーム点ではありません。
なお、手役があるのに宣言を行わないことや、宣言の途中で負けを認めて詳しい宣言を行わないことも可能です。 (もちろんその場合には点数を得られません)。
ベトリやクロピトズキでは、手役の宣言はありません。
同じスートの続き札です。並び順は7, 8, 9, 10, J, Q, K, Aです。 例えば、ハートの10, J, Qなどです。
1巡目は最も長いシークエンスの枚数を宣言します。 枚数は正確に言わなければいけません。実際より短い枚数を宣言することもできません。
宣言された枚数の最大が同数のとき、2巡目は最も高位のカードのランクを宣言していきます。 それも同じなら、切札かどうかを宣言していきます。
最も強い宣言(枚数>高位>切札)のプレイヤーだけが得点します。 そのプレイヤーは、手札に他にシークエンスがあれば、それも枚数を宣言して得点できます。
同ランクのカード4枚です。 例えば8を4枚などです。 点数は80点。
1巡目はセットがあることを宣言します。 セットの宣言が2人以上あれば、2巡目はランクを宣言します。 ランクの強さは、切札ゲームでは切札の順位、切札なしゲームでは切札以外のスートの順位です。
最も強い宣言(ランク)のプレイヤーだけが得点します。 そのプレイヤーに他のセットがあれば、それも得点できます。
切札のキングとクイーンが手札にある状態です。 宣言は必要ありません。 得点計算のとき発表して20点をカードの点数に加えます。
2回目の宣言が終わり、2トリック目のプレイが始まる前に、誰でも、ギェリュンクの宣言を行うことができます。 ただし、ギェリュンクを宣言できるのは、フィグラークの宣言が1つもないか、カシュサ宣言だけのときだけです。 コントラ等はあってもかまいません。
この宣言は、カシュサやコントラ等の点数を含め、すべてのゲーム点を2倍にするという提案です。
この宣言に対して、相手側のプレイヤーは、次のどれかを選択して応答しなければなりません。
ギェリュンクに対するコントラがあると、相手側は、やはり上記1,2,3のどれかを選択します。 コントラ等を選択し続ける限り、これを続けます。 コントラ→レコントラ→スブコントラとなります。 ただし、スブコントラに対しては、1,2のどれかしか行えません。
ギェリュンクに対するコントラ等があって降参する場合は、その直前の倍率の負けとなります。
デクレアラーがギェリュンク宣言や対するコントラ宣言をしたとき、ディフェンダー側は次のように応答を行います。
デクレアラーは、ディフェンダーのどのプレイヤーよりも多くの点数をプレイで得ることができれば、プレイ成功となります。 このときの点数は、取ったカードの点数と、最後のトリックを勝ったプレイヤーへの10点と、手役の点数を加えたものです。
デクレアラーが成功した時は、ディフェンダーの2人から次のゲーム点からもらい、失敗した時はディフェンダー2人に次のゲームを支払います。
下記のゲーム点はコントラ等により増加します。
フィグラークのゲーム点は、プレイの成功失敗とは無関係に、独立してやりとりします。
デクレアラーが宣言して成功した時は、ディフェンダーの2人からゲーム点からもらい、失敗した時はディフェンダー2人にゲームを支払います。 ディフェンダーの1人が宣言して成功した時は、ディフェンダーの2人がデクレアラーからゲーム点からもらい、 失敗した時はディフェンダー2人がデクレアラーにゲーム点を支払います。 もちろん、そのフィグラークに対するコントラ等の影響を受けます。
4人でプレイするときは、ディーラーはプレイには参加しません。
しかし、得点の収支のとき、ディフェンダーとして支払いまたは受け取りを行います。
クロピトズキの時は、最もトリック数の多いプレイヤーから3ゲーム点を受け取ります。 4トリックのプレイヤーが2人いる時は、その各プレイヤーから3ゲーム点を受け取ります。
2人ゲームもよくプレイされます。
ディールは4回ずつ2回行い、切札候補カードを配ったあと、4枚を配ります。タロンは7枚になります。
切札の交換のとき、3人ゲームと同様に、表向きのタロンのカードが切札またはAのときは、 切札の交換を行ったプレイヤーは、そのカードを取ることができます。 ただし、そのあとが3人ゲームと違います。 残りのタロンの山をそのままひっくり返し、一番上が表になるようにします。 その山の一番上が切札かAなら、それを取ることができます。 取ったあとのその下のカードも切札かAなら、それも取ることができます。 これを取ることができなくなるまで繰り返します。
次のようなルールにすることもあります。