2022/10/1 赤桐
由緒のよくわからないゲームですが、1917の英語のルールブックに記載されていることは確認できました。 他のルールブックにもよく載っています。 現在プレイされているかどうかはよく分かりませんが、インターネットではいくつか紹介しているサイトがありました。
かなり特異なルールのラミーゲームですが、同種のゲームに、マキャベリ(Machiavelli)、バチカン(Vatican)、上海(Shanghai)、マニピュレーション(Manipulation)などがあります。 ラミーキューブも同種です。
以下のルールは 1973年のJohn Scarne氏著の“Scarne’s Encyclopedia of Games”に基づきます。 Pagat.comやThe Rummy Rulebookなどにもルールがあります。
2人~5人。
2人でプレイするときは52枚のトランプに1枚のジョーカーを加えた53枚を使います。 3人以上のときは52枚のトランプ2組と2枚のジョーカーで106枚のカードを使います。
カードのランクは(低)A、2、3、4、5、6、7、8、9、10、J、Q、K(高)の順です。
カードの点数は次の通りです。この点数はプレイの最後にこれらのカードが手札に残っていたときの罰点です。
カード | 点数 |
---|---|
ジョーカー | 25点 |
A | 1点 |
J、Q、K | 10点 |
2〜10 | その数字の点数 |
特定の組み合わせのカードのことです。 このゲームでは表向きにテーブルに出さないとメルドとは認められません。
プレイの目的は手札からメルドを作って、手札の点数を減らすことです。
メルドには次の2種類があります。
3枚以上同じランクのカードです。 例えば、K、K、Kの3枚はセットになっています。
同じスートのカードが2枚以上あってはいけません。 つまりK、K、Kなどはメルドとはなりません。 従って5枚以上のセットはありません。
同じスートの3枚かそれ以上の続き札のことです。例えば、9、10、Jの3枚はランになっています。
A(エース)は2の下のカードとして、A-2-3というようにつながります。 しかし、Kの上のカードとしてQ-K-Aというようにはつながりません。
ジョーカーはワイルドカード(代札)です。 メルドにおいて、どのカードの代わりにでも使うことができます。
ジョーカーを使うときにはどのカードの代わりにするかを宣言し、ふさわしい位置に置かなければなりません。
ジョーカーの使用枚数の制限はありません。 1つのメルドにジョーカーを2枚使ってもかまいません。
最初のディーラーは任意の方法で決めます。 次回からは時計回りに交替します。
ディーラーは、ディーラーの左隣から時計回りに1枚ずつ、各プレイヤーに10枚のカードを配ります。 残りのカードは山札としてテーブル中央に置きます。
最初にディーラーの左隣のプレイヤーがプレイし、そのあと時計回りに1人ずつプレイします。
各プレイヤーのプレイは次のように行います。
つまり、プレイの番では次のどれかを行うことになります。
このゲームでは他のラミーゲームのような捨て札はありません。
手札でセットやランの組み合わせになっているカードをテーブルに表向きに置けば、メルドとなります。
レイオフとは、メルドになっているカードに手札から1枚以上のカードを付け加えることです。 付け加えてもセットやランの条件を満たすメルドになっていなければなりません。
このゲームではメルドはすべてのプレイヤーの共通カードとなりますので、他のプレイヤーの作ったメルドにレイオフすることもできます。
さらに、このゲームでは、レイオフするときに、メルドされているカードの組み合わせを変えることができます。 組み合わせを変えた後にも、すべてのカードがメルドの条件を満たさなければなりません。 例えば4のランクの4枚のセットと5のランクの4枚のセットがあれば、 それらから4と5を分離し、手札から6を出してランにすることができます。
ワイルドカードも移動できますが、代わりになっている元のランクとスートを変えることはできません。 ただし、手札や他のメルドから、ワイルドカードがその代わりになっている本物のカードをワイルドカードの位置に置けば、 そのワイルドカードは自由にどのカードの代わりとしても使えるようになり、どのメルドにも付けることができます。 ただし、手札に入れることはできません。
たとえば、7、8,ジョーカー(9の代わり)というメルドがあれば、手札から9を出すことができます。 この場合には、そこにあったジョーカーは、他のカードの代わりとして自由にどのメルドにも付けることができます。
メルドとレイオフは、自分の番のときに、何度でも行うことができます。
プレイは、誰かがメルド/レイオフしたあと、ノックを宣言したときに終了します。 ノックを宣言するには、手札の点数の合計が5点かそれ以下でなければなりません。 このとき、プレイはすぐに終了します。
手札のすべてをメルド/レイオフして、手札がなくなったときも、ノックと同様に扱います(プレイが終了します)。
プレイが終了したら全プレイヤーが手札の点数を数えます。 ノックしたプレイヤーの点数と同点かそれより低い点数の点数のプレイヤーがいたら、アンダーカット(Undercut)となり、そのプレイヤーの勝ちとなります。 そうでなければ、ノックしたプレイヤーの勝ちとなります。 アンダーカットのプレイヤーが複数いる場合には、最も低い点数のプレイヤーが勝者になります。
勝ったプレイヤーは、他の各プレイヤーとの点数の差を合計したものを得点します。 他のプレイヤーの得点/失点はありません。
手札を全部出しきって勝った場合は、上りのボーナスとして、この点数に25点を加えます。 アンダーカットで勝った場合は、アンダーカットボーナスとして、点数に10点を加えます。
アンダーカットで最も低い点数のプレイヤーが同点で2人以上いるときには、 そのプレイヤーは全員、上記の方法で得点します。
1枚目か2枚目のドローで山札がなくなったときは、プレイヤーはメルド/レイオフをするか何もしないで番を終えます。 3枚目で山札がなくなったときは、通常通りそれで番を終えます。
そのあと、次の順番のプレイヤーから全員がもう1度プレイます。 このときはもドローなしでメルド/レイオフをするか何もしないで番が終わります。 最後は最後の山札をドローしたプレイヤーがプレイして終わります。
ただし、最後の一巡のときにに、ノックや手札を出しきったプレイヤーがあったら、そこで終了し、通常通りの得点計算を行います。
そうでないときは、全員の手札を比べて、最も低い点数のプレイヤーの勝ちになります。 最も低い点数のプレイヤーが2人以上いるときには、その全員の勝利になり、全員が得点します。 上りのボーナスやアンダーカットボーナスはありません。
ディール終了時に累計得点が150点以上になったプレイヤーがいたら、そのプレイヤーの勝利でゲームが終わります。 (明確なルールはないようですが、同時に2人が150点以上になったら高い点数のプレイヤーの勝ち、同点ならさらにプレイを続けるということで良いと思います)。
そのプレイヤーは100点のボーナスと、勝った1ディールについて25点のボーナスを、累計得点に追加します。
精算を行うときは、全プレイヤーのすべての2人の組み合わせについて、その2人の累計得点の差額をやりとりします。 累計点が0点のプレイヤーは、勝ったプレイヤーにだけ、差額の2倍を払わなければなりません。
Pagat.comではAはQ-K-Aというようにもつながります(K-A-2というようにはつながりません)が、 Scarneの本を基に記述しているということなので、これは誤りだと思われます。
1917年刊のEly Culbertsn著の“Card Games Complete”では、本文(Scarneの本のもの)と次のような違いがあります。 (Pagat.comでの1950年刊Culbertsn著の“Culbertson’s Hoynle”についての記述を参考にしましたが、実際の書籍を当たっています。)
10月1日、なかよし村でプレイしました。 捨て札がないラミーなのでどうなることかと思いましたが、ちゃんと誰かが上がり、面白く遊べました。 ただ、考えることが多く、しかも自分に回ってくるまでに状況が変わることが多いので、1人のプレイ時間がかなり長くなりました。