2019/6/1 赤桐
ホイストの派生ゲームの1つです。1860年代に生まれました。名前はフランス領ギアナの首都から取られました。
ルールは主にDavid Parlett氏の"The Dictionary of Card Games"によりました。
4人。向かい合った2人がパートナーになります。
普通の52枚のトランプ。
スートの強さは、(強)A、K、Q、J、10、9、8、7、6、5、4、3、2(弱)です。
最初のディーラーは任意の方法で選びます。次回からは時計回りに交代します。
ディーラーはまずカードを4枚ずつまとめて、ディーラーの左隣から時計回りの順に書くプレイヤーに配ります。 次に4枚ずつまとめて配り、最後に5枚ずつまとめて配ります。 各プレイヤーの手札は13枚になります。
そのあと、ディーラーの左隣のプレイヤーが、別のトランプの組をカットして、 表になったカードのスートをカイエンとします。 あるいは任意の別の方法で決めてもかまいません。
カイエンのスートによりその他のスートの順位が次のように決まります。 (カイエンは1位です。この順位はプレイには無関係で、得点にのみ影響します)。
カイエン | 2位 | 3位 | 4位 |
---|---|---|---|
ハート | ダイアモンド | クラブ | スペード |
ダイアモンド | ハート | スペード | クラブ |
クラブ | スペード | ハート | ダイアモンド |
スペード | クラブ | ダイアモンド | ハート |
そのあと、ディーラーはどのスートを切札にするかを決めます。 あるいは、グランド(Grand)またはナル(Null)を宣言してもかまいません。 グランドとは、切札なしでプレイすることです。 ナルとは、切札なしで、できるだけトリックを取らないことを目的としてプレイすることです。 このときパートナーと相談してはいけません。
ディーラーは、自分で切札を決めたくなければ、パートナーに任せることもできます。 任せられたパートナーは、必ず何かを宣言しなければなりません。
トリックテイキングのプレイを行います。 最初のリードはディーラーの左隣で、時計回りにプレイします。
プレイのルールはごく普通のものです。つまり:
プレイが終了したら、各チームは2人のトリックの合計が6トリックを超えたチームは、 取ったトリック数から6を引き、それに次の数を掛けたものを得点します。 ただし、ナルのゲームの時は、取ったトリック数が6トリック以下のチームが、 7から取ったトリック数を引き、次の数を掛けたものを得点します。
種類 | 乗数 |
---|---|
グランド | 8 |
ナル | 8 |
カイエンのスートが切札 | 4 |
2位の順位のスートが切札 | 3 |
3位の順位のスートが切札 | 2 |
4位の順位のスートが切札 | 1 |
13トリック全部取ったチームは6点を追加で得点します。 12トリックなら4点を追加得点します。 (ナルを除く)
切札の上位5枚のカード(A、K、Q、J、10)をアナーと呼びますが、 パートナー2人に配られたアナーが3枚以上のチームは、アナーの枚数から2を引いたものに2を掛け、 さらに上記の乗数を掛けた点数を(追加で)得点します。 グランドやナルの時には、アナーの点数はありません。
累計点が10点かそれ以上になったチームがゲームに勝ちます。
ただし、アナーの点数だけで10点以上になった場合(つまり6トリック以下しか取っていない場合)には、勝ちになりません。 このとき相手チームが10点以上になっていたら、相手チームの勝ちになり、アナーの点数はもらえません。 相手チームが10点未満のときは、自チームの累計点は9点になります。
ゲームに勝ったチームは、相手チームの累計点によって、次の点数を次のゲームに持ち越すことができます。 (つまり、そのチームは持ち越しの点数が最初の累計点となり、相手チームは累計点0点から始めます。)
相手チームの累計点 | 持ち越し点数 |
---|---|
0点 | 4点 |
1点〜3点 | 3点 |
4点〜6点 | 2点 |
7点〜9点 | 1点 |
先に4ゲーム勝ったチームが、ラバーに勝ったことになり、プレイはすべて終了します。
ラバーに勝ったチームは、さらに8ゲーム数を得ることができます。 つまり、勝った4ゲームにこの8ゲームを足した12ゲームから相手の勝ったゲーム数を引いたものが、勝ったゲーム数となります。
John Scarne氏の"Scarne's Encyclopedia of Games"によれば、 アナーのボーナスは、3枚のとき2点、4枚のとき4点、5枚のとき5点に、乗数を掛けたものになります。
Walter B. Gibson氏の"Hoyle's Modern Encyclopedio of Card Games"によれば、 このゲームはコントラクトブリッジの先駆者として、 (1)スートごとに得点が定められること、 (2)切札なしのプレイがあること、の点で重要だということです。
また、このゲームでパートナーに切札決めを任せることは、「ブリッジ(bridge)」と呼ぶとしていて、 この言葉がコントラクト・ブリッジの名前の由来になっていると解説しています。
2019年6月1日、なかよし村でプレイしました。
面白くプレイできましたが、その後プレイしたチャイニーズ・ホイストのほうが盛り上がっているようでした。
アナーの点数が大きすぎるようにも思いますが、アナーだけでゲームに勝つことはできないので、これで良いのでしょうか。
なお、カイエンやグランドなどでは、計算上非常に大きな点数になることがありますが、 10点がゲームなので、実際には余り大きな点数は関係ありません。 これらの場合、7トリック以上取るかどうかだけが問題になることが多くなります。 ゲームを取ることがわかった時点でプレイをやめて良いのだと思われます。