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クヨン(Couillon)

2012/6/2赤桐

 ベルギーでよくプレイされているトリックテイキングゲームです。オランダ、ルクセンブルグ、ドイツの一部地方でもプレイされています。

 このゲームの名前は、睾丸という意味のワロン語(ベルギーのワロン地方の言語)coyonに由来するようです。これはゲームの得点表記の時に使われる丸いしるしを表します。Trümpfspielという古いゲームと関連があるようです。

 ルールはJohn McLeod氏のホームページ(http://www.pagat.com/)によります。


人数

 4人。向かい合った2人がパートナーになります。(パートナーを無作為に決めるときには、カードをドローして最も強い2枚を引いたプレイヤーがパートナーになり、残りの2人もパートナーになります。同じ強さの時には同位のプレイヤーが引き直して順位を決めます)。

カード

 普通の52枚のトランプからの カードを抜いた24枚のカードを使用します。ジョーカーは使いません。各カードの強さの順位と点数は次の通りです:

4点
3点
2点
1点
100点
0点

ディールと切札決め

 最初のディーラーは任意の方法で決めます。パートナー決めのためにカードをドローした場合は、最も強いカードを引いたプレイヤーがディーラーになります。

 次回からは、ディーラーは時計回りに交代します。

 ディーラーはシャッフルして右隣のプレイヤーにカットしてもらったあと、左隣のプレイヤーから時計回りに、2枚ずつ2回配ります。各プレイヤーの手札は4枚になります。

 ディーラーは配り残りのカードの一番上のカードを表向きにします。これが切札候補カードになります。

 ディーラーの左隣のプレイヤーから順に、切札候補カードのスートを切札にするという宣言を行うか、またはパスを行います。切札にするという宣言があったら、それ以降の宣言(やパス)は行いません。

 全プレイヤーがパスをしたら、配り残りのカードの一番下のカードを表向きにします。このカードのスートが切札スートになります。

プレイ

 ディーラーの左隣のプレイヤーが最初のリー ドを行います。

 プレーはトリックテイ キングゲームのルールに従います。規則は次のようになります:

  1. リードされたスートのカードが手札にあれば、そのスートのカードまたは切札を出します。そのようなカードが何枚かあれば、そのうち1枚を出します。
  2. リードされたスートのカードがなければ、どのカードでも1枚を出します。
  3. 切札が出ていない場合は、リードされたスートの最も強いカードを出したプレイヤーが勝ちます(トリックを取ります)。
  4. 切札が出ている場合は、最も強い切札を出したプレイヤーが勝ちます。
  5. 勝ったプレイヤーが次のリードを行ないます。

 リードされたスートを持っていても切札を出すことができるが、ほかのスートを捨て札することはできないことにご注意ください。リードされたスートを持っていないときは、必ずしも切札を出さなくてもかまいません。

得点

 ゲームを始める前に、得点盤に、縦棒を1つ描き、その左右に5本または7本の横棒を描いておきます。横棒は消していくので、小さな黒板のようなものが理想です。

     tree

 右と左の横棒が、それぞれのチームに対応しています。

 プレイが終了すると各チームは2人が取ったカードの点数を合計します。より多くの点数を取ったチームが勝ちになります。同点の場合は引き分けです。

 勝ったチームが、自分のところの横棒を1つ消します。

 切札を決めたプレイヤーのチームが相手チームより点数が少なければ、棒の先に丸い輪(boucle/couille)を描きます。輪が描かれた棒は2回勝たないと消えません(最初の勝ちで輪を消し、2回目の勝ちで棒を消します)。

 引き分けの場合は、引き分けのしるしとして得点盤のどこかに斜線入りの丸(craie dans le trou)を描きます。次のディールに勝ったプレイヤーは2つの棒(または輪のついた棒1つ)と引き分けのしるしを消します。(引き分けが何度も続いた場合でも消すのは2つだけのようです)。

ゲーム

 横棒を全部消したチームが勝ちになります。


クヨン・ミット(Couillon with the Mit')

 クヨンのバリエーションです。ベルギー東南部の町マルメディ(Malmedy)でプレイされています。ミットとはスペードのクイーンのことです。

ディーラーとパートナー決め

 誰かがシャッフルしたカードを1枚ずつ各プレイヤーに(何度も)配っていきます。最初にジャックを配られたプレイヤーが最初のディーラーになります。このプレイヤーを除いて配り続け、2回目のジャックを配られたプレイヤーが最初のディーラーのパートナーになります。

ディールと切札決め

 ディーラーはシャッフルして右隣のプレイヤーにカットしてもらったあと、左隣のプレイヤーに3枚のカードを配ります。このプレイヤーは、切札を何にするかを宣言しなければなりません。

 宣言が終わったら、他のプレイヤーにも3枚ずつまとめて配ります。そのあと4枚のカードを脇に置いたあと、各プレイヤーに2枚ずつまとめて配ります。脇に置かれたカードはこのあと使用しません。

 左隣のプレイヤーは切札を宣言したくないと言うこともできます。このときは、左隣のプレイヤーに最後に2枚配るカードのうち、上に置かれたカードを表向きにします。これが切札のスートになります。

ミットとコントラの宣言とプレイ

 最初のトリックのプレイをそのプレイヤーが行う前ならば、SQを持っているプレイヤーは「ミット」を宣言することができます。 この宣言があると、SQAの次に強い切札になります(切札のスートに属することになります)。

 ミットの宣言がないときは、SQは通常のルールの通りスペードの3番目に強いカードのままです。

 ミットの宣言は勝ったチームの得点を増やしますが、ミットの宣言をした相手のチームのどちらかのプレイヤーは、ミットの宣言に対して「コントラ(Kontra)」を宣言して、勝ったチームの得点をさらに増やすことができます。

 コントラの宣言があったら、相手チーム(ミットの宣言をしたチーム)のどちらかのプレイヤーは、「レ(Re)」を宣言して、勝ったチームの得点をさらに増やすことができます。

 これらの宣言はすべてSQを持っているプレイヤーが最初にプレイする前に行わなければなりません。

得点

 最初、各チームは13点のゲーム点を持ちます(ゲーム点はrôyesと呼ばれます)。プレイで勝ったチームは次のようにゲーム点を減らしていきます。

普通の勝ち(相手チームよりカードの点数が多い)1点減らす
全トリック勝ち1点多く減らす
ミットが宣言された1点多く減らす
コントラが宣言された1点多く減らす
レが宣言された1点多く減らす
ディーラーチームが勝った相手チームが1点増やす

 両チームのカードの点数が同じときには、どちらのチームも点数の増減はありません。次のディールにも影響しません。

ゲーム

 ゲーム点が0点(以下)になったチームの勝ちです。

6人プレイ

 1人おきの3人がチームを組みます。

 カードは2枚ずつ2回配りますが、ディーラーの左隣のプレイヤーは最初の2枚を見て切札を決めることも、2回目に配られたカードの上に置かれたカードを表にして切り札にすることもできます。

 あるいは、各スートのが入った32枚のカードを使うこともできます。このときは、ディールや切札決めは4人プレイの時と同じです。

8人プレイ

 1人おきの4人がチームを組みます。各スートのが入った32枚のカードを使います。

 24枚のカードで6人プレイを行うときと同じように、ディールや切札決めを行います。