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クラペット(La Crapette)

2007/3/3 赤桐

 クラペットはフランス語で、英語ではロシアン・バンク(Russian Bank)と呼ばれます。フランス語の名前はCrape(意地の悪い)から来ているのでしょうか。ヨーロッパで広く遊ばれているようです。

 スパイト・アンド・マリスと同様に、2人用ソリテア(2人用1人ゲーム?)と呼ばれることのあるゲームで、多くのソリテアのメカニズムに近いゲームです。


プレイヤー

 2人。

カード

 52枚の普通のカード2組。2組のカードは、裏の色や模様が異なる方が便利です。

 カードのランクは(低)10(高)です。

ディール

 各プレイヤーが52枚のカード1組ずつ別々にシャッフルします。シャッフルしたカードは相手に渡します。

 各プレイヤーは、まず13枚のカードを自分に裏向きに配り、重ねて置きます。ただし、13枚目の(一番上の)カードだけは表向きにします。この山をクラペット(Crapette/Reserve)と呼びます。

 次に、4枚のカードを表向きにテーブルに置きます。これをハウス(Cases/House)と呼びます。

 残りの37枚のカードは裏向きの山のままテーブルの左に置きます。これをタロン(Taron/Hand)と呼びます。

 カードを置く位置は以下の図のようになります。

   crapette1

 上図のように、クラペットとタロンの間には捨て札の山(捨て札を重ねて置くところ)があります。

 また、ハウスの間にはカードの山を置く場所を8つ空けておきます。これを台札の山と呼びます。

ゲームの目的

 プレイのとき、自分のタロンやクラペットからテーブル上のある場所にカードを移したり、テーブル上のある場所から別の場所にカードを移したりします。

 ゲームの目的は、自分のタロンとクラペットと捨て札の山をすべて空にすることです。

レイアウト

 プレイ中のテーブルの様子は下図のようになります。

   fig2

  各場所にカードは重ねて置きますが、置き方や移動の方法はそれぞれ次のようになります:

クラペット

 自分のクラペットから、一番上のカードを台札の山やハウスや相手の捨て札に移動することができます。一番上のカードが移動したら、次のカードを表向きにします。表向きになったカードは移動可能になります。最後のカードが移動してしまったら、空きのままにしておきます。

 相手のクラペットには、同じスートで1つランクの上または下のカードを上に置くことができます。例えば、Dが一番上になっていたら、DまたはDを置くことができます。さらにその上に、同じスートで1つランクの上または下のカードを重ねることもできます。

タロン

 プレイするときに一番上のカードを表向きにします。表向きにされたカードは、台札の山、ハウス、または捨て札の山に移動します。

 タロンのカードがなくなったら、次回タロンをプレイする直前に、捨て札の山全部をひっくり返して(シャッフルはしないで)、タロンとします。

捨て札の山

 タロンからここにカードを置くことができます。置くカードは表向きに重ねます。ここから他の場所にカードを移動することはできませんが、タロンがなくなったら、上記のようにそのまま裏向きにしてタロンとします。

 相手の捨て札の山には、相手のクラペットと同様に、同じスートで1つランクの上または下のカードを上に置くことができます。さらにその上に、同じスートで1つランクの上または下のカードを重ねることもできます。

ハウス

 配ったプレイヤーとは関係なく、すべてのハウスは2人の共通のものになります。ハウスの一番上のカードは移動可能です。

 ハウスに重ねて置くときには、図のようにインデックスが見えるようにずらして置きます。置くことができるのは、違った「色」のカードで、1つランクの下のカードに限ります。ハウスの場所が空いていたら、何を置いてもかまいません。

 ハウスの一番上のカードは台札の山に1枚ずつ置くことができます。他のハウスや相手のクラペット、相手の捨て札の山に置くこともできます。

台札の山

 どちらのプレイヤーも台札の山の8つの場所を共通に使うことができます。台札の山は一番下が必ずA(エース)でなくてはなりません。それより上は、同じスートで、1つランクの上のカードを重ねていきます。ここからの移動はありません。

プレイ

 最初にプレイするプレイヤーは、クラペットの一番上のカードのランクが高い方のプレイヤーです(が最低、が最高)。もし同じならば、その上の位置のハウスのカードを比べます。それも同じなら、さらに上のハウスのカードを比べるというようにします。最初にプレイするプレイヤーは、次のディールからは、交替になります。

義務プレイ

 各プレイヤーは、自分の番の時に次のプレイを行う義務があります(番号の小さいほうが優先される義務です)。義務プレイを行ったあと、新たに義務が発生する場合もあります。

  1. クラペットのカードが台札の山に移動できるなら、移動しなければなりません。
  2. ハウスやタロンから台札の山に移動できるなら、移動しなければなりません。いくつかの移動方法があった場合は、どれを行ってもかまいません。
  3. ハウスに空きがあれば、クラペットからカードを置かなければなりません。

自由プレイ

 各プレイヤーは、義務プレイを行なったら、自分のクラペットやハウスから、次の場所に自由に何度でもカードを移動することができます。(このようなプレイの最中でも、義務プレイが可能になったら、それをしなければなりません。)

タロンのプレイ

 義務プレイや自由プレイのあと、タロンの一番上のカードを表向きにします。そのカードが台札の山に移動できれば移動します(義務プレイ)。そうでなければ、ハウスや相手のクラペットや相手の捨て札の山、または自分の捨て札の山に移動しなければなりません。自分の捨て札の山にはどんな場合でも移動することができます。

 自分の捨て札の山以外に移動した場合は、そのあと義務プレイや自由プレイがあれば行ったあと、またタロンの一番上のカードを表向きにして同じことを繰り返します。

 自分の捨て札の山に移動した場合は、そのプレイヤーの番は終了となります。

指摘

 相手がルールに合わない移動を行ったとき、それを指摘すると、その移動が無効になるだけでなく、相手の番が終わります。

 相手が義務である移動を行わなくて、別の移動を行ったら、その移動が無効になり、義務の移動を行ったあと、相手の番が終わります。

プレイの終了と得点

 あるプレイヤーのタロン、クラペット、および捨て札の山がすべてなくなったら、そのプレイヤーの勝ちでプレイは終了します。

 この場合、相手側の残っているタロンや捨て札1枚につき1点、クラペット1枚につき2点に30点を加えたものが、勝ったプレイヤーの得点となります。

 プレイの途中でどちらも意味のある移動ができなくなったときには、各プレイヤーが、残っているタロンや捨て札1枚につき1点、クラペット1枚につき2点で計算して、点数の少ないほうが、2人の差の点数を得点します。

ゲーム

 累計点が決められた点数(300点など)に先に達したプレイヤーが勝者になります。