1994/2/14 赤桐
ユーカーは19世紀後半から現在まで米国でよくプレイされているトリックテイキングゲームですが、英国の一部地方でも伝統的によくプレイされています。
ここでは「英国ユーカー協会」のものを基に、英国のルールを紹介します。
4人。向かいあった2人がパートナーとなります。
各スートのA、K、Q、J、10、9とジョーカーの25枚のカード。ジョーカーの代りにスペードの2を使うこともあります。
切札のスートでは、強いのから順に、ジョーカー、J(ライトバウアー=正ジャック)、切札と同色のスートのJ(レフトバウアー=裏ジャック)、 A、K、Q、10、9の順です。ジョーカーは常に切札です。レフトバウアーはマークで表示されているスートではなく切札のスートに属します。
切札以外のスートでは、A、K、Q、J、10、9順です。
最初のディーラーは任意のやり方で決めます。ディーラーはディール毎に左隣のプレイヤーに移ります。
ディーラーは、ディーラーの左隣から時計回りに、まず3枚ずつ各プレイヤーに配り、次に2枚ずつ配ります。各プレイヤーは5枚ずつの手札を持つことになります。
残りの5枚のカードはテーブル中央に裏向きに置きますが、1番上のカードだけは表向きにします。このカードのスートが切札の候補になります。
もしこのカードがジョーカーだったら、ディーラーは自分の手札を見る前に、どのスートを切札候補にするかを宣言します。
ディーラーの左隣から順に時計回りに、切札候補のスートを切札にするかどうかをビッドしていきます。誰かがアップ(Order It Up)とビッドすると、そのスートが切札に決まり、 ビッドが終了します。アップをビッドしたくない場合にはパスとビッドします。
アップの代りに、アップ・ダウン(Up,Down)とビッドすることもできます。これは、切札候補のスートを切札にして、パートナーの力を借りないで1人でプレイするという宣言です。
全員がパスをした場合には、切札候補のカードは裏向きにされ、ディーラーの左隣から新しいビッドが始まります。
今度は、アップの代りに、自由にスートをビッドしてそれを切札にすることができます。例えば、「スペード」というようにです。ただし、最初の切札候補のスートをビッドすることはできません。今回も、誰かが切札スートをビッドしたら、ビッドは終了します。
今回1人でプレイしたい場合には、例えばスペード・ダウンと言うように、スートのあとにダウンをつけてビッドします。
このビッドにおいても全員がパスをした場合には、プレイは行われず、配り直しとなります。ディーラーは左隣に交代します。
なお、1巡目のビッドでも2順目のビッドでも、切札を決めたプレイヤーはメーカーと呼ばれます。
切札表示カードが切札に決まった場合には、ディーラー(メーカーではない)は、プレイの前に、切札表示カードを手札に加え、不要なカードを1枚裏向きに捨て札することができます。
メーカーがビッドのときにダウンを宣言している場合には、メーカーのパートナーは手札を伏せて置いておきます。このプレイヤーとその手札は、プレイには参加しません。
トリックテイキングゲームの通常のルールに従います。
1人プレイが行われる場合には、1人プレイをするプレイヤーの左隣のプレイヤーが最初のリードを行います。それ以外の場合には、ディーラーの左隣のプレイヤーが最初のリードをします。
リードされたスートはフォローしなければなりませんが、フォローできない場合にはどのカードを出してもかまいません。ジョーカーや切札スートと同色のJ(レフトバウアー)は切札に属することに注意してください。
切札が出ているときには、最も強い切札を出したプレイヤーがトリックに勝ちます。そうでないときには、リードされたスートで最も強いカードを出したプレイヤーがトリックに勝ちます。勝ったプレイヤーが次のリードを行ないます。取ったトリックはパートナーごとに裏向きにして、トリック数がよくわかるように置きます。
得点はパートナーごとに付けます。1人プレイがあった場合にも、パートナー2人の得点となります。
メーカーの側が3トリック以上取った場合には、次のような得点となります。
3トリックか4トリック勝った場合 | 1ポイント |
5トリック全部勝った場合 | 2ポイント |
1人プレイで5トリック全部勝った場合 | 4ポイント |
なお、1人プレイで3トリックか4トリックしか勝たなかった場合は、1ポイントだけです。
メーカーの側が3トリック以上取ることに失敗した場合には、相手側が2ポイント得点します。(これをユーカーされると言います。)
伝統的には、5ポイント先取したほうが勝ちます。
トーナメントプレイでは、21ポイント先取のゲームを先に2つ勝ったほうが勝利します。
繁雑になるので省略しましたが、英国ユーカー協会のルールには1人プレイについて次のようなルールがあります。
ダウンを宣言しているメーカーのパートナーは、逆に、メーカーにプレイをさせないで、自分1人でプレイすることを選択できます。ただし、メーカーがディーラーで、切札表示カードと手札の交換を既に行っている場合には、こうすることはできません。
また、メーカーの側が1人プレイを行うときに限り、相手側のプレイヤーの1人は、自分のパートナーのカードを伏せさせて、1人でプレイすることを選択できます。ただし、やはり、パートナーがディーラーで、切札表示カードと手札の交換を既に行っている場合には、こうすることはできません。
メーカーの相手側が1人プレイして、ユーカーした場合には、4ポイントを得点します。
ジョーカーや、同じ働きをするスペードの2は、「ベニー(Benny)」と呼ばれることがあります。また、「ベストバウアー(Best Bower)」と呼ばれることもあります。
「ダウン」と言う代わりに、「アローン(alone)」と言うこともあります。