2016/2/6 赤桐
David Parlett氏が文献から再構築したゲームです。イギリスで16世紀から18世紀の初めまで非常に盛んにプレイされていたようです。 ピケットと似たゲームですが、ポーカーの先祖の1つでもあります。
ゲームは4つのステージから成ります。(1)ドロー、(2)バイ、(3)グリークとムーニバル、(4)トリックプレイです。
3人
普通のトランプから各スートの2と3を除いた44枚のカードを使用します。 各スートのカードの強さは、強いものから次のようになります。
A(Tib)、K、Q、J(Tom)、10、9、8、7、6(Tumber)、5(Towser)、4(Tiddy)
各プレイヤーはポーカーチップなどのカウンターを持ちます。
最初のディーラーは任意に決めます。次回からは時計回りに交替します。
カードは4枚ずつまとめて3回配ります。各プレイヤーの手札は12枚になります。 残りのカードのうちまず1枚を表向きにします。このカードのスートが切札になります。 残りの7枚は裏向きのまま置いておきます。これは交換用の山札となります。
切札を決めるために表にしたカード(切札表示カード)が4のランクだったとき、ディーラーは他のプレイヤーから4チップずつもらいます。 この切札4のカードはティディー(Tiddy)と呼ばれます。
ディールのあと、プレイヤーは山札と手札(のうち7枚)を交換する権利を得るためのビッドを行います。
ディーラーの左隣のプレイヤーはまず12(チップ)をビッドしなければなりません。そのあと、時計回りに一人ずつビッドしていきます。 ビッドはそれまでのビッドよりも高い数字でなくてはなりません。ビッドしたくなければパスをします。 パスをしたプレイヤーはもうビッドできませんが、パスをしなければ何度でもビッドできます。
2人がパスをしたら、残ったプレイヤーは他の2人にビッドしたチップ数の半分ずつを支払い、交換を行います。 割り切れないときは、最後にパスをしたプレイヤーが端数をもらいます。
交換はまず手札からどのカードでも7枚を裏向きに捨て札し、そのあと、切札表示カード以外の山札を手札に入れます。
次に、各プレイヤーの手札を基にして、ポーカーと同様のプレイを行います。
手札の各スートについてカード点数を合計し、最も点数の多いスートの点数が各プレイヤーの持ち点となります。 この点数の高いてほうが強い手札になります。 カードの点数はAが11点、K、Q、Jは各10点、その他はカードの数字が点数になります。 例外として、手札にAが4枚あれば、最も強い手札となります。 勝負を降りなかったプレイヤーの中で最も強い手のプレイヤーが、他の各プレイヤーの賭けたチップをもらいます。
プレイはディーラーの左隣から順に時計回りに行います。まず、パスをするか「バイ」を宣言するかします。 バイというのは、賭けを始めるということです。 この時に賭けるチップは各プレイヤー2チップです。 全員がパスをしたらこの2チップは次のディールに持ち越され、次回は4チップから始まります(そのディールも全員パスなら、その次は6チップからというようになります)。 なお、このゲームではポーカーのようにチップを前には出さず、口頭で額を確認するだけになります。
誰かが「バイ」を宣言したら、次のプレイヤーからは選択ができます。
バイまたはリバイのあと、残りの2人がシーを宣言するか、1人がシーを宣言しもう1人が勝負を降りるパスをした(していた)場合、 降りていないプレイヤーは自分の最も点数の高いスートのカードをすべて公開します。 最も点数の高いプレイヤーが賭けたチップを他のそれぞれのプレイヤーからもらいます。 最高点が同点のときは、残りのプレイヤーの賭けたチップを分け合います。
1人を除く全員が勝負を降りるパスをした場合には、カードを見せないで、残った1人が他のプレイヤーから賭けたチップをもらいます。
なお、ポーカーの用語に直すと、最初のパス=チェック、リバイ=レイズ、シー=コール、バイ後のパス=フォールド となります。
次に、各プレイヤーは自分の手札の中のグリークとムーニバルを宣言します。 グリークとは、Aや絵札で同じランクのカードが3枚あることで、ムーニバルとは4枚あることです。 次のチップ数を他の各プレイヤーからもらいます。
ランク | グリークの点数 | ムーニバルの点数 |
---|---|---|
A | 4 | 8 |
K | 3 | 6 |
Q | 2 | 4 |
J | 1 | 2 |
グリークとムーニバルは誰でも宣言でき、1人で2つ以上宣言してもかまいません。 複数のプレイヤーが宣言したときは、相殺計算になることもあります。 カードを見せる必要はありません。
最後に普通のトリックテイキングゲームのプレイを行います。 まずディーラーの左隣のプレイヤーが最初のリードを行い、時計回りにプレイします。フォローの規則は次の通りです。
切札がプレイされたときは最も強い切札をプレイしたプレイヤーがトリックを取り、そうでないときはリードされたスートで最も強いカードを持っているプレイヤーがトリックを取ります。 トリックを取ったプレイヤーが、手札から自由に1枚を出して、次のリードを行います。
切札のA、K、Q、Jをプレイする時は、そのカードをプレイしたことを宣言しなくてはなりません。 そのカードをプレイするだけで(手札にもっていただけで)、あとで得点になるからです。
プレイが終わったら、各プレイヤーは取ったトリック1つにつき3点を得ます。
さらにプレイした切札のA、K、Q、Jについて、次の点数を得ます。 切札候補カードがA、K、Q、Jだったときも、ディーラーがこの点数を得ます。
カード | 点数 |
---|---|
切札A | 15 |
切札K | 3 |
切札Q | 3 |
切札J | 9 |
これらの点数の合計は66点になり、平均点は22点になるので、各プレイヤーは取った点数と22点との差額を1点1チップで支払うか受け取るかします。(ただし、これらのカードが捨て札されていたときは、平均点が変わります。その平均点との差額を清算することになります)。
Parlett氏が主に参照した文献は次の通りです。
"The Compleat Gamester"では、切札表示カードが5(Towser)のとき5チップ、6(Tumbler)のとき6チップをディーラーに支払います。
"A Volume of Plaies"では、切札表示カードが4のとき、4チップではなく2チップずつを2人からもらいます。
ビッドしたチップを支払うとき、最後にパスをしたプレイヤーが端数を受け取るというのは"A Volume of Plaies"にかかれているルールです。 "The Compleat Gamester"では「ディーラーの左隣のプレイヤーが端数を受け取る」となっています。 ("Wits Interpreter"には何も書かれていません)。
"Wits Interpreter"と"The Compleat Gamester"では、交換の時に、まず7枚を手札に入れてから7枚を捨て札するようにも読めますが、 "The Compleat Gamester"と"A Volume of Plaies"には、交換によって手が悪くなる可能性もあると書いてあるので、 Parlett氏は本文のように解釈したのだと思われます。
バイのプレイについては、参照した文献の記述にあいまいな点が多いため、Parlett氏の推測が入っています。
グリークとムーニバルについて、ピケットと同じように、最も強いグリークまたはムーニバルを持っているプレイヤーだけが、 自分が他に持っているグリークやムーニバルの点数を含めて、得点できるのかもしれないと、Parlett氏は書いています。
"A Volume of Plaies"によれば、トリックプレイのとき、リードされたスートのカードと同じスートのカードを出すとき、 出せるカードの中で最も強いカードを出さなければならないということです。
捨て札に切札のA、K、Q、Jを含めるたときにどうするかは、 Parlett氏も参照元の本にも書いていないので、私の推測です。 切札のA、K、Q、Jの点数がすべて3で割り切れるので、 これで問題ないのではないかと考えました。
あるいは、これらのカードを捨て札することは禁止なのかもしれません(通常、捨て札することは、ないと思いますが)。
オプショナルルールとして、切札4をプレイした(手札にあった)プレイヤーは、 他の2人から2チップあるいは4チップずつもらうというルールを採用することもあります (プレイの前に採用するかどうかを決める必要があるということです)。
これを採用したとき、"The Compleat Gamester"では、 切札5および切札6をプレイした時にも、それぞれ5チップ、6チップずつもらうえることになります。
なかよし村で2016年2月6日にプレイしました。
現在プレイされていないとはいえ非常に人気のあったゲームだけあり、とても楽しめました。