2017/10/7 赤桐
ヤスの仲間では最も基本的なゲームです。スイスでプレイされているトリックテイキングゲームです。
ルールはJohn MaLeod氏のWWW(http://www.pagat.com) に基づきます。
2人〜4人。まず4人ゲームを紹介します。
普通の52枚のカードから、各スートの2、3、4、5を除いた36枚のカード を使用します。
スイスでは、場所により、スイス固有のカードを使用します。 これについては注1で述べることにします。
各スートのカードの強さの順位は、切札とそうでないスートでは異なります。
切札以外: (最強)A、K、Q、J、10、9、8、7、6(最弱)
切札: (最強)J、9、A、K、Q、10、8、7、6(最弱)
各カードには次の点数があります。トリックを取ってカードの点数をたくさん集めることがこのゲームの目的です。
カード | 点数 |
---|---|
切札のジャック | 20点 |
切札の9 | 14点 |
エース | 各11点 |
キング | 各4点 |
クイーン | 各3点 |
切札以外のジャック | 各2点 |
10 | 各10点 |
切札以外の9 | 0点 |
8、7、6 | 0点 |
最後のトリックを取ったプレイヤーには、さらに5点が与えられ ます。
従って1つのディールの合計点数は157点になります(後で述べるバイスとシュテック以外)。
このゲームでは手札に含まれるカードによって次の得点があります。これをバイス(Weis)と呼びます。
バイスの種類 | 点数 |
---|---|
同じスートの3枚シークエンス | 20点 |
同じスートの4枚シークエンス | 50点 |
同じスートの5枚以上のシークエンス | 100点 |
10が4枚 | 100点 |
Qが4枚 | 100点 |
Kが4枚 | 100点 |
Aが4枚 | 100点 |
Jが4枚 | 200点 |
シークエンスとは同じスートで続いているカードのことです。 切札の場合でも、切札以外のスートの順(A、K、Q、J、10、9、8、7、6)になります。
2つ以上のバイスがあれば点数を合計することができますが、 同じカードを2つのバイスに使用することはできません。 例えばAが4枚とK、QがあってもA4枚のバイスと、3枚シークエンスのバイスの両方になるわけではありません。 8枚のシークエンスがあれば、3枚のシークエンスと5枚のシークエンスに分けて両方得点することはできます。
手札に切札のスートのKとQを持っていたら20点になります。これをシュテック(Stöck)と呼びます。バイスとは別の扱いになります。 バイスに使ったカードをシュテックに使うこともできます。
最初のディーラーは任意のやり方で決めます。次回からは、通常は反時計回りに交代します。
ディーラーは、右隣のプレイヤーから反時計回りに、3枚ずつまつめてすべてのカードを配りきります。 各プレイヤーの手札は9枚になります。
ディーラーに配られた最後のカード、つまり、配り始める前にカードの束の一番下にあったカードは、 表向きにされます。このカードのスートが切札になります。
ディーラーの右隣のプレイヤーから反時計回りの順に1人ずつ、 出る(プレイに参加する)か降りる(プレイに参加しない)かを宣言します。
降りた場合には勝利得点はありませんが、失点もありません。 1人を除く全員が降りたときは、プレイしないで、降りなかった1人が勝利します。
ディーラーの右隣のプレイヤーが最初のリードをして、トリックテイキングゲームのプレイを行います。反時計回りにプレイは進行します。
最初のトリックの自分のプレイの時に、各プレイヤーは自分の持っている最も強いバイスの点数を宣言します。 最も強い1つのバイスを持っているプレイヤーだけがバイスの得点を得ることができるためです。 そのプレイヤーは持っているすべてのバイスを得点することができます。
バイスの強さは次のように決まります。番号の少ない記述のほうが優先されます。
今までに宣言されたバイスの点数をより小さい点数を宣言することはできません。 宣言できなければ単にパスをします。
2人以上が同じ点数の宣言をしたときは、枚数、ランク、切札かどうかを強弱が決まるまで順に宣言し、 それも同じならば席順で強弱を決めます。
最も強いプレイヤーは、自分の持っているバイスの点数をすべて宣言して、得点することができます。 他のプレイヤーは誰でも、得点するバイスのカードをすべて見せるように要求することができます。
シュテック(切札のKとQ)を持っているプレイヤーは、この2枚のカードのうち最後のカードをプレイするときにシュテックを宣言して得点します。 宣言がなければ得点できません。 ただし、シュテックのカード2枚すべてが得点したバイスに含まれ、それを見せているときは、このような宣言は必要ありません。
プレイが終了すると、各プレイヤーは下記の点数を合計します。
点数が26点未満のプレイヤーは、マイナス1点の得点となります。
それ以外のプレイヤーのうち点数合計の上位2人はそれぞれプラス1点の得点となります。 2位のプレイヤーが2人以上いたら、カードをシャッフルして、その各プレイヤーがドローし、 強いカードを引いたプレイヤーが得点します。切札以外のランクの強弱を使います。 同ランクなら引き直しです。
もし26点以上のプレイヤーが1人しかいなければ、そのプレイヤーは2点を得点します。 1人を除く全員が降りたときも、2点を得点します。
出るプレイヤーが2人のときは、話し合って(あるいはカードを見せ合って)、 納得すれば、プレイなしで1点ずつ得点することもできます。
万一全員が26点未満なら、全員がマイナス1点となります。
7点に達したプレイヤーは、ゲームから抜けます。 最後に残ったプレイヤーの負けとなります。 3人や2人でプレイするときは、下記の3人ゲーム、2人ゲームのルールに従います。
なお、ディーラーは通常は反時計回りに交代しますが、 次回ディーラーになるはずだったプレイヤーがゲームから抜けた時は、前回と同じプレイヤーがディーラーになります。 フォアハンド(ディーラーの右隣で、最初にプレイするプレイヤー)が必ず反時計回りに順番に交代するようにするためです。
ディーラーは各プレイヤー及び「ブラインド」といわれるところに3枚ずつ9枚のカードを配ります。 ブラインドの一番上のカードは表向きにされ、そのスートが切札になります。
プレイ前に出る降りるを決めるとき、出るか降りる以外に、ブラインドを手札にするという選択もできます。 その場合には自分の手札を捨札にして、ブラインド全部が手札になります。 このときは必ず出なければなりません。 切札を表示していたカードは1トリック目が始まるまでテーブルに表向きにしておきます。 誰かがブラインドを手札にしたら、他のプレイヤーはブラインドを手札にする選択はできなくなります。
出る降りるが終わり、最初のトリックを始める前に、切札の6を持っているプレイヤーは、 それを切札を表示しているカードと交換することができます。 ブラインドが誰かの手札になっている場合でも、交換はできます。
上記以外のルールは、4人ゲームと同じです。
2人ゲームの時は、ブラインドのほかに「ストック」というところにも9枚のカードを配ります。 ストックの一番上のカードは表向きにされ、そのスートが切札になります。
出る降りるおよびブラインドとの交換のやりかたは3人ゲームと同じです。 ストックと手札全部を交換することはできません。 切札の6を持っているプレイヤーはストックの切札表示カードと交換します。
1人だけが26点以上であったり、1人だけが出ていても、プラス1点の得点です。 2人プレイしてどちらも26点以上のときは、点数の大きいプレイヤーだけがプラス1点を得点します(同点ならカードをドロー)。
それ以外のルールは3人ゲームや4人ゲームと同じです。
スイスのカードのスートは、どんぐり(Eichel)、花(Rose)、楯(Schilte)、鈴(Schelle)、の4つのスートからなっています。 便宜的に、どんぐり=スペード、花=クラブ、楯=ダイアモンド、鈴=ハートと考えてよいでしょう。
各スートはアス(As=エース)、ケーニッヒ(Koenich=キング)、オーバー(Ober,クイーンに対応)、 ウンター(Unter,ジャックに対応)、バナー(Banner=旗,10に対応)、9、8、7、6からなります。 オーバーはスートのマークを上の方に持った士官、ウンターはスートマークを下の方に持った士官です。
現地のゲームでは黒板を使い4隅に各プレイヤーの点数を書き入れます。プラス1点は縦棒で、マイナス1点は丸で表します。
David Parlett氏の"The Penguin Of Card Games"のルールは本文のものと次のような違いがあります。
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2017年10月7日、なかよし村でプレイしました。
スイスのヤスの最も基本的なゲームであることは間違いないのですが、かなり複雑なゲームです。 その分、大人が十分堪能できるゲームになっています。 お勧めのゲームです。