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ヒンダーシェ(Hindersche)

2024/3/2 赤桐

ドイツで200年以上の歴史のあるゲームのようですが、現在はシュバルツバルト(黒森)の一部の村でプレイされているだけです。

できるだけ点数を取らないようにするトリックテイキングゲームです。

ルールはPagat.comとWikipedia(英語)によります。


プレイヤー

4人。

カード

普通の52枚のトランプから、各スートのを除いた36枚のカードを使用します。

現地でも、フレンチスートの52枚のカードからカードを除いているようです。

カードの強さの順位

各スートのカードの強さの順位は、切札とそうでないスートでは異なります。 切札スートのジャックと同色のジャックも切札になります。 例えば、ハートが切札なら、ダイアモンドのジャックも切札になります(同色Jと記しておきます)。

切札の場合:

  (最強)同色J10(最弱)

切札以外の場合の場合:

  (最強)10(最弱)

カードの点数

各カードには次の点数があります。

カード 点数
切札ジャック同色切札ジャック 12点
エース 各11点
キング 各4点
クイーン 各3点
切札以外ジャック 各2点
10 各10点
0点

合計点数は140点になります。

ディール

最初のディーラー任意の抽選方法で決めます。 あるいは、新規参加者がディーラーになります。 次回からは、反時計回りで交替します。

ディーラーがカードをシャッフルしてから、左隣のプレイヤーがカットします。 ディーラーは、右隣のプレイヤーから反時計回りに、各プレイヤーに3枚ずつまとめて3回配ります。 各プレイヤーの手札は9枚になります。

ディーラーに配られる最後のカード(カードの束の一番下にあったカード)は表向きにされ、そのカードのスートが切札になります。

ゲームの途中でプレイヤーが抜け、2人~3人でプレイを行うようになりますが、そのときは配り残りのカードの一番上を表にして、そのスートを切り札にします。

プレイ

ディーラーの右隣のプレイヤーが最初のリードを行い、 トリックテイキングのプレイを行います。 プレイは反時計回りです。

切札がリードされたときのフォローの規則は次のようになります。

  1. 切札があれば、切札を出さなければなりません。切札が何枚かあれば、そのうちどれを出してもかまいません。
  2. 切札がなければ、どのカードを出してもかまいません。

切札以外がリードされた場合は次のようになります。

  1. リードされたスートのカードがあれば、そのスートのカードまたは切札を出すことができます。そのスートや切札が何枚かあれば、そのうちどれを出してもかまいません。
  2. リードされたスートのカードがなければ、どのカードを出してもかまいません。

なお、同色Jは元のスートには属さず、切札のスートに属します。

このゲームでは、トリックに勝っていなくても、トリックに出たカードをすべて取得して、次のリードを行うこともできます。 ただし、次のリードを行うまでに、他のプレイヤーが誰も異議を唱えない場合だけです。 これをシュライプフェ(Schleipfe)と呼びます。 これは意図しないで行われること(間違って取ってしまって他の人が黙認すること)もあります。

得点

プレイが終了すると、プレイヤーは取ったカードの点数を合計します。

ゲームは次の2つのラウンドにわかれ、得点方法が異なります。

第一ラウンド(フィア・シュトリヒ=Vier-Strich)

基本的には、最も点数を取ったプレイヤーが罰点を1点もらいます。 詳しくは次のようになります。

  1. 最も点数を取ったプレイヤーが罰点を1点をもらいます。
  2. 2人または3人が最も多い点数で同点のときは、このあと説明するプレイオフを行い、負けたプレイヤーが1点をもらいます。
  3. 4人が同点のときは、全員が罰点を1点もらいます。
  4. ただし、100点かそれ以上の点数を取ったプレイヤーがいたら、マーチ(Durchmarsch=デュルヒマルシュ=通過行進)と呼ばれ、そのプレイヤー以外のプレイヤーが1点の罰点をもらいます。

プレイオフ(Playoff)では、ディーラーがディールを行い、同点の2人(または3人)で通常と同じプレイを行います。 ディールやプレイの順序はその前のプレイと同じにします。 点数の最も少ないプレイヤーが勝ちとなり、点数の最も大きいプレイヤーが負けとなります。 同点なら再びプレーオフです。 マーチもあります。

全員の罰点の合計が4点かそれ以上になったら、第二ラウンドに移ります。

第一ラウンドで1点も罰点を取らなかったプレイヤーは、このゲームから抜けます。 このプレイヤーは敗者になることはありません。

1人以外が全員罰点をもらっていない場合は、このプレイヤーが敗者になり、ゲームは終了します。 このプレイヤーは2ゲーム負けたことになります。

第二ラウンド(ブッツェン=Butzen)

第二ラウンドでは、各プレイヤーの罰点は減ったり増えたりします。 罰点が0になったプレイヤーはゲームから抜けます。 最後に残ったプレイヤーが敗者になります。

なお、新たにゲームから抜けるプレイヤーが次のディーラーの番だったときは、その時に限り、抜けたプレイヤーがディーラーを行います。 (第1ラウンドが終わった時に抜けるプレイヤーもそのようにします。以前から抜けていたプレイヤーはディーラーは行いません。)

残ってるプレイヤーの数と、全員の罰点の合計により次のような場合分けがあり、それぞれ罰点の減少や増加のしかたが異なります。 (残っているプレイヤーが3人か4人のどきは、プレイが終わった時にできるだけ罰点合計が4点になるような得点方法になります。)

なお、同点のときは、罰点の増減に関係するならプレイオフを行います。 全員同点のときは、罰点の増減はありません。

第二ラウンドでは、取った点数が100点に達していなくても、9トリック全部を取れば、マーチの達成となります。

プレイヤー3~4人で、超過状態のとき

マーチや第一ラウンドでの全員同点により、全員の罰点の合計が5点かそれ以上になっている場合です。

どの場合でも、罰点を増やすプレイヤーはありません。

プレイヤー3~4人で、全員の罰点の合計が4点のとき

プレイヤー3~4人の通常状態です。

最もカードの合計点数の少ないプレイヤーが罰点を1点減らし、最も合計点数が多いプレイヤーが罰点を1点増やします。

ただし、マーチがあると、そのプレイヤーの罰点は0点になりゲームから抜けます。 他のプレイヤーは罰点を1点増やします。

プレイヤー3人で、全員の罰点の合計が3点のとき

きわめて稀にしか起こりえない状態です (プレイヤー4人で罰点が1-1-1-2の超過状態のとき、罰点2のプレイヤーがマーチを行ったときだけ)。

最もカードの合計点数の多いプレイヤーが、罰点を1点増やします。

ただし、マーチのときは、他の2人がプレイオフを行い、負けたプレイヤーが罰点を1点増やします。

プレイヤーが2人のとき

カードの合計点数の少ないほうのプレイヤーが罰点を1点減らします。 もう1人の罰点はそのままです。

ただし、マーチのときは、そのプレイヤーの罰点を2点減らします。

ヒュプシャー(Hübscher=より良く)

第二ラウンドで、自分の手札が良くないと思ったプレイヤーは、ヒュプシャーと宣言することができます。

他のプレイヤー全員が同意したときに限り、プレイは行われなくなり、全員に配り直しとなります。 ディーラーは替わりません。

第二ラウンドで最後に残ったプレイヤーは、1ゲームの敗けとなります。

ラバー(Runde/Gummi)

通常4ゲームを行ってラバーとします。 (2ゲーム負けがあったときは、2ゲームプレイしたとみなします)。

精算を行うときは、各プレイヤーは他の各プレイヤーと負けたゲームの数を比べ、負けが多いプレイヤーが負けが少ないプレイヤーに負けゲームの差だけの掛け金を支払います。

罰点の付け方について

現地では石板を使って罰点とゲームを記録します。

石板の4隅が各プレイヤーの場所となり、罰点は各プレイヤーの隅に斜めの線を入れていくことで示します。 罰点を減らすときは線を消します。(Pagat.com英文Wikipediaの写真を見てください)。

負けたゲームの数は、石板の枠の部分に印をつけます。


2024年3月9日、なかよし村でプレイしました。

負けたほうがよいトリックテイキングゲームですが、次のような特徴があり、興味深く遊ぶことができました。

  1. 各カードに点数がついている(ハートのような単純な点数ではない)
  2. 切札があり、いつでも切札を出すことができる。
  3. 得点方法が独特

得点方法などの例外的な場合を除いては、ルールはそんなに難しくはありません。

結構面白く、プレイする価値のあるゲームです。