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十五湖(サップンウー/Sap Ng Wu/Shi Wu Fu)

2021/12/4 赤桐

中国各地でプレイされているゲームです。 ここで紹介するルールはPagat.comに載っている香港のルールです。 なおゲーム名のSap Ng Wuは広東語、Shi Wu Fuは標準語の読み方です。

プレイのルールは大貧民ゲームと同じですが、勝った時(他の全員がパスをしたとき)に得点をして、その得点を競います。


プレイヤー

3人~4人。3人がベスト。

目的

プレイの目的は、勝負に勝って得点を得ることです。

1つの勝負は次のように進行します。

  1. 誰かがカード(複数枚可能)を出します。
  2. 反時計回りの順番に、各プレイヤーがそれより強いカードを出すかパスをしていきます。
  3. 誰かがカードを出したあとに他の全員がパスをしたら勝負が終わります。 (そうなるまでは、何周でもプレイを続けます)。
  4. 最後にカードを出したプレイヤーがその勝負に勝ちます。
  5. そのプレイヤーが、次の勝負の最初のカードを出します。

プレイ中の点数を「符」と呼びます。 最後にカードを出した時の枚数がそのまま符の数になります。 プレイ中に15符に達したプレイヤーは各プレイヤーから1単位を得点してプレイを終わらせることができます。

なお、符と湖は中国語で同じ発音なので、十五湖というゲーム名は15符という意味になります。

カード

84枚の十五湖紙牌(長牌)のカードを使います。このカードは中国のドミノのカードで、空白の目を含まない1-1から6-6までの21種類のカードが各4枚ずつあります。

各カードは次のように3つのスートに分類されます。各スートでの強さの順に並べています(左ほど強くなります)。

スート カード
文子 6:6
1:1
4:4
1:3
5:5
3:3
長杉
2:2
板凳
5:6
斧頭
4:6
紅頭十
1:6
高脚七
1:5
梅花六
第一組 武子 4:5
紅九
2:6
平八
3:4
紅七
2:4
大雛六
1:4
紅五
1:2
么釘
第二組 武子 3:6
黒九
3:5
斜八
2:5
黒七
2:3
黒五

2つの目が同じ数字のカードはすべて文子になります。 第一組武子は2:6以外はすべて赤い目を含み、第二組武子はすべて赤い目がありません。

カウンター

各プレイヤーはポーカーチップなどのカウンターを同じ数だけ持っておきます。

ディール

最初の親は任意の方法で決めます。 次回からは、前回勝ったプレイヤーが親になります。

カードをシャッフルしたら、裏向きのままテーブルに置きます。 このとき重なったままカードを広げるようにします。

親から反時計回りの順番に上から1枚ずつ取っていき、手札にします。 これを全部のカードがなくなるまで続けます。 手札は、3人ゲームでは28枚、4人ゲームでは21枚になります。

至尊

手札に1:2と2:4の組み合わせがあれば、それを出して得点することができます。 1:2と2:4の両方が少なくとも1枚はなくてはなりませんが、 片方(または両方)が複数枚あった場合も、それをすべて出して得点できます。

得点はカードの枚数分の点数(符)となります。 例えば1:2を1枚、2:4を3枚持っていたら、4符となります。

得点したカードは、自分の前に表向きに出したままにしておきます。

もし1:2を4枚と2:4を4枚持っていたら、8符ではなく16符の得点となります。 このとき、各プレイヤーから1単位のカウンターをもらって、プレイを終わらせることができます。 あるいは、プレイを行うこともできますが、あとで述べるように、あと2点取って18符にすることができなければ、カウンターをもらうことはできません。

プレイ

まず、親は1枚または2枚以上のカードをテーブルに出します。 1枚の場合はどのカードを出してもかまいませんが、2枚以上のときは後で述べる組み合わせの種類にあるものしか出せません。

そのあと、反時計回りに1人ずつカードを出すかパスを宣言します。

カードを出すときは、1枚のときは同じスートのもの、2枚以上のときは最初のものと同じ組み合わせの種類しか出せません。 また、今までに出たものより強いカード(強い組み合わせ)のものでなければなりません。

1人がプレイした後に他のプレイヤーが全員パスをしたら、1つの勝負が終わります。 それまでは、何周でもプレイを続けます。

最後にカードを出したプレイヤーが、最後出したカードの枚数を符で得点します。 例えば、3枚出して勝った時は、3符の得点になります。 得点したカードは、至尊のときと同じように、自分の前に表向きにそのまま置いておきます。 得点したカード以外は、裏向きに捨て札します。

勝負に勝ったプレイヤーは、手札から1枚または何枚かのルール通りの組み合わせのカードを出して、次の勝負を始めます。

至尊と今まで勝ったカードを合わせて、4枚の同一のカードが揃ったときは、各プレイヤーから1単位のカウンターをもらうことができます。 これは符の得点とは別になります。

手札がなくなったプレイヤーがいても、残ったプレイヤーでプレイを続けます。 手札がなくなったときに最後のプレイで勝っていた時は、右隣で残っているプレイヤーが最初のカードを出します。

プレイ終了

勝負に勝ったプレイヤーの得点の合計が15符以上なら、勝ったプレイヤーはプレイを終了させることができます。 これを食湖(sik wu)と呼びます。 このプレイヤーは下表の点数を他の各プレイヤーからもらいます。

あるいは、このプレイヤーはプレイを続けることもできます。 その場合、そのあと自分が勝負に勝って、もらえるカウンターの数が増えるまでプレイを終わらせるとことができません。 その前に他のプレイヤーがプレイを終わらせた場合には、負けになります。

例えば、ちょうど15符に達したプレイヤーがプレイを続けた場合、次にもらえるカウンターが増える18符に達するまで、プレイを終わらせることはできません。 至尊のカードを8枚全部持っていてプレイを行った場合も、同じ理由で、18符に達するまでプレイを終わらせることができないわけです。

符の数 カウンターの数
15符~17符 1単位
18符~20符 2単位
21符~23符 3単位
24符~26符 4単位
27符~ 5単位

全員が手札を出し切ってもプレイ終了の条件にならないときは、誰もカウンターをもらいません。 親は交替せずに、次のディールを行います。 符の点数は繰り越しません。

カードの組み合わせとプレイできるカード

単独カード

最初に出すカードは、どのカードでもかまいません。

後続のプレイヤーは、同じスートで、今まで出たカードより強いカードしか出せません。

複数の同一カード

最初のプレイヤーは、同一のカード(比べたときに両方の目が同じカード)を複数枚出すことができます。

後続のプレイヤーは、それと同じスートで、それより強いカードを同じ枚数出さなければなりません。 また、すべて同一のカードでなければなりません。

例えば、3:4のカードが3枚出たときには、第一組武子のカードなので、それより強い第一組武子のカード3枚組しか出すことができません。つまり、2:6のカード3枚か4:5のカード3枚です。次のものはすべて出すことができません。

特別の組み合わせ

最初のプレイヤーは、文子と武子を組み合わせた次の表の4つ種類の組み合わせのカードを出すことができます。

文子+第一組武子+第二組武子の組み合わせだけでなく、文子+第一組武子だけ、または文子+第二組武子だけでもかまいません。 ただし、第一組武子+第二組武子の組み合わせは不可です。

また、それぞれの枚数は何枚でもかまいません。 例えば、天九で6:6が1枚、4:5が3枚などでもかまいません。

名称 文子 第一組武子 第二組武子
天九 6:6 4:5 3:6
地八 1:1 2:6 3:5
人七 4:4 3:4 2:5
鵝五 1:3 1:4 2:3

後続のプレイヤーは、今までより強い組み合わせのカードしか出すことができません。 天九>地八>人七>鵝五の順に強くなります(天九が最強)。 さらに、組み合わせの各スートのカードの枚数が同じでなければなりません。 例えば、鵝五で3:1が2枚、2:3が1枚出ているときは、人七なら4:4を2枚、2:5を1枚出さなければなりません。

なお、至尊の組み合わせのカードをプレイ前に出していなかったときは、プレイで出すこともできます。 ただし、最初に出す場合だけしか出すことができません。 至尊を出せば、必ず勝ちます。

ゲーム

ゲーム終了の規定はありません。


12月4日になかよし村でプレイしました。

カードのランクと組み合わせが非常に複雑でプレイに苦労しましたが、面白さの片鱗は感じることができました。 慣れて、戦略的にプレイできれば、非常に面白いのではないかと思います。

カードは世界のゲーム販売で購入したものを使いました。 ランクが分かりにくいので、打天九サマリをそれぞれのプレイヤーが使用しました。 打天九とは牌の強さのランクは同じですが、武子は2スートに分かれていないので少し違う点がありますが、役にたちました。

なお、これを書き終わるまで気が付かなかったのですが、trainyard@rouilia氏のブログにPagat.comのルールの翻訳がありました。

世界遊戯博物館には十五湖紙牌を使った別のゲーム(釣魚)の紹介があります。