2005/11/5 赤桐
フランス系カナダ人の間でプレイされているゲームだそうです。英語ではMittsとも呼ばれるようです。ミトンとは鍋つかみの2またの手袋です。
類例のないゲームで、新作ゲームのような雰囲気もありますが、カシノ系のゲームの発展形かもしれません。ピシュティをうんと複雑にすればこのようになるのでしょうか。
ルールはJohn McLeod氏のホームページ(http://www.pagat.com/)によります。
2人または4人。4人のときは向かい合った2人がパートナーになります。
普通の52枚のトランプを使います。
このゲームではスート(マーク)は意味がありません。ただ1つの例外は10のカードで、これは50点の点数を持っています。
このゲームには次の3種類の役(やく)があります。
ミトン(仏:mitain, 英:mitten、2股手袋)とは同じランクのカード2枚のセットのことです。
グローブ(仏:gant, 英:glove、普通の手袋のことです)は同じランクのカード3枚のセットです。
ソックス(仏:chausson, 英:sock、フランス語の原意はダンス用などの布靴、スリッパ)は同じランクのカード4枚のセットです。
役とカード(10)の点数は次のようになります。
役 |
説明 |
点数 |
---|---|---|
ジャックのミトン |
ジャック2枚
|
50点 |
ジャック以外のミトン |
ジャック以外の同じランクのカード2枚
|
10点 |
ジャックのグローブ |
ジャック3枚
|
150点 |
ジャック以外のグローブ |
ジャック以外の同じランクのカード2枚
|
100点 |
ジャックのソックス |
ジャック4枚
|
300点 |
ジャック以外のソックス |
ジャック以外の同じランクのカード2枚
|
200点 |
10 |
ダイアモンドの10
|
50点 |
表にあるように、ジャックの役は特別に点数が高くなります。
最初のディーラーは任意の方法で決めます。ディールごとにディーラーは時計回りに交代します。
まず、ディーラーの左隣のプレイヤーから始めて、各プレイヤーに3枚ずつ配ったあとテーブルに2枚のカードを表向き配り、これをもう1度繰り返します。各プレイヤーの手札は6枚になり、テーブルに4枚のカードが置かれることになります。
テーブルの上のカードは重ねますが、少しずらして全カードのインデックスが見えるようにします。
プレイを行って全員が手札を使い切ったら、同じディーラーが、配り残りのカードから各プレイヤーに3枚ずつ2回配り、手札がまた6枚になるようにします。このような配り直しは、配り残りのカードがなくなるまで繰り返されます。(4人ゲームの場合は1度しか配り直しませんが、2人ゲームの場合は3度配り直すことになります。)
ディーラーの左隣のプレイヤーから時計回りの順に1人ずつプレイを行います。プレイのときには、手札から1枚のカードをテーブルに出します。
プレイには次の種類があります。
クリアというのは、カードをプレイしてテーブルの上のカードをすべて捨て札することです。プレイしたカードも同時に捨て札されます。
クリアになった場合、テーブルにあったカードの中に10があるか、プレイしたカードが10であれば、50点を得点します。
また、プレイが始まってから最初のクリアの場合、最初にテーブルに配られた4枚の中に同じランクのカードが2枚あればミトンの得点をもらいます。最初の4枚の中に同じランクのカードが3枚あればグローブの得点をもらいます。最初の4枚全部が同じランクの場合にはソックスとして得点します。(プレイが始まってからテーブルに置かれたカードで役になっていても、得点にはなりません。)
どのような原因でクリアが起こっても、このようなクリアの得点はもらうことができます。
ただし、捨て札になるカードの中で得点になるカードや役がない場合にはクリアの得点はありません。
テーブルのカードの一番上のカードと同じランクのカードを手札からプレイしたら、クリアすることができます。(もちろん、テーブルにカードがなければクリアすることはできません。)
手札からジャックをプレイした場合にも同様にクリアになります。ただし、テーブルにカードが1枚もない場合には、クリアにはならず、ジャックはテーブルに置かれてそのままになります。
テーブルの上に1枚しかカードがなく、それと同じランクのカードを出してクリアした場合、ミトンとして10点の得点になります。
テーブルの上の1枚のカードがジャックであって、それをジャックを出して取った場合には、ジャックのミトンとして50点の得点になります。
その他に通常のクリアの点数も得ることができます。
なお、ジャックを出してジャック以外のカードを取った場合には、このようなミトンにはなりません。通常のクリアになります。
手札に同じランクのカードが2枚あった場合、その中の1枚をプレイしてミトンを宣言することができます。同じランクのカードが3枚合った場合にはグローブを宣言できます。4枚の時にはソックスを宣言することができます。
プレイしたカードは今までのテーブルのカードに重ねて置きます。
宣言したプレイヤーはそれ以降のプレイで、ミトンやグローブやソックスのカードを全部出し終わるまで、そのランクのカードを出し続けなくてはなりません。あとで述べるように、他のプレイヤーのプレイのルールも変わってきます。
なお、手札に同じランクのカードが何枚かあってそれをプレイする場合でも、役を宣言しなくてもかまいません。また同じランクのカードが3枚あるのにミトンを宣言するようなことも可能です。
役の宣言でジャックを出した場合には、テーブルはクリアされません。また、テーブルの一番上のカードと同じランクのカードを出して役の宣言をした場合も、クリアされません(この場合は、次に説明する加算役の宣言をすることもできます)。
テーブルのカードの一番上のカードと同じランクのカードを2枚手札に持っている場合、そのプレイヤーはその中の1枚をプレイしてグローブを宣言することができます。3枚持っていたらソックスを宣言できます。
それ以外は上記と同じです。加算した役を宣言してもテーブルはクリアされません。
役の宣言をしないでプレイして、クリアにもならなかった場合です。
プレイされたカードは今までのテーブルのカードの一番上に重ねて置きます。
直前のプレイヤーがクリアを行った場合は、何もないテーブルに1枚置くことになります(ジャックの場合でも)。
役を宣言したプレイヤーは、次回以降必ず宣言したランクのカードを出さなければなりません。
ただし、宣言した役の枚数のカードを出し終わったり、あとで述べる理由により宣言が無効になった場合には、それ以降のプレイは自由にできます。
宣言した役の枚数のカードをプレイし終わったら、役の点数がもらえます。また、テーブルのカードはクリアされ、それによる点数も得ることができます。
次のプレイヤーからは通常のプレイに戻ります。
宣言したプレイヤー以外のプレイヤーは、次のいずれかのプレイをすることができます。
自分の手の中に宣言されたものより強い役があった場合、それを宣言して役のランクのカードをプレイすることができます。これを盗むといいます。役の中ではソックスが最も強く、次にグローブ、最後にミトンの順になります。
役の種類が同じ場合、カードのランクの高い役のほうが強いので、それで盗むこともできます。
カードのランクの順位は高位からJ、A、K、Q、10、9、8、7、6、5、4、3、2です。
例えばミトンの宣言があった場合には、グローブの宣言をすることで盗むことができるわけです。また、5のランクのグローブの宣言があった場合には、6のランクのグローブの宣言で盗むこともできます。
加算した役で盗むこともできます。例えば、10のミトンの宣言があり、直前のプレイヤーが7を出した場合、自分の手に7が2枚あれば、7のグローブを宣言して盗むことができます。
自分が宣言した役を自分で盗むことはできませんが、パートナーが宣言した役を盗むことは可能です。
このような宣言(盗むこと)があった場合、以前の宣言は無効になり、前の宣言者は自分の宣言したランクを出す義務はなくなります。プレイは普通に役が宣言されたのと同じように進行します。盗んだ宣言がさらに盗まれることもあります。
役のカードを出し終わって得点するときには、盗んだ役の点数ももらうことができます。例えば、ミトンの宣言をグローブで盗んだ場合、ミトンとグローブの点数を得ることができるわけです。
盗んだ宣言をさらに盗んだ場合には、以前の役の点数もすべて得ることができます。例えば、ミトンの宣言をグローブで盗んだものをさらにグローブで盗んだ場合、ミトンの点数1つとグローブの点数2つを得ることができます。
宣言された役のランクと同じランクのカードを持っていれば、そのカードをプレイしてそれを盗むこともできます。
この場合、直ちに場のカードはクリアされ、宣言された役の点数をもらいます。宣言されていた役が盗んだものであった場合には、以前の宣言の点数もすべて得ることができます。クリアの点数があれば、それも得ることができます。
もちろん自分で宣言した役は盗めませんが、パートナーが宣言した役を盗むことはできます。
次のプレイヤーからは通常のプレイに戻ります。
テーブルの上に1枚もカードがないときに、ミトンの宣言をして1枚プレイした場合、次のプレイヤーは、それと同じランクのカードを出してクリアすることができます。
この場合、ダブル・ミトン(仏:deux sur la tableテーブルの2枚)としてミトン2つ分の得点になります(ジャックの場合ならば100点、それ以外の場合20点)。
同様の場合で、グローブを宣言しながらプレイされていた場合には、ダブル・グローブとしてグローブ2つ分の得点になります(グローブ+ミトンの得点ではありません。ジャックの場合ならば300点、それ以外の場合200点)。
クリアの点数があれば、それも得ることができます。
上記以外のプレイです。単にカードを今までのテーブルのカードの一番上に重ねて置きます。
ミトンなどの宣言中はテーブルの一番上のカードと同じカードを出したりジャックを出したりしても(盗んだりすることにならない場合は)クリアすることはできません。
最後の配り残りのカードを配ったあと、全プレイヤーが手札を使い切ったらプレイ終了です。
最後のプレイが終わったときに、テーブルの上に10が残っていたら、最後にクリアをしたプレイヤーがその得点を得ます(どのような原因によるクリアでもかまいません)。
プレイ中の得点はクリアが起こったときに発生しますが、その捨て札の中から次のように点数を表すカードを拾って、自分の前に置き、得点を記録します。
プレイが終わったら、プレイ中の得点を合計します。4人ゲームの場合、ペアの2人の得点は合計されます。
プレイが終わってどちらかが500点に達していたらそのプレイヤー(チーム)の勝ちでゲーム終了です。どちらも500点以上ならば点数の多いほうの勝ちです。同点ならば、プレイが終わった時点で同点でなくなるまでプレイを続けます。
参照したルールの記述ではあまり明確ではなかったのですが、プレイしてクリアにならなかった場合、プレイしたカードは下のカードが見えないように重ねてしまうのだと思います。
最初に配られる4枚だけは、そのなかに役がないかチェックするために、ずらして置きます。