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オーストリアのプレフェランス (Preference/Préférence)

2014/2/1 赤桐

1820年頃から現在まで、オーストリアでポピュラーなゲームです。

カード

普通のトランプから各スートの2〜6のカードを除いた32枚を使用します。 強さは各スート共に、強いものからA、K、Q、J、10、9、8、7となります。ドイツのカードを使うこともあります。

プレイヤー

3人。4人でプレイすることもありますが、このときディーラーはプレイに参加しません。

ポット

各プレイヤーはゲームの前に同じ枚数のチップをポートに入れます。チップの合計数は10以上にします。ポットのチップがなくなったら、同じように各プレイヤーがチップをポットに入れます。

ディール

各プレイヤーにで3枚ずつまとめて配ったあと、テーブルに裏向きに2枚配り、またプレイヤーに4枚、3枚とまとめて配ります。テーブルに配られた2枚はタロンと呼ばれます。

ビッド

ビッドでは次のコントラクトのどれかを宣言します。 どの宣言もプレイで1人で6トリック以上取ることを約束しますが、切札をどのスートにすることができるかが変わります。 弱いコントラクトから順に、次のようになります。 1. ワン: どのスートでも切札にできます。 2. ツー: ハート、ダイアモンド、クラブのどれかを切札にします。 3. スリー: ハート、ダイアモンドのどちらかを切札にします。 4. フォー: ハートを切札にします。 5. ゲーム: ハート以外のどのスートでも切札にできます。 6. ハート: ハートを切札にします。

ワン〜フォーのコントラクトでは、タロンと手札の交換ができますが、ゲームとハートでは、できません。

普通のビッド

ディーラーの左隣のプレイヤーから時計回りに1人ずつビッドを行います。 最初にビッドするプレイヤーはワンをビッドしなければなりません。 ビッドしたくなければパスをします。 一度パスを行うと再びビッドに参加することはできませんが、パスをしなければ何度でもビッドできます。

誰かがビッドしたら、他のプレイヤーは今までの最も強いビッドよりも1つだけ強いビッドをしなければなりません。 例えば、ツーのビッドのあとには、スリーのビッドしかできません。

ただし、席順が上位のプレイヤーは下位のプレイヤーのビッドに対してホールドをビッドすることができます。 ホールドとは同じコントラクトをビッドするということです。 席順はディーラの左隣が最も高く、時計回りに低くなっていきます。

1人を除く全員がパスをしたときは、最後にビッドしたプレイヤーがデクレアラーになって、コントラクトをプレイします。

全員がパスをしたときは、次のディーラーが配り直しを行います。

### ゲームとハートのビッド

ゲームまたはハートのビッドは、各プレイヤーの最初のビッドの機会に行わなければなりません。これは前記のルールの例外となります。

ハートをビッドしたときは、そのプレイヤーがデクレアラーになり、ビッドが終了します。

ゲームのビッドがあったときは、他のまだビッドの機会がなかったプレイヤーは1度だけゲームまたはハートをビッドできます。 ゲームのビッドが複数あってそのあと誰もハートをビッドしなかった時は、ゲームをビッドした全員が切札にしたいスートを宣言します。 最も強いスートを宣言したプレイヤーがデクレアラーになります。 スートの強さの順位は強いものから、ダイアモンド、クラブ、スペードの順です。 万一同じスートが宣言されたら、ディーラーの左隣のプレイヤーが優先され、その左隣が次に優先されます。

交換と切札宣言

ワン〜フォーのコントラクトでは、デクレアラーはタロンのカードを取って手札に入れ、2枚を捨て札します。 タロンのカードも捨て札も他のプレイヤーには見せません。

そのあと、切札をどのスートにするかを宣言します。 ビッドしたコントラクトにより、切札にできるスートは制限されます。

出る・降りる

デクレアラー以外のプレイヤーは、デクレアラーの左隣から順に、出る(プレイを行う)か降りる(プレイを行わない)かの宣言をします。 出るプレイヤーは自分で2トリック以上取らないと罰点があります。

1人が出ることにして、もう1人が降りることにしたとき、出るプレイヤーはもう1人のプレイヤーを強制的に出す(プレイさせる)ことができます。 強制したプレイヤーをホスト、強制されたプレイヤーをゲストと呼びます。 この場合、ゲストは2トリック取らなくても罰点はありませんが、ホストはゲストと2人で4トリックを取らないと罰点になります。

降りたプレイヤーの手札は伏せられて、プレイには使われません。

両方のプレイヤーが降りたときは、プレイは行いません。デクレアラーが10トリック取ったことになります。

プレイ

デクレアラーが最初のリードを行ない、トリックテイキングゲームのプレイを行います。

プレイヤーはリードされたと同じスートのカードをプレイしなければなりません。 できないときには、切札を出さなければなりません。 切札もないときにはどのカードを出してもかまいません。

上記のルールを守ったうえで、今までのカードに勝てるカードを出すことができるなら、出さなければなりません。

通常はこれらのルールを守ることができればどのカードを出してもかまいませんが、 デクレアラーがリードを行った時に、次のプレイヤーがそれに勝てるカードを2枚以上持っているときには、 そのうち最も弱いカードを出さなければなりません。

切札が出ているときには、最も強い切札を出したプレイヤーがトリックに勝ちます。 そうでないときには、リードされたスートで最も強いカードを出したプレイヤーがトリックに勝ちます。 勝ったプレイヤーが次のリードを行ないます。

得点

デクレアラーが6トリック取ったかどうかに関わりなく、デクレアラーはまずポットから10チップを取り、それを各プレイヤーに分配します。 デクレアラー以外の各プレイヤーは、1トリック取るごとに1チップをデクレアラーから受け取ります。 残りはデクレアラーのものになります。 ただし、ゲストはチップを受け取ることはできず、ホストがその分を受け取ります。

デクレアラーが6トリック以上取れなかったときは、ポットに20チップ支払います。 他のプレイヤーが2トリック以上取れなかったときは、ポットに10チップ支払います。 ただし、ゲストはこの支払いの義務がありません。 ホストも自分で2トリック取れなくても支払いの義務はありませんが、 ゲストと2人で4トリック以上取れなかったときはポットに10チップ支払います。

ボーナス

  1. ハートボーナス: ハートのコントラクト(タロンとの交換なし)のとき、成功すればデクレアラーが他の各プレイヤーから10チップずつもらいます。 失敗のときは、デクレアラーが他の各プレイヤーに10チップずつ支払います。
  2. エース・ボーナス: デクレアラーがエースを4枚持っていて、プレイが成功したら、10チップずつ他の各プレイヤーからもらいます。 失敗しても罰点はありません。プレイ前に宣言する必要はありません。
  3. ノー・エース・ボーナス: デクレアラーがエースを1枚も持っていなければ、最初のリードの前にそれを宣言することができます。 この場合、プレイに成功したら10チップを他の各プレイヤーからもらい、失敗したら10チップを他の各プレイヤーに支払います。 タロンとの交換の時にを捨て札したプレイヤーは、このボーナスの宣言はできません。

ボーナスは、降りたプレイヤーでも支払いや受け取りがありますが、4人プレイの時のプレイしないディーラーは無関係です。


古い得点法

昔の得点法では、デクレアラーはポットの全額を取って、1トリックにつきその1/10ずつ分配します。 デクレアラーが失敗した時は、分配前のポットの額の2倍をポットに支払います。 他のプレイヤーが失敗した時は、ポットの額と同額をポットに支払います。

イルストリーテ・プレフェランス(Illustrierte Préférence )

ワン〜フォーのビッドに次のビッドが追加されます。

上記の得点は、成功すれば他の各プレイヤーからもらい、失敗すれば他の各プレイヤーに支払います。ポットは使いません。これらのコントラクトでは、他のプレイヤーはプレイを降りることはできません。 また、エース・ボーナスとノー・エース・ボーナスはありません。タロンとの交換はできます。

ワン〜セブンのコントラクトのデクレアラーは、プレイの前に、もっと大きい数字のコントラクトに変えることができます。

ゲームのビッドのときにも、これらと同じ種類のものをコントラクトすることができます。 複数のゲームのビッドがあったときは、スートのコントラクトより優先されます。得点は上記の2倍となります。 タロンとの交換はありません。