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シーバー・ヤス
(Shieber Jass)

2006/7/1 赤桐

 スイスで普通にプレイされているヤスゲームだということです。

 ルールはJohn MaLeod氏のWWW(http://www.pagat.com) に基づきます。


人数

 4人。向かい合った2人がパートナーになります。

カード

 普通の52枚のカードから、各スートのを除いた36枚のカード を使用します。

 正式には、スイス固有のカードを使用しますが、これについては注1で述べ ることにします。

カードの強さの順位

 各スートのカードの強さの順位は、切札とそうでないスートでは異なります。

 切札以外の場合の場合:
  (最強)10(最弱)

 切札の場合:
  (最強)10(最弱)

カードの点数

 各カードには次の点数があります。このゲームはトリックを取る事によりカードの点数をたくさん集めることが目的になります。

切札のジャック20点
切札の14点
エース各11点
キング各4点
クイーン各3点
切札以外のジャック各2点
10各10点
切札以外の0点
0点

 ただし、切札がない場合には,のカードは各8点となります。

 最後のトリックを取ったプレイヤーには、さらに5点が与えられ ます。

 従って1つのディールの合計点数は157点になります(切札のあるゲームで も、ないゲームでも同じです)。

バイス

 このゲームでは手札に含まれるカードによって次の得点があります。これをバイス(Weis)と呼びます。

同じスートの3枚シークエンス
20点
同じスートの4枚シークエンス
50点
同じスートの5枚以上のシークエンス
100点
10が4枚
100点
が4枚
100点
が4枚
100点
が4枚
100点
が4枚
200点

 シークエンスとは同じスートで続いているカードのことです。切札の場合でも、10の順序になります。

 2つ以上のバイスがあれば点数を合計することができますが、同じカードを2つのバイスに使用することはできません。例えばが4枚とがあっても4枚のバイスと、3枚シークエンスのバイスの両方になるわけではありません。8枚のシークエンスがあれば、3枚のシークエンスと5枚のシークエンスに分けて両方得点することはできます。

ステック

 手札に切札のスートのKとQを持っていたら20点になります。これをステック(Stoeck)と呼びます。バイスとは別の扱いになります。

ディール

 最初の ディーラー任意のやり方で決めます。

 ディーラーは、右隣のプレイヤーから反時計回りに、3枚ずつまつめてすべてのカードを配りきります。各プレイヤーの手札は9枚になります。

 最初のディールでは、クラブC)を持っているプレイヤーがフォアハンドとなります。次回のディールは最初のディールのフォアハンドのプレイヤーが行います。それ以降は、ディーラーは反時計回りに交代します。

ビッド

 ディールのあと、フォアハンドのプレイヤーがコントラクトのうち1つを宣言します。フォアハンドとは先述したように一番最初のディールではCを持っているプレイヤーですが、それ以降のディールではディーラーの右隣のプレイヤーになります。

 フォアハンドは、自分がコントラクトを宣言したくないときには、シーベン(schieben=押す)と宣言すとことができます。この場合、フォアハンドのパートナーがコントラクトを宣言することになります。

 コントラクトは次の6種類です:

スペード 1倍
クラブ 1倍
ダイアモンド 2倍
ハート 2倍
オーベンアーベ(Obenabe) 3倍
ウンデンウーフェ(Undenufe) 4倍

 スペードクラブダイアモンドハートのコントラクトは、それぞれのスートを切札にしてプレイするということです。ダイアモンドとハートでプレイしたときには、プレイの結果のすべての得点計算が2倍になります。

 オーベンアーベは切札なしでプレイします。得点計算は3倍になります。

 ウンデンウーフェも切札なしでプレイしますが、このコントラクトの場合だけカードの強さの順序が逆になります。つまりが最強で、10A(最弱)と続きます。得点計算は4倍になります

プレイ

 フォアハンドが最初のリードをして、トリックテイキングゲームのプレイを行います。反時計回りにプレイは進行します。

 切札なしのゲームでは、リードされたスートがあれば、必ずフォローしなければなりません。なければ何を出してもかまいません。

 切札があるゲームで、切札がリードされた場合にも、フォローの義務があり、なければ何を出してもかまいません。

 切札のあるゲームで、切り札以外がリードされた場合で、リードされたスートを持っている場合、そのスートをフォローしてもよいし、切札があれば切札を出してもかまいません。それ以外のスートを出すことはできません。リードされたスートがない場合には、何を出してもかまいません。

 ただし、切札以外がリードされたときに誰かが切札をプレイした場合には、その後のプレイヤーは、場に出ている最も強い切札より弱い切札を出すこと(アンダーラフすること)だけはできません(手札がそのような切札だけである場合を除きます)。

バイスとステックの宣言

 最も強い1つのバイスを持っているパートナーだけがバイスの得点を得ることができます。そのパートナーは両プレイヤーの持っているすべてのバイスを得点することができます。

 バイスの強さは表の順つまり、(弱い)3枚シークエンス、4枚シークエンス、5枚以上シークエンス、10が4枚、4枚、4枚、4枚、4枚(強い)の順です。同じ枚数のシークエンス(あるいは5枚以上シークエンスどうし)ならば、一番上のカードが強いほうが強いバイスになります。それも同じで切札のシークエンスがあれば、そのほうが強くなります。なお、5枚よりシークエンスの枚数が増えても強さとは関係ありません。

 どちらが強いバイスを持っているかを決めるために、最初のトリックの自分のプレイの時に、各プレイヤーは自分の持っているバイスを1つ宣言していきます。

 宣言は「3枚シークエンス」、「5枚以上シークエンス」、「が4枚」、「が4枚」というように宣言していきます。

 自分より強いバイスが先に宣言されていた場合は、パスをします。強いバイスがあるのにパスをしたり、わざと弱いバイスを宣言することも可能です。

 最も強いビッドが同じ長さのシークエンス(または5枚以上シークエンスどうし)で別チームだった場合、そのなかの最も上位のカードのランクを各プレイヤーが宣言し、上位の方が強いバイスとします。それが同じならば、切札のシークエンスかどうか宣言し、切札であるほうが強いバイスとなります。それも同じならば、どちらもバイスの得点を得ることはできません。

 バイスの点数はコントラクトの種類によって何倍かされ、すぐに得点されます。

 ステック(切札のKとQ)を持っているプレイヤーは、そのうち2枚目のカードをプレイするときにステックを宣言して得点します。ステックの点数もコントラクトの種類によって何倍かされます。

得点

 プレイが終了すると、各チームは下記の点数を合計し、コントラクトの種類によって何倍かして得点します。 

ゲーム

 ゲームは累計点3000点で終了します。このとき相手チームが1500点未満しか得点していなければ、2倍勝ちとなります。

 プレイの途中でもバイスやステックの宣言で終了することがあります。

 また、それまでに取ったトリックの点数で3000点に達したと思ったプレイヤーは、プレイの途中で終了を宣言することができます。そのチームは得点を計算して、実際に3000点に達していたら勝ち、そうでなければ負けとなります。このとき、まだ宣言していないステックの点数を得点に含めることができます。

 第1トリックが終わったとき、(ステックの点数を加えて)両方のチームが3000点に達していることがありますが、この場合には、バイス、ステック、カードの点数、の順に得点を行い、最初に3000点に達したチームの勝ちになります。


注1

 スイスのカードのスートは、どんぐり(Eichel)、花(Rose)、楯(Schilte)、鈴 (Schelle)、の4つのスートからなっています。便宜的に、どんぐり=スペード、花=クラブ、楯=ダイアモンド、鈴=ハートと考えてよいでしょう。

 各スートはアス(As=エース)、ケーニッヒ(Koenich=キング)、オーバー(Ober, クイーンに対応)、ウンター(Unter,ジャックに対応)、バナー(Banner=旗, 10に対応)、9、8、7、6からなります。オーバーはスートのマークを上の 方に持った士官、ウンターはスートマークを下の方に持った士官です。

注2

 現地のゲームでは特殊な得点板を使います。

 http://www.pagat.com/jass/shieber.html をご参照ください。

注3

 David Parlett氏の"Oxford A-Z Of Card Games"のルールは本文のものと次のようの違いがあります。


 2006年7月1日になかよし村でプレイしました。

 ヤスの系統のゲームはどれも面白いです。このゲームは極めて普通のゲームで、単に手役とトリックで取ったカードの点数を得点していくだけなのですが、結構楽しめます。

 フォアハンドまたはそのパートナーは、自分の手札以外の情報がほとんどない中で切札を決めなければなりませんが、これがプレイ結果に大きく影響するので、スリルがあります。ウンデンウーフェという、カードの強弱が逆にする宣言ができるのも面白いところです。

 私のグループは、現地で使われている特別な得点盤(注2参照)に似たものを使って得点をつけましたが、あまりの使いにくさに参りました。