2009/7/4 赤桐
北インドやパキスタンでプレイされているカシノの系統のゲームです。SipあるいはSweepなどとも呼ばれます。
ルールは John McLeod氏のホームページ(http://www.pagat.com/)によりました。
4人。向かい合った2人がパートナーになります。
通常の52枚のカードを使います。
テーブル上に表向きに置かれたカードを場札と呼び、場札の置かれているところを、場(Table/Floor)と呼ぶことにします。
プレイは、手札から1枚のカードを場に置くことで行われます。
うまくプレイできれば、場札を取ることができます。この場合、プレイしたカードと取った場札をまとめて、プレイヤーの近くに裏向けに置きます。これらを取ったカードと呼ぶことにします。取ったカードはこれ以降プレイには使用しません。パートナーどうしの取ったカードは一緒にしておきます。
取ったカードは、次のプレイが行われるまでは見ることができますが、それ以降は、取ったプレイヤーでもそれを見ることはできません。
プレイしても場札を取ることができない場合には、プレイしたカードはそのまま場に置かれて場札になります。これを捨て札(する)と呼ぶことにします。
場札の取り方は次の通りです:
プレイされたカードと場札が同じランクだった場合に、取ることができます。
例えば、6をプレイすると、場にある6を取ることができます。Kをプレイすると場のKを取ることができます。
場札 ← プレイ
同じランクのカードが場に何枚かある場合には、その全部を取ることができます。
場札 ← プレイ (この場合、KとKの両方を取ることができます)
場札のカードの点数を合計して、プレイしたカードの点数と同じになる場合には、その場札を全部取ることができます。スートは関係ありません。
カードの点数とはAは1点、2から10のカードはその表示通りの点数です。Jは11点、Qは12点、Kは13点です。この点数は得点の点数とは異なるので注意してください。
例えば、場にA、A、3、8があり、Kをプレイした場合には、1+1+3+8=13点なので、この場札全部を取ることができます。
場札 ← プレイ
プレイしたカードの点数と同じ合計になるカードの組が場に何組もある場合、その全部を取ることができます。例えば、場に2、3、3、4がある場合、2+4=6点, 3+3=6点となるので、6をプレイすると、このすべてのカードを取ることができます。
場札 ← プレイ 全部取れます
ただし、同じカードを重複して2つの組に使うことはできません。例えば、場のカードが3、3、5だった場合、8を出すと、3の1枚と5は取ることができますが、もう1枚の3は場に残ります。5をもう1度3と組み合わすことはできないからです。どちらを取ってどちらを残すかは、自由に選択することができます。
場札 ← プレイ この場合は全部は取れません。
例えば、場に2、3、5があり、5を出した場合には、場の全部のカードを取ることができます。
場札 ← プレイ 全部取れます
手札からどのカードをプレイしてもかまいませんが、プレイしたカードで取ることができる場合には取らなければなりません(次に説明する「ハウス」を作る場合は例外です)。取ることができるカードが何組もある場合、その全部を取る必要があります。取るカードを選ぶことができる場合は、どのカードを選んでもかまいません。
場札を取るか、捨て札をするほかに、ハウスというプレイも可能です。
ハウスの場合も必ず手札から1枚だけを場に出します。出したカードは場札に重ねて置きます。(この重ねたカードもハウスと呼ぶことにします。ハウスになっていないカードは自由なカードと呼ぶことにします。)
ハウスというのは、この重ねたカードを後で取るという宣言のことです。従って、ハウスのカードを取ることのできるカードが手札になければ、ハウスを作ることはできません。ハウスをほかのカードといっしょに合計によって取ることはできません。
ハウスはカードを取るための点数が9かそれ以上になる場合だけ行うことができます。
ハウスを作ったプレイヤーのことをハウスの所有者と呼びます。所有するハウスが存在している間は、ハウスの所有者はハウスを取ることができるカードを手札に残しておかなければなりません。なお、所有者でなくても、ハウスのカードをその点数にしたがって取ることはできます。
同じ点数のハウスは1つしか作ることができません(2つ以上になった場合は、1つに合併されます)。
ハウスには普通のハウスとセメントハウスの2種類があります。
場にあるカードに、手札からカードを1枚重ねて、合計した点数のハウスを宣言します。そうするとその2枚のカードは、一緒に、その合計した点数でしか取ることができなくなります。
例えば、場に自由な3があれば、7をそれに重ねて、「10のハウス」を宣言します。それ以降は、この2枚のカードは、10のカードをプレイしたときだけしか取れなくなります。
場札←プレイ ←後で
場に自由な6があり、6を重ねて、12(Q)のハウスにするようなことも可能です。
場札←プレイ ←後で
また、場札に自由な3と4があっても、それに2を重ねて9のハウスを作るようなこともできます(場札は何枚使ってもかまいません。)
場札←プレイ ←後で
このようなハウスを行う場合には、合計した点数のカードが手札になければなりません。そうでないと後で必ずしも取ることができないからです。
普通のハウスに対して、さらに手札から1枚を重ねて、その合計点数の普通のハウスとすることもできます。これを「ハウスを壊す」といいます。(場の自由なカードを使うことはできません。)
例えば、3と6のカードが重なった9のハウスがあった場合、さらに手札から2を重ねて、11(J)のハウスにすることができます。
ハウス←プレイ ←後で
もちろんこの場合にも、その合計点数と同じ点数のカードが手札になければなりません。
自分が所有者であるハウスを壊すことはできません。壊すことのできるのは、敵やパートナーが所有者のものだけです。
壊した場合、所有者は壊したプレイヤー(だけ)になります。
セメントハウスとは壊すことのできないハウスです。次のような作り方があります。
1.ペアによるもの
場にあるカードに、手札から同じランクのカードを重ねて、そのランクの点数を宣言します。そうするとその2枚のカードは、一緒に、その点数でしか取ることができなくなります。
例えば、場に自由な9があれば、手札から9を出して、「9のハウス」と宣言します。こうすると、これ以降は、9をプレイしてこの2枚のカードを取ることしかができなくなります。場に2のカードがあっても、9+2=11(J)のカードでハウスやその中の1枚を取ることはできません。
場札←プレイ ←後で
この場合、プレイしたカードと同じ点数のカードがもう1枚手札になければなりません。
2.場のカード2枚以上の合計がプレイしたカードと同じ場合
場の2枚以上の自由なカードの点数の合計が、プレイしたカードの点数と同じで、その点数のカードをもう1枚手札に持っている場合にも、その点数のセメントハウスを作ることができます。
例えば、場に自由な1、3、6があれば10をプレイしてセメントハウスを作ることができます(手札にもう1枚10があった場合)。
場札←プレイ ←後で
3.普通のハウスを作ったとき、場の残りのカードによってセメントハウスになる場合
普通のハウスを作った時に、そのハウスの点数と同じ点数の自由なカードが場にあると、それを加えて、その点数のセメントハウスになります(セメントハウスにしなければなりません)。
例えば、場に3とJがあってJをプレイした場合、3と8で普通のハウスを作り、さらに場のJを加えてセメントハウスにすることができます(手札にもう1枚Jがあった場合)。
場札←プレイ+場札 ←後で
また、場の残りの自由なカード何枚かの合計がその点数になる場合も同様です。
場札←プレイ+場札 ←後で
4.普通のハウスを壊したとき、場の残りのカードによってセメントハウスになる場合。
普通のハウスを壊した場合、新しいハウスの点数と同じ点数の自由なカードが場にあるか、合計してその点数になるような何枚かの自由なカードが場にあると、上記と同じように、セメントハウスになります(セメントハウスにしなければなりません)。
例えば、4と5の普通のハウス(9点)と自由な場札2と10があり、3をプレイした場合、次のように(4+5)+3=2+10=12点のセメントハウスが作られます。
ハウス←プレイ+場札 ←後で
元の普通のハウスの所有者は所有者でなくなり、セメントハウスを作ったプレイヤーが所有者になります。
5.普通のハウスを壊したとき、別のハウスと合併してセメントハウスになる場合。
普通のハウスを壊したときに、新しいハウスの点数と同じ点数のハウスがある場合、1つのセメントハウスになります(1つのセメントハウスにしなければなりません)。
例えば、4と5の普通のハウス(9点)と2と10のハウス(12点)があり、3をプレイした場合、次のように(4+5)+3=(2+10)=12点のセメントハウスが作られます。
ハウス←プレイ+ハウス ←後で
ハウスを壊す時には新しい点数で取ることのできるカードを手札に持っていなければなりませんが、この場合に限り、点数の大きいほうのハウスの所有者がパートナーならば、持っていなくてもかまいません。
6.普通のハウスに、そのハウスの点数と同じ点数のカードを付け加えた場合。
普通のハウスに同じ点数のカードを付け加えてセメントハウスにすることができます。
例えば、6と7の普通のハウス(13点)にK(13点)をプレイして、13点のセメントハウスを作ることができます。
ハウス←プレイ ←後で
普通のハウスを作ったのが自分のパートナーならば、必ずしもこのハウスを取ることのできるカードを持っていなくてもかまいません。
7.普通のハウスにカードを付け加える場合(付け加えるカードと場札のカードとの合計が普通のハウスの点数に等しい時)
普通のハウスがあったとき、プレイするカード1枚と自由な場札1枚以上の合計が普通のハウスの点数に等しければ、セメントハウスにすることができます。
例えば、6と7の普通のハウス(13点)と自由な場札9があるとき、4をプレイして、13点のセメントハウスを作ることができます。
ハウス←プレイ+場札 ←後で
普通のハウスを作ったのが自分のパートナーならば、必ずしもこのハウスを取ることのできるカードを持っていなくてもかまいません。なお、このようにハウスができるカードを出した場合でも、そうしないで捨て札などにしてもかまいません。
8.セメントハウスに、そのハウスの点数と同じ点数のカードを付け加えた場合。
セメントハウスに同じ点数のカードを付け加えて、より枚数の多いセメントハウスにすることができます。
たとえばJ2枚のセメントハウスにJを加えることができます。
ハウス←プレイ ←後で
元のセメントハウスを作ったのが自分のパートナーならば、必ずしもこのハウスを取ることのできるカードを持っていなくてもかまいません。
9.セメントハウスにカードを付け加える場合(付け加えるカードと場札の自由なカードとの合計が普通のハウスの点数に等しい時)
セメントハウスがあったとき、プレイするカード1枚と自由な場札1枚以上の合計がその点数に等しければ、より枚数の多いセメントハウスにすることができます。
たとえばJ2枚のセメントハウスがあり、場に自由な7があったら、4をプレイして、4と場の7をセメントハウスに加えることができます。
ハウス←プレイ+場札 ←後で
元のセメントハウスを作ったのが自分のパートナーならば、必ずしもこのハウスを取ることのできるカードを持っていなくてもかまいません。なお、このようにハウスができるカードを出した場合でも、そうしないで捨て札などにしてもかまいません。
以上、どの方法によってセメントハウスを作った場合でも、場の残りの自由なカード1枚または何枚かの合計が、作ったセメントハウスの点数と同じになるならば、そのカードもセメントハウスに加えなければなりません。
上記5〜9の場合、つまり既存のハウスを点数を変えないで拡張した場合には、所有者は次のようになります(5の場合には、壊されたほうのハウスの所有権はなくなり、「既存のハウス」の説明は大きいほうのハウスだけにあてはまります)。なお、所有者は2人のこともありますのでご注意ください。
ハウスの作り方をまとめると、次のようになります。
1.場の自由なカードとハウス、および手札からプレイした1枚を使って、ある合計点数になる組み合わせを1つまたは2つ以上作るのがハウスになる(合計点数というのは1枚のカードの点数だけでもよい)。
2.ハウスの点数は9点以上でなければならない。
3.組み合わせが1つの場合、普通のハウスと呼び、2つ以上の場合はセメントハウスと呼ぶ。
4.作ろうとしていた点数でセメントハウスにすることができる場合は、できるだけ多くの組み合わせでセメントハウスにしなければならない。
5.場にあったセメントハウスを使う場合は、それにカードを加えて点数を変えることはできない。
6.場にあった普通のハウスを使う場合は、プレイした1枚を加えて点数を変えることができる。これをハウスを壊すと呼ぶ。ただし、場の自由なカードを加えることはできない。また、自分が所有者であるハウスを壊すことはできない。
7.ハウスを作ったプレイヤーをその所有者という。ただし、場にあったハウスをつかってハウスを作り、ハウスの点数が変わらない場合は、自分のチームの1人がすでに所有者だったときは所有者は変わらず、そうでないときは作ったプレイヤーが所有者になる。この場合で、敵が所有者だったときには、敵の所有権も変わらず所有者が2人となる。ハウスの点数が変わった場合は、元の所有権はなくなり、作ったプレイヤーだけが所有者になる。
8.ハウスを作る時には、その点数と同じ点数のカードが手札になければならない。ただし、場にあったハウスを使用してハウスを作る場合、場にあったハウスが自分のパートナーの所有であって、ハウスの点数を変えないならば、手札にその点数のカードを持っていなくても作ることができる。
スイープというのは、プレイで場札を全部取ってしまうことです。50点の得点となります。ただし、ディール後の最初のプレイでスイープしたときは25点です。また、一番最後のプレイでスイープしても0点です。
記憶しておくために、プレイ中はスイープを取るために手札から出したカードは表向きにしておきます。
最初のディーラーは任意の方法で決めます。次回からは、前回のディーラーのチームが累計得点で同点か負けている場合にはディーラーは交替せず、そうでない場合は右隣のプレイヤーに交替します。
ディーラーはシャッフルして右隣のプレイヤーがカットします。ディーラーは右隣のプレイヤーに4枚配り、場に4枚裏向きに配ります。
右隣のプレイヤーは、配られた4枚のカードを見て、そのうちの1枚のカードの点数をビッドします。9点以上でなくてはなりません。9点以上のカードが配られなかったならば、配りなおしとなります(同じディーラーが同様に配りなおします)。
ビッドが終わると、場札は表向きにされます。ディーラーの右隣のプレイヤーは次のうち、どれかをおこなわなければなりません。
そのあと、残りのカードをそのプレイヤーの右隣のプレイヤーから反時計回りに配ります。4枚ずつまとめて全部のカードを配ります。各プレイヤーの手札は12枚になります(ディーラーの右隣だけは1回プレイしたので11枚)。
このあと、ディーラーの右隣の右隣(ディーラーのパートナー)から通常のプレイを始めます。プレイは、反時計回りに行います。
全員の手札がなくなったら、プレイは終了します。終了時に残った場札は、最後に場札を取ったプレイヤーのものとなります。
カードの点数とプレイ後の得点は別です。プレイが終わると次のような得点をつけます。
スペードのカード | カードの点数と同じ点数 |
各エース | 1点 |
10 | 6点 |
スイープ | 50点 |
最初のプレイのスイープ | 25点 |
最後のプレイのスイープ | 0点 |
上記以外のカードは0点です。カードの得点の合計は100点です。
チームどうしの点数の差が100点以上になるとゲーム終了(バージbaazi)になります。
あらかじめゲーム(バージ)を何回行うかを決めておいてプレイすることもできます。
ゲーム終了のあと、次のゲームを行うときには、普通に次のディールを行うならディーラーになるプレイヤーのパートナーがディーラーになります。
4人分のカードを配っておきます。まず2人分の手札(各12枚の手札)でプレイを行います。それが終わったら残りの2人分の手札を取り上げてプレイを行います。
2009年7月4日、なかよし村でプレイしました。
とても面白いゲームでした。カシノ系のゲームとしては異例なほど複雑で、記憶力も判断力も深く要求されますが、プレイアブルです。
インドには、他にも面白いゲームがありそうです。