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ホイットグッベ(Skitgubbe)

2023/5/6 赤桐

スウェーデンでポピュラーなゲームです。名前は「くそじじい」というような意味でしょうか。 以前マスという名前で紹介したものと基本的に同じゲームですが、比較的新しいルールを紹介します。 “Mas”、 “Mjölis”、 “Mjölnarmatte”などとも呼ばれます。 アメリカでは“Flurst”と呼ばれます。 同じようなゲームは、ノルウェーやフィンランドでもプレイされています。

ルールは主に英語版Wikipediaに基づきました。Pagato.comも参考にしました。


プレイヤー

2人~6人。3人または4人が最適。

概要

プレイは2つのフェーズからなります。

第1フェーズは、トリックテイキングゲームですが、切札がなく、スートの区別もありません。 次のフェーズで有利になるカードを獲得することを目的とします。

第2フェーズでは、できるだけ早く手札をなくすことが目的となります。

カード

普通の52枚のトランプ。

スートの強さは、(強)10(弱)です。

ディール

最初のディーラーは誰がなってもかまいません。 次回からは時計回りに交替します。

ディーラーは各プレイヤーに3枚ずつカードを配ります。 残ったカードは裏向きにテーブルに置いておきます。 これが山札となります。

第1フェーズ

第1フェーズはトリックテイキングゲームです。 ディーラーの左隣のプレイヤーが最初のリードを行います。

リードとその後のプレイヤーのプレイでは、1枚のカードまたは同じランクのカード2枚または3枚をプレイすることができます。 プレイするカードに制限はありません。 2枚以上プレイする場合には同じランクのカードを出さなければならないという制限だけです。 他のプレイヤーと同じ枚数のカードを出す必要もありません。 プレイしたら、直ちに山札からプレイした枚数のカードをドローして、手札を3枚に戻します。

スートや枚数に関係なく、最も強いランクのカードを出したプレイヤーが勝ちます。

最も強いランクのカードを2人以上がプレイしたときは、そのプレイヤーだけでもう一度トリックテイキングのプレイを行います。 最初にリードしたプレイヤーがリードします。 そのプレイヤーがそのときのプレイに参加していないときは、そのプレイヤーから時計回りに最も近いプレイヤーがリードします。 最初と同様にプレイしたらすぐに山札から手札に補充します。

こうして、決着がつくまでプレイを行います。

プレイで決着がついたら、各プレイヤーは、誰がいつプレイしたカードかに関係なく、場にあるカードと同じランクのカードが手札にあれば、 それを何枚でも何種類でも場に出すことができます。 勝ったプレイヤーでも他のプレイヤーでも行うことができます。 これによって勝敗が変わることはありません。 そのあと手札を補充しますが、補充したカードから出すことはできません。

プレイで勝ったプレイヤーは場にあるカードをすべて獲得します。 獲得したカードは、手札とは別に、裏向きにして自分の前に置きます。 勝ったプレイヤーが次のリードを行います。

第1フェーズの終わり

山札の最後のカードをドローするプレイヤーは、そのカードを見ることはできません。 裏向きのまま、獲得したカードとは別に、自分の前に置きます。

そのあとは誰も手札を補充することはできませんが、プレイは続けます。

プレイで決着がついたときに、だれかの手札が0枚になっていたら、第1フェーズが終わります。

あるいは、引き分けで再プレイするときにプレイを行うべきプレイヤーの手札が0枚になっていた場合も、第1フェーズの終わりになります。 この場合は、各プレイヤーは今までにプレイした自分のカードを手札に戻します。

第2フェーズ

山札の最後のカードを表向きにして、第2フェーズを始めます。 このカードと同じスートのカードはすべて切札になります。

各プレイヤーは自分の獲得したカードと残った手札を合わせて、第2フェーズの手札とします。 山札の最後のカードもそれを取ったプレイヤーの手札に入れます。

取ったカードも山札もないプレイヤーは第2フェーズを行いません。 このプレイヤーは敗者になることはありません。

第2フェーズでは、トリックテイキングゲームとは少し違うプレイを行いますが、プレイの1つの区切りをトリックと呼んでおきます。

最後の山札を取ったプレイヤーが最初のプレイ(リードと呼んでおきます)を行います。 リードは、どのカードでもかまわないので、1枚を出します。 あるいは同じスートの2枚以上の続き札をリードすることもできます。 例えばDD10のカードをリードするわけです。 (は続きますが、は続きません)。

リードがあったら、各プレイヤーは時計回りの順に次のいずれかのプレイを行います。

1. 手札から1枚のカードまたは2枚以上の同じスートの続き札のカードをプレイする。

プレイするカードは、直前にプレイされたカードと同じスートで、もっと強いカードでなければなりません。 直前にプレイされたカードが1枚であっても続き札をプレイしてもかまいません。 その逆も可能で、枚数の違う続く札でもかまいません。

直前にプレイされたカードが切札でない場合には、切札のスートならばどのカード(1枚または続き札)でもプレイすることができます。 直前が切札のときは、もっと強い切札(1枚または続き札)をプレイする必要があります。

2. 直前にプレイされたカードを取って、手札に加える。

上記1のプレイが不可能または行いたくないときにこのプレイを行います。

直前にプレイされたカードを取りますが、このとき続き札なら全部取るだけでなく、その前のプレイヤーにも続いていたらそのプレイヤーの出したカードも取ります。 さらにその前にも続いていたら取ることになります。

直前が続き札でなくても、その前と続いていたら同様に取ることになります。

プレイしたとき、場にプレイヤーの数と同じ数のカードの組が残っていたら、1トリックが終ります。 このとき、1人のプレイヤーが1度に出した1枚のカードまたは続き札は1組として数えます。 また、取られたカードの組(続き札で続けて取られたカードも含む)は数えません。

例1(3人プレイ):

  1. A:Sをリード (場は1組)
  2. B:D(切札)をプレイ (場は2組)
  3. C:Dを取る (場は1組)
  4. A:Sをプレイ (場は2組)
  5. B:D(切札)をプレイ。場がプレイ人数と同じ3組になったのでトリック終了。

例2(4人プレイ):

  1. A:HHをリード (場は1組)
  2. B:Hをプレイ (場は2組)
  3. C:HH10をプレイ (場は3組)
  4. D:HHH10を取る (場は1組)
  5. A:Hをプレイ (場は2組)
  6. B:C(切札)をプレイ (場は3組)
  7. C: Cを取る (場は2組)
  8. D:HHH10をプレイ (場は3組)
  9. A:Hをプレイ 。場がプレイ人数と同じ4組になったのでトリック終了。

このときのプレイヤーの数は、リードが行われたときにプレイに参加しているプレイヤーの数です。 手札がなくなったプレイヤーはプレイに参加しないので、そのプレイヤーは数えません。

トリックが終わると、場のカードは片づけられ、もう使われなくなります。 最後にカードを出したプレイヤーが、次のリードを行います。

なお、プレイの途中で場のカードを全部取ってしまったときは、次のプレイヤーがリードを行います。

手札のなくなったプレイヤーはトリックの途中でもプレイから抜けます。 抜けるプレイヤーがリードするはずだったときは、左隣の抜けていないプレイヤーがリードします。

1人を除く全員の手札がなくなったら、プレイ終了です。

最後に手札を残したプレイヤーが敗者となります(このゲームは1人の敗者だけを決めるゲームです)。


注1

ディーラーは時計回りに交替すると本文に書きまししたが、このゲームでははっきりしたディーラー交替のルールはないようです。 敗者が次のディールを行うというルールもあります。

注2

マスで書いたように、第1フェーズで2人ずつでトリックテイキングゲームを行うやりかたもあります。 また、第2フェーズで続き札のプレイや続いたカードを取ることを認めないこともあります。


2023年5月6日、なかよし村でプレイしました。

説明するのが大変なゲームでしたが、慣れればそんなに複雑なゲームではありません。

結構楽しめましたが、作戦の立て方が難しいゲームです。 本当の面白さが分かるには、かなり何度もプレイする必要がありそうです。