1997/12/5 赤桐
トラッポラはルネサンス後期の16世紀の始めのイタリアのベニスで生まれたゲームです。次のような点で画期的なゲームでした。
また、ゲームの内容では、最も弱いカードでトリックに勝ったときにボーナス点がもらえるという点が新しく、現在の中欧、東欧系のトランプやタロットゲームに大きな影響を与えています。
このゲームは、17世紀以降、ドイツ、オーストリア、チェコなどに広まり、色々な名前で呼ばれました。いまではルーマニアにおいてチェコからの開拓民の村で生き残っているだけですが、1944年まではこのゲーム用のカードも製造されていました。
以下に紹介する2人用ゲームのルールは、16世紀の科学者 Girolamo Gardano の書いたラテン語の文を、Michael Dummett氏が著書"The Game of Tarot"において解釈したものを基にしています。
いささか荒っぽいところもありますが、今でも十分に楽しめるゲームです。
2人
通常の52枚のカードから、各スートの3〜6を除いた36枚のカードを使います。
元来は、今のイタリアパックのカードと同じようなカードが使われました(数札の構成は全く異なりますが)。
カードの強さは、強いものから順に、A、K、Q、J、10、9、8、7、2です。
カードの点数は:
各エース | 6点 |
各キング | 5点 |
各クイーン | 4点 |
各ジャック | 3点 |
それ以外 | 0点 |
ディーラーは各プレイヤーに4枚配り、次に5枚配ります。各プレイヤーは9枚の手札を持ちます。残りの18枚は山札になります。
ノンディーラーは、配られた手札が気に入らなければ、全部捨てて山札からまた9枚配ってもらうことができます。それが気に入らなければ、それも全部捨てて再び山札から配ってもらうことができます。この時捨てたカードは相手にも見せた後、裏返しにします。
そのあと、ディーラーは、まだ山札が残っていれば、同じようにすることができます。
手役は次のものがあります。
「3枚」 | Aが3枚、Kが3枚、Qが3枚、Jが3枚、2が3枚のいずれかが手札にあるとき |
「4枚」 | Aが4枚、Kが4枚、Qが4枚、Jが4枚、2が4枚のいずれかが手札にあるとき |
手役の宣言は、手役を構成するカードをプレイする前ならば、いつでも行えます。ただし、得点するのはプレイが終わってからです。
Aの3枚やAの4枚を宣言するときには、「エースの3枚(Three Aces)」などと宣言しなければなりませんが、他の3枚や4枚を宣言するときには、単に「3枚(Three Figures)」と宣言するだけでよく、ランクを言う必要はありません。また、3枚のときに、どのスートが欠けているかを知らせる必要はありません。
手役の得点は次の通りです:
エース | キング | クイーン | ジャック | 2 | |
3枚 | 12 | 6 | 6 | 6 | 10 |
4枚 | 24 | 12 | 12 | 12 | 20 |
ノンディーラーが最初のリードを行い、トリックテイキングのプレイを行います。切札はありません。
フォローの規則は、リードされたスートがあればそのスートを出し、なければどれを出してもよいというものです。勝てるカードを出さなければならないということはありません。
取ったカードの点数をそのまま得点します。さらに最後のトリックを取ると6点得点します。
さらに2のランクのカードでトリックに勝つごとに、10点得点します。
ただし、2で最後のトリックに勝ったり、2で最後の何トリックかを連続して勝つと、最後のトリックの点数や2でトリックを取る点数の代わりに、次のように得点します。
2で最後の1トリックを取る | 26点 |
2で最後の2トリックを取る | 52点 |
2で最後の3トリックを取る | 78点 |
賭けている場合には、2人の得点の差額を、多く得点したほうがもらいます。