1997/7/16 赤桐
ツビッカーはドイツ北部のシュレスビッヒ・ホルシュタインでプレイされている家庭ゲームです。
このゲームはカシノに似たゲームです。同じカシノ系でもイタリアのスコパなどのゲームとはちょっと違っています。
まず、Claus D. Grupp氏の著書"Schafkopf Doppelkopf"に基づくルールを紹介します。
2人〜4人。4人のときもパートナー戦にはなりません。5人以上でも、カードを2組使えば、プレイできます。
通常の52枚のカードに、6枚のジョーカーを加えた58枚のカードを使います。
5人以上でプレイする場合は、これを2組、つまり116枚のカードを使用します。
最初のディーラーは任意の方法で決めます。ディールごとにディーラーは時計回りに交代します。
まず、ディーラーの左隣のプレイヤーから始めて、各プレイヤーに1枚ずつ、手札が4枚になるように配り、テーブル中央にも4枚配ります。
プレイを行って全員が手札を使い切ったら、配り残りのカードから、各プレイヤーに1枚ずつ配っていって、手札がまた4枚になるようにします。ただし、枚数が足りないときには、1枚ずつ配っていって、配れるところまで配ります。プレイヤーによって1枚多かったり少なかったりしてもかまいません。なお、このときのディーラーは最初のディーラーと同じ人で、やはり、ディーラーの左隣から配り始めます。
ディーラーの左隣から時計回りの順にプレイを行います。
プレイヤーは、手札から自由に1枚をテーブルに出します。出したカードで場札を取ることができたら、その場札と出したカードをまとめて、プレイヤーの前に裏向きに置きます。これが、取ったカードになります。取ったカードは、もうプレイには使われません。
カードを1枚出しても場札を取ることができなかった場合には、出したカードはそのままテーブルに置かれて、場札となります。
いずれにしても、手札から1枚プレイすると、そのプレイヤーの番は終わります。
場札の取り方は以下の通りです:
1)ペアによる取り方
出したカードと同じランクのカードが場にあれば、そのカードを取ることができます。
例えば、場にAが合った場合、Aを出すとそれを取ることができます。
2)合計による取り方
何枚かの場札の点数の合計が、出したカードの点数に等しくなれば、それらの場札を取ることができます。
例えば、場に2、3、4があって、9を出した場合、2+3+4=9なので、この3枚のカードを取ることができます。
取るときのカードの点数は次の通りです:
A | 11点 |
2〜10 | その数字と同じ点数 |
J | 12点 |
Q | 13点 |
K | 14点 |
3)取ることのできるカードの組み合わせかたが何種類かある場合には、どのように取るかはプレイヤーの自由です。
例えば、場に2、2、4、5とあって、9を出した場合、2を2枚と5を取ってもよいし、4と5を取ってもかまいません。
4)ペアで取ることのできるできるカードが何枚もあったり、合計で取ることのできるカードの組み合わせが何組もある場合には、そのすべてを取ることができます。
例えば、場に2,4,5,5,7,9,9があり、9をプレイした場合には、9を2枚と、2と7、4と5を取ることができます。なお、5は1枚しか取るとることができません。4は1枚しかなくて、どちらかの5としか組み合わせることができないので、もう1枚の5は場に残るわけです。(クリベッジというゲームのように、同じカードを異なる組み合わせで何度も使うことはできません。)
5)出したカードで取ることができる場札があっても、取らないで捨て札することもできます。
捨て札をする代わりに、場にあるカードの1枚の上に手札からプレイしたカードを重ねることもできます。これをビルドと呼ぶことにします。
ビルドで重ねられたカードは、これ以降1枚のカードのように扱われます。そのうちの1枚だけを取ることはできなくなるわけです。
ビルドになったカードの点数は、場のカードの点数に出したカードの点数を加えたものです。
ビルドした結果の点数が14点を超えるようなビルドをしてはいけません。
ビルドされたカードに、さらにカードを重ねてビルドすることも可能です。
プレイで場札を全部取ってしまうことを、ツビックと呼びます。
ツビックは3点の得点となりますが、得点はプレイが終わってから計算するので、記録しておくために、ズビックで取ったカードの中の1枚を横向きに置くか、表向きにしておきます。
ジョーカーはワイルドカードです。2から14までの任意の点数を持ちます(場にあった場合でも)。
ただし、次のような制限を加えることもあります。
あるいは、ジョーカーが場にある場合は、決してそれを取ることができないというルールを採用することもあるようです。(ツビックが発生しなくなります。)
全プレイヤーが手札をすべて使いきり、配り直すカードもなければ、プレイは終了です。
プレイ終了時に場に残った場札は、最後に場札からカードを取ることができたプレイヤーのものになります。(ただし、実際にプレイで全部のカードを取らない限り、それによってツビックになることはありません。)
プレイのあと、取ったカードにより、次の得点がつきます。(得点の点数は、プレイでカードを取る時の点数とは違います。)
7 | 1点 |
7 | 1点 |
10 | 10点 |
各エース | 2点 |
さらに、最も多くの枚数のカードを取ったプレイヤーに1点が与えられます。(同じ枚数ならば誰もこの得点をもらえません。)
また、ツビック1回につき3点が与えられます。
ディール終了時の得点計算の結果、誰かの累計点数が決められた点数に達したらゲームは終了します。最も高い点数のプレイヤーが勝者です。
精算を行う場合は、各プレイヤーが他のそれぞれのプレイヤーとの差額を精算します。
1ディールか、決められたディール数をプレイして、一番点数の低いプレイヤーが他のプレイヤーにビールをおごるということでプレイすることもあるようです。
出したカードで取ることができる場札があっても、取らないで捨て札することもできるかどうかについては、Grupp氏の本には何も書いてありません。
カシノのルールに従って、捨て札することもできるということにしておきました。
「ビルド」ということばは、カシノの用語を使いました。ドイツでは特別な用語はないようです。単に「重ねて置く」というように言います。
なお、ドイツでは Bild(ビルト)が場札の意味になります。原意は「絵」や「図」という意味ですが「舞台セット」という意味もあります。カシノの用語のビルド(build)が、意味が変わっても、このドイツ語に由来するという可能性も高いように思います。
「ビルドしたとき、ビルドした点数と同じ点数のカードが手札になければならない」というルールがカシノにはありますが、ツビッカーではそのようなことはないようです。14点以内のビルドならば、いつでも可能です。(Christiansen氏のルールは違います。)
次に、Reinhardt Christiansen氏の家庭のルールを紹介します。McLeod氏のインターネットサイト(http://www.pagat.com/)で紹介されています。
絵札やAについては取るときの点数が2つ選べることと、ビルドの時に足し算だけでなく引き算もできることが主な違いです。ジョーカーの働きも違います。
プレイがやや複雑(可能性が多いので考えることが多い)すぎるように思えますが、慣れてくれば楽しめるかもしれません。
前のルールとはかなり違いがあるので、最初から説明します。
2人〜4人。4人のときもパートナー戦にはなりません。
通常の52枚のカードに、4枚のジョーカーを加えます。4枚のジョーカーは、区別が付くようにそれぞれにマークを表に書き加えます。取るときの点数である、"15"、"20"、"25"、"30"を書いておくのが分かりやすいでしょう。
最初のディーラーは任意の方法で決めます。各ディール毎にディーラーは時計回りに交代します。
2人または3人でプレイするときには、まず各プレイヤーに1枚ずつ、手札が8枚になるように配り、テーブル中央にも8枚配ります。プレイを行って全員が手札を使い切ったら、配り残りのカードから、各プレイヤーに8枚ずつ配り直します。2人プレイのときには配り直しは2回ですが、3人でプレイするときには、配り直しは1回です。
4人でプレイするときには、各プレイヤーに6枚ずつ配り、テーブル中央に8枚配ります。配り直しは1回で、6枚ずつ配ります。
なお、テーブル中央に配られるカードは、表向きに重ねないで置きます。このようにテーブルに置かれたカードを「場札」と呼ぶことにします。また、場札が置かれる場所を、「場」と呼ぶことにします。
ディーラーの左隣から時計回りの順にプレイを行います。
プレイヤーは、手札から自由に1枚をテーブルに出します。出したカードで場札を取ることができたら、その場札と出したカードをまとめて、プレイヤーの前に裏向きに置きます。これが、取ったカードになります。取ったカードは、もうプレイには使われません。
カードを1枚出しても場札を取ることができなかった場合には、出したカードはそのままテーブルに置かれて、場札となります。
いずれにしても、手札から1枚プレイすると、そのプレイヤーの番は終わります。
場札の取り方は以下の通りです:
1)ペアによる取り方
出したカードと同じランクのカードが場にあれば、そのカードを取ることができます。
例えば、場にAが合った場合、Aを出すとそれを取ることができます。
2)合計による取り方
何枚かの場札の点数の合計が、出したカードの点数に等しくなれば、それらの場札を取ることができます。
例えば、場に2、3、4があって、9を出した場合、2+3+4=9なので、場のこの3枚のカードを取ることができます。
取るときのカードの点数は次の通りです:
A | 1点または11点 |
2〜10 | その数字と同じ点数 |
J | 2点または12点 |
Q | 3点または13点 |
K | 4点または14点 |
ジョーカー | 15点、20点、25点、30点の4種類があります。 |
A、J、K、Q、Kは2つの点数を持っていますが、取るときも取られるときも、どちらの点数にするかはプレイヤーが決めることができます。
例えば、Aを出すと、場のJ、Q、6を取ることができます。出したAは11点、場のJは2点、Qは3点と考えて、場の3枚のカードの合計が2+3+6=11点となるためです。
ジョーカーはワイルドカードではありません。4種類の別のカードがあり、それぞれに15点〜30点の取るときの点数があると考えてください。
3)取ることのできるカードの組み合わせかたが何種類かある場合には、どのように取るかはプレイヤーの自由です。
例えば、場に2、2、4、5とあって、9を出した場合、2を2枚と5を取ってもよいし、4と5を取ってもかまいません。
また、場にK、3、7がありKを出した場合、場のKを4点、出したKを14点と考えて、Kと3と7を全部取ることができますが、場のKだけをペアで取ることも可能です。
4)ペアで取ることのできるできるカードが何枚もあったり、合計で取ることのできるカードの組み合わせが何組もある場合には、そのすべてを取ることができます。
例えば、場に2,4,5,5,7,9,9があり、9をプレイした場合には、9を2枚と、2と7、4と5を取ることができます。なお、5は1枚しか取るとることができません。4は1枚しかなくて、どちらかの5としか組み合わせることができないので、もう1枚の5は場に残るわけです。(クリベッジというゲームのように、同じカードを異なる組み合わせで何度も使うことはできません。)
5)出したカードで取ることができる場札があっても、取らないで捨て札することもできます。
捨て札をする代わりに、場にあるカードの上に手札からプレイしたカードを重ねることもできます。これをビルドと呼ぶことにします。
ビルドで重ねられたカードは、これ以降1枚のカードのように扱われます。その内の1枚だけを取ることはできなくなるわけです。
ビルドになったカードの点数は、場のカードの点数に出したカードの点数を加えたものか、または、場のカードの点数から出したカードの点数を引いたものです。A、J、Q、Kの点数は各2種類ありますが、どれを使うかは自由です。
ただし、ビルドを行うときに、どの点数にするかを宣言しなければなりません。それ以降はその点数でしか取ることができません。
また、そのプレイヤーの残った手札のなかで、ビルドされた点数と同じ点数のカードがなければ、そのビルドをすることはできません。
ビルドされたカードに、さらにカードを重ねてビルドすることも可能です。引き算を行ったビルドに足し算で重ねることや、その逆も可能です。
プレイで場札を全部取ってしまうことを、ツビックと呼びます。
ツビックは3点の得点となりますが、得点はプレイが終わってから計算するので、記録しておくために、ズビックで取ったカードの中の1枚を横向きに置くか、表向きにしておきます。
全プレイヤーが手札をすべて使いきり、配り直すカードもなければ、プレイは終了です。
残った場札は、誰のものにもなりません。
プレイのあと、取ったカードにより、次の得点がつきます。(得点の点数は、プレイでカードを取る時の点数とは違います。)
7 | 1点 |
7 | 1点 |
10 | 10点 |
各エース | 2点 |
30のジョーカー | 7点 |
25のジョーカー | 6点 |
20のジョーカー | 5点 |
15のジョーカー | 4点 |
さらに、最も多くの枚数のカードを取ったプレイヤーに1点が与えられます。(同じ枚数ならば誰もこの得点をもらえません。)
また、ツビック1回につき3点が与えられます。
全プレイヤーが手札をすべて使いきり、配り直すカードもなければ、プレイは終了です。
残った場札は、誰のものにもなりません。
誰かの累計点数が、決められた点数に達したらゲームは終了します。最も高い点数のプレイヤーが勝者です。
精算を行う場合は、各プレイヤーが他のそれぞれのプレイヤーとの差額を精算します。