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ドッペルコップ(Doppelkopf)

1997/12/1(2025/9/15小改訂) 赤桐

ドッペルコップはドイツのカードゲームです。北部のゲームと言われていましたが、もっと広い地域でプレイされています。スカートに次いでポピュラーなカードゲームのようです。

ピノクルと同じように、24枚のカードを2組使うトリックテイキングゲームです。切札の枚数がとても多いのが特徴です。4人ゲームで、普通は2人ずつ臨時のペアになってプレイしますが、1人が3人を相手にすることもあります。


プレイヤー

4人。 5人でもプレイできますが、その時にはディーラーは自分にはカードを配らず、プレイに参加しません(得点にも関係しません)。

カード

スートを除いた24枚のカードを2組混ぜて使います。つまり48枚のカードになります。

切札以外のカードの順位は、強いものから順に10です。ただし、普通はすべてのは切札なので、10の順となります。また♥️10も普通は切札なので、ハートはとなります。

切札のカードとその順位は、強いものから順に、♥️10♣️♠️♥️♦️♣️♠️♥️♦️♦️♦️10♦️♦️となります。ただし、ゲームの種類によっては、この中の一部のカードしか切札とならないこともあります。

つまり、各スートのカードを強い順に並べると。普通は次のようになります(実際は2枚ずつ同じカードがあります)。

切札(ダイアモンド):

[H10][CQ][SQ][HQ][DQ][CJ][SJ]HJ][DJ][DA][D10][DK][D9]

クラブ:

[CA][C10][CK][C9]

スペード:

[SA][S10][SK][S9]

ハート:

[HA][HK][h9]

各カードには次のような点数があります。

1 1点
10 10点
4
3
2
0

全カードの点数の合計は240点になります。

ディール

最初のディーラーは任意の方法で決めます。次回からは、時計回りに交代します。

ディーラーは、4枚ずつまとめて全部のカードを配ります。各プレイヤーの手札は12枚になります。

ゲームの種類

プレイの前のビッドで、どのようなゲームの種類をプレイするかを選択します。ゲームの種類には次のようなものがあります。

[普通のゲーム]

♣️を配られた2人がパートナーとなって、他の2人と戦います。誰が♣️を持っているかは、それがプレイされるか、後述する「レー」や「コントラ」などの宣言のときまでは明かしてはなりません。

2枚の♣️を1人で持っている場合には、そのプレイヤーが他の3人を相手に戦います。ただし、そのプレイヤーは♣️を2枚持っていることを明かす必要はありません。これをサイレントソロと呼びます。

[マリッジ(Hochzeit ホッホツァイト)]

2枚の♣️を持っているプレイヤーは、これを選択することもできます。

この場合、♣️を持っているプレイヤー以外で、最初にトリックに勝ったプレイヤーが、♣️を持っているプレイヤーのパートナーとなります。

ただし、♣️を持っているプレイヤーが最初の3トリックを全部勝った場合には、♣️を持っているプレイヤーが1人で他の3人を相手に戦います。

[アルムート(Armut=貧乏)]

切札を3枚かそれ以下しか配られなかったプレイヤーが選択できるゲームです。

このゲームが選択された場合には、プレイの前に、これを選択したプレイヤーが手札から3枚のカードを出して、誰かと交換しようとします。

交換するために出すカードには、持っている切札を全部入れなければなりません。交換するカードの内容は見せません。

交換はまず左隣のプレイヤーに申しこみます。断られた場合には、時計回りの順に交換を申しこんでいきます。誰かが交換に合意したら、その人と交換してプレイが始まります。

交換に合意したプレイヤーは、まずカードをもらって手札に入れ、その中から3枚のカードを他のプレイヤーには見せないで返します。返すカードはどれでもかまいません。もらったカードでも切札でもかまいません。

カードを交換した2人がパートナーとなり、他の2人と戦います。

誰も交換に同意しない場合には、配り直しとなります。このときのディーラーは交代しません。

[ソロ]

ソロのゲームでは、ソロを選択したプレイヤー1人が、他の3人を相手に戦います。ソロのゲームには次の種類があります。

ビッドの方法

まず、ディーラーの左隣のプレイヤーから時計回りの順で、普通のゲーム以外のゲームをプレイしたいかどうかを言っていきます。

普通のゲーム以外のゲームをプレイしたい場合には、「保留します(Vorbehalt)」と言い、そうでない場合には「パス(Gesund)」と言います。

保留のプレイヤーが1人のときは、そのプレイヤーがマリッジ、アルムート、ソロのうちのどれにするかを宣言します。 2人以上いる場合は、ディーラーの左隣に近い人から、時計回りの順でどれかを宣言します。 宣言ではソロが最も強くアルムート、マリッジの順になり、同じ強さなら先に宣言したプレイヤーが優先されるので、後で宣言するプレイヤーはより強い宣言を行うか、パスをすることになります。 パス以外の最後の宣言が有効になります。

プレイの前に

アルムートのゲームの前には、前述したようにカードの交換を行います。交換が成立しない場合には、プレイは行われず、次のディールに移ります。

ソロの場合には、ソロを選択したプレイヤーが、どの種類のソロを行うかを公表します。

攻撃チームと防御チーム

普通のゲームの場合、♣️を配られたプレイヤー2人を攻撃チーム(Re-Partei)と呼び、他の2人を防御チーム(Contra-Partei)と呼びます。♣️の2枚が1人のプレイヤーに配られて他のゲームを選択しなかった場合、そのプレイヤーだけが攻撃チームで、他の3人が防御チームになります。

他のゲームでは、ゲームを選択したプレイヤーが攻撃チームです。ゲームを選択したプレイヤーにパートナーがいれば、そのプレイヤーももちろん攻撃チームとなります。その他のプレイヤーは防御チームとなります。

プレイ

ディーラーの左隣のプレイヤーが最初のリードを行って、トリックテイキングゲームのプレイを行います。プレイの順序は時計回りです。

プレイのルールは次の通りです:

  1. リードされたスートのカードがあれば、そのスートを出します。
  2. リードされたスートがなければ、どのカードを出してもかまいません。
  3. 切札が出ていない場合は、リードされたスートの最も強いカードを出したプレイヤーが勝ちます(トリックを取ります)。
  4. 切札が出ているた場合は、最も強い切札を出したプレイヤーが勝ちます。
  5. 勝ったプレイヤーが次のリードを行ないます。どのカードをリードしてもかまいません。

同じカード(同スート同ランクのカード)が1つのトリックでプレイされた場合には、先にプレイされたカードのほうが強いカードになります。

プレイの目的は、取ったトリックに含まれるカードの得点をたくさん取ることです。普通は、攻撃チームは121点以上取れば勝ちになり、防御チームは120点以上取れば勝ちになります(全点数は240点です)。

プレイ中の宣言

プレイ前またはプレイ中に次の宣言を行うことができます。宣言は各チームの誰でも行うことができ、自分の番でないときに行うこともできます。ただし、同じチームが同じ宣言を2回以上行うことはできません。

なお、単に宣言しただけでは宣言したプレイヤーが攻撃チームか防御チームか分からない場合には、自分が攻撃チームであるか防御チームであるかをはっきり言わなければなりません。

[レー(Re)]

攻撃チームだけが行うことができる宣言です。

この宣言があると、勝ったほうのチームの得点が増えます。自分のチームが勝つと思ったときに宣言します。

この宣言は、宣言を行うプレイヤーが2トリック目のカードを出す前、つまり手札が11枚以上あるときならば、いつでも行えます。

ただし、相手が「コントラ」の宣言をした場合には、3トリック目のカードを出す前、つまり手札が10枚以上あるときならば、レーを宣言できます。

[コントラ(Contra)]

防御チームだけが行うことができる宣言です。

この宣言があると、勝ったほうのチームの得点が増えます。自分のチームが勝つと思ったときに宣言します。

この宣言は、レーと同じように、宣言を行うプレイヤーが2トリック目のカードを出す前、つまり手札が11枚以上あるときならば、いつでも行えます。

ただし、相手が「レー」の宣言をした場合には、3トリック目のカードを出す前、つまり手札が10枚以上あるときならば、コントラを宣言できます。

コントラが宣言され、レーが宣言されない場合には、攻撃チームは120点以上取れば勝ち、防御チームは121点以上取らないと負けになります。

[90(Keine 90)],[60(Keine 60)],[30(Keine 30)],[シュワルツ(Schwartz)]

「90」は相手チームが90点より少ない点数しか取れないと思ったときに行う宣言です。同様に、「60」と「30」は相手チームが60点や30点より少ない点数しか取れないと思ったときに行う宣言です。

「シュワルツ」は相手チームが1トリックも取れないと思ったときに行う宣言です。

いずれの宣言でも勝ったほうの得点が増えます。相手チームが宣言したものよりも多くの点数(シュワルツの場合はトリック数)を取った場合、120点を超えるような点数を取っていても、宣言したチームの負けとなります。

宣言できるタイミングは次の通りです(これより前であればいつでもかまいません):

90 3トリック目のカードを出す前(手札が10枚以上のとき)
60 4トリック目のカードを出す前(手札が9枚以上のとき)
30 5トリック目のカードを出す前(手札が8枚以上のとき)
シュワルツ 6トリック目のカードを出す前(手札が7枚以上のとき)

ただし、これらの宣言を行うためには、その前にコントラまたはレーの宣言をしていなければなりません。さらに、それより上位の宣言をすべて行っていなければなりません。

つまり、まずコントラまたはレーの宣言を行い、次に90の宣言を行い、次に60の宣言を行い、次に30の宣言を行い、それが済んでからシュワルツの宣言を行うことになります。

ただし、宣言するタイミング(何トリック目をプレイする前か)が許せば、これらの宣言をいっぺんに行ってもかまいません。

これらの宣言があった場合、相手チームは、まだコントラやレーを行っていなければ、普通より遅いタイミングでコントラやレーを行うことができます。つまり、行われた宣言の最も遅いタイミングより一巡遅くまで宣言を行うことができます。

マリッジの場合、攻撃チームか防御チームか決まらないプレイヤーは宣言を行うことができません。ただし、マリッジを選択したプレイヤーのパートナーが2トリック目で決まった場合には、すべての宣言のタイミングは1トリック分遅くなります。3トリック目で決まった場合には、2トリック分遅くなります。

得点

勝ち負け

プレイが終わると各チームは取ったカードの点数を合計します。

通常の場合、過半数の点数つまり121点以上取ったチームの勝ちとなります。同点の場合は防御チームの勝ちです。ただし、コントラの宣言がありレーの宣言がない場合には、同点は攻撃チームの勝ちとなります。

90、60、30、シュワルツの宣言があった場合には、宣言通りの結果になったときには宣言したチームの勝ち、そうでない場合には121点以上取っていても相手チームの勝ちとなります。

ただし、両方のチームがこのような宣言を行っていた場合で、どちらの宣言の通りにもならなかったときには、引き分けになります。

得点計算

得点は、カードの点数とは別のもので、勝ったチームがプラスの得点を獲得し、負けたチームがその分マイナスになります。

勝ったチームの得点は、次の点数のうち、あてはまる点数をすべて合計したものになります。

勝利点 勝ったときに常につきます 1点
防御チーム勝利 防御チームが勝ったとき(攻撃チームが1人だけのときは除きます) 1点
90 相手チームの点数が90点より少なかったとき 1点
60 相手チームの点数が60点より少なかったとき 1点
30 相手チームの点数が30点より少なかったとき 1点
シュワルツ 相手チームが1トリックも取らなかったとき 1点
コントラ コントラの宣言があったとき 2点
レー レーの宣言があったとき 2点
90宣言 90の宣言があったとき 1点
60宣言 60の宣言があったとき 1点
30宣言 30の宣言があったとき 1点
シュワルツ宣言 シュワルツの宣言があったとき 1点
相手が90宣言して120点以上取ったとき 1点
相手が60宣言して90点以上取ったとき 1点
相手が30宣言して60点以上取ったとき 1点
相手がシュワルツ宣言して30点以上取ったとき 1点

コントラ、レーだけでなく、90宣言、60宣言、30宣言、シュワルツ宣言についても、両方のチームの宣言がすべて点数になります。例えば、両方が90宣言をした場合には、それぞれのチームの宣言について1点、つまり2点がこれについて計上されます。

なお、勝ったチームの点数が90点未満であったとしても、90(や60、30、シュワルツ)にならないことにご注意ください(相手チームが60宣言などを行って失敗した場合です)。負けたチームが90点未満の場合だけ、90などの点数がつきます。

引き分けの場合、つまり両方のチームが90宣言などを行って失敗した場合には、「相手が90宣言して120点以上取ったとき」などの点数だけが得ることのできる得点です(その他に後で述べるボーナス点もつきます)。

例1:宣言:なし。攻撃チーム:129点、防御チーム:111点のとき。

攻撃チームが勝利点1点を得ます。

例2:攻撃チーム宣言:レー、防御チーム宣言:コントラ、90宣言。攻撃チーム:54点、防御チーム:186点のとき。

防御チームの得点は、勝利点(1点)+防御チーム勝利(1点)+90(1点)+60(1点)+レー(2点)+コントラ(2点)+90宣言(1点)=9点です。

例3:攻撃チーム宣言:なし、防御チーム宣言:コントラ、90宣言、60宣言、30宣言。攻撃チーム:70点、 防御チーム:170点のとき。

防御チームの30宣言失敗なので攻撃チームの勝利です。攻撃チームの得点は、勝利点(1点)+コントラ(2点)+90宣言(1点)+60宣言(1点)+30宣言(1点)+相手が30宣言して60点以上取ったとき(1点)=7点です。

例4:攻撃チーム宣言:レー、90宣言、60宣言、防御チーム宣言:コントラ、90宣言。攻撃チーム:175点、 防御チーム:65点のとき。

どちらも宣言失敗なので引き分けです。しかし攻撃チームは「相手が90宣言して120点以上取ったとき」の状態なので、攻撃チームが1点得点します。

ボーナス得点

上記の得点とは別に、チームの勝ち負けに関わらず、つぎの得点がつきます。得点は、チームの得点となります。

[フォックス(Fuchs gegagen)]  1点

相手チームが出した♦️(フォックス)を取ったときにつきます。取った♦️は後で分かるように表にしておきます。♦️を出したプレイヤーが敵か味方かまだ分からないときには、とりあえず表にしておいて、味方だと分かったら裏返すようにします。

攻撃チームが1人のときにはこの点数はありません。

[チャーリー(Karlchen Muller,英Charlie Miller)]  1点

最後のトリックを♣️(チャーリー)で勝ったときにつきます。最後のトリックに♣️を出して、相手チームに取られたときには、相手チームにつきます。最後のトリックに♣️を出して、パートナーに取られたときには、どちらにも点数はつきません。

攻撃チームが1人のときにはこの点数はありません。

[ドッペルコップ(Doppelkopf)]   1点

1つのトリックでプレイされたカードが、すべて10であるときに、このトリックに勝ったチームにつきます。このとき、後で分かるように、取ったカードの1枚を表にしておきます。

スコアシートへの記入

2人対2人のプレイを行った場合には、得点を得たチームの各プレイヤーは上記で計算した得点をスコアシートに記入します。相手チームの各プレイヤーは、同じ点数をマイナス点として記入します。

1人が3人を相手に戦って、1人のほうが得点を得た場合には、そのプレイヤーは上記で計算した得点を3倍したものをスコアシートに記入し、他の3人は上記で計算した点数をマイナス点として記入します。3人のほうが得点を得た場合には、3人が得点をそのまま記入し、1人のほうはそれを3倍したものをマイナス点として記入します。


ドイツスドッペルコップ連盟(Deutschen Doppelkopf-Verbandes)のルール

本文のルールは、ドイツスドッペルコップ連盟(DDV)のルールに基づいていますが、次の違いがあります。

1) DDVのルールでは、アルムートのゲームはありません。

2) DDVのトーナメントルールでは、1つのラウンドで24ディール行います。そのうち各プレイヤーは必ず1回はソロのゲームを選択しなければなりません。

このように必ず行わなければならないソロのゲーム、つまり各プレイヤーにとって最初のソロのゲームを義務ソロ(Pflichtsolo)と呼び、それ以外のソロを任意ソロ(Lustsolo)と呼びます。

義務ソロの場合には、プレイの最初のリードは、ソロを選択したプレイヤーが行います。

なお、競技会でないときにも、義務ソロのルールを採用することもあります。12ディールのうちに義務ソロを1回行わなければならないというようなこともあるようです。

3) 保留しますというプレイヤーが2人以上いる場合には、ディーラーの左隣に近いプレイヤーからから時計回りに、強制ソロのプレイヤーがまず宣言し、誰もいなければ任意ソロ、それもいなければマリッジのプレイヤーが宣言します。


オプショナルルール

多くのバリエーション(ローカルルール)のうち、よく行われていて、本文のルールに追加したり置き換えたりして面白そうなものを、ここで紹介します。

2枚の♥️10の強さ

♥️10が同じトリックで2枚プレイされた場合、後でプレイされた♥️10のほうが勝ちます。

シュバインヒェンとハイパーシュバインヒェン

1人のプレイヤーが♦️を2枚持っている場合、それらの2枚は♥️10より上の最高位の切札となります。そのためには、そのプレイヤーが♦️をプレイするとき、シュバインヒェン(Schweinchen=子豚)と宣言しなければなりません。この場合、フォックスの得点はなくなります。

シュバインヒェンが宣言された後に限って、その時点でまだ♦️を1人(シュバインヒェンを宣言した人でもよい)で2枚持っていたならば、それらの2枚はシュバインヒェン(♦️)よりさらに上の最高位の切札になります。そのためには、♦️をプレイする時に、ハイパーシュバインヒェン(Hyperschweinchen)と宣言しなければなりません。

なお、これらの宣言を、プレイが始まる前にしなければならないというやりかたもあります。

40枚のカード

各スートののカードをすべて除いて、40枚のカードでプレイします。

ハイパーシュバインヒェンのルールを採用するときは、♦️10がハイパーシュバインヒェンのカードになります。

リディール(配り直し,Schmeissen)

次のような手札を配られたときに、それを宣言すれば、配り直しになるというルールです。これは、すべてのゲームの種類の選択に優先します。次のディーラーは交代します。

ミゼール(Lumper/Misere/Leiche)

ソロのゲームの一種です。切札は普通のゲームと同じです。

このゲームを選択したプレイヤーは、1トリックも取らなければ勝ちになり、1トリックでも取れば負けになります。カードの点数は関係ありません。

このゲームで有効な得点は次の通りです、ボーナス点も含めて他の点数はありません

クイーンジャックソロ

ソロのゲームの一種です。8枚のクイーンと8枚のジャックだけが切札になります。

キングソロ

ソロのゲームの一種です。キングの8枚だけが切札になります。切札の強さは、強いものから、♣️♠️♥️♦️です。

ソロのビッドの優先順位

ソロのゲームを選択したいプレイヤーが複数いる場合、ディーラーの左隣のプレイヤーから時計回りに最も早い順のプレイヤーが優先するのではなく、次のようにソロのゲームの種類により優先順位をつけることもできます。

優先順位の高い順に:

  1. クイーンソロ
  2. ジャックソロ
  3. スートソロ(ダイアモンド切札)
  4. スートソロ(クラブ切札)
  5. スートソロ(スペード切札)
  6. スートソロ(ハート切札)
  7. ノートランプソロ

この場合、保留したプレイヤーが2人以上いるときには、ディーラーの左隣のプレイヤーから時計回りに、ソロのゲームの種類を言っていきます。誰かがソロのゲームの種類を言ったら、そのあとのプレイヤーはもっと優先順位の高いゲームを言ってもよいし、言えなければパスをしてもかまいません(このビッドは一巡だけです)。

ソロプレイヤーが最初のリード

ソロを選択したプレイヤーは最初のリードを行います。このとき、次回のディーラーは、その回のディーラーと同じプレイヤーが行うことになります。


バリエーション

オプショナルルールとして紹介したほかに、次のようなルールのバリエーション(ローカルルール)があります。ただし、ここに紹介できるのはそのうちの一部であり、実際にはもっと多くのバリエーションがあるものと思います。

カード

ハイパーシュバインヒェンが宣言されたとき、♦️を2枚持っているプレイヤーがいたら、ゲンシャー(Genscher)を宣言して、♦️を最強の切札にすることができる。

♥️10は最高の切札でなく、ハートの普通のカードとなる。これは、元来のルールなのですが、現在ではあまりプレイされていません。

♦️が最高の切札になる。♥️10は普通のハートのカードに戻る。

ジョーカーを1枚入れ、代わりに2枚の♦️のうち1枚を抜く。切札のランクは、ジョーカー♥️10よりも強くなり、一番強い切札となる。クイーンソロやジャックソロの時は、ジョーカー♦️と見なす。

ゲームの種類

スートソロを認めないで、その代りに「切札ソロ」を入れる。切札ソロは、普通のゲームと同じ切札でソロを行うこと。

スートソロを認めない。

ノートランプソロを認めない。

アルムートのバリエーション

  1. ♦️はアルムートの条件である3枚以内の切札には含めない。
  2. アルムートを選択したプレイヤーは切札しか交換に出すことができない。したがって、交換の枚数は3枚より少ないことがある。
  3. 交換の返しのカードに切札を含めることはできない。
  4. アルムートのプレイヤーが♣️を持っていれば、もう1枚の♣️のプレイヤーと交換してその2人が攻撃チームとなる。そうでない場合は、♣️を持っていないプレイヤーと交換してその2人が防御チームとなる。ただし、1人のプレイヤーが2枚の♣️を持っている場合には、そのプレイヤーと交換してその2人が攻撃チームとなる。2人以上がアルムートを選択することも可能だが、同じチームになる場合には、配り直しとなる。(Ralf Wirth氏のルール)
  5. 誰も交換に同意しないときの配り直しは、ディーラーが交代する。

マリッジのバリエーション

  1. 切札がリードされたときに勝ってもパートナーとはならない。
  2. マリッジを選択したプレイヤーがパートナーの決め方を次のうちから選べる(Ralf Wirth氏のルール)。
  3. 「sの第nトリックの勝者」と宣言する。sにはスート名がnには数字がはいる。ただし、スートは指定しなくてもよい。3トリックで決まらなくても良いが、指定トリックがプレイされなかった場合や、自分がその指定トリックの勝者となった場合には1人で3人を相手にすることになる。(けがわ氏のルール)

ミゼールウベルト(Lumper Ouvert)ミゼールと同様だが、2トリック目の最初のカードを出すまでに、このゲームを選択したプレイヤーは全部の手札を公開しなければならない。得点はミゼールに1点が追加される。

ソロゲームに追加

♣️を持っているプレイヤー2人が攻撃チームとなるのではなく、♦️を持っているプレイヤー2人が攻撃チームとなる。

ビッド

ソロを選択したいプレイヤーが複数いた場合、最後にそれを宣言したプレイヤーがソロをプレイする(つまり、ディーラーの左隣から時計回りに最も遠い希望者が優先される)。

ソロを選択したいプレイヤーが複数いた場合、後でビッドするプレイヤーは「90」と宣言してソロの権利を奪おうとすることができる。これに対して先にビッドしたプレイヤーも「90」を宣言してソロの権利を奪い返すことができる。これに対し、後のプレイヤーが「60」(そのあと「30」、「シュワルツ」)を宣言して、同様のことを繰り返すことも可能(Noel Leaver氏推薦のルール)。

アルムートの優先順位がマリッジよりも低い。

宣言

宣言のタイミングが次のようなものもある。

レー、コントラ 最初のトリックのカードを出す前(手札が12枚以上のとき)
90 3トリック目のカードを出す前(手札が10枚以上のとき)
60 5トリック目のカードを出す前(手札が8枚以上のとき)
30 7トリック目のカードを出す前(手札が6枚以上のとき)
シュワルツ 9トリック目のカードを出す前(手札が4枚以上のとき)

マリッジのとき、宣言のタイミングは遅らせない。その代り、攻撃チームか防御チームか分からないプレイヤーは、レーやコントラと同じタイミングで「ダブル」という宣言をすることができる。そのプレイヤーが攻撃チームになった場合、ダブルはレーと同じ意味になり、防御チームになった場合にはコントラと同じ意味になる。

マリッジのとき、パートナーが確定するまでマリッジを選択した人も含め誰も宣言できない。パートナーが1トリック目で決まれば、すべての宣言のタイミングは1トリック分遅くなる。2トリック目で決まれば2トリック分遅くなる。3トリック目で決まれば3トリック分遅くなる(Noel Leaver氏のルール)。

宣言は自分の番にしかできない。

ソロのとき、自動的にレーが宣言されたことになる。

最初のトリックに30点以上含まれていた場合、それを取ったプレイヤーはレーかコントラを宣言しなければならない。既にそのチームがレーやコントラを宣言していた場合には、「90」を宣言しなければならない(Zwingenというルール)。

得点

「相手が90宣言して120点以上取ったとき」などの得点はない。しかし、90、60、30、シュワルツの宣言をして負けた場合には、その宣言通りの結果になったと考えて計算し、それが相手側の得点となる(つまり、90、60、30、シュワルツなどの点数もつく)。ただし、「防御チーム勝利」の1点については、実際に勝った側がどちらかにより得点を計算する。「90」以降の宣言は「90」を先に宣言したチームのみ行う事が出来る。(Noel Leaver氏、けがわ氏のルール)

レーとコントラが点数を2点増すのではなく、点数を倍にする(従って、両方が宣言された場合は点数は4倍になる)。このとき、フォックスやチャーリーの点数も倍にすることがある。

ソロのとき、得点は倍になる。

相手チームの♥️10を取ったときに、ボーナス点がある。

ドッペルコップのボーナス点は、10のみを含むトリックではなく、同一のカード2枚を含むトリックを取ったときにもらえる。

最後のトリックでフォックスを取ったり、最後のトリックをフォックスで勝ったときに2点のボーナス。

最初のトリックでフォックスを取ったとき2点のボーナス。

フォックスで最後のトリックを取ると1点のボーナス。

相手の出したチャーリーを取ると1点のボーナス。

最後のトリックにチャーリーを出して、相手チームに取られても罰点なし。

40枚のカードを使ったときに、ハートだけのトリックに勝ったらボーナス点。

大場(Boch)のルール以下の事が起こったら、それ以降の4ディール(5人ゲームの場合は5ディール)は、すべての得点が倍になる。

  1. あるトリックで、ハートだけしかプレイされなかった(40枚のカードを使用した場合)。
  2. 両チームが120点ずつ取った。
  3. 両チームの得点が0点だった(負けたチームがボーナス点を取ったので差し引き0点になったときなど)
  4. 攻撃チームがレーを宣言して負けた
  5. 防御チームがコントラを宣言して負けた

他のルールでは次のときに大場になる。

  1. ♥️10♣️を出して負けた場合
  2. 1トリックで40点以上のカードが出たとき(ドッペルコップのとき)
  3. 1トリックで4枚ののカードが出たとき
  4. 両チームの得点が0点だった(負けたチームがボーナス点を取ったので差し引き0点になったときなど)

得点の記入はゼロサム法(本文のルールのようにプラスとマイナスを等しくする)ではなく、プラスの点数だけを記入する。


参考資料


 ニフティーサーブ会議室にて情報提供してくださった方々、特に、けがわさん、Crさん、能勢良太さんに感謝いたします。