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マニーレン(Manillen)

2007/11/3 赤桐

 ベルギーの西フランダル地方でプレイされています。点数を取ることを目的とするトリックテイキングゲームです。ルールは簡単ですが、記憶力と技術が要求されるようです。

 ルールは John McLeod氏のホームページ(http://www.pagat.com/)によります。


人数

 4人。向かい合った2人がパートナーになります。

カード

普通のトランプから各スートののカードを取り除いた32枚のカードを使います。

 各スートのカードの強さは:

 (強)10(弱) の順です。

   [H10] [HA] [HK] [HQ] [HJ] [H9] [H8] [H7]

 10のカードのことをマニーレ(Manile)と呼びます。

点数

 各スートの以下のカードをトリックで取ると、次の点数がつきます。その他のカードには点数がありません。

10
5点
エース
4点
キング
3点
クイーン
2点
ジャック
1点

 全点数は60点になります。このゲームの目的は、できるだけ点数をたくさん取ることです。

ディール

 最初の ディーラーカット で最も強いカードを示したプレイヤーがなります。

 ディーラーは左隣のプレイヤーから配り始め、時計回りに各プレイヤーにまず3枚ずつまとめて配ります。次に2枚ずつまとめて配り、最後に3枚ずつまとめて配ります。こうして全部のカードを配ってしまいます。各プレイヤーの手札は8枚になります。

 次回からは、ディーラーは時計回りに交代します。

切札決め

 ディールが終わって自分の手札を見た後、ディーラーは切札をどのスートにするかを宣言します。ノートランプ(切札なし/muulen)にしてもかまいません。

 切札が決まったあと、ディーラーがいないチームのプレイヤーは、ダブル(Ik ga mee/I go along)を宣言して、得点を2倍にすることができます。

 ダブルが宣言された場合、ディーラーのチームのプレイヤーは、リダブル(Ik ga tegen/I go against)を宣言して、得点をさらに2倍つまり4倍にすることができます。

 リダブルが宣言された場合、ディーラーがいないチームのプレイヤーは、もう一度ダブルを宣言して得点をさらに2倍つまり8倍にすることができます。これに対してディーラーのチームはまたリダブルを宣言してそれを2倍にすることができます。どちらかがやめるまで、いつまでも繰り返すことができます。

プレイ

 ディーラーの左隣のプレイヤーが最初のリードを行い、トリックテイキングゲームのルールに従ってプレイします。プレイは時計回りです。

 プレイの規則は次のようになります:

  1. リードされたスートのカードを持っていれば、そのスートのカードのどれかを出さなければなりません。リードされたスートのカードを持っていない場合には、以下に述べるルールに従って、切札やそれ以外のカードをプレイすることができます。
  2. 自分のパートナーがまだプレイしていない場合や,自分のパートナーがトリックに勝てるようなカードを出していない場合には、上記1のルールを守った上で、可能ならば、トリックに勝てるようなカードを出さなければなりません。つまり、次のようになります: (自分のパートナーがすでにトリックに勝てるようなカードをプレイしていた場合には、これはあてはまりません。)
  3. 自分のパートナーがすでにトリックに勝てるようなカードを出している場合や、自分がトリックに勝てるようなカードを出せない場合には、上記1のルールの範囲内で、どのカードをプレイしてもかまいません。ただし、切札以外がリードされたあと、他のプレイヤーによって切札がプレイされている場合には、その切札より弱い切札をプレイすることはできません。(切札がすでに複数出ているときにはその中の最強の切札よりも弱い切札をプレイすることはできません。切札のリードの時にはこのような規則はありません。)

 切札がプレイされている場合は、最も強い切札を出したプレイヤーがトリックに勝ちます。切札が1枚も出ていない場合には、リードされたスートで最も強いカードを出したプレイヤーがトリックに勝ちます。勝ったプレイヤーが次のリードを行ないます。

 トリックに勝ったプレイヤーは、取ったカードを裏向きに自分の前に置きます。直前のトリックでプレイされたカード以外は、取ったカードを見ることはできません。

得点

 全点数の半分の30点より多くの点数を取ったチームは、30点を越した分の点数が得点になります。例えば50点とった場合は、50-30=20点の得点になります。30点以下のチームには得点はありません。

 この点数は次の場合に何倍かされます(いくつも当てはまる場合はすべてが適用されます):

  1. ノートランプ(切札なし)の場合には、この点数の2倍が得点になります。
  2. ダブル、リダブルの場合は、2倍、4倍などになります。
  3. プレイの結果が30点対30点の同点だった場合は、その回は得点はつかず、次のディールの得点は2倍になります(次回も同点ならばその次はさらに2倍つまり4倍というようになっていきます)。

ゲームの終了

 ディールが終わって累計点が101点以上になったチームがあればゲーム終了となります。この1ゲームのことをボアム(boam/英tree)と呼びます。

 普通は何ボアム行うかは自由ですが、トーナメントなどでは2ボアム先取したチームの勝ちとなります。


 ディーラーは、自分に配られた手札を見る前に「見ずノートランプ(blende muul)」を宣言することができるというルールがもあります。これはノートランプでプレイされますが、点数は2倍ではなく4倍になります。

 シリアスなプレイヤーの間では、得点は、どのように複合しても、最高4倍までにしかならないというようにすることがあります。


2人ゲーム

 次のように配ります。

  1. 各プレイヤーに3枚配る。
  2. 各プレイヤーの前のテーブルに1枚ずつ分けて4枚のカードを裏向きに置く。
  3. 各プレイヤーに2枚配る。
  4. 各プレイヤーの前のテーブルの4枚のカードの上にカードを1枚ずつ表向きに4枚置く。
  5. 各プレイヤーに3枚配る。

 各プレイヤーは自分の手札または自分の前のテーブルの表向きのカードの中からプレイします。テーブルの表向きのカードがプレイされたら、プレイ後にその下の裏向きのカードは表向きにされます。

 このようにして、16トリックをプレイします。

3人ゲーム

 各プレイヤーに10枚ずつ配ります。残りの2枚は表向きにされます。このカードは使いませんが、プレイ後にディーラーの点数となります。

 ディーラーは30点より多く取れば、その分得点します。残りの2人は臨時のパートナーになり、合わせて30点より多く取れば、その分をそれぞれのスコアシートに記入することができます。


 2007年11月3日、なかよし村でプレイしました。

 手札が少なく、プレイの規則が厳しいので、他のプレイヤーの手が読みやすく、推理とプレイの技術が要求されるゲームです。http://www.pagat.com/の記述によると、経験と技術のあるプレイヤーは最初の2、3トリックを見るだけで、全プレイヤーの手札を推察することができるそうです。

 実際、初めてのプレイの割には、深いプレイができたように思います。

 スペイン(カタロニア地方)のボティファーラに似ていますが、それよりカードの枚数が少なく、(ボティファーラの東部バージョンに比べると)プレイのルールが簡単になっています。