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パルティタ(Partita)

2015/1/10 赤桐

 イタリアのピエモンテ州でプレイされているゲームの1つです。 ほかのタロットのゲームと同じように、トリックテイキングゲームです。

 ルールはMichael Dummett氏とJhon McLeod氏の"A Histry of Games Played with the Tarot Pack"という本を基にしました。


プレイヤー

 4人。向い合った2人がパートナーになります。

カード

 カードの種類については、別項のタロットのカードについてをごらんください。54枚のカードを使用します。

 各スートのカードを強い順に列挙すると、スペードとクラブ(あるいはソードとバトン)では:

  キング,クイーンカバロジャック10987です。

  CK CQ CC CJ C10 C9 C8 C7     

 ハートとダイヤモンド(あるいはカップとコイン)では:

  キングクイーンカバロジャック1234です。

  DK DQ DC DJ D1 D2 D3 D4     

 それ以外に121の切札のカードがあります。切札では、20が最も強く「天使(Angelo)」と呼ばれます。以下は、21(Mondo)、19(Sole)、18(Luna)、17(Stelle)、16(Torre)、15(Diaoilo)、14131211109876と数字が小さくなるにつれ弱くな ります。256より弱いカードですが、同じ強さです。後にプレイされた方が強くなります。切札は「バガット(Bagatto)」と呼ばれ、最も弱い切札になります。

 

T20 T21 T19 T18 T17 T16 T15 T14 T13 T12 T11 T10 T09 T08 T07 T06 T05 T04 T03 T02 T01

 なお、切札20に天使の絵の描かれていないタロットでは、このカードを最強とするのは意味がないので、普通に切札21を最も強い切札にして、これを天使と呼んでも良いでしょう。

 さらに、次の愚者のカードが含まれます。このカードをイタリアではマット(Matto 狂人)と呼びます。

   Matto

ディール

 最初のディー ラー任意の方法で決めます。次回からは反時計回りの順に交代します。

 ディーラーはカードをシャッフルしで、左隣のプレイヤーにカットしてもらいます。そのあと、自分の右隣のプレイヤーから配り始めて、反時計回りに、カードを配り、 ディーラーの手札が15枚、他の各プレイヤーの手札が13枚になるようにします。

ディーラーの捨て札

 ディーラーは自分の手札から2枚を選んでテーブルの自分の左横に裏向きに捨て札します。捨て札されたカードはディーラーがプレイで取ったカードと同じに扱われます。

 捨て札には次の制限があります:

  1. キング、切札の20、切札の、愚者(マット)のカードは捨ててはいけません。
  2. 他の切札も捨ててはいけませんが、他に捨てるカードがないときは捨て札できます。切札を捨てるときは表向けにします。

プレイ

 プレイはトリックテイキングゲームの原則に従って行われます。プレイの目的はカードに含まれる点数をできるだけたくさん取ることです。

 まず、ディーラーの右隣のプレイヤーが自由に手札の中の1枚のカードを選んでテーブルに表向きに出します。これをリードすると呼びます。

 つぎに、その右隣のプレイヤーが手札からカードを1枚表向きに出します。出すことのできるカードは次の制限があります。

 切札がリードされた場合:

  1. 切札を持っていれば、持っている切札のうちどれでも1枚を出します。
  2. 切札を持っていなければ、どのカードでも自由に出します。

 切札以外のカードがリードされた場合:

  1. リードされたスートを持っていれば、その中のどれでも1枚を出します。
  2. リードされたスートを持っていなければ、切札のうちどれでも1枚を出します。
  3. リードされたスートも切札も持っていなければ、どのカードでも自由に出します。

 そのあとのプレイヤーもリードされたカード(最初に出されたカード)に従って同じようにプレイします。こうして全員が1枚ずつカードを出すと、1つのトリックが終わったことになります。

 出されたカードの中に切札がある場合には、最も強い切札を出したプレイヤーがこのトリックに勝ちます(25の切札は同じ強さなので、後からプレイされた方が勝ちます)。切札がない場合には、リードされたカードと同じスートのカードの中で最も強いカードを出したプレイヤーがこのトリックに勝ちます。

 勝ったプレイヤーはこのトリックに出された全部のカードを取ったことになり、自分のところに裏向け向けに置きます(手札には加えない)。

 トリックに勝ったプレイヤーが次のリードを行い(手札から自由に1枚を出し)、同様にプレイが続きます。

 このようにプレイを続けて、手札を使いきったらプレイは終了です。

愚者(マット)

 愚者は、上記のカードの出し方の規則をすべて無視して、いつでもプレイすることができます。

 愚者がリードされたときには、2人目のプレイヤーは、どのカードでも出すことができます。3人目と4人目のプレイヤーは、2人目のプレイヤーの出したカードをリードされたカードだと考えてプレイしなくてはなりません。

 愚者をプレイしたプレイヤーは、そのトリックには勝つことができません。

得点

 各プレイヤーはトリックで取ったカードの点数を数えます。ディーラーの捨て札の点数もディーラーの点数として数えます。

切札20(天使) 4点
切札1(バガット) 4点
愚者(マット) 5点
キング 各4点
クイーン 各3点
カバロ 各2点
ジャック 各1点
どのカードでも2枚につき +1点

 すべての点数の合計は必ず80点になります。

 各チームは自分の取った点数から40点(平均点)を引きます。これがプラスまたはマイナスの得点となります。

 ゲーム

 決められた回数(または時間)のディールを行い、累計点がマイナスのチームがプラスのチームに、決められた額を支払います。同点の場合は引き分けです。

シグナル

 プレイヤーは次のようなシグナルを用いて、パートナーに情報を伝えることができます。シグナルは、必ず正しいものでなくてはなりません。また、相手チームにもはっきり分かるように使わなければなりません。使用したシグナルの意味は誰でも聞くことができ、聞かれたら、正しく答えなければなりません。

場合 シグナル 意味
リードのとき プレイの前にカードでテーブルを左から右に叩く 長いスートをリードしたことを示す。そのスートの最初のトリックでは、切札なら6枚以上、その他のスートなら4枚以上。2回目以降のリードでは、残り枚数の平均枚数より多いこと。
カードを弧を描くように空中に投げてテーブル中央に落下させる リードしたプレイヤー以外のプレイヤーの手札には、合計しても、1枚しかそのスートのカードがない。
切札をリードするか、パートナーが切札を出すことを期待して切札以外をリードするとき 右の方を通ってテーブル中央に行くように、水平状態で弧を描いてカードを出す パートナーに、2番目のプレイヤーに勝つことができる最も弱い切札を出すことを頼む。
カードを中央に叩きつけて手前に引いてプレイする パートナーに強い切札を出さないように警告する。
指でテーブルを叩く パートナーに最も強い切札を出さないように警告する。
カードをプレイするとき プレイの直前にカードでテーブルを叩く プレイしたスートのカード以外には、そのスートのカードを手札に1枚しか持っていない。
プレイの直前にカードを下に投げつける パートナーが次にリードするとき、パートナーが前にリードしたスートと違うスートを出すように頼む。
切札をプレイするとき カードをはっきり揺らす これが自分の最後の切り札であることを示す。
カードをブルブル揺らす 自分のバガットが取られそうであることを示す。
切札をプレイしたあとか、切札以外のあるスートの最後のカードをプレイしたあとの、次のリードの前 握ったこぶしで、テーブルを叩く その時の最強の切札を持っていることを示す。
握ったこぶしで、テーブルを2回叩く その時の最強の2枚の切札を持っていることを示す。
プレイの前にカードの長辺を軸にしてカードを回すか、指で空中に小さな円を描く。 切札21を持っていることを示す。
プレイの前にカードを上方に投げるか、指で同じ動きをする。 切札19を持っていることを示す
中指の先でテーブルを押す。 切札18を持っていることを示す
切札17, 16, 15を持っていることを言う そのままの意味。
切札以外のカードをプレイするとき 親指の先でテーブルを押すか、テーブル上のカードを押す。 出したカードのスートがもう手札にないことを示す。
握ったこぶしで、テーブルを叩く 自分がこのスートの最強のカードを持っていることを示す。
プレイの前にカードの長辺を軸にしてカードを回すか、指で空中に小さな円を描く。 このスートのクイーンを持っていることを示す。
他のプレイヤーのリードで、プレイするとき カードを中央に叩きつけて手前に引いてプレイする パートナーに、このスートをリードしないように頼む。
パートナーがリードする直前 テーブルを指で叩く。「ピッコロ(piccolo)」や「グランデ(grande)」と言いながらでも良い。 パートナーに切札をリードするように頼む。ピッコロなら弱い切札、グランデなら強い切札。
いつでも 指を字を書くようにテーブルの端から端に動かす。 パートナーに、シグナルを出すように頼む。

注1

 点数は次のように数えることもできます。本文のものと結果は変わりません。

 カードの点数:

切札20(天使) 5点
切札1(バガット) 5点
愚者(マット) 6点
キング 各5点
クイーン 各4点
カバロ 各3点
ジャック 各2点
上記以外のカード 0点

 取ったカードを2枚1セットにして、それぞれのセットにつき次のように点数を修正します(どのようにセットを作っても結果の点数は変わり ません)。

点数のあるカード2枚 マイナス1点
点数のあるカード1枚とないカード1枚 修正なし
点数のないカード2枚 プラス1点

 つまり、実際のカードの点数は、次のようになります。

切札20(天使) 4.5点
切札1(バガット) 4.5点
愚者(マット) 5.5点
キング 各4.5点
クイーン 各3.5点
カバロ 各2.5点
ジャック 各1.5点
上記以外のカード 各0.5点

 2015年1月10日になかよし村でプレイしました。シグナルに気を取られて、なかなか集中できませんでしたが、慣れれば楽しめると思います。