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パストン(Paston)

2012/4/7 赤桐裕二

 パストンはアルメニアでプレイされているゲームです。オーストリアや東欧、ロシアなどでプレイされているプリファランスというトリックテイキングゲームの一種です。

 ルールは http://www.pagat.com/に従います。


人数

 3人。

カード

 通常のトランプから各スートのカードを除いた32枚を使用します。

 強さは各スート共に、(強い)10(弱い)

ディール

 最初のディーラーはだれが行ってもかまいません。2回目のディールでは、1回目のディールでビッドを最初に行ったプレイヤーがディーラになります(だれがビッドを最初に行うかは後で述べます)。その次のディー ルからは、ディーラーは時計回りに交代します。

 ディーラーはカードをシャッフルして右隣のプレイヤーにカットしてもらったあと、カードを1つの束に戻し、その一番下のカードを自分だけで見ます。もし、このカードがスペードのならば、カードのシャッフルからやり直します(一番下のカードがSでなくなるまで繰り返します)。

 ディーラーは自分の左隣から時計回りに2枚ずつカードを配ります。そのあとテーブル中央に2枚のカードを裏向きに配ります。これをプリクプ(prikup)と呼びます。最後に、残りのカードを2枚ずつ全員に配ってしま います。各プレイヤーの手札は10枚になるはずです。

ビッド

 ディールが終わると、ビッドを行います。

 最初のディールでは、スペードのJを持っているプレイヤーからビッドを行います。もし誰も持っていなければ(プリクプにあれば)、スペードのを持っているプレイヤーから行います。もしこれも誰も持っていなければ、同じディーラーで配り直しを行います。

 2回目のディールからは、ディーラーの左隣のプレイヤーからビッドを行います。

 ビッドの種類とその強さは次の通りです。(番号の大きいほうが強いビッドです。)

  1. パストン(Paston=スペード)
  2. グリッチ(Glitch=クラブ)
  3. ディネリ(Dineri=ダイアモンド)
  4. グーパ(Gupa=ハート)
  5. パストン・グルーカ(Paston grkha=ベスト・スペード)

 最初のプレイヤーから時計回りに、各プレイヤーは上記の1つをビッドするかパスをするかします。パスをしたプレイヤーはそれ以降ビッドに参加できません。

 ただし、誰もパス以外のビッドをしていないときには、プレイヤーはパストン(またはパス)しかビッドできません。誰かがパス以外のビッドをしたときには、最後のビッドより1つ上のビッドしかできません。

 誰かが最も強いビッドのパストン・グルーカをビッドするか、1人以外が全員パスをしたときに、ビッドが終了します。最後にパス以外のビッドをしたプレイ ヤーがデクレアラーになります。

 全員がパスをしたときには、スペードのJを持っているプレイヤーがデクレアラーになります。もし誰も持っていなければ(プリクプにあれば)、スペードのを持っているプレイヤーがデクレアラーになります。それも誰も持っていなければ、同じディーラーで配り直しを行います。

 デクレアラーは全10トリックのうち6トリック以上取ることができないと、マイナス点になります。

カードの交換

 デクレアラーはプリクプの2枚のカードを手札に加え、2枚を捨て札します。プリクプも捨て札も他のプレイヤーには見せません。プリクプにあったカードを捨て札してもかまいません。

コントラクトの宣言

 その後、デクレアラーはプレイするゲームの種類(切り札のスート)を宣言します。宣言できるのは、最後のビッドまたはそれより強いビッドです。例えば、グリッチ(クラブ)をビッドしたプレイヤーは、グリッチ(クラブ)、ディネリ(ダイアモンド)、グーパ(ハート)のどれかを宣言することができ、宣言したスートが切り札になります。

 ただし、パストン・グルーカ(ベスト・スペード)を宣言することができるのは、パストン・グルーカがビッドされた場合だけです。パストン・グルーカは、スペードが切り札で、パストンと全く同じプレイを行いますが、得失点が異なります。

 ビッドで全員がパスしていた場合には、デクレアラーはパストン・グルーカ以外のどれでも宣言できます。

 デクレアラーは、コントラクトの宣言を行う代わりに、降参してもかまいません。これはプレイを行わないで負けを認めることですが、失点はプレイを行った時より少なくなる可能性があります。

ディフェンダーのプレイへの参加決め

 デクレアラー以外の2人のことをディフェンダーと呼びます。コントラクトの宣言が終わると、各ディフェンダーは、プレイに参加するか参加しないかを決めます。参加するときにはホイスト(whist=出る)と宣言し、参加しないときにはパス(降りる)を宣言します。

 まず、デクレアラーの左隣のプレイヤーがこれを宣言して、次にデクレアラーの右隣のプレイヤーが宣言します。

 全員がプレイに参加した時には、各ディフェンダーは自分で2トリック以上取ることができないと罰点がつきます。ディフェンダーが人だけプレイに参加した時は、そのプレイヤーは4トリック以上取れないと罰点になります。

 どちらのプレイヤーもプレイに参加しない場合には、プレイを行わないでデクレアラーの勝ちになります。

プレイ

 デクレアラーが最初のリードを行ないます。

 プレイヤーはリードされたスートをフォローしなければなりません。フォローできないときには、切札を出さなければなりません。切札もないときにはどのカードを出してもかまいません。

 切札が出ているときには、最も強い切札を出したプレイヤーがトリックに勝ちます。そうでないときには、リードされたスートで最も強いカードを出したプレイヤーがトリックに勝ちます。勝ったプレイヤーが次のリードを行ないます。

 片方のディフェンダーだけがプレイを行うことにした場合、プレイをしないディフェンダーのカードは伏せて使いません。2人でプレイを行うことになります。

得点

デクレアラーの得点

 デクレアラーが6トリックかそれ以上取った時には、プラス10点になります。5トリック以下しか取れなかった時には、マイナス10点となります。ただし、この点数は後で述べるようにコントラクトの種類により何倍かされます。

ディフェンダーの得点

 2人のディフェンダーがプレイに参加していた場合は、各プレイヤーは自分の取ったトリック数により、次の得失点になります。

取ったトリック数
得点
0トリック
-10点
1トリック -9点
2トリック 0
3トリック以上 2トリックを超える1トリックごとに+10点

 1人だけプレイに参加していた場合は、取ったトリック数により、次の得失点になります。

取ったトリック数
得点
0トリック
-10点
1トリック -9点
2トリック -8点
3トリック -7点
4トリック 0
5トリック以上 4トリックを超える1トリックごとに+10点

 誰もプレイに参加していない場合は、得失点はありません。

 ディフェンダーの点数も次に述べるようにコントラクトの種類により何倍かされます。

コントラクトの種類による乗算

 デクレアラーおよびそれ以外のプレイヤーの上記の点数は、コントラクトの種類により次のように乗算されます。

コントラクトの種類
乗数
パストン(スペード) 1
グリッチ(クラブ) 2
ディネリ(ダイアモンド) 3
グーパ(ハート) 4
パストン・グルーカ(ベスト・スペード) 4

 ただし、パストン・グルーカで、デクレアラーが成功したときの点数は4倍されず、プラス10点のままです。(デクレアラーが失敗したときとディフェンダーの得失点だけが4倍されます。)

降参の場合

 デクレアラーが降参していた時には、デクレアラーはマイナス10点です。他の各プレイヤーはプラス2点の得点になります。どのビッドを行っていても、この点数は乗算されません。

ゲームの終了

 ディールが終わって誰かの累計得点が121点かそれ以上になったら、そのプレイヤーの勝ちでゲーム終了となります。2人以上が121点以上になったときは累計得点の高いほうが勝ちます(同じなら引き分けです)。

 なお、プレイヤーの累計得点がマイナス121点ちょうどになったときは、そのプレイヤーの累計得点は0点に変更されます。



 2012年4月7日に、なかよし村でプレイしました。プレイも普通に面白かったですが、他のプレイヤーとの関係が大切なゲームのように思えました。

 特に、ディフェンダーになる場合には、もう1人のプレイヤーが出るのか降りるのかを推測することが大事です。自分が出た後にもう1人が降りた場合には、デクレアラーを失敗させることだけでなく、罰点を取らないようにするのも、かなり困難になります。

 ビッドの時には、1人が弱そうなら、2人でプレイするつもりでビッドしても良いかもしれません。

 次のような点にも気が付きました。