2005/3/5 赤桐
オーストリアでプレイされているトリックテイキングゲームです。
シックスティー・シックスという名前で紹介したゲームと基本的には同じルールですが、カードが24枚ではなく20枚になっています。
ルールは John McLeod氏のサイト(http://www.pagat.com/)と、Thonas CardgameのSchnapsen Version 1.0.0というソフトウェアの実際の動作によりました。
2人。
各スートのA、K、Q、J、10の20枚のカードを使用します。現地では普通の(フランス風の)トランプを使うことも、ドイツ風のカードを使うこともあります。ここでは普通のトランプで説明します。
(強)A、10、K、Q、J(弱)の順です。
次のような点数を取ることがプレイの目的となります。
各カードには以下の点数があります。 トリックで点数のあるカードを取ると、その点数がもらえます。
各A | 11点 |
各10 | 10点 |
各K | 4点 |
各Q | 3点 |
各J | 2点 |
また、最後のトリックを取ると10点がもらえます。
さらに、同じスートのキングとクイーンが手札にあった時に、宣言すると、次の点数がもらえます。これをマリッジと呼びます。
切り札のマリッジ(ロイヤルマリッジ) | 40点 |
それ以外のスートのマリッジ(普通のマリッジ) | 20点 |
最初の ディーラーは 任意のやり方 で決めます。ディーラーは ディール ごとに交代します。
ディーラーは、各プレイヤーに5枚のカードを配ります。伝統的には、相手に2枚-自分に2枚-相手に3枚-自分に3枚というように配りますが、先に3枚配り後で2枚配ってもかまいません。
その後、1枚のカードをテーブルの中央に表向きにしておきます。このカードのスートが切札になります。
残りのカードはそのカードの上に表向きのカードと直角になるようにして(表向きのカードのインデックスが見えるようにして)置きます。これが山札となります。
下記以外は通常のトリックテイキングゲームのルールに従います。
最初の リード はディーラーでないほうのプレイヤーが行います。フォローの義務はなく、どのカードを出してもかまいません。
トリックに勝ったプレイヤーは、取ったカードを裏向きにして自分の前に置きます。このカードはプレイが終わるまで見ることはできません。
1トリックのプレイが終わるごとに、トリックに勝ったプレイヤーは山札の一番上から1枚のカードを取り、次に負けたプレイヤーが1枚を取ります。(切札表示カードも山札の最後のカードとして取られます。)
最後の山札が取られて山札がなくなったら、次のプレイから次のようにフォローのルールが変ります。
なお、プレイ中に自分の取ったカードの点数を記憶しておくことは重要ですが、それを紙に書き留めたりしてはいけません。
切り札のJを持っているプレイヤーは、このカードを切札を表示しているカードと取り替えることができます。これは、トリックのプレイが終わって次のトリックのプレイが始まる前ならいつでも行えます。
ただし、交換を行うためには、そのプレイヤーはプレイで少なくとも1トリックを取っていなければなりません。また、切札表示カードがプレイヤーに取っていかれて、テーブルの上からなくなっていたら、交換はできません。
手札にマリッジのカードがあれば、その2枚を相手に見せて、「ロイヤルマリッジ」(または「切札のマリッジ」あるいは「40点のマリッジ」)、あるいは「普通のマリッジ」(または「20点のマリッジ」)と宣言して、点数を得ることができます。
マリッジの宣言は、トリックに勝ったプレイヤーだけが、山札からカードを引いたあと次のトリックカードをプレイするときに行うことができます。あるいは、最初にリードをするプレイヤーがそのリードのときに行うこともできます。そのとき1つのマリッジしか宣言できません。また、リードするカードはマリッジのカードのうちの1枚でなくてはなりあません。
山札がなくなった後は、マリッジの宣言をすることはできません。
前述したように、最後のトリックを取ると10点余分にもらえます。
自分が次のリードを行う前ならいつでも(最初のリードのときでも)、山札がまだ残っていれば、「クローズ」を宣言することができます。クローズの宣言をするときには、切札を表示しているカードを裏向けにして山札の一番上に置きます。
このとき、クローズが行われる前に、切札のJを持っていて1トリック以上取っているプレイヤーは、切札を表示しているカードとの交換を行うことができます。
クローズの宣言は山札を取る前でも後でも行うことができますが、当然ながら、自分が山札を取ったら相手にも取らせなければなりません。
クローズの宣言が行われたら、それ以降は山札を取ることができなくなり、プレイは山札がなくなったときと同じ規則になります。マリッジの宣言もすることができなくなります。やはり、手札がなくなるまでプレイが続けられますが、最後のトリックを取っても10点はつきません。
プレイヤーは、プレイ中にいつでも勝利宣言をすることができます。勝利宣言があると、プレイはそこで終わります。勝利宣言はクローズが行われた場合でも、行われなかった場合でもすることができます。
プレイがすべて終わった後では、勝利宣言を行うことはできません。
トリックのプレイ中には勝利宣言はできませんが、マリッジを宣言した直後に勝利宣言することはできます。
勝利宣言があると、両方のプレイヤーの点数を取っているカードとマリッジから計算します。(双方の合意があれば、計算しないことも可能です。)
勝利宣言をしたプレイヤーが66点以上に達している場合には次のように得点します。
相手が33点以上得点している場合 | 1ゲームポイント |
相手が1点以上取っているが33点未満しか得点していない場合(シュナイダー=Schneider) | 2ゲームポイント |
相手が1点も取っていない場合(シュワルツ=Schwartz) | 3ゲームポイント |
勝利宣言をしたプレイヤーの得点が66点に達していない場合には、相手が2ゲームポイントを得点します。ただし、どちらかのプレイヤーが1点も取っていない場合には、3ゲームポイントを得点します。
勝利宣言をしなかったほうのプレイヤーの点数が勝利宣言をしたプレイヤーの点数より高かったとしても、勝利宣言をしたプレイヤーの点数が66点以上であれば、勝利宣言をしたプレイヤーが得点します。
勝利宣言がなくて最後までプレイが行われた場合には、もしクローズが行われているならば、クローズを宣言したプレイヤーがプレイ終了後に勝利宣言をしたと見なしてゲームポイントを計算します。
勝利宣言もクローズもなくて最後までプレイが行われた場合には、66点以上で点数の多いほうのプレイヤーが、上記の表通りのゲームポイントを得ます。
どちらも65点で同点の場合は、このディールはどちらも得点はありません。どちらも66点以上で同点の場合は、やはりこのディールはどちらも得点はありませんが、次回のディールに勝ったプレイヤーは1ゲームポイント余計にもらえます。次回も同様ならば、その次のディールでもらえるゲームポイントはさらに1つずつ増えます。
7ゲームポイントを先に取ったプレイヤーがゲームに勝ちます。
John McLeod氏のサイトのルールには、クローズがあって勝利宣言がない場合には、クローズを宣言したプレイヤーがプレイ終了後に勝利宣言をしたと見なすというルールはありませんが、双方が65点未満だった場合の得点方法が載っていないので、このルールを書き落としたものと考えて、上記ルールに入れました。Schnapsen Version 1.0.0では、このようになっているようです。
Schnapsen Version 1.0.0では、トリックで勝ったときしか勝利宣言が行えず、マリッジを宣言した直後も勝利宣言は行えないようです。
2005年3月5日、なかよし村でプレイしました。
前にシックスティー・シックスをプレイしたときはそれほど強い印象はなかったのですが、今回それと非常に似たこのシュナプセンをプレイして、あまりの面白さに驚きました。
シックスティー・シックスよりもカードの枚数が減り、スピーディーで密度の濃いゲームになっているようにも思いますが、私となかよし村の仲間のプレイの技術が向上して面白さがわかるようになったのが主な原因だと思います。
点数を記憶しなくてはならないのは面倒ですが、目先の点数とマリッジの可能性との兼ね合いや、クローズのタイミングのとりかた、そしてトリックテイキングゲーム本来のかけひきなど、非常に戦略性を要求されるます。
カードゲームの初心者には必ずしも向いていないかもしれませんが、ある程度他のトリックテイキングゲームをやりこんでいる人にはぜひお勧めしたいゲームです。