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ストローマン・タロック
(Straw Man Tarock)

2010/1/9 赤桐

 タロットカードのうち54枚のカードを使う2人用のゲームです。オーストリアでプレイされています。

 ルールは主にPhilebus著 "Tarocchi", 2009によりました。


プレイヤー

 2人。

カード

 タロットカードについては、別項のタロットのカードについてを ごらんください。

 タップタロックではタロットカードのうち54枚だけを使用します。オーストリアでは54枚のオーストリアパックのカードを使用しています。

 スペード、クラブ、ダイヤモント、ハートの4つのスートがあり、各スートには8枚のカードがあります。それ以外にタロックと呼ばれる切札のスートが22枚あります。

 黒のスート(スペードとクラブ)のカードとその強さは次の通りです(のカードは使用しません):

  キング(最強)、クイーンカバロジャック10987(最弱)

  CK CQ CC CJ C10 C9 C8 C7

 赤のスート(ハート、ダイアモント)のカードとその強さは次の通りです(10のカードは使用しません):

  キング(最強)、クイーンカバロジャック1234(最弱)

  DK DQ DC DJ D1 D2 D3 D4

 愚者を含む残りの22枚のカードは切札です。このゲームではこの切札をタロックと呼びます。(ゲーム自体もタロックと呼ばれますし、カード全部もタロッ クと呼ばれると思われますが、狭い意味で使われるときには、この22枚だけをタロックと呼ぶわけです。)

 愚者のカードをスキュース(Sküs)と 呼びます。このカードが最強であり、タロック21がそれに続き、以下数字の順にタロック1まで続きます。タロック21モント(Mond)、タロック1パガット(Pagat)と呼びます。

 

T00T21T20  T16 T15 T14 T13 T12 T11 T10 T09 T08 T07 T06 T05 T04 T03 T02 T01

 なお、オーストリアパックの絵札には何も文字が書かれていないことがありますが、冠をかぶっているのがキング、女の人がクイーン、馬に乗っている男がカバロ、馬に乗っていない男がジャックとなります。道化師の絵が描かれているのがスキュースです。

ディール

 カットして最も強い切札を引いた人がディーラーになります。切札を誰も引かないときには引き直します。次回からディーラーは交替します。

 ディーラーの相手プレイヤーがカットしたあと、3枚ずつまとめて、15枚のカードを各プレイヤー配ります。これが普通の手札になります。

 そのあと、ディーラーは4枚ずつまとめて12枚のカードを各プレイヤーに配ります。ただし、このときには4枚のカードをそれぞれ別の裏向きの山にして、配られるプレイヤーの前に置きます。この山はストローマン(Strohmann)と呼ばれます。ストローマンのカードは手に持ったり見たりすることはできません。

ビッド

 次に、ディーラーの相手プレイヤーは配られた手札を見て、「やります(Ich nehme auf)」と言ってデクレアラーになるか、パスをするかします。

 パスをしたら、ディーラーも同じように「やります」と言って言ってデクレアラーになるか、パスをするかします。

 両方がパスをした場合、デクラアラーなしで、プレイを行います。

ストローマン

 ビッドが終わると、各プレイヤーはストローマンのそれぞれの山の一番上のカードを表向きにします(計3枚のカード)。もし表向きにしたカードがキングかタロックだったら、そのカードを手札に加えて、その下のカードを表向きにします。これを表向きのカードがキングかタロックでなくなるか山がなくなるまで繰り返します。

 ストローマンの山の一番上のカードは、プレイのとき、手札の一部とみなされます。つまり手に持っているカードと同じものとして扱います。ストローマンの山の一番上のカードをプレイで使った時には、その下のカードを表向きにします。このカードがキングかタロットであれば、そうでなくなるまで手札に入れて一番上を表向きにします。

プレイ

 プレイはトリックテイキングゲームの原則に従って行われます。プレイの目的はカードに含まれる点数をできるだけたくさん取ることです。

 まず、ディーラーの相手プレイヤーが自由に手札の中の1枚のカードを選んでテーブルに表向きに出します。これをリードすると呼びます。

 つぎに、もう1人のプレイヤーつまりディーラーが手札からカードを1枚表向きに出します。出すことのできるカードは次の制限があります。

 切札がリードされた場合:

  1. 手札に切札があれば、切札のうちどれでも1枚を出します。
  2. 手札に切札がなければ、どのカードでも自由に出します。

 切札以外のカードがリードされた場合:

  1. リードされたスートが手札にあれば、そのスートのカードの中から、どれでも1枚を出します。
  2. リードされたスートが手札になければ、切札のうちどれでも1枚を出します。
  3. リードされたスートも切札も手札になければ、どのカードでも自由に出します。

 こうして2人が1枚ずつカードを出すと、1つのトリックが終わったことになります。

 出されたカードの中に切札がある場合には、最も強い切札を出したプレイヤーがこのトリックに勝ちます。切札がない場合には、リードされたカードと同じスートのカードの中で最も強いカードを出したプレイヤーがこのトリックに勝ちます。

 勝ったプレイヤーはこのトリックに出された全部のカードを取ったことになり、自分のところに裏向け向けに置きます。

 トリックに勝ったプレイヤーが次のリードを行い(手札から自由に1枚を出し)、それに対してもう1人がカードを上記規則に従ってプレイします。このように手札(とストローマン)がなくなるまで、プレイを行います。

点数

 プレイが終わったら取ったカードの点数を計算します。

 各カードの点数は次の通りです(下記以外のカードには点数はありません):

 スキュース(愚者)

5

 タロック21(モント)

5

 タロック1(パガット)

5

 各キング

5

 各クイーン

4

 各カバロ

3

 各ジャック

2

 さらに、取ったカードを3枚1セットにして、それぞれのセットにつき次のように点数を修正します。どのようにセットを作っても結果の点数は変わりませんので、計算しやすいようにセットを作っておきましょう。

 点数のあるカード3枚

-2

 点数のあるカード2枚とないカード1枚

-1

 点数のあるカード1枚とないカード2枚

0

 点数のないカード3枚

+1

 3枚セットで割り切れないときには、点数のないカードを端数(セットにならないカード)とします。端数のカードが2枚のときには+1点の修正をします。端数のカードが1枚のときには修正点はありません。

  (セットによる修正の結果は、点数のないカードを1点と数えて、1セットにつき2点ずつ減点していくのと同じことになります。2枚または1枚余ったら1点減点とします。)

 修正後の全点数の合計は70点になります。

ゲームの得点

 デクレアラーが36点以上のカードの点数を取った場合には、次のゲーム点を得点します。35点以下だった場合には、相手がゲーム点を得点します。

 45点以上

4ゲーム点

 36点〜44点

3ゲーム点

 27点〜35点

相手が4ゲーム点

 26点以下

相手が5ゲーム点

 デクレアラーなしでプレイしたときには、36点以上取ったプレイヤーが2ゲーム点を得点します。両プレイヤーが35点だった場合には、ゲーム点はありません。

ボーナス得点

 上記のゲームの得点以外に次のようなボーナス得点があります。

バラット(Valat)

 どちらかのプレイヤーが全トリックを取った場合には、前記のゲームの得点の代りに、12ゲーム点を得ることができます。

パガットウルティモ(Pagat Ultimo)

 最後のトリックにパガット(タロックの1)を出してトリックに勝つか、あるいは、最後のトリックで相手のパガットを取った場合、パガットウルティモのボーナスとして1ゲーム点を獲得します。

ウーフ(Uhu)

 最後から2番目のトリックにタロックの2(ウーフ)を使って勝つか、最後から2番目のトリックで相手のタロックの2を取ると、1ゲーム点獲得します。

コカドゥー(Kokadu)

 最後から3番目のトリックにタロックの3(コカドゥー)を使って勝つか、最後から3番目のトリックで相手のタロックの3を取ると、1ゲーム点を獲得します。

ロストップシン(Rostopschin)

 タロック17とタロック18で続けてトリックに勝ったときにもらえます。ただし、タロック17をプレイするときに「ロス」と発声し、タロック18をプレイするときに「トップシン」と発生しなければなりません。1ゲーム点です。


  なかよし村で2010年1月9日にプレイしました。気楽に楽しめるゲームですが、それほど戦略性はなさそうです。とはいえ、タロットの2人ゲームは少ないので貴重です。タロットゲームの入門用の最初のゲームとしても良いかもしれません。