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タブラネット(Tablanette)

1995/5/27 赤桐

 ロシア生まれのゲームともいわれますが、定かではありません。名前はフランス語の"table nette"つまり「きれいなテーブル」ということばから来ていると思われます。

 カシノスコポーネなどの系統のゲームです。


人数

 2人〜4人。まず、2人ゲームを説明します。

カード

 通常の52枚のカード。

ディール

 最初のディーラー任意の方法で決めます。カットして低位のカードがディーラーになることにしてもよいでしょう。

 ディーラーはディールごとに交代します。

 ディーラーは、プレイヤーにカードを6枚ずつ配ります

 そのあと、4枚のカードを、重ねないで、表向きにテーブル中央に配ります。このようにテーブルに置かれたカードを「場のカード」と呼ぶことにします。また、場のカードが置かれる場所を、「」と呼ぶことにします。

 残りのカードは、裏向きのままテーブルに置いておきます(それを「山札」と呼ぶことにします)。

 もし、最初の場のカードの中にジャックがあれば、そのジャックを山札の1番下に入れて、山札の1番上から場のカードを補充します。(2枚以上のジャックが場に現れたら、全部のジャックについて、そのようにします。)

 プレイが進み、両方のプレイヤーの手札がなくなったときに、山札があれば、ディーラーはそこから6枚ずつ両プレイヤーに配ります。

プレイ

 ノンディーラーから順にプレイを行います。

 プレイは、手札から自由に1枚を場に出すことで行われます。

 出したカードと同じランクのカードが場にあれば、そのカードを取ることができます。例えば、を出すと、場にあるを取ることができます。同じランクのカードが複数あれば、全部取ることができます。取るときには、出したカードもいっしょに取ります。

  [DK] [CK] ←  [SK] (Cを取り、Sも取ります

 また、場にあるカードの2枚か3枚の数値を足すと、出したカードの数値と等しくなる場合には、それらのカードを取ることができます。例えば、場にのカードがあれば、のカードを出して、そののカードを取ることができます。もちろん、出したカード(この場合はのカード)も取ることができます。なお、4枚以上のカードの数値の合計点で取ることはできません。

  [H2] [C3] ← [D5] (全部取ることが出来ます)

  [SA][HA][C3][S5] ×← [D10] (4枚以上なので取れません)

 カードの数値というのは、から10のカードについては、その数字そのままで、クイーンは13、キングは14となります。エースについては、1か11のどちらかをプレイヤーが選ぶことができます(出したカードについても、場のカードについてもです)。ジャックにはカードの数値はなく、後述するように、特別の働きをします。

 足すと出したカードの数値と等しくなるようなカードの集まりが、場に複数ある場合には、それらを全部取ることができます。例えば、場にがあって、を出した場合、で13となり、で13となるので、すべてのカードを取ることができます。

  [D2][S3][H8] [H4][C9] ← [DQ](全部取れます)

 ただし、例えば、場のカードがである場合、を出しても全部のカードは取ることはできません。で14であり、でも14となりますが、は1枚しかないので、2回数えることはできないからです。この場合、どちらか片方のグループを取ることになりますが、どちらにするかはプレイヤーの自由です。

  [D2][H3][S5][h9] ?← [CK]

  (DHHを取るか、SHを取るかを選択します)

 場に、同じランクによって取れるカードも、数値を足して取れるカードも、両方ある場合には、どちらも全部取ることができます。

  [C5][H8] [SQ] ← [DQ](全部取れます)

 また逆に、出したカードにより取れるカードは、すべて取らなければなりません。

  [S3][S4][S5][S6][S9] ← [h9](全部取らなければなりません)

ただし、選択できるときには、必ずしも最高の枚数を取る必要はありません。例えば、場にA10があって、出したカードがAだった場合、場のAを1と数え、出したAを11と数えると、場のA10が両方取れますが、そうしないで、場からAだけを取ることもできます。

  [DA][C10] ?← [SA] (DAC10を取るか、DAだけを取るかを選択できます。)

 取ったカードは、手札とは別にして、裏向きにしてテーブルに置いておきます。

 場に取ることができるカードがない場合には、出したカードはそのまま場のカードとして置いておきます。これを「捨て札」と呼ぶことにします。

タブラネット

 プレイで場のカードを全部取ってしまい、場のカードを0枚にしてしまうことを、タブラネットと呼びます。 

 タブラネットをすると、即座に、取ったカードの数値全部を合計したものを得点することができます。これには、出したカードの数値も含まれます。例えば、場に10があり、を出してタブラネットした場合には、39点の得点となります。

ジャック

 ジャックを出すと、場のカードをすべて取ることができます。ただし、これはタブラネットにはなりません。

 場にカードが1枚もないときにジャックを出すと、捨て札になります。

 このようにして場のカードの中にがある場合、このを出すことによってしか取ることができません。(場にを含む場合にも、を出せば全部の場のカードが取れますが、いかなる場合にも、Jのプレイでタブラネットになることはありません。)

ディールの終了

 手札も山札もなくなったときに、そのディールは終了します。

 そのときに残っている場のカードは、1番最後に場のカードを1枚でも取ったプレイヤーのものになります。

 例えば、最後から1つ前のプレイで、プレイヤーAがを出して場のを取り、その後の両者のプレイがすべて捨て札だった場合、プレイヤーAが最後に場に残っているカードを取ることになります。もちろん、これはタブラネットにはなりません。

得点

 プレイ中に得点したタブラネットの点数に加えて、ディールが終わると、取ったカードにより、次のように得点します。

A、K、Q、J10各1点
ただし、D102点
C1点
取ったカードの枚数が1番多いプレイヤーに3点(同枚数は0点)

ゲーム

 最初に251点に到達したプレイヤーが、勝者になります。タブラネットにより、ディール中に得点してゲームが終了することもあります。

 ディール後の得点計算で、両者が251点以上になった場合には、得点の多いプレイヤーが勝者になります。同点は引き分けです。


3人、4人ゲーム

 4人ゲームの場合は、パートナーを組む場合も、個人戦の場合もあります。

 各プレイヤーに4枚ずつ配ります。配り直すときも4枚ずつです。

 ディーラーの交代もディールもプレイも、時計回りにします。

 3人ゲームや4人ゲームの個人戦の場合は、151点をターゲットにしたほうがよいでしょう。


 2人ゲームのときに、6枚ずつではなく、8枚ずつ配るやりかたもあります。配り直すときも8枚ずつです。(参考文献

 場のカードを、カードの数値の合計で取る場合、2枚か3枚にかぎらず、4枚以上でも取れるとするルールもあります。(参考文献

 取ったカードについて、次のような得点システムを提唱している人がいるそうです。(参考文献2)

11点
1010点
4点
3点
2点
その他のカード0点

 ジャックを特別扱いにせず、単に12の数値をもつカードとするやりかたもあります。(参考文献


参考文献

  1. "The Pan Book of Card Games"(London,1960) by Hubert Phillips
  2. "A Dictionary of Card Games"(Oxford,1992) by David Parlett
  3. "Scarne's Encyclopedia of Games"(London, 1973) by John Scarne