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ナインティー・ナイン(Ninety-Nine)

1997/3/24 赤桐

 David Parlette氏によって作られた傑作ゲームです。

 最初は1974年に"Games & Puzzles"紙に発表され、1977年に彼の著書"Original Card Games"に載せられました。その後、彼の著書だけでなくいろいろな本などで紹介され、多くの人がプレイしています。

 ここでは、彼自身によって1990年頃に改良されたバージョンをまず紹介します。


プレイヤー

 2人〜5人。ただし、3人ゲームが主なので、まずこれを記述します。

カード

 普通のトランプから、各スートジョーカーを除いた36枚のカードを使用します。

 各スートのカードの強さのランクは、(強)10(弱)です。

プレイの目的

 このゲームはトリックテイキングゲームです。しかし、トリックをたくさん取ればよいゲームではありません。

 プレイの前に、何トリック取るかをビッドしておき、プレイでは、ちょうどその数のトリックを取ることが目的となります。

ディール

 最初の ディーラー任意のやり方 で決めます。ディーラーは ディール ごとに左隣のプレイヤーに移ります。

 ディーラーは、各プレイヤーに1枚ずつ全部のカードを 配ります

ビッド

 プレイの前に、各プレイヤーは、手札から3枚のカードを、他のプレイヤーに見せないように裏向きにして、自分のそばのテーブルに置きます。この3枚のカードをビッドカードと呼ぶことにします。

 ビッドカードは、プレイで使われないという意味では捨て札なのですが、同時に、プレイで何 トリック 取るかを秘密のうちにビッドするカードでもあります。

 各ビッドカードには、そのスートにより、次の意味があります。(ランクには何の意味もありません。)

クラブ 3トリック
ハート 2トリック
スペード  1トリック
ダイアモンド 0トリック

 3枚のビッドカードのスートが表わすトリック数の合計が、ビッドするトリック数となります。

 例えば、ビッドカードがC1枚とS1枚とD1枚だとすると、3+1+0=4トリックがビッドするトリック数になります。

 もし、ビッドカードがC2枚とH1枚ならば、3x2+2=8トリックがビッドするトリック数です。

 プレイで、ビッドしたトリック数とちょうど同じトリックの数を取ると、ボーナス点があります。

プレミアム・ビッド

 全員がビッドカードをテーブルに置いたあと、プレイが始まる前に、プレミアム・ビッドの宣言が行われます。

 プレミアム・ビッドの宣言に成功したプレイヤーは、プレイにも成功すれば、高いボーナス点が与えられます。

 プレミアム・ビッドには次の2種類があります:

デクレア(Declaration)

 デクレアを行うプレイヤーは、プレイの前にビッドカードを表向きにして、自分が何トリック取るかを他の2人に分かるようにします。

リビール(Revelation)

 リビールを行うプレイヤーも、ビッドカードを表向きにしますが、それだけでなく、自分の手札全部を表向きにテーブルに置いてプレイします。

プレミアム・ビッド宣言のやり方

 あるディールにおいて、1人のプレイヤーだけが、プレミアム・ビッドを行うことができます。誰がそのプレイヤーになるかは、次のようにして決めます。

 ディーラーの左側のプレイヤーから時計回りの順に、各プレイヤーは、1回だけ、「デクレア」か「リビール」か「パス」を宣言します。

 デクレアの宣言があると、それ以降に宣言するプレイヤーは、リビール(かパス)しか宣言できません。

 リビールの宣言があると、それより強い宣言はないので、それ以降に宣言する順番のプレイヤーは、宣言する機会がなくなります。

 例外として、デクレアの宣言の後にリビールの宣言があった場合には、最初にデクレアを宣言したプレイヤーはもう1度発言の機会が与えられ、リビールを宣言することができます。

 最後にリビールまたはデクレアを宣言したプレイヤーが、プレミアム・ビッドを行うプレイヤーになります。

 全員がパスをした場合は、プレミアム・ビッドなしでプレイすることになります。

プレイ

 プレイの前に、デクレアを行うプレイヤーは、自分のビッドカードを表向きにします。リビールを行うプレイヤーは、自分のビッドカードを表向きにしたあと、手札を表向きにしてテーブルに広げます。

 ディーラーの左隣のプレイヤーが最初の リード を行います。プレーはごく普通の トリックテイキングゲームのルール が適用されます。つまり:

 )可能ならば、リードされたスートのカードを出す

 )リードされたスートが手札になければ、どのカードを出してもよい

 )リードされたスートの最高位のカードを出したプレイヤーがトリックに勝つ。ただし、 切札 が出されている場合には、最高位の切札が勝つ。

 )トリックに勝ったプレイヤーが次のリードを行う。

切札

 最初のディールは、切札なしでプレイします。

 次回からは、前回のディールの結果により切札のスートが決まります。

3人全員のビッドが成功した場合 クラブ
2人のビッドが成功した場合 ハート
1人だけのビッドが成功した場合 スペード
ビッドが誰も成功しなかった場合 ダイアモンド

得点

 プレイが終了すると、各プレイヤーは次の3つの種類の点数の合計を得点します。

[トリック点]

 ビッドの成否に関わりなく、自分の取ったトリック1つについて1点。

[ビッド・ボーナス]

 ビッドが成功したときの点数ですが、3人のプレイヤーのうち何人が成功したかにより、つぎのような違いがあります:

3人全員が成功 各プレイヤー 10点
2人が成功 各プレイヤー 20点
1人が成功 30点

 もちろん、ビッドに失敗したプレイヤーは0点です。

 なお、ビッド・ボーナスをもらうプレイヤーは、ビッドカードを表向きにして成功していることを証明する必要がありますが、ビッドに失敗したプレイヤーは、ビッドカードを見せる必要はありません。

プレミアム・ビッド・ボーナス

デクレア 30点
リビール 60点

 プレミアム・ビッドが成功した場合、この点数がそのプレイヤーに与えられます。

 失敗した場合には、プレミアム・ビッドを行ったプレイヤー以外の2人それぞれが、この点数を得点します。

ゲーム

 誰かの得点(累計点)が100点以上になれば、 ゲーム 終了です。最も得点の多いプレイヤーが勝者となります。

 勝者だけでなく、得点が100点以上のプレイヤーは全員、100点の ボーナス点 がもらえます。

 精算を行う場合は、各プレイヤーが他の2人のプレイヤーそれぞれとの間で、得点の差を支払ったり受け取ったりします。

ラバー

 3ゲームを1 ラバーとしてプレイするすることができます。

 ゲームで最初にディールするプレイヤーは、時計回りに交代するようにします。


注1

 スートとトリック数を対応して覚える方法として、Parlett氏は、スートのマークの上の方の突起の数を数えるようにと書いています。つまり:

クラブ 丸い突起3個
ハート 丸い突起2個
スペード  上部の尖った所 1個
ダイアモンド (0の形に似ていると考える?)

注2

 プレミアム・ビッドのやり方として、席順に従って順番に行うのではなく、自由に宣言を行うという方法もあります。

 リビールを宣言したプレイヤーと、デクレアを宣言したプレイヤーがいれば、リビールの宣言をしたプレイヤーが優先します(プレミアム・ビッドの実行者になります)。

 同じ種類のプレミアム・ビッドの宣言が2人以上あれば、ディーラーの左隣のプレイヤーが最も優先順位が高く、時計回りに低くなっていきます。


4人ゲーム

 52枚のカードを使い、13枚ずつ配ります。

 D3枚のビッドは0トリックと10トリックの両方を表わします。0トリックでも10トリックでも、成功とみなされるわけです。

 ビッド・ボーナスと次回の切札は:

ビッドボーナス 次回の切札
4人全員が成功 0点 ノートランプ
3人が成功 各プレイヤー 10点 クラブ
2人が成功 各プレイヤー 20点 ハート
1人が成功 30点 スペード
全員失敗 ダイアモンド

5人ゲーム

 11と12のカードのあるオーストラリアのファイブハンドレッド用カードを使用します(13のカードは使用しません)。60枚になるので、12枚ずつ配ります。

 ビッド・ボーナスと次回の切札は:

ビッドボーナス 次回の切札
5人全員が成功 各プレイヤー 10点 ノートランプ
4人が成功 各プレイヤー 20点 ノートランプ
3人が成功 各プレイヤー 30点 クラブ
2人が成功 各プレイヤー 40点 ハート
1人が成功 50点 スペード
全員失敗 ダイアモンド

 リビールのプレミアム・ビッドはありません。

 デクレアのプレミアム・ビッドは、希望する全員に認められます。成功すれば50点、失敗すればマイナス50点です。

2人ゲーム

 ダミーハンドを1つ作り、3人ゲームと同じようにプレイします。

 ディールは、各プレイヤーとダミーが12枚の手札になるように配ります。

 ダミーの上の3枚は、裏向きのまま、ビッドカードとします。各プレイヤーは通常通りビッドカードをテーブルに置きます。

 プレミアム・ビッドは、デクレアだけが認められます。両方のプレイヤーがデクレアを行うこともできます。

 プレイの前に、ダミーハンドは、表向きにされます(スートごとに並べておきます)。

 トリックのプレイは、)リードするプレイヤー、)相手のプレイヤー、)ダミーハンドの順に行われます。ダミーをプレイするのは、リードを行ったプレイヤーです。ダミーハンドは通常通りのフォローの規則でプレイされます。

 ダミーハンドがトリックに勝った場合には、)ダミーハンド、)前回ダミーをプレイしたプレイヤーの相手方、)前回ダミーをプレイしたプレイヤーの順になります。ダミーをプレイするのは、前回ダミーをプレイしたプレイヤーです。

 得点は、ダミーの分も記録します。

 両方のプレイヤーがデクレアを行った場合:

両方とも失敗した場合: ダミーだけが60点を得点
片方だけが成功した場合: 成功したプレイヤー  60点
失敗したプレイヤー  0点
ダミー  30点
両方とも成功した場合: 成功したプレイヤー  各30点
ダミー  0点

 ダミーがゲームに勝った場合は、引き分けになります。どちらかのプレイヤーがゲームに勝った場合、勝った方に100点のボーナスがつきます。


 本文のルールは主に John McLeod氏のインターネットのホームページによるものです(http://www.pagat.com/)。

 これによれば、David Parlett氏は1990年にルールを改訂し、このルールはその改訂ルールを記述しているということなので、それを信用しました。

 しかし、1990年以降に発行されたものも含めて、Parlett氏の著作には、最初に発表されたルールに近いものが載せられています。(比較的新しい著書には、本文のルールと似たルールが、バリエーションとして載っています。)

 以下は、David Parlett氏の本によるルールを、オリジナル・ルールということで紹介します。

オリジナル・ルール

 36枚のカードにジョーカーを加えます。各プレイヤーに12枚のカードを配ったあと、残りの1枚が表向きにされ、切札表示カードとなります。通常は切札表示カードのスートが切札になりますが、そのカードがのカードかジョーカーであった場合には、切札はなし(ノートランプ)になります。

 ジョーカーは、ビッドカードとしてもプレイにおいても、切札表示カードと同一のカード(同じスートで同じランクのカード)だとみなします。

 9ディールで1ゲームになります。最も高い得点のプレイヤーが勝者です。

 最終得点を次のように修正することを薦めています:

100未満の得点 0点になる
100点〜199点の得点 そのまま
200点〜299点の得点 2倍される
300点〜399点の得点 3倍される
以下同様

  初期のルールでは、リビールの時に限り、リビールを行うプレイヤーは、誰が最初のリードをするかを指定できました。また、最初のカードがリードされるまでは、手札を公開する必要はありませんでした。

4人ゲーム

 ジョーカーを使うなどの基本的な違い以外は、本文と同じです。

 プレミアム・ビッドはできないと書いてある本もあります。

5人ゲーム

 ジョーカーを使うなどの基本的な違い以外は、ほとんど本文と同じなのですが、ビッド・ボーナスは次のようになっています。

5人全員が成功 0点
3人が成功 各プレイヤー 10点
3人が成功 各プレイヤー 20点
2人が成功 各プレイヤー 30点
1人が成功 40点

 また、別のルールとして、次の52枚のカードを使う方法が述べられています。ジョーカーは使用しません。

 10枚ずつ配り、2枚を表にします。高いランクのカードの方のスートを切札にします。同じならば、高位のスートが切札になります。スートの順位は、高いものから、クラブ、ハート、スペード、ダイアモンドの順です。

 ビッドカードは2枚です。D2枚は0トリックまたは8トリックを表わし、スペードとダイアモンドは1トリックまたは7トリックを表わします。

2人ゲーム

 ジョーカーを使うなどの基本的な違い以外は、ほとんど本文と同じです。ただし、デクレアは1人しかできません。リビールはやはりできません(できると書いてある本もあります)。

 また、次のような別のルールも述べられています。

 各スートの9より下のカードを除いた24枚のカードとジョーカーを使用します。ビッド・ボーナスは、2人が成功のとき各プレイヤー 20点、1人だけ成功ならば10点です。デクレアのボーナスは20点です。

 デクレアは認められず、リビールしか認められないと書いてある本もあります。


バリエーション

アンビッド・ナインティーナイン(Unbidden Ninety-Nine)

 Charles Magri氏によるバリエーションです。

 ビッドカードを最初にテーブルに出さないで、配られた12枚のカードで、9トリックのプレイを行います。

 残った3枚のカードをビッドカードとして扱います。

 プレミアム・ビッドとしては次のようなものが考えられます。

 {デクレア}プレイヤーはビッドのトリック数を宣言します。プレイでその通りのトリックを取り、しかも、その通りのビッドカードを残すことを目指します。

 {オープン}12枚の手札全部を公開します。

 {リビール}12枚の手札全部を公開し、ビッドのトリック数を宣言します。

        (プレミアムビッドの名称は赤桐がつけました)

スフィンクス(Sphinx)

 Parlett氏自身によるバリエーションです。

 ディールのあとすぐに、プレミアム・ビッドの宣言を行います。そのあと、プレミアム・ビッドを行うプレイヤーは、切札を指定します(ノートランプでもかまいません)。

 その後で、ビッドカードをテーブルに置いて、プレイを始めます。

 ジョーカーは使用しません。プレミアム・ビッドがない場合は、前回のディールと同じ切札になります(最初のディールならばノートランプになります)。

ペニークック・バリエーション(Penycook's)

 プレミアム・ビッドはありません。ゲームの目標点は150点です。

ノーティー・ナン(Naughty Nun)

 1ゲームは9ディールから成ります。それぞれのディールは次のように切札などが変わります。

 )ダイアモンドが切札

 )スペードが切札

 )ハートが切札

 )クラブが切札

 )ナン(Nuns): ノートランプ

 )ロンド(Rondo): 各トリックごとにリードされたカードにより切札が変わる。

ダイアモンドのリード スペードが切札
スペードのリード ハートが切札
ハートのリード クラブが切札
クラブのリード ダイアモンドが切札

 7)ホイッスルとフルート(Whistle and flute):トリックに勝つのは、最も強いスートのカードの内、最も強いランクのカードを出したプレイヤー。

 8)トップ・ドッグ(Top Dog):トリックに勝つのは、最も強いランクのカード。同じランクならば、最も強いスートのカードが勝つ。

 )スナップ(Snap):リードされたカードと同じランクのカードを出して「スナップ」と声を出すと、切札を出したことになる。他に切札はない。声を出さなければ切札とは認められない。

 スートの順位は、強いものから、クラブ、ハート、スペード、ダイアモンドの順です。

 どの種類をプレイする場合でも、リードされたスートがあれば、そのスートのカードを出さなければなりません。

 2人でプレイするときには24枚、4人のときは52枚のカードを使います。

ナイントランプ・バージョン(Nine-Trump Version)

 ノートランプの代わりに、のカード4枚を切札にします。

 この4枚は、そのスートマークとは関係なく、独立したスートとして扱われます。

 強さの順位は、強いものから、CHSDの順です。