2003/7/5,2008/6/7 赤桐
オーストリアで最もポピュラーなトリックテイキングゲームの1つです。 <やはりオーストリアでプレイされているシュナプセンという2人ゲームの4人ゲーム版ですが、 ビッドを行い、かなり違ったゲームになっています。
ルールはJohn McLeod氏のインターネットのサイト(http://www.pagat.com/)によりましたが、 一部ドイツ語版Wikipediaを参考にしました。
4人。向かい合った2人がパートナーになります。
各スートのA、K、Q、J、10の20枚のカードを使用します。現地では普通の(フランス風の)カードを使うことも、ドイツ風のカードを使うこともあります。
(強)A、10、K、Q、J(弱)の順です。
次のような点数を取ることがプレイの目的となります。
各カードには以下の点数があります。 トリックで点数のあるカードを取ると、その点数がもらえます。
| 各A | 11点 |
| 各10 | 10点 |
| 各K | 4点 |
| 各Q | 3点 |
| 各J | 2点 |
さらに、同じスートのキングとクイーンが手札にあった時に、宣言すると、次の点数がもらえることがあります。
| 切り札の場合 | 40点 |
| それ以外のスートの場合 | 20点 |
最初の ディーラーは 任意のやり方 で決めます。ディーラーは ディール ごとに左隣のプレイヤーに移ります。
ディーラーはシャッフルした後、右隣のプレイヤーにカットを要求します。右隣のプレイヤーはカットを行ってもよいし、 ノック(カードの上を軽くたたくだけ)を行ってもかまいません。
カットされた場合には、ディーラーは、ディーラーの左隣から時計回りに、まとめて3枚ずつのカードをまず配ります。 このときに、フォアハンド(ディーラーの左隣のプレイヤー)は配られたカードを見て切札のスートを決めます。 決めたくないときには「アウフシュラーゲン(Aufschlagen)」と言います。
その後、ディーラーはまとめて2枚ずつ各プレイヤーに配ります。アウフシュラーゲンの場合には、 フォアハンドに配るカードのうちどちらでも1枚を表向きにします。このカードのスートが切札になります。
カードがカットされずにノックされた場合には、カードは各プレイヤーに5枚ずつまとめて配ります。 フォアハンドのカードは最初の3枚と後の2枚を分けておきます。 フォアハンドは5枚配られた後、最初の3枚だけを見て切札を決めます。 アウフシュラーゲンの場合には、ディーラーが後の2枚のうち1枚を表向きにします。
ディールの後にはビッドをしますが、ビッドは次のようなコントラクトの1つを宣言することによって行います。
コントラクトに成功すると、「ゲーム点」の欄の点数を得ることができます。 失敗すると相手チームがそのゲーム点を得ます。 ゲーム点はカードの点数とは別物であることにご注意ください。
弱いコントラクトから順に記してあります。
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コントラクト
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ゲーム点
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ビッドできるプレイヤー
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切札
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目的
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| 普通ゲーム | 1〜3 | フォアハンドだけ | 有り |
キング・クイーンの宣言を含めてチームで先に66点に到達すること |
| ベトラー(Bettler) | 4 | だれでも | なし | デクレアラー(個人)は全トリックを負けなければならない。デクレアラーのパートナーはプレイに参加しない。 |
| シュナプサー(Schnapser) | 6 | フォアハンドとそのパートナー | 有り | デクレアラー(個人)は最初の3トリックを勝ち、この3トリックで66点に達しなければならない。 |
| ガング(Gang/Ring) | 9 | だれでも | なし | デクレアラー(個人)は全5トリックを取らなければならない。 |
| ツェーナー・ガング(Zener-Gang) | 10 | だれでも | なし | デクレアラー(個人)は全5トリックを取らなければならない。各スートのカードの強さの順序は(強)10、K、Q、J、A(弱)の順になる。 |
| コントラ・シュナプサー(Kontra-Schnapser) | 12 | フォアハンドの敵方 | 有り | デクレアラー(個人)は最初の3トリックを勝ち、この3トリックで66点に達しなければならない。 |
| バウアン・シュナプサー(Bauern-Schnapser) | 12 | フォアハンドとそのパートナー | 有り | デクレアラー(個人)は全5トリックを取らなければならない。 |
| ファルベン・ガング(Farben-Gang) | 18 | フォアハンド以外だれでも | デクレアラー(個人)は手札に同じスートが5枚なければならない。 | |
| コントラ・バウアン・シュナプサー(Kontra-Bauern-Schnapser) | 24 | フォアハンドの敵方 | 有り | デクレアラー(個人)は全5トリックを取らなければならない。 |
| ヘレン・シュナプサー(Herren-Schnaper) | 24 | フォアハンド | デクレアラー(個人)は手札に切札のスートが5枚なければならない。 |
各プレイヤーにはビッドの優先順序があります。フォアハンドが最も強い優先順位を持ち、座席の時計回りの順に優先順位が下がっていきます。 ディーラーの優先順位が最も低くなります。
ビッドはフォアハンドから時計回りの行います。ビッドは前記のコントラクトの1つを宣言することにより行います。 最初にビッドするフォアハンドは必ず何かのビッドをしなければなりませんが、「普通ゲーム」を含めどのコントラクトでも宣言できます。
後のプレイヤーは自分の順番のときパスをするか、コントラクトを宣言してビッドします。優先順位が自分より高いプレイヤーが最後にビッドしていた場合には、それより上位の(上記の表の後ろにある)コントラクトしかビッドすることができません。優先順位が自分より低いプレイヤーが最後にビッドしていた場合には、そのコントラクトと同じコントラクトをビッドすることもできます。
1度パスをしたプレイヤーは再びビッドに参加することはできません。 3人続けてパスがあった場合に、最後にビッドしたプレイヤーがデクレアラーになります。 デクレアラーはビッドしたコントラクトでプレイしなければなりません。
ビッドが終了したら、プレイが始まる前に、 デクレアラーのいないほうのチームは誰でもコントラ(Kontra)を宣言することができます。 コントラの宣言があると、プレイの結果のゲーム点が2倍になります。
コントラの宣言があると、デクレアラーかそのパートナーはレコントラ(Rekontra)を宣言することができます。ゲーム点が4倍になります。
レコントラの宣言があった場合、相手チームは誰でもスプコントラ(Subkontra)を宣言することができます。ゲーム点が8倍になります。
下記以外は通常のトリックテイキングゲームのルールに従います。最初にリードするプレイヤーは、切札のあるコントラクトではフォアハンド、切札のないコントラクトではデクレアラーです。
フォローのルールは次のようになります。
トリックに勝ったプレイヤーは、取ったカードを裏向きにして自分またはパートナーの前に置きます。
自分かパートナーの取ったカードはプレイ中に見ることができます。普通ゲーム、シュナプサー、コントラ・シュナプサーのプレイのときは、 プレイ中、自分がカードをリードする時に、手札に同じスートのキングとクイーンがあれば、そのうちの1枚をリードし、 もう1枚を全員に見せて、点数を得ることができます。切札の場合には40点、切札以外の場合には20点です。
普通ゲームでは、どちらのチームのプレイヤーでも、自分のチームが66点を獲得したと思ったら、勝利宣言をすることができます。 勝利宣言は自分がトリックに勝った直後に行います。 あるいはマリッジを宣言すると同時にすることもできます(この場合そのトリックはプレイされません)。 勝利宣言があると、プレイはそこで終わります。プレイがすべて終わった後では勝利宣言を行うことはできません。
なお、自分とパートナーの取ったカードは見ることができるので、勝利宣言を行う前にそれで点数を確認してもかまいません。
勝利宣言があると、取ったカードの点数とマリッジの点数の合計を両方のチームが計算します。 勝利宣言をしたチームの点数が66点以上である場合には次のように得点します。
| 相手が33点以上得点している場合 | 1ゲーム点 |
| 相手が1点以上取っているが33点未満しか得点していない場合 | 2ゲーム点 |
| 相手が1点も取っていない場合 | 3ゲーム点 |
勝利宣言をしたチームの得点が66点に達していない場合には、66点に達していたときに得られるはずの点数を相手チームが得ます (つまり自分のチームの点数が少ないほど大きい点数を得るわけです)。
勝利宣言をしなかったほうのチームの点数が勝利宣言をしたチームの点数より高かったとしても、 勝利宣言をしたプレイヤーの点数が66点以上であれば、勝利宣言をしたチームが得点します。
勝利宣言がなくて最後までプレイした場合、取った点数に関係なく、最後のトリックに勝ったプレイヤーのチームが1ゲーム点を得点します。
シュナプサーかコントラ・シュナプサーがビッドされた場合には、3トリックしかプレイしません。 コントラクトが成功するためには、デクレアラーが3トリックを勝って、66点以上にならなければなりません。 パートナーが勝っても、コントラクトは失敗になります。
普通ゲームと同様にキング・クイーンの得点がありますが、デクレアラーしか宣言できません。
コントラクトに成功した場合には、そのコントラクトのゲーム点を得ます。失敗した場合には、相手チームがそのゲーム点を得ます。 コントラなどがあった場合には、ゲーム点は何倍かになります。
累計点が24ゲーム点になったら、そのチームの勝ちでゲームが終わります。そのとき相手チームが1ゲーム点も取っていない場合には、2倍勝ちになります。
バウアンシュナプセンの3人用ゲームです。バウアンシュナプセンとの違いだけを記します。
ディールのとき、ディーラーは3枚ずつまとめて各プレイヤーに配ったあと、テーブル中央に2枚を裏向きに配ります。これがタロンになります。そのあと3枚ずつまとめて各プレイヤーに配ります。
フォアハンドは最初の3枚を見て切札を決めるか、あとの3枚のうち一枚を開いて切り札スートにします。
カードがカットされなくてノックされた場合は、6枚ずつまとめて各プレイヤーに配ったあと、タロンの2枚を配ります。フォアハンドには3枚ずつ分けて置きますが、最初の3枚をみて切札を決めるかあとの3枚のうち1枚を開きます。
プレイではデクレアラー以外の2人がパートナーになります。
コントラクトはバウアンシュナプセンと同じですが、次のような違いがあります。
ビッドのあと、デクレアラーはタロンの2枚を他のプレイヤーに見せずに手札に入れ、手札の中からどのカードでも2枚を裏向きに捨て札します(タロンにあったカードを捨て札してもかまいません)。捨て札にあるカードの点数は誰のものにもなりません。
このようなカードの交換のあと、デクレアラーはコントラクトを上位にものに変えることができます。(変えることはできないというルールでプレイすることもあります。)
プレイのあとのゲーム点は、デクレアラーが取った場合にはデクレアラー個人の得点ですが、他のプレイヤーが取った場合は、その点数をそれぞれのプレイヤーが得点します。
2008年6月7日に、なかよし村で2回目のプレイをしました。オーストリアのゲームです。 人数が10人だったため、3人、3人、4人でプレイして、私は3人ゲームを最初にしたので、4人ゲームがあまりできませんでした。 4人ゲームの普通ゲームはカードが少ない分深く読めると思ったですが、あまりよくわかりませんでした。 たぶんやりこめば面白くなると思うのですが。
ベトラーは時々プレイされますが、それより上のコントラクトは私はプレイの機会がありませんでした。ビッドを楽しむゲームというよりは、普通ゲームやベトラーのプレイで楽しむゲームということでしょうか(それより上のビッドは、特別に良い手が来たときのお楽しみということで)。
3人ゲームではベトラーのビッドが非常に多く、他のコントラクトはほとんどできませんでした。ベトラーも面白いのですが、2枚交換すると成功率が高くなりすぎるように思います。