2003/7/5 赤桐
オーストリアで最もポピュラーなトリックテイキングゲームの1つです。2人ゲームのシュナプセンの4人バージョンですが、ドイツの66というゲームから派生したゲームの1つでもあります。
4人。向かい合った2人がパートナーになります。
各スートのA、K、Q、J、10の20枚のカードを使用します。現地では普通の(フランス風の)カードを使うことも、ドイツ風のカードを使うこともあります。
(強)A、10、K、Q、J(弱)の順です。
次のような点数を取ることがプレイの目的となります。
各カードには以下の点数があります。 トリックで点数のあるカードを取ると、その点数がもらえます。
各A | 11点 |
各10 | 10点 |
各K | 4点 |
各Q | 3点 |
各J | 2点 |
さらに、同じスートのキングとクイーンが手札にあった時に、宣言すると、次の点数がもらえることがあります。
切り札の場合 | 40点 |
それ以外のスートの場合 | 20点 |
最初の ディーラーは 任意のやり方 で決めます。ディーラーは ディール ごとに左隣のプレイヤーに移ります。
ディーラーはシャッフルした後、右隣のプレイヤーにカットを要求します。右隣のプレイヤーはカットを行ってもよいし、ノック(カードの上を軽くたたくだけ)を行ってもかまいません。
カットされた場合には、ディーラーは、ディーラーの左隣から時計回りに、まとめて3枚ずつのカードをまず配ります。このときに、フォアハンド(ディーラーの左隣のプレイヤー)は配られたカードを見て切札のスートを決めます。決めたくないときには「アウフシュラーゲン(Aufschlagen)」と言います。
その後、ディーラーはまとめて2枚ずつ各プレイヤーに配ります。アウフシュラーゲンの場合には、フォアハンドに配るカードのうちどちらでも1枚を表向きにします。このカードのスートが切札になります。
カードがカットされずにノックされた場合には、カードは各プレイヤーに1枚ずつ、手札が5枚になるように配ります。フォアハンドのカードは最初に配った3枚と後の2枚を分けておきます。フォアハンドは5枚配られた後、最初の3枚だけを見て切札を決めます。アウフシュラーゲンの場合には、ディーラーが後の2枚のうち1枚を表向きにします。
ディールの後にはビッドをしますが、ビッドは次のようなコントラクトの1つを宣言することによって行います。
コントラクトに成功すると、「ゲームポイント」の欄の点数を得ることができます。失敗すると相手チームがそのゲームポイントを得ます。ゲームポイントはカードの点数とは別物であることにご注意ください。
弱いコントラクトから順に記してあります。
コントラクト |
ゲームポイント |
ビッドできるプレイヤー |
切札 |
目的 |
普通ゲーム | 1〜3 | フォアハンドだけ | 有り | キング・クイーンの宣言を含めてチームで先に66点に到達すること |
ベトラー(Bettler) | 4 | だれでも | なし | デクレアラー(個人)は全トリックを負けなければならない。デクレアラーのパートナーはプレイに参加しない。 |
シュナプサー(Schnapser) | 6 | フォアハンドかフォアハンドのパートナー | 有り | デクレアラー(個人)は最初の3トリックを勝ち、この3トリックで66点に達しなければならない。 |
ガング(Gang/Ring) | 9 | だれでも | なし | デクレアラー(チーム)は全5トリックを取らなければならない。 |
ツェーナー・ガング(Zener-Gang) | 10 | だれでも | なし | デクレアラー(チーム)は全5トリックを取らなければならない。各スートのカードの強さの順序は(強)10、K、Q、J、A(弱)の順になる。 |
コントラ・シュナプサー(Kontra-Schnapser) | 12 | フォアハンドの敵方 | 有り | デクレアラー(個人)は最初の3トリックを勝ち、この3トリックで66点に達しなければならない。 |
バウエルン・シュナプサー(Bauern-Schnapser) | 12 | フォアハンドかフォアハンドのパートナー | 有り | デクレアラー(チーム)は全5トリックを取らなければならない。 |
ファルベン・ガング(Farben-Gang) | 18 | フォアハンド以外だれでも | デクレアラー(個人)は手札に同じスートが5枚なければならない。 | |
コントラ・バウエルン・シュナプサー(Kontra-Bauern-Schnapser) | 24 | フォアハンドの敵方 | 有り | デクレアラー(チーム)は全5トリックを取らなければならない。 |
ヘレン・シュナプサー(Herren-Schnaper) | 24 | フォアハンド | デクレアラー(個人)は手札に切札のスートが5枚なければならない。 |
各プレイヤーにはビッドの優先順序があります。フォアハンドが最も強い優先順位を持ち、座席の時計回りの順に優先順位が下がっていきます。ディーラーの優先順位が最も低くなります。
ビッドはフォアハンドから時計回りの行います。ビッドは前記のコントラクトの1つを宣言することにより行います。最初にビッドするフォアハンドは必ずなにかのビッドをしなければなりませんが、「普通ゲーム」を含めどのコントラクトでも宣言できます。
後のプレイヤーは自分の順番のときパスをするか、コントラクトを宣言してビッドします。優先順位が自分より高いプレイヤーが最後にビッドしていた場合には、それより上位の(上記の表の後ろにある)コントラクトしかビッドすることができません。優先順位が自分より低いプレイヤーが最後にビッドしていた場合には、そのコントラクトと同じコントラクトをビッドすることもできます。
1度パスをしたプレイヤーは再びビッドに参加することはできません。3人続けてパスがあった場合に、最後にビッドしたプレイヤーがデクレアラーになります。デクレアラーはビッドしたコントラクトでプレイしなければなりません。
デクレアラーが決まった後、デクレアラーの敵チームのプレイヤーの1人は「コントラ(Kontra)」と宣言してゲームポイントを2倍にすることができます。これに対してデクレアラーチームは「レコントラ(Rekontra)」といってゲームポイントを4倍にすることができます。これに対して、デクレアラーの敵チームのプレイヤーの1人は「スブコントラ(Subkontra)」と宣言してゲームポイントを8倍にすることもできます
通常のトリックテイキングゲームのルールに従います。
最初の リード は、切札がある場合にはフォアハンドが行い、ノートランプの場合にはデクレアラーが行います。
リードされたスートのカードを持っている場合には出さなければなりません。しかも、リードされたスートで今までに出ている最も強いカードより強いカードを持っている場合には、(何枚かあればそのうちどの1枚でも)出さなければなりません。(今までで最も強いカードを味方が出した場合でもこのルールは適用されます。リードされたスートが切札でない場合で、誰かが切札を出している場合には、リードされれたスートで今までのものより強いカードを出す必要はありません。)
リードされたスートがない場合で、切札を持っている場合には、切札を出さなければなりません。既に切札がプレイされている場合には、それより強い切札を持っていれば出さなければなりません。(それより弱い切札しかなくても、リードされたスートがない場合には、切札は出さなければなりません)。
リードされたスートも切札も無ければ、どのカードを出してもかまいません。
プレイ中で、自分がカードをリードする時に、手札に同じスートのキングとクイーンがあれば、そのうちの1枚をリードし、もう1枚を全員に見せて、点数を得ることができます。切札の場合には40点、切札以外の場合には20点です。
普通ゲームの場合、自分のチームが66点に達したと思ったら、それを宣言してプレイを終わらせることができます。実際に66点に達していた場合、相手チームの得点により次のようなゲームポイントを得ます。なお、プレイ中に自分のチームの取ったカードを見て得点を計算することは許されます。
相手が33点以上得点している場合 | 1ゲームポイント |
相手が1トリック以上取っているが33点未満しか得点していない場合 | 2ゲームポイント |
相手が1トリックも取っていない場合(キング・クイーンの得点があった場合も含む) | 3ゲームポイント |
66点の宣言は自分がトリックを取った直後か、自分がキング・クイーンの得点を得た直後に行わなければなりません。キング・クイーンの得点の直後の場合には、そのトリックのプレイは行いません。
66点に達したと宣言したのに達していなかった場合には、達していたら得るはずだったゲームポイントが相手チームに与えられます。
もし普通ゲームで66点の宣言が無くて最後までプレイした場合には、66点以上取ったチームに1ゲームポイントが与えられます。(両チーム66点以上だった場合には両チームに1ゲームポイントが与えられるのか?)
シュナプサーかコントラ・シュナプサーがビッドされた場合には、3トリックしかプレイしません。コントラクトが成功するためには、デクレアラーが3トリックを勝って、66点以上にならなければなりません。パートナーが勝っても、コントラクトは失敗になります。
普通ゲームと同様にキング・クイーンの得点がありますが、デクレアラーしか宣言(得点)できません(パートナーもできません)。
コントラクトに成功した場合には、そのコントラクトのゲームポイントを得ます。失敗した場合には、相手チームがそのゲームポイントを得ます。コントラなどがあった場合には、ゲームポイントは何倍かになります。
累計点が24ゲームポイントになったら、そのチームの勝ちでゲームが終わります。そのとき相手チームが1ゲームポイントも取っていない場合には、2倍勝ちになります。